明史

志第八 暦二

志第八 暦二

▲大統暦法一上 法原

暦を作る者はそれぞれ本原があり、史は備えて記録すべきで、後世に考証する手がかりを残す。例えば『太初暦』の起数は鐘律に、『大衍暦』の造端は蓍策にあり、いずれも本志に詳しい。『授時暦』は測算術を宗とし、ただ天に合うことを求め、律呂や卦爻に無理に合わせない。しかしその法の立てられた所以、数の出所、および影・星度については、すべて全書がある。郭守敬・齊履謙の伝中には、書名を考証できるものがある。『元史』は漫然として採摭せず、ただ李謙の『議禄』・『暦経』の初稿を残すのみである。その後、三応率及び立成の数を改め、また割円弧矢の法、平立定三差の原を立てたが、ことごとく削除して載せない。作者の精意を湮没させ、識者はこれを憾む。今『大統因通軌』及び『暦草』諸書に拠り、少し編次し、まず法原、次に立成、次に推歩とする。法原の目は七つ:句股測望、弧矢割円、黄赤道内外度、白道交周、日月五星平立定三差、裏差刻漏。

▲句股測望

北京に四丈の表を立て、冬至日の午正に、影長七丈九尺八寸五分を測得す。続いて簡儀で測り、太陽が南至地平二十六度四十六分半を得、これを半弧背とする。矢度を求め得るに、五度九十一分半。周天半径を置き、矢度を截った余り五十四度九十六分を股とし、これは本地の戴日下の度である。弦股別句の術を用い、句二十六度一分七十六秒を求め得、これを日出地半弧弦とする。

北京に四丈の表を立て、夏至日の午正に、影長一丈一尺七寸一分を測得す。続いて簡儀で測り、太陽が南至地平七十四度二十六分半を得、これを半弧背とする。矢度を求め得るに、四十三度七十四分少。周天半径を置き、矢度を截った余り一十七度一十三分二十五秒を句とし、これは本地の戴日下を去る度である。句弦別股の術を用い、股五十八度四十五分半を求め得、これを日出地半弧弦とする。

二至の日度を相併せ、百度七十三分を得、これを折半して五十度三十六分半とし、北京の赤道出地度とする。赤道出地度を以て周天の四の一を転減し、余り四十度九十四分九十三秒七十五微、これが北京の北極出地度である。

▲弧矢割円

周天径一百二十一度七十五分少。少は用いず。半径六十度八十七分半。また黄赤道大弦とする。二至の黄赤道内外半弧背二十四度。測ったものを整数に就く。二至の黄赤道弧矢四度八十四分十二秒。黄赤道大句二十三度八十分七十秒。黄赤道大股五十六度二分六十八秒。半径より矢度の数を減ず。

割円求矢術 半弧度を置き自乗し、半弧背幕と為す。周天径を自乗し、上廉と為す。上廉に半弧背幕を乗じ、正実と為す。上廉に径を乗じ、益従方と為す。半弧背を倍じ、径を乗じ、下廉と為す。初商を以て上廉を乗じ、得た数で益従方を減じ、余りを従方と為す。初商を自乗し下廉より減じ、余りに初商を乗じ、従廉と為す。従方・従廉を相併せ、下法と為す。下法に初商を乗じ、正実より減ず。実が減じきれなければ、初商を改む。実に不尽あれば、次第に商除す。初商数を倍じ、次商と相併せて上廉を乗じ、得た数で益従方を減じ、余りを従方と為す。初商・次商を併せて自乗し、また初商を自乗し、二数を併せ下廉より減じ、余りに初商の倍数と次商を併せて乗じ、従廉と為す。従方・従廉を相併せ、下法と為す。下法に次商を乗じ、余実より減じて次商を定む。不尽ある者は、法の如く商し、皆商得数を以て矢度の数と為す。黄赤道ともに用う。

例えば半弧背一度を以て矢を求む。術曰:半弧背一度を置き自乗し、一度を得、半弧幕と為す。周天径一百二十一度太を置き自乗し、一万四千八百二十三度六分二十五秒を得、上廉と為す。上廉に半弧背幕を乗じ、一万四千八百二十三度六分二五を得、正実と為す。上廉にまた径を乗じ、百八十万四千七百七度八十五分九十三秒七五を得、益従方と為す。半弧背一度を倍じ、二度を得、径を乗じて二百四十三度五十分を得、下廉と為す。初商八十秒。初商八十秒を置き上廉一万四千八百二十三度六二五を乗じ、百十八度五八四五を得、益従方百八十万四千七百七度八五九三七五より減じ、余り百八十万四千五百八十九度二七四八七五、従方と為す。また初商八十秒を自乗し、六十四微を得、下廉より減じ余り二百四十三度四九九三六。なお八十秒を以てこれを乗じ、一度九四七九九九四八八を得、従廉と為す。従廉・従方を併せ、合わせて百八十万四千五百九十一度二二二八七四四八八を得、下法と為す。下法に初商を乗じ、一万四千四百三十六度七十二分九七八二九九五九零四を得、正実より減じ、余実三百八十六度三十三分二七一七零零四零九六。次商二秒。初商八十秒を倍じ、一分六十秒を得。次商二秒を加え六十二秒とし、上廉一万四千八百二十三度六二五を乗じ、二百四十度一三三六一二五を得、益従方より減じ、余り百八十万四千四百六十七度二五七六二五、従方と為す。また初・次商八十二秒を自乗し、六十七微を得。初商八十秒自乗の数に加え、一秒三十一微を得、下廉より減じ、余り二百四十三度四九九八六九。前に得た一分六十二秒を以てこれを乗じ、三度九十四分四六九七八七七八を得、従廉と為す。従廉・従方を併せ、百八十万四千四百七十一度六十七分零四六零三七八を得、下法と為す。下法に次商を乗じ、三百六十度八九四三三四零九二零七五五六を得、余実より減じ、なお余り二十五度四三八三八二九一二零二零四四。一秒に足らず棄て用いず、以下同じ。

凡そ矢度八十二秒を求め得、余度各上法の如し。求めて矢度を得、以て黄赤相求及びその内外度の根と為す。数は後に詳し。

▲黄赤道差

黄道・赤道の各度下における赤道積度を求める術。周天の半径より黄道の矢度を減じ、余りを黄赤道の小弦とす。黄赤道の小弦を置き、黄赤道の大股(大股は割円に見ゆ)を乗じて実とす。黄赤道の大弦(半径)を法とす。実を法の如くして一と為し、黄赤道の小股とす。直ちに黄道の矢を自乗して実とし、周天の全径を法とし、実を法の如くして一と為し、黄道の半背弦差とす。その差を以て黄赤道の積度を減じ、即ち黄道の半弧背とす。余りを黄道の半弧弦とす。黄赤道の半弧弦を置き自乗して股冪とし、黄赤道の小股を自乗して句冪とし、二冪を併せ、開平方法を以て除し、赤道の小弦とす。黄赤道の半弧弦を置き、周天の半径(亦た赤道の大弦なり)を乗じて実とし、赤道の小弦を法として一と為し、赤道の半弧弦とす。黄赤道の小股(亦た赤道の横小句なり)を置き、赤道の大弦(即ち半径)を乗じて実とし、赤道の小弦を法として一と為し、赤道の横大句とす。これを半径より減じ、余りを赤道の磺弧矢とす。横弧矢を自乗して実とし、全径を法として一と為し、赤道の半背弦差とす。その差を赤道の半弧に加え、赤道の積度とす。

例へば黄道の半弧背一度として、赤道の積度を求む。術に曰く、「半径六十度八十七分五十秒(即ち黄赤道の大弦)を置き、内より黄道の矢八十二秒を減じ、余り六十度八六六八を黄赤道の小弦とす。黄赤道の小弦を置き、黄赤道の大股五十六度零二六八を乗じ、三千四百十度一七二零三零二四を得て実とす。黄赤道の大弦六十度八七五を法とし、実を法の如くして一と為し、五十六度零一分九十二秒を得て、黄赤道の小股とす。又た赤道の小句とす。矢度八十二秒を置き自乗し、六十七微を得、全径一百二十一度七五を法として除し、五十五繊を得て、黄道の平半背弦差とす。黄道の半弧弦一度を置き、内より黄道の半背弦差を減じ、余りを半弧弦とす。今、差は微以下に在りて減ぜず、即ち一度を用いて半弧弦とす。黄道の半弧弦一度を置き自乗し、一度を得て股冪とす。黄赤道の小股五十六度零一九二を自乗し、三千一百三十八度一五零七六八六四を得て句冪とす。二冪を併せて三千一百三十九度一五零七六八六四を得て弦実とし、平方開き、五十六度零二八一を得て、赤道の小弦とす。黄道の半弧弦一度を置き、半径(即ち赤道の大弦)を乗じ、六十度八七五を得て実とす。赤道の小股五十六度零二八一を法として除し、一度零八分六十五秒を得て、赤道の半弧弦とす。黄赤道の小股五十六度零一九二(又た赤道の小句なり)を置き、赤道の大弦(半径)六十度八七五を乗じ、三千四百十度一六八八を得て実とす。赤道の小弦を法として除し、六十度八十六分五十三秒を得て、赤道の横大句とす。半径六十度八十七分五十秒を置き、内より赤道の大句六十度八十六分五十三秒を減じ、余り九十七秒を、赤道の横弧矢とす。赤道の横弧矢九十七秒を置き自乗し、九十四微零九を得、全径を法として除し、七十繊を得て、赤道の背弦差とす。赤道の半弧弦一度零八分六十五秒を置き、赤道の背弦差を加え、赤道の積度とす。今、差は微已下に在りて加えず、即ち半弧弦を用いて積度とす。

凡そ求めて得る赤道の積度は一度零八分六十五秒。余度も各々上法の如く、各黄道度下の赤道積を求め到り、両数を相減じ、即ち黄赤道差を得、乃ち後率に至る。其の分後、赤道度を以て黄道を求むるは、此れに反して之を求め、其の数並びに同じ。

▲黄赤道相求弧矢諸率立成上

(表格略)

▲黄赤道相求弧矢諸率立成下

(表格略)

按ずるに郭敬の創法五端、内の一を黄道差と曰ふ、此れ其の根率なり。旧法は一百一度を以て相減乗す。《授時》は術を立て、句股・弧矢・方円・斜直の容るる所を以て、其の数差を求め、渾象の理に合し、古を視て密なり。顧みるに《至元暦経》の載する所略にして、又た誤りて黄道の矢度を積差と為し、黄道の矢差を率と為す。今之を正す。

▲割円弧矢図

凡そ渾円を中剖すれば、則ち平円を成す。平円の一分を任割すれば、弧矢形を成し、皆弧背有り、弧弦有り、矢有り。弧矢形を剖ちて之を半にすれば、則ち半弧背有り、半弧弦有り、矢有り。弦矢句股形に因り、半弧弦を以て句と為し、矢を半径より減じたる余りを股と為し、半径を弦と為す。句股内に小句股を成せば、則ち小句・小股・小弦有りて、大小互ひに求め、平側互ひに用ふ可く、渾円の理、斯に密近と為す。

平なる者を赤道と為し、斜なる者を黄道と為す。二至の黄道赤道の距に因りて、大句股を生ず。各度の黄道赤道の距に因りて、小句股を生ず。

外の大円は赤道なり。北極より平視すれば、則ち黄道は赤道内に在り、赤道の各度有れば、即ち各其の半弧弦有りて、以て大句股を生ず。又た各其の相当する黄道の半弧弦有りて、以て小句股を生ず。此の二者は皆互ひに求め可し。

按ずるに旧史に図無し、然れども表も亦た図の属なり。今、句股割弧矢の法は、実に歴家測算の本なり。図無くしては明らかならず、因りて其の要なる者数端を存す。

▲黄赤道内外度

黄道の各度を推し、赤道より内外の距及び極より遠近を求むる術。半径を置き、内より赤道の小弦を減じ、余りを赤道の二絃差とす。又た黄赤道の小弧矢と為し、又た内外矢と為し、又た股弦差と為す。半径を置き、内外より黄道の矢度を減じ、余りを黄赤道の小弦とす。二至の黄赤道内外半弧弦を以て之を乗じて実と為し、黄赤道の大弦(即ち半径)を法と為し、除して黄赤道の小弧弦と為す。即ち黄赤道の内外半弧弦、又た黄赤道の小句と為す。黄赤道の小弧矢(即ち赤道の二絃差)を置き自乗し、全径を以て除し、半背弦差と為す。その差を黄赤道の小弧弦に加えて黄赤道の小弧半背と為し、即ち黄赤道の内外度とす。黄赤道の内外度を置き、盈初縮末限に在るを視て以て加へ、縮初盈末限に在るを視て以て減じ、皆象限度を加減し、即ち各太陽の北極を去る度分を得。

例えば冬至後四十四度において、太陽の赤道内外への距離及び北極からの距離を求める。術に曰く、「半径六十度八十七分半を置き、その中から黄道四十四度における赤道小弦五十八度三十五分六十九秒を減じ、余り二度五十一分八十一秒を黄赤道小弧矢とする。即ち内外矢である。半径六十度八七五を置き、その中から黄道四十四度の矢一十六度五十六分八十二秒を減じ、余り四十四度三十零分六十八秒を黄赤道小弦とする。黄赤道小弦を置き、これに二至における黄赤道内外半弧弦二十三度七十一分を乗じ、得るところ一千零五十零度五十一分四二三八を実とし、黄赤道大弦六十度八七五を法としてこれを除し、得るところ一十七度二十五分十九秒を黄赤道小弧弦とする。即ち内外半弧弦である。黄赤道小弧矢二度五十一分八十一秒を置き、これを自乗して実とし、全径一百二十一度七十五分でこれを除し、得るところ五分二十一秒を背弦差とし、この差を黄赤道小弧弦一十七度二十五分六十九秒に加え、得るところ一十七度三十零分八十九秒を、二至前後四十四度における太陽の赤道内外への距離とする。象限九十一度三十一分四十三秒七五を置き、これに内外度一十七度三零八九を加え、得るところ一百零八度六十二分三十二秒七五を、冬至後四十四度における太陽の北極からの距離とする。

▲黄道毎度の赤道内外への距離及び北極からの距離立成

(表格略)

▲白道交周

白道と赤道の正交が、黄赤道正交の北極からの度数からどれだけ離れているかを推す。術に曰く、「実測による白道の黄道内外への出入り六度を半径弧弦とし、また大円弧矢とし、また股弦差とする。半径六十度七五を置き、これを自乗し、得るところ三千七百零五度七六五六二五とし、これを矢六度で除し、得るところ六百一十七度六十三分を股弦和とし、これに矢六度を加え、合わせて六百二十三度六十三分を大円の直径とする。法に従って求めて容闊五度七十分を得、またこれを小句とする。また二至における出入り半弧弦二十三度七十一分を大句とする。大句を法とし、大股五十六度零六分五十秒を除し、得るところ二度三十七分を端数を切り捨てて度差とする。度差に小句を乗じ、得るところ小股一十三度四十七分八十二秒を容半長とする。半径六十度八七五を大弦として置き、これに小句五度七十分を乗じて実とし、大句二十三度七十一分を法としてこれを除し、得るところ一十四度六十三分を小弦とし、また白赤道正交が黄赤道正交から離れた半弧弦とする。法に従って半弧背を求め、一十四度六十六分を得、これを白赤道正交が黄赤道正交から離れた極婁の度数とする。