遼史

本紀第十二: 聖宗三

本紀第十二: 聖宗三

聖宗 三

原文聖宗 三

五年春正月乙丑、束城県を破り、兵を放って大いに掠奪す。丁卯、文安に駐屯し、人を遣わして降伏を諭すも、聴かず、遂にこれを撃ち破り、その丁壮を尽く殺し、その老幼を俘虜とす。戊寅、上は南京に還る。己卯、元和殿に臨み、将士を大いに賞賜す。壬辰、華林・天柱に行幸ぎょうこうす。

原文五年春正月乙丑,破束城縣,縱兵大掠。丁卯,次文安,遣人諭降,不聽,遂擊破之,盡殺其丁壯,俘其老幼。戊寅,上還南京。己卯,禦元和殿,大賚將士。壬辰,如華林、天柱。

二月甲午朔、天柱より至る。

原文二月甲午朔,至自天柱。

三月癸亥朔、長春宮に行幸し、花を賞で魚を釣り、牡丹を以て近臣に遍く賜い、数日にわたり歓宴す。丁丑、諦居部の下の拽剌解裏が偵候に功有りしを以て、命じて御盞郎君班祗候に入らしむ。

原文三月癸亥朔,幸長春宮,賞花釣魚,以牡丹遍賜近臣,歡宴累日。丁丑,以諦居部下拽剌解裏偵候有功,命入禦盞郎君班祗候。

夏四月癸巳朔、南京に行幸す。丁酉、上は百僚を率いて皇太后の尊号を冊上し、睿徳神略応運啓化承天皇太后と曰う。礼畢、群臣皇帝の尊号を上り、至徳広孝昭聖天輔皇帝と曰う。戊戌、有司に詔して勲旧を条上せしめ、等第を以て恩を加う。癸丑、冰井にて清暑す。

原文夏四月癸巳朔,幸南京。丁酉,上率百僚冊上皇太后尊號曰睿德神略應運啟化承天皇太后;禮畢,群臣上皇帝尊號曰至德廣孝昭聖天輔皇帝。戊戌,詔有司條上勛舊,等第加恩。癸丑,清暑冰井。

六月壬辰朔、大臣を召して庶政を決す。丙申、耶律ヤリツ蘇を以て遥郡刺史と為す。

原文六月壬辰朔,召大臣決庶政。丙申,以耶律蘇為遙郡刺史。

秋七月戊辰、涅剌部節度使撒葛裏に恵政有り、民留まることを請う、これに従う。是の月、平地松林に猟す。

原文秋七月戊辰,涅剌部節度使撒葛裏有惠政,民請留,從之。是月,獵平地松林。

九月丙戌、南京に行幸す。是の冬、ここに止まる。

原文九月丙戌,幸南京。是冬止焉。

六年春正月庚申、華林・天柱に行幸す。

原文六年春正月庚申,如華林、天柱。

二月丁未、奚王籌寧が無罪の人李浩を殺す。所司貴を議し、その罪を貸し、令して銭を出だし浩の家を贍わしむることを請う、これに従う。甲寅、大同軍節度使・同平章政事劉京致仕す。

原文二月丁未,奚王籌寧殺無罪人李浩,所司議貴,請貸其罪,令出錢贍浩家,從之。甲寅,大同軍節度使、同平章政事劉京致仕。

三月己未、休哥宋事の宜を奏す、上親しくこれを覧る。丙寅、司天趙宗徳・斉泰・王守平・邵祺・閻梅が征に従うこと四載、天象数に征有りと言うを以て、物を賜うこと差有り。癸未、李継遷使いを遣わして来貢す。

原文三月己未,休哥奏宋事宜,上親覽之。丙寅,以司天趙宗德、齊泰、王守平、邵祺、閻梅從征四載,言天象數有征,賜物有差。癸未,李繼遷遣使來貢。

夏四月乙未、南京に行幸す。丁酉、胡裏室が横に突きて韓徳譲を墮馬せしむ、皇太后怒り、これを殺す。戊戌、宋国王休哥の第に行幸す。

原文夏四月乙未,幸南京。丁酉,胡裏室橫突韓德讓墮馬,皇太后怒,殺之。戊戌,幸宋國王休哥第。

五月癸亥、南府宰相耶律沙薨こうず。閏月丙戌朔、奉聖州言う、太祖の建てし金鈴閣壊る、修繕を加うることを乞う。詔して南征を以て、重ねて百姓を労するを恐れ、軍還るを待ちてこれを治む。壬寅、阿薩蘭回鶻ウイグル来貢す。甲寅、烏隈於厥部、歳貢の貂鼠・青鼠皮は土産に非ず、皆他処にて貿易を以て献ずるを以て、改めて貢することを乞う。詔して自今より牛馬を進むるに止む。

原文五月癸亥,南府宰相耶律沙薨。閏月丙戌朔,奉聖州言太祖所建金鈴閣壞,乞加修繕。詔以南征,恐重勞百姓,待軍還治之。壬寅,阿薩蘭回鶻來貢。甲寅,烏隈於厥部以歲貢貂鼠、青鼠皮非土產,皆於他處貿易以獻,乞改貢。詔自今止進牛馬。

六月癸亥、党項トウコウの太保阿剌恍が来朝し、地方の産物を貢いだ。乙丑、諸道の兵馬に南征の攻城器具を準備するよう命じた。乙酉、夷離堇イリキン阿魯勃が沙州節度使曹恭順を送還し、於越に任じた。

原文六月癸亥,党項太保阿剌恍來朝,貢方物。乙丑,諭諸道兵馬備南征攻城器具。乙酉,夷離堇阿魯勃送沙州節度使曹恭順還,授於越。

秋七月丙戌、市を観覧した。己亥、南面招討使韓德威を遣わして河・湟の諸蕃で命令に背いた者を討たせた。休哥と排亜部の諸軍に戦馬を賜った。己酉、洛河に駐蹕した。壬子、韓德威に開府儀同三司兼政事令・門下平章事を加え、東京留守兼侍中・漆水郡王耶律抹只を大同軍節度使とした。癸丑、排亜が涿州の駅伝を増設するよう請うた。

原文秋七月丙戌,觀市。己亥,遣南面招討使韓德威討河、湟諸蕃違命者。賜休哥、排亞部諸軍戰馬。己酉,駐蹕於洛河。壬子,加韓德威開府儀同三司兼政事令、門下平章事,東京留守兼侍中、漆水郡王耶律抹只為大同軍節度使。癸丑,排亞請增置涿州驛傳。

八月丙辰、青牛と白馬をもって天地を祭祀した。戊午、休哥が排亜・裊裏曷と捕虜を捕らえ、易州に至らんとしたところ、宋兵に遭遇し、その指揮使を殺して帰還した。庚申、黎園の温湯に行幸した。癸亥、宋を伐つにあたり、使者を遣わして木葉山を祭祀した。丁丑、沿海の女直ジョチョクが使者速魯裏を遣わして来朝した。西北路管押詳穩速撒哥が折立・助裏の二部を討伐し、捕虜と獲物を献上した。東路林牙蕭ショウ勤徳及び統軍石老が女直兵を撃破し、捕虜を献上した。大同軍節度使耶律抹只が今年霜と旱魃で食糧が不足したと奏上し、粟を割り増し価格で買い上げて貧民を利するよう請うた。詔してこれに従わせた。沿海の女直が廝魯裏を遣わして土産を貢いだ。

原文八月丙辰,以青牛白馬祭天地。戊午,休哥與排亞、裊裏曷捉生,將至易州,遇宋兵,殺其指揮使而還。庚申,幸黎園溫湯。癸亥,以將伐宋,遣使祭木葉山。丁丑,瀕海女直遣使速魯裏來朝。西北路管押詳穩速撒哥以伐折立、助裏二部,上所俘獲。東路林牙蕭勤德及統軍石老以擊敗女直兵,獻俘。大同軍節度使耶律抹只奏今歲霜旱乏食,乞增價折粟,以利貧民。詔從之。濱海女直遣廝魯裏來修土貢。

九月丙申、化哥と朮不姑舂古裏が来貢した。休哥が詳穩意徳裏を遣わして捕らえた宋の間諜を献上させた。丁酉、皇太后が韓徳譲の帳に行幸し、厚く賞賜を与え、従臣に命じて分かれて双陸を打ち、歓を尽くさせた。戊戌、南京に行幸した。己亥、太宗皇帝廟で祭祀を行った。唐元徳を奉陵軍節度使とした。癸卯、旗鼓を祭祀して南伐した。庚戌、涿州に駐留し、帛書を射て城中に降伏を諭したが、聞き入れなかった。

原文九月丙申,化哥與朮不姑舂古裏來貢。休哥遣詳穩意德裏獻所獲宋諜者。丁酉,皇太后幸韓德讓帳,厚加賞賚,命從臣分朋雙陸以盡歡。戊戌,幸南京。己亥,有事於太宗皇帝廟。以唐元德為奉陵軍節度使。癸卯,祭旗鼓南伐。庚戌,次涿州,射帛書諭城中降,不聽。

冬十月乙卯、兵を四方に放って攻撃した。城が破れて降伏し、その衆を撫諭した。駙馬蕭勤徳と太師闥覧はいずれも流れ矢に当たった。勤徳を帝の車に乗せて帰還した。宋軍が退いたと聞き、斜軫・排亜らを遣わして追撃させ、大いにこれを破った。戊午、沙堆駅を攻撃し、これを破った。己巳、黒白の羊をもって天地を祭祀した。庚午、宋の降伏軍を分けて七指揮とし、帰聖軍と号した。壬申、行軍参謀・宣政殿学士馬得臣が宋降伏軍を諭したが、結局用いることができない恐れがあるとして、ともに放還するよう請うた。詔して許さなかった。丙子、籌寧が狼山での勝利を奏上した。辛巳、さらに益津関で宋兵を破ったと奏上した。癸未、長城口に進軍した。宋の定州守将李興が兵を率いて来て抵抗したが、休哥がこれを撃破し、五六里追撃した。

原文冬十月乙卯,縱兵四面攻之。城破乃降,因撫諭其眾。駙馬蕭勤德、太師闥覽皆中流矢。勤德載帝車中以歸。聞宋軍退,遣斜軫、排亞等追擊,大敗之。戊午,攻沙堆驛,破之。己巳,以黑白羊祭天地。庚午,以宋降軍分置七指揮,號歸聖軍。壬申,行軍參謀、宣政殿學士馬得臣言諭降宋軍,恐終不為用,請並放還。詔不允。丙子,籌寧奏破狼山捷。辛巳,復奏敗宋兵於益津關。癸未,進軍長城口,宋定州守將李興以兵來拒,休哥擊敗之,追奔五六里。

十一月甲申朔、上は長城口を攻撃しようとして、諸軍に攻撃具を準備するよう詔した。庚寅、長城口に駐留し、大軍を督いて四方から進攻させた。兵士は包囲を突破し、城を捨てて逃げた。斜軫がこれを招いたが、降伏しなかった。上は韓徳譲とともにこれを邀撃し、殺し捕らえることほぼ尽くし、捕虜は分かれて燕軍に隷属させた。辛卯、満城を攻撃し、包囲した。甲午、その城を陥落させた。軍士は北門を開いて逃げたが、上は使者を遣わしてその将領を諭し、ついに衆を率いて降伏した。戊戌、祁州を攻め落とし、兵を放って大いに掠奪させた。己亥、新楽を陥落させた。庚子、小狼山砦を破った。丁未、宋軍千人が益津関から出撃したが、国舅郎君桃委と詳穩十哥がこれを撃退し、副将一人を殺した。己酉、休哥が黄皮室詳穩が莫州の地を巡行して得た馬二十匹と士卒二十人を献上した。降伏者に衣帯を賜い、燕京に隷属させるよう命じた。辛亥、西路がまた降卒二百余人を送り、寒さに凍える者に裘衣を与えた。馬得臣を権宣徽院事とした。

原文十一月甲申朔,上以將攻長城口,詔諸軍備攻具。庚寅,駐長城口,督大軍四面進攻。士潰圍,委城遁,斜軫招之,不降;上與韓德讓邀擊之,殺獲殆盡,獲者分隸燕軍。辛卯,攻滿城,圍之。甲午,拔其城,軍士開北門遁,上使諭其將領,乃率眾降。戊戌,攻下祁州,縱兵大掠。己亥,拔新樂。庚子,破小狼山砦。丁未,宋軍千人出益津關,國舅郎君桃委、詳穩十哥擊走之,殺副將一人。己酉,休哥獻黃皮室詳穩徇地莫州所獲馬二十匹,士卒二十人。命賜降者衣帶,使隸燕京。辛亥,西路又送降卒二百餘人,給寒者裘衣。以馬得臣權宣徽院事。

十二月甲寅朔、皮室詳穩乞得と禿骨裏に戦馬を賜った。横帳郎君達打裏が掠奪したので、杖刑に処するよう命じた。丙辰、沙河で狩猟した。休哥が奚詳穩耶魯が捕らえた宋の間諜を献上した。丁巳、北宰相蕭継遠らを遣わして安平を偵察させた。侍衛馬軍司が祁州・新楽の攻略で、都頭劉賛ら三十人が功績があったと奏上し、恩賞を加えるよう請うた。この月、大軍は宋の境内に駐留した。この年、詔して貢挙を開き、高挙一人を及第させた。

原文十二月甲寅朔,賜皮室詳穩乞得、禿骨裏戰馬。橫帳郎君達打裏劫掠,命杖之。丙辰,畋於沙河。休哥獻奚詳穩耶魯所獲宋諜。丁巳,遣北宰相蕭繼遠等往覘安平。侍衛馬軍司奏攻祁州、新樂,都頭劉贊等三十人有功,乞加恩賞。是月,大軍駐宋境。是歲,詔開貢舉,放高舉一人及第。

七年春正月癸未朔、軍を返した。戊子、宋の鶏壁砦守将郭栄が衆を率いて来降した。詔して南京に駐屯させた。庚寅、長城口に駐留した。兵卒三人が営を出て掠奪したので、答刑に処して衆に示し、得た物を左右に分け与えた。壬辰、李継遷が兄の継捧と怨みがあり、通好を請うたが、上はその誠意でないことを知り、許さなかった。癸巳、諸軍に易州に向かうよう命じた。己亥、部従が民の桑梓を伐つことを禁じた。癸卯、易州を攻撃した。宋兵が遂城から出て来援したので、鉄林軍を遣わしてこれを撃ち、その指揮使五人を生け捕りにした。甲辰、大軍が一斉に進み、易州を破り、刺史劉墀を降伏させた。城壁を守る士卒は南へ逃げたが、上は師を率いてこれを邀撃し、敢えて出る者はなかった。直ちに馬質を刺史とし、趙質を兵馬都監とした。易州の軍民を燕京に移した。東京騎将夏貞顕の子仙寿が先登したので、高州刺史に任じた。乙巳、易州に行幸し、五花楼に御し、士庶を撫諭した。丙午、青牛白馬をもって天地を祭祀した。三京諸道に詔諭した。戊申、淶水に駐留し、景宗皇帝廟を拝謁した。詔して涿州刺史耶律守雄を遣わし、易州の降人八百人を護送して本貫に還し隷属させた。己酉、歧溝に駐留し、鬼箭を射た。辛亥、還って南京に駐留し、六軍の厳戒を解いた。

原文七年春正月癸未朔,班師。戊子,宋雞壁砦守將郭榮率眾來降,詔屯南京。庚寅,次長城口。三卒出營劫掠,笞以徇眾,以所獲物分賜左右。壬辰,李繼遷與兄繼捧有怨,乞與通好,上知其非誠,不許。癸巳,諭諸軍趣易州。己亥,禁部從伐民桑梓。癸卯,攻易州,宋兵出遂城來援,遣鐵林軍擊之,擒其指揮使五人。甲辰,大軍齊進,破易州,降刺史劉墀,守陴士卒南遁,上帥師邀之,無敢出者。即以馬質為刺史,趙質為兵馬都監。遷易州軍民於燕京。以東京騎將夏貞顯之子仙壽先登,授高州刺史。乙巳,幸易州,禦五花樓,撫諭士庶。丙午,以青牛白馬祭天地。詔諭三京諸道。戊申,次淶水,謁景宗皇帝廟。詔遣涿州刺史耶律守雄護送易州降人八百,還隸本貫。己酉,次歧溝,射鬼箭。辛亥,還次南京,六軍解嚴。

二月壬子朔、上は元和殿に御して百官の賀を受けた。詔して鶏壁砦の民二百戸を檀・順・薊の三州に移住させた。甲寅、回鶻・于闐・師子等国が来貢した。乙卯、軍士を大いに饗応し、爵賞に差等をつけた。枢密使韓徳譲を楚国王に封じ、駙馬都尉蕭寧遠を同政事門下平章事とした。この日、長春宮に行幸した。甲子、詔して南征で捕虜となり親属が諸帳に分かれて隷属している者には、官銭を与えて贖い出し、互いに従わせよとした。乙丑、南征の女直軍を賞し、東還させた。丙寅、挙人が匿名の飛書で朝廷を誹謗することを禁じた。癸酉、吐蕃・党項が来賀した。甲戌、雲州の租賦は本道のみに輸送するよう請うたので、従わせた。丙子、女直の活骨徳を本部の相とした。巫覡を分遣して名山大川を祭祀させた。丁丑、皇子仏宝奴が生まれた。戊寅、阿薩蘭・于闐・轄烈がともに使者を遣わして来貢した。

原文二月壬子朔,上御元和殿受百官賀。詔雞壁砦民二百戶徙居檀、順、薊三州。甲寅,回鶻、于闐、師子等國來貢。乙卯,大饗軍士,爵賞有差。樞密使韓德讓封楚國王,駙馬都尉蕭寧遠同政事門下平章事。是日,幸長春宮。甲子,詔南征所俘有親屬分隸諸帳者,給官錢贖之,使相從。乙丑,賞南征女直軍,使東還。丙寅,禁舉人匿名飛書,謗訕朝廷。癸酉,吐蕃、党項來賀。甲戌,雲州租賦請止輸本道,從之。丙子,以女直活骨德為本部相。分遣巫覡祭名山大川。丁丑,皇子佛寶奴生。戊寅,阿薩蘭、于闐、轄烈並遣使來貢。

三月壬午朔、使者を遣わして木葉山を祭祀した。芻牧が禾稼を傷つけることを禁じた。宋の進士十七人が家族を連れて来帰した。有司に命じてその中で及第する者を試験し、国学官に補し、残りは県主簿・尉に任じた。李継遷が使者を遣わして来貢した。丁亥、詔して易州知州趙質に戦死した士卒の骸骨を収めさせ、京観を築かせた。戊子、於越宋国王に紅珠筋線を賜い、内神帳に入って再生の礼を行わせた。皇太后は物を厚く賜った。鶏壁砦の民成廷朗ら八戸を飛狐に隷属させた。己丑、詔して雲州の未納租賦を免除した。乙室王貫寧が撃鞠をしていたところ、配下の郎君高四が馬を走らせて突き死なせたので、詔して高四の罪を訊問させた。丙申、詔して奇峰路を開いて易州市に通じさせた。戊戌、王子帳耶律襄の女を義成公主に封じ、李継遷に降嫁させた。この春、延芳澱に駐蹕した。

原文三月壬午朔,遣使祭木葉山。禁芻牧傷禾稼。宋進士十七人挈家來歸,命有司考其中第者,補國學官,餘授縣主簿、尉。李繼遷遣使來貢。丁亥,詔知易州趙質收戰亡士卒骸骨,築京觀。戊子,賜於越宋國王紅珠筋線,命入內神帳行再生禮,皇太后賜物甚厚。以雞壁砦民成廷朗等八戶隸飛狐。己丑,詔免雲州逋賦。乙室王貫寧擊鞠,為所部郎君高四縱馬突死,詔訊高四罪。丙申,詔開奇峰路通易州市。戊戌,以王子帳耶律襄之女封義成公主,下嫁李繼遷。是春,駐蹕延芳澱。

夏四月甲寅、京に還る。乙卯、国舅太師蕭闥覽が子の排亞のために皇女延寿公主を娶ることを請う、これを許す。丙辰、太宗皇帝廟に謁す。御史大夫烏骨を以て乙室大王に領ぜしむ。己未、延寿寺に幸して僧に飯す。甲子、諫議大夫馬得臣、上(帝)の球撃ちを好むを以て、上疏して切に諫む。「臣伏して見るに、陛下は朝を聴くの暇に、球撃ちを以て楽しみと為す。臣思うに、此事には三つの宜しからざる有り。上下分かれて朋を為し、君臣勝を争い、君は得て臣は奪い、君は輸けて臣は喜ぶ、一に宜しからず。往来交錯し、前後遮約し、争心競い起こり、礼容全く廃れ、若し月杖を貪り、誤って天衣を拂わば、臣既に儀を失い、君又責め難し、二に宜しからず。万乗の貴きを軽んじ、広場の娛を逐う。地は平らなれども、至って堅確に至り、馬は良しと雖も、亦驚蹶有り。或いは奔撃に因り、其の控禦を失わば、聖体寧くも虧損無からんや。太后豈に驚懼せざらんや。三に宜しからず。臣望むらくは、陛下に継承の重きを念い、危険の戯れを止めしめんことを。」疏奏す、大いに嘉して之を納る。丁卯、吐渾トコンの還金、回鶻の安進、吐蕃の独朵等、宋より来帰す、皆衣帯を賜う。皇太后、奇首可汗カガン廟に謁す。丙子、舍利軍耶律杳を以て常袞と為す。己卯、儒州龍泉に駐蹕す。

原文夏四月甲寅,還京。乙卯,國舅太師蕭闥覽為子排亞請尚皇女延壽公主,許之。丙辰,謁太宗皇帝廟。以御史大夫烏骨領乙室大王。己未,幸延壽寺飯僧。甲子,諫議大夫馬得臣以上好擊球,上疏切諫:「臣伏見陛下聽朝之暇,以擊球為樂。臣思此事有三不宜:上下分朋,君臣爭勝,君得臣奪,君輸臣喜,一不宜也;往來交錯,前後遮約,爭心競起,禮容全廢,若貪月杖,誤拂天衣,臣既失儀,君又難責,二不宜也;輕萬乘之貴,逐廣場之娛,地雖平,至為堅確,馬雖良,亦有驚蹶,或因奔擊,失其控禦,聖體寧無虧損?太后豈不驚懼?三不宜也。臣望陛下念繼承之重,止危險之戲。」疏奏,大嘉納之。丁卯,吐渾還金、回鶻安進、吐蕃獨朵等自宋來歸,皆賜衣帶。皇太后謁奇首可汗廟。丙子,以舍利軍耶律杳為常袞。己卯,駐蹕儒州龍泉。

五月庚辰朔、宣徽使蒲領等を遣わし兵を率いて分道し宋に備えしむ。遙輦副使控骨離を以て舍利拽剌詳穩と為す。辛巳、儒州白馬村にて風伯を祭る。休哥軍を引きて満城に至り、降卒七百余人を招き、使いを遣わして来献せしむ、詔して東京に隷せしむ。辛卯、桑乾河に猟す。壬辰、燕京奏す、宋兵辺境に至る、時暑く未だ敢えて戦わず、且つ易州に駐し、彼の動くを俟ちて則ち進撃し、退けば則ち師を班す、之に従う。

原文五月庚辰朔,遣宣徽使蒲領等率兵分道備宋。以遙輦副使控骨離為舍利拽剌詳穩。辛巳,祭風伯於儒州白馬村。休哥引軍至滿城,招降卒七百餘人,遣使來獻,詔隸東京。辛卯,獵桑乾河。壬辰,燕京奏宋兵至邊,時暑未敢與戰,且駐易州,俟彼動則進擊,退則班師。從之。

六月庚戌朔、太師柘母迎合するを以て、之を撾つこと二十。辛酉、詔す、燕楽・密雲二県の荒地は民に耕種を許し、賦役を免ずること十年。甲戌、宣政殿学士馬得臣卒す、詔して太子少保を贈り、銭十万、粟百石を賜う。乙亥、詔して諸畜を出だして辺部の貧民に賜う。是の月、休哥・排亞、宋兵を泰州に破る。

原文六月庚戌朔,以太師柘母迎合,撾之二十。辛酉,詔燕樂、密雲二縣荒地許民耕種,免賦役十年。甲戌,宣政殿學士馬得臣卒,詔贈太子少保,賜錢十萬,粟百石。乙亥,詔出諸畜賜邊部貧民。是月,休哥、排亞破宋兵於泰州。

秋七月乙酉、含涼殿に御して朝を視る。丙戌、中丞耶律核麦哥を以て夷離畢を権えしめ、横帳郎君耶律延寿を御史大夫と為す。癸巳、兵を遣わして南征せしむ。甲午、迪離畢・涅剌・烏濊の三部各四人を以て東北路来人婆裏德に益し、仍って印綬を給う。丁酉、南征の将士を労う。是の日、帝と皇太后、景宗皇帝廟に謁す。

原文秋七月乙酉,禦含涼殿視朝。丙戌,以中丞耶律核麥哥權夷離畢,橫帳郎君耶律延壽為御史大夫。癸巳,遣兵南征。甲午,以迪離畢、涅剌、烏濊三部各四人益東北路來人婆裏德,仍給印綬。丁酉,勞南征將士。是日,帝與皇太后謁景宗皇帝廟。

八月庚午、進士高正等二人を放ちて及第せしむ。

原文八月庚午,放進士高正等二人及第。

冬十月、罝網を禁じて兎を捕う。

原文冬十月,禁罝網捕兔。

十一月甲申、于闐の張文宝、内丹書を進む。

原文十一月甲申,于闐張文寶進內丹書。

十二月甲寅、沈子濼にて鉤魚す。癸亥、好草嶺にて猟す。

原文十二月甲寅,鉤魚於沈子濼。癸亥,獵於好草嶺。