転終分:十四万四千百十、秒六千六十六。
転終日:二十七日、余二千九百、秒六千六十六。
転中日:十三日、余四千六十五、秒三千三十三。
朔差日:一、余五千百四、秒三千九百三十四。
象策:七日、余二千一分、二十二秒半。
秒母:一万。
上弦:九十一度、三十一分、四十二秒。
望:百八十二度、六十二分、八十四秒。
下弦:二百七十三度、九十四分、二十六秒。
月平行度:十三度、三十六分、八十七秒半。
分・秒母:百。
七日:初数、四千六百四十八。末数、五百八十二。
十四日:初数、四千六十五。末数、一千百六十五。
二十一日:初数、三千四百八十三。末数、一千七百四十七。
二十八日:初数、二千九百一。末数、二千三百二十九。
経朔・弦・望の入転を求む
天正朔積分を置き、転終分及び秒を以て之を去き、尽きざるを、日法にて一と為し、日と為し、満たざるを余秒と為す、即ち天正十一月経朔入転日及び余秒なり。象策を以て累加し、前に命ずるが如く去き、即ち弦・望経日加時入転日及び余秒を得。径かに次朔の入転を求む。朔差を以て之を加ふ。
転定分及び積度朓朒率
表は略す
朔弦望入転朓朒定数を求む
入転小余を置き、其の日算外の損益率を以て之に乗じ、日法にて一と為し、所得を、損益積を以て定数と為す。其の四七日下の余、初数以下の如きは、初率を以て之に乗じ、初数にて一と為し、損益朓朒積を以て定数と為す。初数以上の如きは、初数を以て之を減じ、余に末率を乗じ、末数にて一と為し、便ち朓朒定数と為す。
朔弦望定日を求む
経朔・弦・望の小余を置き、朓減朒加して気入転朓朒定数を入れ、満ち与へ不足すれば、大余を進退し、甲子を命じて算外とし、各々定朔・弦・望の日辰及び余を得。定朔の前の幹名と後の幹名同じきは、其の月大なり。同じからざるは、其の月小なり。月内に中気無きを閏と為す。定朔小余を視る:秋分後、日法の四分の三以上に在るは、一日を進む。春分後、定朔日出分と春分日出分と相減じたる余、三を以て之を約し、用ひて四分の三を減じ、定朔小余及び此の数以上に在るも、亦一日を進む。或は交有り、虧初の日入前に在るは、之を進めず。
定弦・望の小余日出分以下に在るは、一日を退く。望に或は交有り、虧初の日出前に在るは、小余日出後に在ると雖も、亦之を退く。十七日の望の如きは、又定朔小余四分の三以下の数を視、春分後は用ひて定の数を減ず。と定望小余日出分以上の数と相較ぶ。朔少く望多きは、望退かず、而して朔猶之を進む。望少く朔多きは、朔進まず、而して望猶之を退く。日月の行、盈縮有り、遅疾加減の数、或は四大三小有り。若し常理に随はば、当に其の時の早晚を察し、近きに随ひて之を進退し、三大二小を過ぎざらしむべし。
定朔弦望中積を求む
定朔・弦・望の大小余と経朔・弦・望の大小余と相減じたる余を置き、以て経朔・弦・望入気日余を加減し、経朔・弦・望少なきは即ち之を加へ、多きは即ち之を減ず。即ち定朔・弦・望入気と為す。其の気中積を以て之を加へ、即ち定朔・弦・望中積と為す。其の余は日法を以て退除し分秒と為す。
定朔弦望加時日度を求む
定朔・弦・望の約餘を置き、その入気日の損益率を乗じ、盈縮損益を以てす。一万を以て約し、以て其の下の盈縮積を損益し、乃ち盈は加へ縮は減じて定朔弦望中積とす。又冬至加時の日躔黄道宿度を以て之に加へ、宿次に依りて之を去り、即ち定朔・弦・望加時の日所在度及び分秒を得。又定朔・弦・望の約餘を置き、副へて之を置く。以て其の日の盈縮の損益率を乗じ、一万を以て約し、益すべき者は盈は加へ縮は減じ、損すべき者は盈は減じ縮は加へ其の副を、百に満てば分と為し、分百に満てば度と為し、以て其の日の夜半の日度に加へ、之を命ずれば、各其の日の加時の日躔黄道宿次を得。若し先づ暦に註して毎日の夜半の日度を定むれば、即ち妙なり。
定朔弦望加時月度を求む
凡そ合朔加時に日月同度なり、其の定朔加時黄道日度は、即ち定朔加時黄道月度と為す。弦・望は各弦・望度を以て定弦・望加時黄道日度に加へ、宿次に依りて之を去り、即ち定朔・弦・望加時黄道月度及び分秒を得。
夜半午中入転を求む
経朔入転を置き、経朔小餘を以て之を減じ、経朔夜半入転と為す。又経朔小餘と半法と相減じたる餘を以て、経朔加時入転に加減し、経朔少なきは半法の如く之を加へ、多きは半法の如く之を減じ、経朔午中入転と為す。若し定朔大餘に進退有らば、亦転入を加減し、然らずば経を因りて定と為す。毎月一日を累加し、終日及び餘秒に満てば前に如く去命し、各毎日の夜半・午中入転を得。夜半を求むるは、定朔夜半入転を因りて累加之。午中を求むるは、定朔午中入転を因りて累加之。加時入転を求むるは、加時入気の術の如し。
加時及び夜半月度を求む
其の日の入転算外転定分を置き、定朔・弦・望小餘を以て之を乗じ、日法を以て一と為し、加時転分と為す。分百に満てば度と為す。定朔・弦・望加時月度を減じ、夜半月度と為す。得たる所の転定分を以て累加之すれば、即ち毎日の夜半月度を得。或は朔より弦・望に至り、或は後朔に至るまで、皆累加之すべし。然れども近ければ則ち差少なく、遠ければ則ち差多し。求めるところの前後夜半相距月度を行度と為し置き、其の相距入転積度を計り、行度と相減じ、餘を相距日数を以て除して日差と為し、行度多きは日差を以て毎日の転定分に加へ、行度少なきは日差を以て毎日の転定分を減じ、然る後之を用ひて中るべし。或は速かに求めんと欲せば、此の数を用ひ、其の故を究めんと欲せば、宜しく後術を用ふべし。
晨昏月度を求む
其の日の晨分を置き、其の日の算外転定分を乗じ、日法を以て一と為し、晨転分と為す。用ひて定分を減じ、餘を昏転分と為す。又朔・弦・望定小餘を以て、転定分を乗じ、日法を以て一と為し、加時分と為す。以て晨・昏転分を減じ、前と為す。足らざれば、覆へて之を減じ、後と為す。乃ち前は加へ後は減じて加時月度に加へ、即ち晨昏月の所在宿度及び分秒。
朔弦望晨昏定程を求む
各其の朔昏定月を以て、上弦昏定月を減じ、餘を朔後昏定程と為す。上弦昏定月を以て、望昏定月を減じ、餘を上弦後昏定程と為す。望晨定月を以て、下弦晨定月を減じ、餘を望後晨定程と為す。下弦晨定月を以て、後朔晨定月を減じ、餘を下弦後晨定程と為す。
毎日転定度を求む
毎程の相距日下転積度を累計し、晨昏定程と相減じ、餘を相距日数を以て除し、日差と為し、定程多きは之を加へ、定程少なきは之を減ず。以て毎日の転定分を加減し、転定度と為す。朔・弦・望晨昏月を因り、毎日累加之し、宿次に満てば之を去り、毎日の晨昏月度及び分秒と為す。凡そ暦を注すには、朔日以後は昏月を注し、望後一日は晨月を注す。古暦に九道月度有り、其の数繁なれども、亦削り去り難し、其の術を具へて後に如し。
平交日辰を求む
交終日及び餘秒を置き、其の月の経朔加時入交泛日及び餘秒を以て之を減じ、平交其の月の経朔加時後日及び餘秒と為す。以て其の月の経朔大小餘に加へ、其の大餘を甲子に命じ算外とすれば、即ち平交日辰及び餘秒。次交を求むるは、交終日及び餘秒を以て之に加へ、大余紀法に満てば之を去り、前に如く命ずれば、即ち次平交日辰及び餘秒。
平交入転朓朒の定数を求む。
平交小余を置き、其の日の夜半入転余を加へ、以て其の日の損益率を乗じ、日法にて一と為し、得る所、以て其の下の朓朒積を損益し、定数と為す。
正交の日辰を求む。
平交小余を置き、平交入転朓朒定数を以て、朓は減じ朒は加へ、満ち與へ不足すれば、日辰を進退し、即ち正交の日辰及び余秒なり。定朔の日辰と相距すれば、即ち所在の月日なり。
経朔加時中積を求む。
各其の月の経朔に加へる気の日及び余を以て、其の気の中積余を加へ、其の日を度と命じ、其の余を日法にて退除して分秒と為し、即ち其の経朔加時中積度及び分秒なり。
正交加時黄道月度を求む。
平交入経朔加時後の算及び余秒を置き、日法にて日を通じ、余を内へ、二位を進め、三萬九千一百二十一分を以て度と為すに如く、満たざれば退除して分秒と為し、以て其の月の経朔加時中積に加へ、然る後に冬至加時黄道日度を以て加へて之を命ずれば、即ち其の其の月の正交加時月離黄道宿度及び分秒を得。若し次交を求めんとせば、交終度及び秒を以て加へて之を命ずれば、即ち求めんとする所を得。
黄道宿積度を求む。
正交時の黄道宿全度を置き、正交加時月離黄道宿度及び分秒を以て之を減じ、余を距後度及び分秒と為し、黄道宿度を累加すれば、即ち各正交後の黄道宿積度及び分秒を得。
黄道宿積度入初末限を求む。
黄道宿積度及び分秒を置き、交象度及び分秒を満てば之を去り、半交象以下に在れば、初限と為す。以上なる者は、以て交象度及び分秒を減じ、余を入末限と為す。入交積度交象度は並に交会術の中に在り。
月行九道宿度を求む。
凡そ月行の交はる所:冬は陰暦に入り、夏は陽暦に入れば、月は青道を行く。冬至夏至の後、青道半交は春分の宿に在り、黄道の東に当る。立冬立夏の後、青道半交は立春の宿に在り、黄道の東南に当る。至る所の沖の宿も亦之の如し。冬は陽暦に入り、夏は陰暦に入れば、月は白道を行く。冬至夏至の後、白道半交は秋分の宿に在り、黄道の西に当る。立冬立夏の後、白道半交は立秋の宿に在り、黄道の西北に当る。至る所の沖の宿も亦之の如し。春は陽暦に入り、秋は陰暦に入れば、月は硃道を行く。春分秋分の後、硃道半交は夏至の宿に在り、黄道の南に当る。立春立秋の後、硃道半交は立夏の宿に在り、黄道の西南に当る。至る所の沖の宿も亦之の如し。春は陰暦に入り、秋は陽暦に入れば、月は黒道を行く。春分秋分の後、黒道半交は冬至の宿に在り、黄道の北に当る。立春立秋の後、黒道半交は立冬の宿に在り、黄道の東北に当る。至る所の沖の宿も亦之の如し。四序離れて八節と為り、陰陽の交はる所に至れば、皆黄道と相会す、故に月行に九道有り。各以て入る所の初末限度及び分秒を以て、一百一度を減じ、余を以て入る所の初末限度及び分を乗じ、半にして退位して分と為し、分百に満てば度と為し、月道と黄道の泛差と命ず。凡そ日は赤道内を以て陰と為し、外を以て陽と為す。月は黄道内を以て陰と為し、外を以て陽と為す。故に月行正交、夏至後の宿度内に入れば同名と為し、冬至後の宿度内に入れば異名と為す。其の同名に在る者は、月行と黄道の泛差を置き、九因八約して、定差と為し、半交後、正交前は、差を以て減じ、正交後、半交前は、差を以て加ふ。此の加減は六度を出入し、正、黄赤道相交の同名の差の如く、若し之を較べて漸く異なれば、則ち交の在る所に随ひ、遷變相同ならず。仍以て正交度の秋分度數に距るを以て、定差を乗じ、象限に如くして一と為し、得る所を月道と赤道の定差と為す。前加は減と為し、減は加と為す。其の中異名に在る者は、月行と黄道の泛差を置き、七因八約して、定差と為す。半交後は、差を以て加へ、正交後、半交前は、差を以て減ず。此の加減は六度を出入し、異、黄道赤道相交の異名の差の如く、之を較べて漸く同なれば、則ち交に随ひて遷變常ならず。仍以て正交度の春分度數に距るを以て、定差を乗じ、象限に如くして一と為し、得る所を月道と赤道の定差と為す。前加は減と為し、減は加と為す。各黄道宿積度を加減して、九道宿積度と為す。以前宿の九道積度を以て之を減じ、其の宿の九道度及び分と為す。其の分は就きて近く約めて太半少と為す。春夏秋冬を論ずるに四時の日の在る所の宿度を以て正と為す。
正交加時月離九道宿度を求む。
正交の加時における黄道の日度及び分を以て、一百一度を減じ、余りを正交の度及び分に乗じ、半にして位を退けて分と為し、分百に満てば度と為し、月道と黄道の泛差と命ず。其の同名にある者は、月行と黄道の泛差を置く。九因八約して、定差と為し、以て加う。仍て正交の度の秋分の度数に距るを以て、定差に乗じ、象限の如くにして一と為し、得る所を月道と赤道の定差と為し、以て減ず。其の異名にある者は、月行と黄道の泛差を置き、七因八約して、定差と為し、以て減ず。仍て正交の度の春分の度数に距るを以て、定差に乗じ、象限の如くにして一と為し、得る所を月道と赤道の定差と為し、以て加う。正交の加時における黄道の月度及び分を置き、二差を以て加減すれば、即ち正交の加時における月離の九道の宿度及び分と為る。
定朔望の加時における月の所在の度を求む。
定朔の加時における日躔の黄道の宿次を置く。凡そ合朔の加時には、月行は潜かに日の下に在り、太陽と同度なり、是れ加時における月離の宿次なり。各おの弦・望の度及び分秒を以て、其の当る所の弦・望の加時における月躔の黄道の宿度に加え、宿次に満てば之を去き、前に命ずるが如く、各おの定朔・弦・望の加時における月の黄道の宿度及び分秒を得。
定朔弦望の加時における九道の月度を求む。
各おの朔・弦・望の加時における月離の黄道の宿度及び分秒を以て、前宿の正交後の黄道の積度に加え、定朔・弦・望の加時における正交後の黄道の積度と為す。前に九道の積度を求むるが如く、前宿の九道の積度を以て之を減じ、余りを定朔・弦・望の加時における九道の月離の宿度及び分秒と為す。其の合朔の加時、若し正交に非ざれば、則ち日は黄道に在り、月は九道に在り、入る所の宿度、多少同じからずと雖も、其の両極を考うるに、若し縄準に応ず。故に云う、月行は潜かに日の下に在り、太陽と同度なり、即ち加時における九道の月度と為る。其の晨昏夜半の月度を求むるは、並びに前術に依る。
交終分:一十四万二千三百一十九、秒九千三百六十八。
交終日:二十七日、余一千一百九分、秒九千三百六十八。
交中日:十三、余三千一百六十九、秒九千六百八十四。
交朔日:二、余一千六百六十五、秒六百三十二。
交望日:十四、余四千二、秒五千。
秒母:一万。
交終:三百六十三度、七十九分、三十六秒。
交中:一百八十一度、八十九分、六十八秒。
交象:九十度、九十四分、八十四秒。
半交象:四十五度、四十七分、四十二秒。
日蝕既前限:二千四百。定法:二百四十八。
日蝕既後限:三千一百。定法:三百二十。
月蝕限:五千一百。
月蝕既限:一千七百。定法:三百四十。
分秒母:一百。
朔望の入交を求む。
天正朔積分を置き、交終分を以て之を去き、盡きざるを、日法にて一たび為し、日と為し、満たざるを餘と為す。即ち天正十一月経朔加時入交泛日及び餘秒なり。交朔之を加へ、次朔を得。交望之を加へ、次望を得。再び交望を加へ、亦た次朔を得。各朔・望入交泛日及び餘秒と為す。
定朔毎日夜半入交を求む。
各入交泛日及び餘秒を置き、経朔・望小餘を減じ去れば、即ち定朔・望夜半入交泛日及び餘秒なり。若し定朔・望に進退有らば、亦た交日を進退し、然らざれば、経を因りて定と為す。大月は二日を加へ、小月は一日を加へ、餘は皆四千一百二十秒六百三十二を加ふ。即ち次朔夜半入交なり。累ねて一日を加へ、交終日及び餘秒に満てば之を去く。即ち毎日夜半入交泛日及び餘秒なり。
定朔望加時入交を求む。
経朔・望加時入交泛日及び餘秒を置き、入気入轉朓朒定数を以て、朓は減じ朒は加之、即ち定朔加時入交泛日及び餘秒なり。
定朔望加時入交積度及び陰陽曆を求む。
定朔・望加時入交泛日を置き、日法を以て之を通し、内餘、二位を進め、三萬九千一百二十一にて一たび為し度と為し、満たざる退き除き分秒と為す。即ち定朔・望加時月行入交積度なり。定朔・望加時入轉遲疾度を以て、遲は減じ疾は加之、即ち月行の入交定積度なり。交中度以下の如くは、陽曆積度に入る。以上は、之を去き、餘を陰曆積度に入ると為す。毎日夜半、此に准ひて之を求む。
月の黄道を去る度を求む。
月の入る陰陽暦の積度及び分を視るに、交象以下ならば少象と為し、以上ならば交中より減じ去り、余りを老象と為す。入る所の老少象の度を上に置き、交象の度を下に列べ、相減じ相乘じ、倍して位を退けて分と為し、百に満てば度と為し、以て入る所の老少象の度及び分を減じ、余り又交中の度と相減じ相乘じ、八因し、百一十を以て除して分と為し、分百に満てば度と為し、即ち月の黄道を去る度を得。
朔望の加時に交常日及び定日に入るを求む
朔望の交泛日に入るを、気に入る朓朒の定数に、朓は減じ朒は加へ、交常日に入ると為す。
又転に入る朓朒の定数を置き、一位を進め、百二十七を以て一と為し、得る所朓は減じ朒は加へ交常日に、交定日及び余秒に為す。
交に陰陽暦の前後分に入るを求む
交定日に入るを視るに、交中以下ならば陽暦と為し、以上ならば之を去り、陰暦と為す。一日上下の如きは、日法を以て日を通じて分と為す。交後分と為す。十三日上下は、交中を覆減し、交前分と為す。
日月蝕の其の定余を求む
朔・望の気に入る転に入る朓朒の定数を置き、同名は相従ひ、異名は相消し、千三百三十七を以て之を乗じ、定朔・望の加時に転に入る算外の転定分を以て之を除し、得る所を、朓は減じ朒は加へ経朔・望の小余に、泛余と為す。
日蝕:泛余を視るに半法以下の如きは、中前分と為し、半法以上は、半法を去り、中後分と為す。中前後分を置き、半法と相減じ相乘じ、之を倍し、万を以て約して分と為し、時差と曰ふ。中前は、時差を以て泛余を減じて定余と為し、半法を覆減し、余りを午前分と為す。中後は、時差を以て泛余に加へて定余と為し、半法を減じ去り、午後分と為す。
月食:泛余を視るに日入後・夜半前にあるは、日法の四分の三以下の如きは、半法を減じ去り、酉前分と為し、四分の三以上は、日法を覆減し、余りを酉後分と為す。又泛余を視るに夜半後・日出前にあるは、日法の四分の一以下の如きは、卯前分と為し、四分の一以上は、半法を覆減し、余りを卯後分と為す。其の卯酉前後分は、自ら相乘ず。四因し、位を退け、万を以て約して分と為し、以て泛余に加へ、定余と為す。各定余を置き、発斂加時の法を以て之を求め、即ち日月の蝕する所の辰刻を得。
日月食甚の日行積度を求む
定朔・望の食甚の大小余を置き、経朔・望の大小余と相減じたる余りを以て、経朔・望の気に入る日の小余に加減し、経朔・望の日少なきは加へ多きは減ず。即ち食甚の気に入ると為す。以て其の気の中積に加へ、食甚の中積と為す。又食甚の気に入る小余を置き、入る所の気の日の損益率盈縮の損益を以て之を乗じ、日法を以て一と為し、以て其の日の盈縮積を損益し、盈は加へ縮は減じ食甚の中積に、即ち食甚の日行積度及び分と為す。
気差を求む
日食甚の日行積度及び分を置き、中限に満てば之を去り、余り象限以下ならば初限と為し、以上ならば中限を覆減し、末限と為す。皆相乗じ、二位を進め、四百七十八を以て一と為す。得る所を、用ひて千七百四十四を減じ、余りを気差の恒数と為す。午前後分を以て之を乗じ、半昼分を以て之を除し、得る所を、以て恒数を減じて定数と為す。減に及ばざれば、之を覆減し、定数と為す。応に加ふべき者は之を減じ、減ずべき者は之を加ふ。春分後は、陽暦は減じ、陰暦は加ふ。秋分後は、陽暦は加へ、陰暦は減ず。春分前・秋分後各二日二千一百分を定気と為し、此に於て之を加減す。
刻差を求む
日食甚の日行積度及び分を置き、中限を満たして之を去り、余りと中限と相減じ相乘じ、二位を進め、四百七十八にて一除し、得る所を、刻差の恒数と為す。午前後分を以て之を乗じ、日法の四分之一を以て除し、得る所を定数と為す。若し恒数以上に在れば、恒数を倍し、得る所の数を以て之を減じ定数と為し、其の加減に依る。冬至後は、午前は陽加陰減し、午後は陽減陰加す。夏至後は、午前は陽減陰加し、午後は陽加陰減す。
日食の前後定分を去るを求む
気刻二差の定数、同名は相従い、異名は相消し、食差と為す。其の加減に依りて交前後分を去り、去交前後定分と為す。其の前後定分を視るに、若し陽曆に在れば、即ち食せず。若し陰曆に在れば、即ち食有り。若し交前陰曆にして減に及ばざれば、反って之を減じ、食差を反減す。交後陽曆と為す。交後陰曆にして減に及ばざれば、反って之を減じ、交前陽曆と為す。即ち食せず。交前陽曆にして減に及ばざれば、反って之を減じ、交後陰曆と為す。交後陽曆にして減に及ばざれば、反って之を減じ、交前陰曆と為す。即ち日食有り。
日食の分を求む
去交前後定分を視るに、二千四百以下ならば、既前分と為し、二百四十八を以て除して大分と為す。二千四百以上ならば、五千五百を覆減し、減に足らざる者は食せず。既後分と為し、三百二十を以て除して大分と為す。尽きざれば、退除して秒と為し、即ち日食の分秒を得。
月食の分を求む
去交前後分を視る、気刻差を用いざる者。一千七百以下なる者は、食既す。以上ならば、五千一百を覆減し、減に足らざる者は食せず。余りを三百四十を以て除して大分と為し、尽きざれば、退除して秒と為し、即ち月食の分秒なり。去交分既限以下に在れば、既限を覆減し、亦た三百四十を以て除し、既内の大分と為す。
日食の定用分を求む
日食の大分を置き、三十分と相減じ相乘じ、又た二千四百五十を以て之を乗じ、定朔入転算外の転定分にて一除し、得る所を、定用分と為す。定余を減じ、初虧分と為す。定余を加え、複圓分と為す。各々発斂加時法を以て之を求め、即ち日食の三限辰刻を得。
月食の定用分を求む
月食の大分を置き、三十分と相減じ相乘じ、又た二千一百を以て之を乗じ、定望入転算外の転定分にて一除し、得る所を、定用分と為す。定余を加減し、初虧・複圓分と為す。各々発斂加時法の如く之を求め、即ち月食の三限辰刻を得。
月食既の者は、既内大分を以て十五と相減じ相乘じ、又た四千二百を以て之を乗じ、定望入転算外の転定分にて一除し、得る所を、既内分と為す。用て定用分を減じ、既外分と為す。月食余を置き定用分を減じ、初虧と為す。因て既外分を加え、食既と為す。又た既内分を加え、食甚と為す。既に定余分なり。再び既内分を加え、生光と為す。複た既外分を加え、複圓と為す。各々発斂加時法を以て之を求め、既に月食の五限辰刻を得。
月食の入更点を求む
食甚の入る所の日の晨分を置き、之を倍し、五を以て約して更法と為す。又た五を以て更法を約し、点法と為す。乃ち月食の初末諸分を置き、昏分以上は昏分を減じ、晨分以下は晨分を加ふ。若し更法に満たざれば初更と為す。点法に満たざれば一点と為す。法に依り以て次第に之を求め、既に各々更点数を得。
日食の起こる所を求む
食が既(既食)の前にあれば、初めは西南に起こり、正南で最も甚だしく、東南で復する。食が既の後にあれば、初めは西北に起こり、正北で最も甚だしく、東北で復する。その食が八分以上のものは、皆正西に起こり、正東で復する。これは正午の地を基準として論じたものである。
月食の起こる方位を求める
月が陽暦(黄道の北)にあれば、初めは東北に起こり、正北で最も甚だしく、西北で復する。月が陰暦(黄道の南)にあれば、初めは東南に起こり、正南で最も甚だしく、西南で復する。その食が八分以上のものは、皆正東に起こり、正西で復する。これもまた午の地を基準として論じたものである。
日食・月食の出入時に帯食して見える分數を求める
それぞれ食甚の小餘を以て、日の出入分と相減じ、余りを帯食差と為し、之に所食の分を乗じ、定用分に満てば一と為す。月食で既のものは、既内分を以て帯食差を減じ、余りに所食分を乗じ、既外分の如くして一と為す。減じ及ばざるものは、帯食既出入と為す。之を以て所食分を減じ、即ち日月の出入時に帯食して見える分となる。その食甚が昼にあるものは、晨は漸進と為し、昏は已退と為す。食甚が夜にあるものは、晨は已退と為し、昏は漸進と為す。
日月食甚の宿次を求める
日月食甚の日行積度を置き、望の場合は更に半周天を加える。天正冬至加時の黄道日度を以て、加えて之に命じ、黄道宿次に依って去れば、即ち各々日月食甚の宿度及び分を得る。
木星
周率:二百八萬六千一百四十二、五十四秒。
曆率:二千二百六十五萬五百七。
曆度法:六萬二千一十四。
周日:三百九十八日、八十八分。
曆度:三百六十五度、二十四分、八十二秒。
曆中:一百八十二度、六十二分、四十一秒。
暦策:十五度、二十一分、八十七秒。
伏見:十三度。
以下の表は略す。
火星
周率:四百七万九千四十一、秒九十七。
暦率:三百五十九万二千七百五十八、秒三十二。
暦度法:九千八百三十六半。
周日:七百七十九日、九十三分、十六秒。
暦度:三百六十五度、二十四分、七十六秒。
暦中:百八十二度、六十二分、三十八秒。
暦策:十五度、二十一分、八十六秒。
伏見:十九度。
以下の表は略す。
土星
周率:百九十七万七千四百十二、秒四十六。
暦率:五千六百二十二万二千二百十九。
暦度法:十五万三千九百二十八。
周日:三百七十八日、九分、三秒。
暦度:三百六十五度、二十五分、六十六秒。
暦中:百八十二度、六十二分、八十三秒。
暦策:十五度、二十一分、九十秒。
伏見:十七度。
以下の表は略す。
金星
周率:三百五万三千八百四、秒二十三。
暦率:百九十万二百四十、秒十一。
暦度法:五千二百三十。
周日:五百八十三日、九十分、十四秒。
合日:二百九十一日、九十五分、七秒。
暦度:三百六十五度、二十四分、六十八秒。
暦中:百八十二度、六十二分、三十四秒。
暦策:十五度、二十一分、八十六秒。
伏見:十度半。
以下、表は略す。
水星
周率:六十万六千三十一、秒八十四。
暦率:百九十一万二百四十二、秒三十五。
暦度法:五千二百三十。
周日:百十五日、八十七分、六十秒。
合日:五十七日、九十三分、八十秒。
暦度:三百六十五度、二十四分、七十一秒。
暦中:百八十二度、六十二分、三十五秒半。
暦策:十五度、二十一分、八十六秒。
晨伏夕見:十四度。
夕伏晨見:十九度。
(以下、表は略す)
五星の天正冬至後の平合及び諸段の中積・中星を求む
通積分を置き、各々其の星の周率を以て之を去く。尽きざるは、前合分と為す。周率を覆減し、余は後合分と為す。日法にて一と為し、満たざれば退除して分秒と為し、即ち其の星の天正冬至後の平合中積・中星なり。日に命じて曰く中積。度に命じて曰く中星。段日を以て中積に累加すれば、即ち諸段の中積と為る。平度を以て中星に累加し、経退して之を減ずれば、即ち諸段の中星と為る。
五星の平合及び諸段の入暦を求む
前通積分を置き、各々其の星の後合分を加へ、暦率を以て之を去く。尽きざるは、各々其の星の暦度法を以て除して度と為し、満たざれば退いて分秒と為し、即ち其の星の平合入暦度及び分秒なり。諸段の限度を以て之に累加すれば、即ち諸段の入暦を得。
五星の平合及び諸段の盈縮差を求む
各々其の星其の段の入暦度及び分秒を置く。もし暦中以下に在れば、盈に在ると為す。以上なれば、暦中を減去し、余は縮に在ると為す。其の星の暦策を以て之を除して策数と為し、尽きざるは入策度及び分と為し、策数を算外に命ず。其の策数の下の損益率を以て之を乗じ、暦策にて一と為して分とし、以て其の下の盈縮積度を損益し、即ち其の星其の段の盈縮定差と為る。
五星の平合及び諸段の定積を求む
各々其の星其の段の中積を置き、其の盈縮定差を以て盈は之を加へ、縮は之を減ず。即ち其の段の定積日及び分なり。天正冬至の大余及び約分を以て加へ、満てば紀法六十を去き、尽きざるは即ち定日及び加時分秒なり。満たざれば甲子を算外に命じ、即ち日辰を得。
五星及び諸段の所在する日月を求む
各々其の段の定積日及び分を置き、天閏日及び分を以て加へ、満てば朔策及び約分を以て除して月数と為し、尽きざるは入月已来の日数及び分と為す。其の月数を天正十一月を算外に命じ、即ち其の段の入月経朔日数及び分を得。日辰を相距して以て所在の定朔月日と為す。
五星の平合及び諸段の加時定星を求む
各々中星を置き、盈縮定差を以て盈は之を加へ、縮は之を減ず。金星は之を倍し、水星は三因し、然る後に加減す。即ち五星諸段の定星と為る。天正冬至加時の黄道日度を以て加へ、宿に依りて之を命ずれば、即ち其の星其の段の加時に在る宿度及び分秒なり。
五星諸段の初日晨前夜半の定星を求む
各々其の段の初行率を以て、其の段の定積日下の加時分を乗じ、百を以て約し、乃ち順は減じ、退は加へて其の日の加時定星に及ぼせば、即ち其の段の初日晨前夜半の定星の在る宿度なり。
各段の日率と度率を求めるには、
各段の日辰から後段の日辰までの距離を日率とし、その段の夜半の宿次と後段の夜半の宿次とを相減じ、余りを夜率とする。
各段の平行分を求めるには、
各段の度率及び分秒を置き、その段の日率で除すれば、即ちその段の平行度及び分秒を得る。
各段の総差と日差を求めるには、
本段の前後の平行分を相減じ、余りをその段の泛差とする。仮に木星の次疾の差を求めるには、順疾と順遅の平行分を相減じ、余りを次疾の泛差とする。他の場合も皆これに倣う。これを倍じて位を退け、増減差とし、その段の平行分に加減して、初日及び末日の行分とする。前が多く後が少ない場合は、加えて初日とし、減じて末日とする。前が少なく後が多い場合は、減じて初日とし、加えて末日とする。増減差を倍じて総差とし、日率より一を減じた数で除して、日差とする。
前後の伏段・遅段・退段の増減差を求めるには、
前伏の場合は、後段の初日行分を置き、その日差の半分を加えて、末日行分とする。後伏の場合は、前段の末日行分を置き、その日差の半分を加えて、初日行分とする。これを伏段の平行分より減じ、余りを増減差とする。前遅の場合は、前段の末日行分を置き、その日差を倍じて減じ、初日行分とする。後遅の場合は、後段の初日行分を置き、その日差を倍じて減じ、末日行分とする。これを遅段の平行分より減じ、余りを増減差とする。これは前後の留に近い遅段についてである。
木星・火星・土星の退行する場合は、平行分を六倍し、位を一つ退けて、増減差とする。
金星の前後の伏段・退段については、平行分を三倍し、半分にして位を退け、増減差とする。前退の場合は、後段の初日行分を置き、その日差を減じて、末日行分とする。後退の場合は、前段の末日行分を置き、その日差を減じて、初日行分とする。これを本段の平行分より減じ、余りを増減差とする。
水星の場合は、平行分の半分を増減差とする。皆、増減差を以て平行分に加減し、初日及び末日の行分とする。前が多く後が少ない場合は、初日に加え末日に減ずる。前が少なく後が多い場合は、初日に減じ末日に加える。また、増減差を倍じて総差とし、日率より一を減じた数で除して、日差とする。
毎日、晨前夜半における星の運行する宿次を求めるには、
各段の初日行分を置き、日差を以て累次損益する(後が少なければ損じ、後が多ければ益する)。これが毎日の行度及び分秒である。これを順に加え、退く場合は減じ、宿次に満てばこれを去り、即ち毎日晨前夜半の星の運行する宿次を得る。前段の末日と後段の初日の行分を比較した数の差が、一二日差を超えないのが良い。或いは日差の数倍に及んだり、或いは前後が倒錯して道理に合わない場合は、前後の増減差を類推して少し損益し、道理に合うようにしてから用いる。或いは前後の平行分が共に多く或いは共に少ない場合は、平らに注記する。或いは総差の秒が一分に満たない場合も、平らに注記する。もし道理に合わないが、平らに注記すれば道理に合う場合も、平らに注記する。
五星の平合及び見・伏の入気を求めるには、
定積を置き、気策及び約分で除し、気数とし、余りを入気の日及び分秒とする。天正冬至を起算点として外に数え、即ち求める平合及び伏・見の入気の日及び分秒を得る。
五星の平合及び見伏行差を求む
各々其の段初日の星行分と其の太陽行分とを相減じ、余りを行差と為す。若し金星退行に在り、水星退合に在るは、相並べて行差と為す。水星夕伏晨見の如きは、直ちに太陽行分を行差と為す。
五星の定合見伏泛積を求む
木・火・土の三星は、各々平合晨疾夕伏定積を以て、便ち定合定見定伏泛積と為す。金・水の二星は、其の段の盈縮差を置き、水星は之を倍す。各々行差を以て之を除き、日と為し、満たざれば退除して分秒と為す。若し平合夕見晨伏に在るは、盈は減じ縮は加ふ。退合夕伏晨見に在るが如きは、盈は加へ縮は減ず。皆以て定積を加減し、定合定見定伏泛積と為す。
五星の定合定積定星を求む
木・火・土の三星は、各々平合行差を以て其の日の太陽盈縮差を除き、距合差日と為す。太陽盈縮差を以て之を減じ、距合差度と為す。日盈暦に在れば、差日差度を以て之を減ず。縮に在れば、之を加ふ。其の星の定合泛積を加減し、定合定積定星と為す。
金星・水星の順合退合は、各々平合退合行差を以て其の日の太陽盈縮差を除き、距合差日と為す。順は加へ退は減じて太陽盈縮差を、距合差度と為す。順は盈暦に在れば、差日差度を以て之を加ふ。縮に在れば、之を減ず。退は盈暦に在れば、差日を以て之を減じ、差度を以て之を加ふ。縮に在れば、差日を以て之を加へ、差度を以て之を減ず。皆以て其の星の定合及び再定合泛積を加減し、定合再定合定積定星と為す。冬至大余及び約分を以て、定積に加へ、満てば紀法を去り、命じて、即ち定合日辰を得。冬至加時黄道日度を以て、定星に加へ、満てば宿次を去り、即ち定合の所在する宿次を得。其の順退の盈縮に在るは、太陽の盈縮なり。
木・水・土の三星の定見伏定積日を求む
各々其の星の定見伏泛積を置き、晨は加へ夕は減じて象限日及び分秒、中限の半ばを象限と為す。中限以下に在れば、自ら相乘じ、以上に在れば、覆減して歳周日及び分秒と為し、余り亦自ら相乘じ、七十五に満てば一と為し、所得、其の星の伏見度を以て之を乗じ、十五を以て之を除き、差と為す。其の差其の段の行差の如くにして一と為し、日と為し、満たざれば退除して分秒と為す。見は加へ伏は減じて泛積を定積と為す。前に加命するが如く、即ち日辰を得。
金・水の二星の定見伏定積日を求む
各々伏見日行差を以て、其の日の太陽盈縮差を除き、日と為す。若し晨伏夕見は、日盈暦に在れば、之を加へ、縮に在れば、之を減ず。夕伏晨見の如きは、日盈暦に在れば、之を減じ、縮に在れば、之を加ふ。其の星の泛積を加減して常積と為す。常積を視るに、中限以下に在れば、冬至後と為し、以上に在れば、之を去り、余りを夏至後と為す。其二至後、象限以下に在れば、自ら相乘じ、以上に在れば、覆減して中限と為し、亦自ら相乘じ、各々法の如くにして一と為し、分と為す。冬至後晨、夏至後夕は、一十八を以て法と為す。冬至後夕、夏至後晨は、七十五を以て法と為す。伏見度を以て之を乗じ、十五を以て之を除き、差と為す。差行差に満てば一と為し、日と為し、満たざれば退除して分秒と為す。常積を加減して定積と為す。冬至後晨見夕伏は、之を加ふ。夕見晨伏は、之を減ず。夏至後晨見夕伏は、之を減じ。夕見晨伏は、之を加ふなり。前に加命するが如く、即ち定見伏日辰を得。
其の水星、夕疾は、大暑気初日より立冬気九日三十五分以下に在るは、見えず。晨留は、大寒気初日より立夏気九日三十五分以下に在るは、春は晨見せず、秋は夕見せざる者、亦旧より之あり。
渾象
古より天を言ふ者三家有り。一に曰く蓋天、二に曰く宣夜、三に曰く渾天。漢の霊帝の時、蔡邕朔方に於いて上書し、言ふ「宣夜の学、絶えて師法無し」。《周髀》の術数具はり存すれども、天状を考験すれば、多く違失有り。惟だ渾天のみ近く、最も其の情を得、近世太史候台の銅儀是なり。八心を立て体は円にして天地の形を具へ、以て黄道赤道の表裏を正し、以て日月の度数を行ひ、五緯の遅速を歩み、気候の推遷を察す。精微深妙、百代の廃すべからざる者なり。然れども伝暦久遠、製造する者衆く、測候占察、互いに得失有り。張衡の制、之を《霊憲》と謂ふ。史其の伝を失ふ。魏・晋以来、官其の器有れども、本書無く、故に前志亦闕く。呉の中常侍王蕃云ふ「渾天儀は、羲和の旧器、之を機衡と謂ふ」。積代相伝へ、沿革一ならず。宋の太平興国中、蜀人張思訓始めて其の式を創め、之を禁中に造り、年を踰えて成る。詔して文明殿東鼓楼下に置き、「太平渾儀」と曰ふ。思訓死してより、璣衡断壊し、復た其の法制を知る者無し。景德中、暦官韓顕符劉曜の時、孔挺・晁崇の法に依倣す。簡略に失す。景祐中、冬官正舒易簡乃ち唐の梁令瓚・僧一行の法を用ひ、頗る詳備なりと雖も、亦密に失して用ひ難し。元祐の時、尚書右丞蘇頌と昭文館校理沈括勅を奉じて《渾儀法要》を詳定し、遂に吏部勾当官韓公廉の《九章勾股法》に通ずるを挙げて奏す。常に天度を推考するに張衡・王蕃・僧一行・梁令瓚・張思訓の法式と、大綱尋究すべし。若し算術に拠り象器を考案せば、亦能く成就すべし。請ふ局を置き官を差して製造せしむ。詔して言ふが如し。鄭州原武主簿王沇之、太史局官周日厳・于太古・張仲宣を奏し、同行監造す。制度既に成り、詔して之を集英殿に置く。総べて之を渾天儀と謂ふ。公廉儀を造る時に交へ、先づ《九章勾股験測渾天書》一卷を撰し、之を禁中に貯ふ。今其の伝を失ふ、故に世に知る者無し。
旧制の渾儀は、天を規し地を矩とし、機巧は内に隠れ、上に経躔を布き、次に日月五星の行度を具え、以てその寒暑進退を察するもの、張衡の渾天、開元の水運銅渾儀の如きがこれである。久しくして合わず、施用に乖く。公廉の制は則ち輪を三重と為す。一に曰く六合儀、縦に地渾の中に置き、即ち天経環なり、地渾と相結び、その体は動かず。二に曰く三辰儀、六合儀内に置く。三に曰く四遊儀、三辰儀内に置く。四龍柱を地渾の下に植え、又鰲雲を六合儀下に置く。四龍柱の下に十字水趺を設け、溝道を鑿ちて水を通じ以て高下を平らかにす。別に天常単環を六合儀内に設け、又黄道赤道の二単環を設け、皆三辰儀内に置き、東西相交わり、天運に随って転じ、以て列舎の行を験す。又四象環を為し、三辰儀に附し、天運環と相結び、黄赤道の両交を直距と為し二つを縦に四遊儀内に置く。北は六合儀地渾の上に属し、以て北極出地の度を正す。南は六合儀地渾の下に属し、以て南極入地の度を正す。これ儀の大形に属す。直距内に軒望筒一を夾み、筒の半ばに関軸を設け、直距上に附し、運転低昂せしめ、筒常に日を指し、日体常に筒竅の中に在り、天西行して一周すれば、日東に一度移り、仍って四方星度を窺測し、皆李淳風、孔挺、韓顕符、舒易簡の制を斟酌す。三辰儀上に天運環を設け、水を以てこれを運す。水運の法は漢の張衡に始まり、唐の梁令瓚及び僧一行に成り、太平興国中に張思訓に復し、公廉今又その制を変正し、天運環を設け、下に天柱関軸の類を以て上に渾儀を動かす、これ新制なり。
旧制の渾象は、張衡の所謂密室中に置くもの、七曜の運を推歩し、以て暦象昏明の候を度し、二十四気を校し、昼夜刻漏を考うるに、渾象に出でず。《隋志》に梁の秘府中に宋の元嘉中に造れるもの有りと称し、木を以てこれを為し、その円きこと丸の如く、体に遍く二十八宿、三家星色、黄赤道、天河等を布き、別に横規を為して外に繞り、上下これを半ばし、以て地を象る。開元中、詔して僧一行と梁令瓚に銅渾象を更に造らしめ、円天の象を為し、上に列宿周天の度数を具え、水を注ぎて輪を激し、その自転を令し、一日一夜天転一周し、又別に日月五星を置きて循繞せしめ、天外に絡み、運行を得しむ。毎に天西転一匝すれば、日正に東行一度し、月行すること一十三度奇有り、凡そ二十九転にして日月会し、三百六十五転にして日行一匝す。仍って木櫃を置き以て地平と為し、象を半ば地上に在らしめ、半ば地下に在らしめ、又二木偶人を地平の前に立て、鐘鼓を置きて木人をして自然に撞撃せしめ以て辰刻を報ぜしめ、これを命じて《水運渾天俯視図》と曰う。既に成り、命じてこれを武成殿に置く。
宋の太史局旧に渾象無く、太平興国中、張思訓開元の法に准じ、而して上に蓋を以て紫宮と為し、旁に周天度と為し、而して東西これを転ず、新意を出すなり。
公廉は乃ち《隋志》の制を増損し、上に二十八宿周天の度数及び紫微垣中外官の星を列ね、以て七政の運転を俯窺し、六合儀天経地渾の内に納め、同じく木櫃を以てこれを載す。その中に枢軸を貫き、南北渾象外に出で、南長く北短く、地渾は木櫃面に在り、横にこれを置き、以て地を象る。天経は地渾と相結び、縦にこれを置き、半ば地上に在り、半ば地下に隠れ、以て天を象る。その枢軸北は天経上杠の中を貫き、末は杠と平らかに、櫃外に出でて三十五度稍弱く、以て北極出地を象る。南も亦天経を貫き下杠外に出で、櫃内に入りて三十五度少弱く、以て南極入地を象る。赤道に就きて牙距と為し、四百七十八牙を以て天輪を銜み、機輪地轂に随い正しく東西運転し、昏明中星既にその度に応じ、分至節気も亦験応して差ず。
王蕃雲う、「渾象の法は、地当に天内に在るべし、その勢便ならず、故にその形を反観し、地を外郭と為す、已に解する者に異ならず、詭状殊体にして理に合す、奇巧と謂うべし」と。今地渾説は渾象外に在り、蓋し王蕃の制に出づ。その下は則ち思訓の旧制、枢輪関軸有り、水を激して運動し、以て直神に鈴を揺らし鐘を扣き鼓を撃たしめ、時刻十二神司辰の像を輪上に置き、時初、時正至れば、則ち牌を執りて回圈して出で、刻数に随って報じ以て昼夜の長短を定む。冬に至り水凝れば、運転遅澀なれば、則ち水銀を以てこれに代う。
金既に汴を取るや、皆燕に輦致す。天輪赤道牙距撥輪懸象鐘鼓司辰刻報天池水壺等の器久しく皆棄毀せられ、惟だ銅渾儀は太史局候台にこれを置く。但だ汴より燕に至るまで相去ること一千余里、地勢高下同じからず、望筒中に極星を取るに稍々差し、四度を下げ移して始めてこれを窺うことを得たり。明昌六年秋八月、風雨大いに作し、雷電震撃し、龍渾儀鰲雲水趺の下に起こり、台忽ち中裂して摧け、渾儀台下に僕落す。旋ち有司に命じて営葺せしめ、復た台上に置く。貞祐南渡、渾儀を以て物を熔鑄し、毀拆するを忍びず、若し全体を以て運べば則ち輦載に艱し、遂に委して去る。
興定年間、司天臺の官が、台中に渾儀を置かず、また測候の人数が不足していることを朝廷に言上し、儀象を鋳造し、生員を多く補充すべきであるとし、これによって占考の実を尽くすことができると述べた。宣宗は礼部尚書楊雲翼を召してこれを問うた。雲翼は答えて言うには、「国家は元来銅の禁令が甚だ厳しく、公私の所有を尽くしても、恐らく用に足りないでしょう。今、調度がまさに殷盛で、財用が足りず、実に行うべきではありません」と。他日、上(宣宗)がまたこのことを言うと、ここに測候の人数を数員増やすにとどまり、儀を鋳造する議は遂に廃れた。
初め、張行簡が礼部尚書・提点司天監であった時、嘗て蓮花漏・星丸漏の二つの漏刻を造って進上した。章宗は命じて蓮花漏を二つ禁中に置き、星丸漏は車駕が巡幸する際に用いた。貞祐の南渡に際し、二つの漏刻は皆汴京に遷されたが、汴京が滅亡すると廃毀され、その制を稽えることはできなくなった。