道宗 六
四年春正月壬子、魚児濼に至る。己巳、阻卜らの貧民を山前に徙す。辛未、宋使いを遣わして錦綺を饋る。三月庚午、春州に幸す。丙子、有司黄河清まるを奏す。夏四月辛丑、雨のため猟を罷む。五月癸酉、那也北辺の捷を奏す。甲戌、撒裏乃に駐蹕す。六月戊寅朔、夏国宋に攻められ、使いを遣わして救援を求む。丁亥、遼興軍節度使涅裏を以て惕隱と為し、前惕隱事を知る耶律郭三を以て南京統軍使と為す。甲午、参知政事牛温舒兼ねて中京留守事を知る。秋七月戊午、黒嶺に至る。冬十月乙亥朔、藕絲淀に駐蹕す。己卯、南府宰相斡特剌兼ねて契丹行宮都部署と為し、以て燕国王延禧を傅導せしむ。十一月乙巳朔、右夷離畢事を知る蕭薬師奴・枢密直学士耶律儼をして宋に使いせしめ、夏と和するを諷せしむ。辛酉、夏復た使いを遣わして救援を求む。十二月壬辰、燕国王延禧の為に再生礼を行い、三百里内の囚を曲赦す。
五年の春正月乙巳、魚兒濼に至る。己酉、詔して夏國王李乾順に抜思母等の部を討伐せしむ。夏五月壬戌、薬師奴等宋に使いして回り、宋の兵を罷むるを奏す。癸亥、乾陵に謁す。戊辰、南府宰相斡特剌を以て西北路招討使、禁軍都統を兼ねしむ。己巳、沿柳湖に駐蹕す。六月甲申、奚六部大王回離保を以て契丹行宮都部署と為し、右夷離畢事を知る蕭薬師奴を南面林牙と為し、契丹行宮都部署事を知るを兼ねしむ。乙未、五國部の長来朝す。戊戌、阻卜来貢す。己亥、興聖宮使耶律郝家奴を以て右夷離畢と為す。秋七月壬寅朔、惕徳の長禿的等来貢す。辛亥、大牢古山に至る。閏九月丙子、獨盧金に駐蹕す。冬十月己亥朔、高麗王颙使いを遣わし封冊を乞う。丁巳、斡特剌、耶睹刮を討ちて捷すと奏す。丙寅、同知南京留守事蕭得裏底を以て北院樞密使事を知らしむ。丁卯、宋、郭知章・曹平を遣わして来聘す。戌辰、遼州の饑を振恤し、仍て租賦を一年免ず。十一月甲戌、南・北二糺を振恤す。乙酉、夏國、宋の兵を罷むるを以て、使いを遣わして来謝す。十二月甲子、参知政事趙孝厳を以て漢人行宮都部署と為し、漢人行宮都部署梁援を遼興軍節度使と為す。
六年の春正月癸酉、南院大王耶律吾也薨ず。壬午、太師致仕禿開を起して奚六部大王と為す。丁亥、春水に至る。辛卯、斡特剌、磨古斯を執えて来献す。丙申、詔して民の疾苦を問う。二月丁未、烏古部節度使陳家奴を以て南院大王と為す。己酉、磨古斯を市に磔く。癸丑、絹を出して五院の貧民に賜う。辛酉、宋使いを遣わし宋主煦の殂するを告げ、弟佶嗣位すとす、即日に使いを遣わし吊祭す。三月甲申、朔州山林の禁を弛む。夏四月丁酉朔、日食有り。癸卯、炭山に至る。五月壬午、烏古部、茶紥剌を討ちて之を破る。乙酉、漢人行宮都部署趙孝厳薨ず。丙戌、納葛濼に駐蹕す。辛卯、宋使いを遣わし先帝の遺物を饋る。乙未、東京留守何魯掃古を以て惕隱と為し、南院宣徽使蕭常哥を漢人行宮都部署と為す。六月庚子、使いを遣わし宋主を賀す。辛丑、有司の案牘に宋帝の「嗣位」を「登寶位」と書するを以て、詔して宰相鄭顓以下の官を奪い、顓を出して興中府事を知らしめ、韓資譲を崇義軍節度使と為し、御史中丞韓君義を広順軍節度使と為す。癸丑、阻卜の長来貢す。戊午、使いを遣わし五京の滞獄を決す。己未、遼興軍節度使梁援を以て樞密副使と為す。秋七月庚午、沙嶺に至る。壬申、耶睹刮諸部西北路を寇す。八月、斡特剌兵を以て之を撃ち破り、使いを遣わして捷を献ず。九月癸未、祠を木葉山に望み祭る。戊子、藕絲淀に駐蹕す。冬十月壬寅、樞密副使王師儒を以て國史を監修せしむ。癸卯、五國諸部の長来貢す。甲寅、平州の饑を以て、其の租賦を一年復す。十一月壬申、天徳軍の民田世栄三世同居するを以て、詔して之に官し、一子を三班院祗候せしむ。丙子、詔して醫巫閭山の僧誌達に壇を内殿に設けしむ。戊子、夏國王李乾順使いを遣わし公主を尚うことを請う。十二月乙未、女直使いを遣わして来貢す。己亥、右夷離畢事を知る郝家奴を以て北面林牙と為す。辛亥、詔して燕國王延禧に大將軍以下の官を擬註せしむ。庚申、鐵驪来貢す。宋使いを遣わして来謝す。帝豫せず。是歳、高麗王颙の長子俁を封じて三韓國公と為す。進士康秉儉等八十七人を放つ。
七年の春正月壬戌朔、力を疾みて清風殿に御し、百官及び諸國の使をして賀せしむ。是夜、白気練の如く、天より降る。黒雲西北より起こり、疾く飛びて声有り。北に青赤黑白の気有り、相雑りて落つ。癸亥、混同江に至る。甲戌、上行宮に崩ず、年七十。遺詔して燕國王延禧に嗣位せしむ。六月庚子、尊謚して仁聖大孝文皇帝と曰い、廟號を道宗とす。
贊
贊に曰く、道宗初め即位し、直言を求め、治道を訪れ、農を勧め学を興し、災を救い患を恤ひ、粲然として観るべし。及び夫れ謗訕の令既に行はれ、告訐の賞日を重くすに及びては、群邪並び興り、讒巧競ひ進む。賊骨肉に及び、皇基浸く危うし。衆正淪胥し、諸部反側し、甲兵の用、寧歳無し。一歳にして僧に飯すこと三十六萬、一日にして祝髮すること三千。徒に小恵に勤め、大本を蔑ろに計る、尚ほ治を論ずるに足らんや。