旧唐書 志第十一 音楽四

旧唐書

志第十一 音楽四

太廟を享する楽章十三首 貞観年中に魏徴・褚亮等作る

神を迎えるに『永和』を用う。黄鐘宮三成、大呂角二成、太簇徴二成、応鐘羽二成、総て九変、同じく用う。

ああ厳かなる烈祖、この丕基を弘む。永く言う配命、子孫これを保つ。百神既に洽し、万国ここに在り。これを用いて孝享す、神その格らんことを思う。

皇帝行進に『太和』を用う。詞は冬至円丘と同じ。

登歌し鬯を酌むに『粛和』を用う。夾鐘均の黄鐘羽。

大なるかな至徳、ここに明聖を允す。上下に格り、誠敬を聿に遵う。喜楽ここに登り、珠を鳴らして以て詠ず。神その降り止まらんことを、式に景命を隆くせよ。

俎を迎えるに『雍和』を用う。

この享祀を崇くし、誠敬兼ねて至る。楽は以て霊を感ぜしめ、礼は以て事を昭かにす。粢盛ことごとく潔く、牲牷甚だ備わる。永く孝思を言い、庶幾くは匱きざらん。

皇祖宣簡公に酌献するに『長髪』を用う。無射宮。

浚哲は惟れ唐、その祥を長く発す。帝命これ祐し、王業克く昌んず。天に配し徳を載せ、日に就きて重光す。本枝百代、錫を申べて疆なし。

皇祖懿王に酌献するに『長髪』を用う。前の詞と同じ。黄鐘宮。

太祖景皇帝に酌献するに『大基』を用う。太簇宮。

猗歟祖業、皇なるかな帝先。商を翦る徳厚く、唐に封ずる慶延ぶ。姫に在りて猶お稷のごとく、晋に方りて宣を逾ゆ。我が鼎運を基う、万斯年に于る。

世祖元皇帝の酌献に『大成』を用いる。姑洗宮。

周は王季を称え、晋は帝文を美とする。明らかなる盛徳、穆々として斉しく芬し。用を四履に蔵し、道を三分に屈す。鏗鏘たる鐘石、鴻勲を載紀す。

高祖大武皇帝の酌献に『大明』を用いる。蕤賓宮。

五紀運を更め、三正遞りに升る。勲華既に没し、禹湯勃然として興る。神武命に代わり、霊眷是れ膺く。雲を望みて徳を彰わし、緯を察して征を告ぐ。上は天維を紐き、下は地軸を安んず。師を涿野に征し、万国咸く服す。伯を霊台に偃し、九官允に穆し。殊域賮を委ね、生を懐いて福を介す。大礼既に飾り、大楽已に和す。黒章囿に擾い、赤字河に浮かぶ。功は載籍に宣べ、徳は詠歌に被る。克く其の後を昌にし、百禄是れ荷う。

皇帝の飲福に『寿和』を用いる。

八音斯く奏し、三献畢く陳ぶ。宝祚惟れ永く、暉光日新たなり。

文舞を送り出で武舞を迎え入るるに『舒和』を用いる。

聖敬神に通じ七廟を光し、霊心祚を薦めて万方に和す。厳禋克く配し鴻基遠く、明徳惟れ馨しく鳳暦昌なり。

武舞に『凱安』を用いる。詞は冬至円丘と同じ。

俎を徹するに『雍和』を用いる。

于穆たる清廟、聿く厳祀を修む。四県載せて陳べ、三献斯に止む。籩豆薦を徹し、人祇祉を介す。神惟れ格思し、錫祚已まず。

神を送るに『永和』を用いる。

粛粛たる清祀、蒸蒸たる孝思。薦享昭かに備わり、虔恭茲に在り。雍歌俎を徹し、祝嘏辞を陳ぶ。武志を光に用い、永く鴻基を固くす。

また太廟楽章五首を享く。永徽已後に続けて撰す。撰者詳らかならず。

太宗文皇帝の酌献に『崇徳』を用いる。夷則宮。永徽元年造。

五運は改卜し、千齡聖を啓く。彤雲は曉に聚まり、黃星は夜に映ず。葉は珠囊を闡き、基は玉鏡を開く。後に圖開の為す。下は萬宇に臨み、上は七政に齊し。霧は三象を開き、塵は九服を清む。海は溓み星は暉き、遠は安らかに邇は肅し。天地は交泰し、華夷は輯睦す。翔泳は仁に歸し、中外は禔福す。績は黜夏を逾え、勳は翦商に高し。武は《七德》を陳べ、刑は三章を設く。祥禽は閣に巢くい、仁獸は梁に游ぶ。卜年は惟れ永く、景福は疆なし。

高宗天皇大帝の酌獻に《鈞天》を用う(黃鐘宮、光宅元年造)

承籙し、聖を纂ぎて皇に登る。遐かに萬宇を清め、仰ぎて三光に協す。功は成りて日用し、道は濟いて時康し。璿圖は載せて永く、寶曆は斯に昌んず。日月は暉を揚げ、煙雲は色を爛く。河岳は貢を修め、神祇は職を效す。舜風は攸く偃し、堯曦は先ず就く。えい感は寰に通じ、孝思は宙に浹す。先德を奉揚し、曩狩を虔に遵ふ。義を天扃に展べ、英を雲岫に飛ばす。化は王表に逸し、神は帝先に凝る。雲に乘りて俗を厭い、日を馭して玄に登る。

中宗孝和皇帝の酌獻に《太和》を用う(太簇宮、景雲元年造)

廣樂既に備はり、嘉薦既に新たなり。先を述ぶるは惟れ德、孝饗は惟れ親。七獻具に舉がり、五齊畢く陳ぶ。茲に此の祚福を錫し、萬斯の春に于る。

睿宗大聖真皇帝の酌獻に《景雲》を用う(黃鐘宮、開元四年造)

惟れ睿は聖を作し、惟れ聖は皇に登る。精は耀魄に感し、時は會昌に膺る。舜は大孝に慚じ、堯は讓王を推す。能事斯に極まり、振古誰か方ならん。文明は運に履み、車書は軌を同くす。巍巍として赫赫たり、善を盡くし美を盡くす。衢室は旒を凝らし、大庭は扆を端す。負を釋ぐの寄、事は復子を光らす。屣を脱して高天し、遐に登りて上玄す。龍湖は超忽たり、象野は芊綿たり。衣を游がし復道し、果を薦めて初年す。新廟は奕奕たり、明德は天に配す。

皇祖宣皇帝の酌獻に《光大》を用う(無射宮、舊樂章は宣・光二宮同じく《長髮》を用い、其の詞も亦同じ。開元十年、始めて宣皇帝に《光大》を用いることを定め、詞を更に別に造る)

大業は龍の祉、徽音は駿の尊。潛かに皇德に居し、赫として天昆を嗣ぐ。儀を宗祖に展べ、誠を孝孫に重ぬ。春秋は極まり無く、享奏は存存たり。

又た太廟樂章三首を亨す(太樂舊に此の詞有り、起る所詳らかならず)

迎神(黃鐘宮、太呂角、太簇徵、應鐘羽、並びに此の詞と同じ)

七廟は德を觀、百靈は攸く仰ぐ。俗は財成に荷い、物は含養に資す。道は契を執るを光とし、化は象を提するを籠とす。肅肅として雍雍たり、神其れ來り享けよ。

金奏(無射宮、迎神に次ぐ)

肅肅たる清廟、巍巍たる盛唐。天に配し極を立て、聖を累ねて光を重ぬ。樂は管磬に和し、禮は蒸嘗に備はる。永く惟ふ來格し、福を降して疆無からんことを。

送神。

五声の音が整って奏でられ、三献の儀が終わりて祠を終える。車は鳳輦を移し、旗は紅旗を翻す。礼は籩豆に周く、誠は虔祗に效う。皇霊は蹕を移し、簪紳は拝辞す。

則天皇后、清廟の楽章十首を享く。

第一:

清廟を建て、玄功を讃う。吉日を択び、禋宗を展ぶ。楽は已に変じ、礼は方に崇し。神駕を望み、仙宮に降る。

第二:

隆周は創業し、宝命惟れ新たなり。宗を敬い茂典を挙げ、爰に虔禋を表す。声明は已に備わり、文物は斯に陳ぶ。肅容は在るが如く、懇志は方に申す。

第三登歌:

大礼を肅敷し、尊霊に上謁す。筐幣を敬陳し、載せて丹誠を表す。

第四迎神:

蘋藻を敬奠し、式に虔襟を罄す。潔誠は斯に展べ、佇ちて霊の歆くを降す。

第五飲福:

爰に玉醴を陳べ、式に瓊漿を奠む。霊心に穆有り、介福は疆無し。

第六送文舞:

帝図は草創し、王業は初めて開く。功は佐命に高く、業は雲雷を賛す。

第七迎武舞:

赫々たる玄功は穹壤に被わり、皇々たる至徳は生霊に洽く。基を開き乱を撥ね祅気廓然たり、命を佐け威を宣べて海内清し。

第八武舞を作す:

恩を荷い顧托を承け、契を執りて恭しく臨撫す。廟略は辺荒を静め、天兵は神武を耀かす。

第九俎を徹す:

登歌已に闋け、献礼方に周る。景福を欽承し、鴻休を肅奉す。

第十神を送る:

大礼言畢り、仙衛将に帰らんとす。丹懇を申べ莫く、空しく紫微を瞻る。

中宗孝和皇帝神龍元年太廟を享する楽章二十首、撰する所詳らかならず

迎神に《厳和》を用う。黄鐘宮三成、大呂角三成、太簇徴三成、応鐘羽二成、同じく此の詞を用う。:

肅肅たる清廟、赫々たる玄猷。功は万古に高く、化は十洲に奄う。中興の丕業、上は天休を荷う。先構を祇奉し、礼は懐柔に被わる。

皇帝行に《升和》を用う。黄鐘宮:

顧みるに菲薄を惟い、曆を纂ぎて期に応ず。中外軌を同じくし、夷狄来りて思う。楽は以て徳を崇め、礼は以て詞を陳ぶ。夕に惕みて厲しきが若く、宏基を欽奉す。

登歌稞鬯に《虔和》を用う。大呂均の無射羽:

礼は薦鬯に標し、肅事祠庭にす。敬して申すこと在るが如く、敢えて非馨を托せず。

文舞を送り出で武舞を迎え入るるに《同和》を用う。太簇羽:

聖人天に配し盛禮を敷き、惟れ天の大なるを闡き洪名を揚ぐ。恭しく禋祀を展べて敬を光らせ先德に、萍藻を申べて虔を表し志誠を致す。

武舞に『甯和』を用ふ(林鐘の徵調)

炎馭天綱を失ひ、土德天命を承く。英猷寰宇に被はり、懿躅邦政に隆し。七德既に邊を綏へ、九夷咸く底定す。景化遐邇に覃き、深仁翔泳に洽し。

俎を徹するに『恭和』を用ふ(大呂均の無射羽調)

禮は三獻を週り、樂は九成を闕く。肅として靈福を承け、悚惕益々盈つ。

神を送るに『通和』を用ふ(黃鐘宮調)

祠容既に畢り、仙座爰に興る。停停たる鳳の舉ぐるが如く、靄靄たる雲の昇るが如し。長く寶運を隆くし、永く休征を錫ふ。福は貽厥に覃き、恩は黎蒸に被はる。

皇后助享・皇后行進に『正和』を用ふ(黃鐘宮調)、詞は貞觀中宮朝會の『正和』に同じ。

登歌し鬯を奠むるに『昭和』を用ふ(大呂均の無射羽調)

道は二儀の交泰に洽く、時に四宇の和平を休む。環佩は庭實に於て肅し、鐘石は頌聲に揚がる。

皇后酌獻・飲福に『誠敬』を用ふ(黃鐘宮調)

顧みるに菲質を惟ひ、椒宮に忝く位す。虔しく蘋藻を奉じ、肅として神宗に事ふ。敢へて誠潔を申べ、庶くは深衷を罄さむ。睟容裕ひ有り、靈享窮ること無し。

俎を徹するに『肅和』を用ふ(大呂均の無射羽調)

月禮已に周り、雲和將に變らんとす。爰に其の醑を獻げ、載せて其の奠を遷す。明德逾々隆く、馨しからざる是れ薦む。澤は動植に沾ひ、仁は宇縣に覃く。

神を送るに『昭感』を用ふ(黃鐘羽調)

『韶』『濩』の音は鏗鏘として、神々の御容は肅穆たり。洪大なる規は赫赫として、祭祀の典は雍雍たり。既に三獻を周り、将に六龍に乗らんとす。虔誠は托する所あり、懇志は従う所なし。

玄宗の開元七年、太廟を享くる楽章十六首、特進・行尚書左丞相・燕国公張説の作

神を迎えるに『永和』を用う、三章あり。

九室を肅め、八音を諧す。皇慕を歌い、神心を動かす。礼は宿設し、楽は妙を尋ぬ。声明備わり、稞奠臨む。

律は気を迓え、音は玄に入る。玉幾に依り、黼筵に禦る。愾息に聆け、周旋に僾す。『九韶』遍く、百福伝わる。

工祝を信じ、永く頌声を頌す。祖考来たり、和平を聴く。百辟を相し、九瀛を貢す。神の休委し、帝の孝成る。

皇帝の行進に『太和』を用う、一章あり。

時に文なる聖後、清廟は肅邕たり。誠を致し勤めて薦め、貌に在りて恭を思う。玉節は『肆夏』、金鏘は五鐘。繩繩たる雲歩、穆穆たる天容。

登歌し瓚を酌むに『肅和』を用う、一章あり。

天子孝享し、工歌は溥く将す。躬ら鬱鬯を稞し、乃ち膋薌を焚く。臭は以て旨を達し、声は以て陽を求む。時に奉る烝嘗、永代忘れず。

俎を迎えるに『雍和』を用う、二章あり。

滌に在る嘉豢、碑を麗し牲を敬う。角握の牡、色純の騂。火は陽燧を伝え、水は陰精を溉ぐ。太公は俎を胖し、伝説は羹を和す。

俎豆に馥あり、齋盛は絜かにして豊なり。亦た和羹あり、既に戒め既に平らかなり。鼓鐘管磬、肅として唱え和鳴す。皇皇たる後祖、我に思成を賚う。

皇帝、醴齊を酌むに文舞を用う、一章あり。

聖暮は九徳、真言は五千。慶は昌胄に集まり、符は帝先に開く。高文は鉞を杖ち、克く彼の天に配す。三宗は鏡を握り、六合煥然たり。帝其れ祀を承け、礼に率いて愆無し。図書は霧より出で、日月は清く懸かる。舞は徳の類を形し、詠は功の伝を諗う。黄龍蜿蟺たり、彩雲蹁躚たり。五行の気順い、八佾の風宣る。此の百祿を介し、皇の万年に於けり。

献祖宣皇帝の廟室に奠献するには『光大』の舞一章を用いる。

厳かにして武なる祖、滔滔として深き源。雄なる玉剣有り、金門を鎮め作す。玄王は緒を貽し、後稷は孫を謀る。九廟に禋を肇め、四海来たりて尊ぶ。

懿祖光皇帝の廟室に奠献するには『長髪』の舞一章を用いる。

礼を具え徳を崇め、楽を備え風を承く。魏は幢主を推し、周は司空を贈る。行かずして至り、成らずして終わり有り。神は王業を興し、天は帝功に帰す。

太祖景皇帝の廟室に奠献するには『大政』の舞一章を用いる。

赫たる元命に於いて、帝文を権輿す。天は八柱を斉しくし、地は三分を半ばす。宗廟は徳を観、笙鏞は勲を楽ます。唐を封ずるの兆、天下の君を成す。

代祖元皇帝の廟室に奠献するには『大成』の舞一章を用いる。

帝は季歴に舞い、聖を襲いて昌を生む。後に歌う有蟜有り、炎を胎し黄を孕む。天地は徳を合わし、日月は光を斉しくす。粛邕として孝享し、我が万方を祚す。

高祖神堯皇帝の廟室に奠献するには『大明』の舞一章を用いる。

赤精は徳を乱し、四海困窮す。黄旗は義を挙げ、三靈会同す。旱れて春雨を望み、雲は大風に披く。普天来たりて祭るは、高祖の功なり。

太宗文武聖皇帝の廟室に奠献するには『崇徳』の舞一章を用いる。

皇は一徳に合し、百神を朝宗す。天下を削平し、生人を大いに拯う。上帝は食に配し、単于は臣に入る。戎歌陳舞、嘩嘩震震たり。

高宗天皇大帝の廟室に奠献するには『鈞天』の舞一章を用いる。

高皇は道を邁し、端拱して無為なり。化は獯鬻を懐け、兵は句驪を戢う。礼は封禅を尊び、楽は来儀を盛んにす。位は媧後に合し、伏羲と同称す。

中宗孝和皇帝の廟室に奠献するには『太和』の舞一章を用いる。

退いて江水に居り、鬱然として丹陵に起つ。禮物は舊に還り、朝章は中興す。龍圖は友に及び、駿命は恭しく膺く。鳴球を秉り瓚を執り、大糦は是れ承く。

睿宗大聖真皇帝室奠獻に用ふる《景雲》の舞一章:

景雲霏爛として、我に帝符を告ぐ。噫帝の沖德、天と徒を爲す。笙鏞遙遠にして、俎豆虛無なり。春秋孝獻、此の都に回復す。

又た太廟樂章十四首を享く。

玄宗至道大聖大明孝皇帝室奠獻に用ふる《廣運》の舞一章司徒兼中書令、汾陽郡王郭子儀撰。

赫たる皇祖、昭明として融有り。惟れ文の德、惟れ武の功。河海靜謐にして、車書混同す。虔恭に孝饗し、穆穆たる玄風。

肅宗文明武德大聖大宣孝皇帝室奠獻に用ふる《惟新》の舞一章吏部尚書、平章事、彭城郡公劉晏撰。

漢祚惟れ永く、神功中興す。風は氛昆を驅り、天は黎蒸を覆ふ。三光再び朗らかにして、庶績其れ凝る。重熙累葉、景命是れ膺く。

皇帝飲福受脤に用ふる《福和》一章:

禮を備へ樂を用ひ、親を崇げ尊を政む。誠は慈降に通じ、敬は愛存に徹す。獻懷して壽を稱へ、啐感して恩を承く。皇帝の孝德、子孫千億。大に天域を包み、長く亙りて極まり無し。

文舞を送り出で、武舞を迎へ入るるに用ふる《舒和》一章:

六鐘翕協して六變成り、八佾倘佯して八風生ず。樂《九韶》にして人神感じ、美《七德》にして天地清し。

亞獻、終獻行事、武舞に用ふる《凱安》四章:

瑟たる彼の瑤爵、亞は維れ上公。室は屏氣の如く、門は躬を容れず。禮は其の本殷く、樂は其の中を執る。聖皇永く慕ひ、天地幽通す。禮は三獻に匝り、樂は九成に遍る。軒陛に降り循ひ、皇情を仰ぎ欷く。福は仁と合し、德は孝に因りて明らかなり。百年神畏し、四海風行す。總總たる干戚、填填たる鼓鐘。奮揚して氣を增し、坐作して容を爲す。離するは鷙鳥の若く、合するは戰龍の如し。萬方德を觀、肅肅邕邕たり。烈祖は三靈に順ひ、文宗は四海を威す。黃鉞は群盜を誅し、硃旗は多罪を掃ふ。兵を戢めて天下安く、法を約して人心改まる。大なる哉幹羽の意、長く風雲の在るを見ん。

徹豆登歌一章:

笙磬を止め、豆籩を徹す。廓として響無く、窅として玄に入る。主は室に在り、神は天に在り。情は慕を餘し、禮は愆罔し。黍稷を喜び、屢豐年を成す。

神を送るに《永和》の一章を用ふ:

嘉樂を眇み、靈爽を授く。感ずるに來るが若く、思ふに往くが如し。休氣散じ、回風上る。寂寞に返り、惚恍に還る。靈駕を懷ひ、空想を結ぶ。

代宗睿文孝武皇帝の室に奠獻するに《保大》の舞の一章を用ふ。尚父郭子儀撰。

于穆たる文考、聖神昭彰なり。《簫》《勺》群慝を和し、光を遠方に含む。萬物茂遂し、九夷王に賓す。愔愔たる《雲》《韶》、德音忘れず。

德宗神武孝文皇帝の室に奠獻するに《文明》の舞の一章を用ふ。尚書左丞平章事鄭餘慶撰。

邸を開き暴を除き、時に邁り勳尊し。三元命を告げ、四極駿奔す。金枝翠葉、輝きて瑤琨を燭す。德を象り億載、慶を湯孫に貽す。

順宗至德大聖大安孝皇帝の室に奠獻するに《大順》の舞の一章を用ふ。中書侍郎、平章事鄭絪撰。

于穆たる時文、天の明命を受く。允恭玄默、化を成し理を定む。震に出でて德を嗣ぎ、乾に應じて聖を傳ふ。猗歟緝熙、千億慶を流す。

憲宗聖神章武孝皇帝の室に奠獻するに《象德》の舞の一章を用ふ。中書侍郎、平章事段文昌撰。

肅肅たる清廟、顯はに至德を登す。澤八荒に周し、兵四極を定む。生物咸遂し、群盜滅息す。明聖欽承し、子孫千億なり。

儀坤廟樂章十二首

神を迎ふるに《永和》林鐘宮を用ふ。散騎常侍、昭文館學士徐彥伯作。

猗若たる清廟、肅肅熒熒たり。國嚴祀を薦め、坤輿淑靈たり。幾有りて室に在り、樂有りて庭に在り。茲に臨み孝享し、百祿惟寧し。

金奏夷則宮、作者詳らかならず。一本此の章無し。

陰の霊は祉を効し、軒曜は精を降す。祥符は淑気、慶は柔明に集まる。瑤俎既に列し、雕桐声を発す。徽猷は永遠、皇英に徳を比す。

皇帝行に『太和』黄鐘宮を用う、左諭徳・昭文館学士邱説撰。

孝なるかな我が后、沖なること乃ち聖なり。道は重華に映じ、徳は文命に輝く。慕は篋を視るに深く、情は鏡を撫ずるに殷なり。万国は風を移し、兆人は慶を承く。

酌献登歌に『粛和』中呂均の太簇羽を用う、一に云う蕤賓均の夾鐘羽、太子洗馬・昭文館学士張斉賢撰。

稞圭既に濯ぎ、鬱鬯既に陳ぶ。画冪は雲の如く挙がり、黄流は玉の如く醇し。儀は献酌に充ち、礼は衆禋に盛ん。地は孝を察し、愉として親を饗う。

迎俎に『雍和』姑洗羽を用う、太中大夫・昭文館学士鄭善玉作。

鬱を酌みて既に灌ぎ、蕭を取りて方に爇つ。籩豆は静かに嘉く、簠簋は芬飶たり。魚臘は美を薦め、牲牷は潔を表す。是に戢め是に将ち、載せて迎ぎ載せて列ぶ。

粛明皇后室の酌献に『昭升』林鐘宮を用う、礼部尚書・昭文館学士薛稷作。

陽霊は徳に配し、陰魄は昭かに升る。堯壇に鳳下り、漢室に龍興ず。伣天に対を作し、前旒是に凝る。化は南国に行わり、道は西陵に盛ん。舟を造り灌に集い、徳無くして称す。我が粢は既に潔く、我が醴は既に澄む。陰陰たる霊廟、光霊若し憑くが如し。徳馨惟れ饗い、孝思蒸蒸たり。

昭成皇后室の酌献に『坤貞』を用う、作者詳らかならず。

乾道既に亨り、坤元は以て貞し。粛雍攸に在り、輔佐斯に成る。外は九族に睦び、内は一庭を光らす。克く睿哲を生み、我が休明に祚す。徽節を欽若し、悠なるかな淑霊。茲に清宮を建て、彼の上京に於く。茅を縮めて以て献じ、秬を潔くして惟れ馨し。実に其の福を受け、期すること億齢を乎にす。

飲福に『寿和』黄鐘宮を用う、太子詹事・崇文館学士徐堅作。

于穆たる清廟、粛雍として厳祀す。福を合せ釐を受け、介して以て繁祉す。

文舞を送り出で武舞を迎え入るるに『舒和』南呂商を用う、銀青光禄大夫・崇文館学士胡雄作。

文を送り武を迎えて参差に遞り、一始まり一終わるは聖儀を光らす。四海の生人は慶有りと歌い、千齢の孝享は粛として虧け無し。

武舞には『安和』太簇徴を用い、秘書少監・崇文館学士劉子玄が作る。

妙算は帷幄に申べ、神謀は廟庭より出づ。両階の文物備はり、『七徳』の武功成る。校獵は長楊苑にし、屯軍は細柳営にす。将軍凱を献じて入り、歌舞は重城に溢る。

徹俎には『雍和』蕤賓均の夾鐘羽を用い、銀青光禄大夫・崇文館学士員半千が作る。

孝享雲のごとく畢り、維れ徹に章有り。雲は玄羽に感じ、風は素商に棲む。神座を瞻望し、只だ恋ひて遑あらず。礼終り楽闋け、肅雍鏘鏘たり。

送神には『永和』林鐘宮を用い、金紫光禄大夫・崇文館学士祝欽明が作る。

閟宮実実たり、清廟微微たり。降格すれど象無く、馨香依る有り。式に纂慶を昭し、方に嗣徽を融す。明禋是れ享け、神保聿ち帰す。

また儀坤廟楽章二首。太楽にまた一本有り、前の本と略同じく、二章同じからず左の如し、撰者詳らかならず。

迎神(一本に此の章有りて徐彥伯の詞無し)

月霊徳を降し、坤元光を授く。娥英秀を比べ、任姒芳を均しむ。瑤台祉を薦め、金屋祥を延ぶ。迎神に楽有り、此の嘉薌を歆む。

送神(一本に此の章有りて祝欽明の詞無し)

玉帛の儀大なり、金絲の奏広し。霊応孚有り、冥征爽ならず。彼の休福を降し、茲の禋享を歆む。楽を送るに章有り、神麾其の上に在り。

昭徳皇后室酌献に『坤元』楽章九首を用う(内出)

迎神に『永和』を用う。

穆しき清廟、厳しき禋を薦む。礼備はるを昭し、楽新たなるを和す。霊光を望み、元辰に集ふ。祚極まり無く、万春を享く。

登歌酌鬯に『肅和』を用う。

誠心は通じ、楽しみは分かたれる。蕭と膋を焚き上げ、香気は鬱然と立ち込める。茅は既に縮み、鬯は既に薫ず。後来の思い、福は雲の如し。

迎俎に『雍和』を用う:

我は我を享け、明らかにして誠を尽くす。黍稷を載せて芬しく、犠牲を載せて清める。懿なるかな元良、万邦以て貞し。心に愛敬を抱けば、容姿と声を観るが如し。

酌献に『坤元』を用う:

ああ厳かなる先后、聖に並び称えて崇し。母は万宇に臨み、道は六宮に被わる。昌時に慶を協え、内を理めて功を成す。殷に明徳を薦め、芳しき国風を伝う。

文舞を送り出し武舞を迎え入るに『舒和』を用う:

金枝羽部清歌を輟み、瑶堂は肅穆として笙磬羅列す。諧音は遍く響き明意に合し、万類は昭融して霊応多し。

武舞に『凱安』を用う:

辰位は四星を列ね、帝功は十乱に参ず。賢を進めて内輔に勤め、蹕に扈して多難を清む。天を承けて厚く載せ均しく、並び耀きて宵光燦たり。徽を留めて前躅に藹たり、万古図を披いて煥たり。

徹俎に『雍和』を用う:

公屍既に起ち、享礼は終わりを載す。歌を称えて進み徹し、敬を尽くして衷よりす。沢は流れて下に恵み、大小咸く同じ。

送神に『永和』を用う:

昭事終わり、幽享余りあり。月禦を移し、仙居に返る。璿庭寂たり、霊幄虚し。顧みて徘徊し、皇儲を感ず。

孝敬皇帝廟楽章九首

迎神に『永和』を用う。詞は貞観太廟の『永和』と同じ。

皇帝の行進には『太和』を用いる。詞は貞観の太廟の『太和』と同じ。

登歌して鬯を酌むには『肅和』を用いる。詞は貞観の太廟の『肅和』と同じ。

俎を迎えるには『雍和』を用いる。詞は貞観の太廟の『雍和』と同じ。

酌献には『承光』を用いる。詞は中宗が孝敬皇帝を享祀した時の『承光』と同じ。

文舞を送り出し武舞を迎え入れるには『舒和』を用いる。詞は太廟と同じ。

武舞には『凱安』を用いる。詞は太廟と同じ。

俎を徹するには『雍和』を用いる。詞は俎を迎える時と同じ。

神を送るには『永和』を用いる。詞は太廟と同じ。

隠太子廟を享祀する楽章六首。貞観年間に撰す。

神を迎えるには『誠和』を用いる。

道は鶴関に閟き、運は鳩裏に纏わる。門に大命を集め、俾ちて嘉祀を歆けしむ。礼は六瑚に亞ぎ、誠は二簋に殫く。誠有りて顒若たり、神斯くの如く戾り止まる。

登歌して玉帛を奠めるには『肅和』を用いる。

歳は春宗に肇まり、乾は震長を開く。瑤山既に寂し、戾園斯くの如く享す。玉は其の事を肅め、物は其の象を昭らかにす。弦誦風を成し、笙歌響を合わす。

俎を迎えるには『雍和』を用いる。

明典肅かに陳べられ、神居邃かに啓く。春伯事を聯ね、秋官礼を相す。来ること有りて雍雍たり、登歌濟濟たり。緬かに惟うに主鬯たるを、庶くは芳醴を歆かんことを。

文舞を送り出し、武舞を迎え入れるには『舒和』を用いる。

三県は既に判じ歌鐘は列し、六佾は将に開かんとして羽戚分かる。尚お想う燕飛来りて日を蔽うを、終に疑う鶴影降りて雲を凌ぐを。

武舞には『凱安』を用いる。

天歩昔将に開かんとし、商郊初めに践まんと欲す。戎を撫でし金陣廓く、極を貳する瑤図闡く。雞戟遂に儀を崇くし、龍楼好善を期す。兵を弄びて震業を隳し、聖を啓きて祠典を隆くす。

神を送るには『誠和』を用いる。詞は神を迎えると同じ。

また隠太子廟の楽章二首。太楽旧に此の詞有り、出づる所詳らかならず。

神を迎える。

蒼震位有り、黄離明を蔽う。江充禍結び、戾據災成る。冤を銜む昔痛し、典を贈る今栄えたり。霊を享くるに秩有り、楽を奉じて以て迎う。

神を送る。

皇情往きを悼み、祀儀設けを増す。鐘鼓鏗鍠たり、羽旄昭晣たり。礼を掌る雲く備わり、筵を司る告げて徹す。楽を以て神を送り、霊其れ闕を鑒みよ。

章懷太子廟の楽章六首。神龍初年に作る。

神を迎える第一。姑洗宮。

副君象を昭かにし、道典離に応ず。銅楼徳を備え、玉裕規を成す。仙気靄靄たり、霊従師師たり。前駆戾り止まり、鶴を控えて来儀す。

登歌し鬯を酌む第二。南呂均の蕤賓羽。

忠孝本に著しく、羽翼先ず成る。寝門徳を昭かにし、馳道程と為す。幣帛典有り、容衛声無し。存する司既に肅しく、廟に享くる惟れ清し。

迎俎及び酌献 第三 大呂羽

三錫の胤を通じ、明両英を承く。太山の比赫、伊水の笙を聞く。宗祧是に寄し、礼楽其れ亨る。嘉辰俎を薦め、以て声明を発す。

送文舞出・迎武舞入 第四 蕤賓商:

羽龠文を崇め礼以て畢り、干戚武を奮い事将に行はんとす。用捨由来其れ致有り、壮志威を宣べて太平を楽しましむ。

武舞作 第五 夷則角:

緑林炎曆を熾し、黄虞有苗に格つ。沙塵塞外を驚かし、帷幄嫖姚を命ず。『七徳』干戈止み、三辺雲霧消ゆ。宝祚長く極無く、歌舞今朝に盛ん。

送神 第六 詞は隠廟に同じ。

懿徳太子廟楽章六首 神龍初に作る

迎神 第一 姑洗宮:

甲観祥を昭し、画堂位に升る。礼群後に絶し、望儲貳に尊し。啓・誦徳を慚じ、荘・丕粹を掩ふ。伊浦鳳翔し、緱峰鶴至る。

登歌酌鬯 第二 南呂均の蕤賓羽:

誉元儲を闡き、寄せて明両を崇む。玉裕晦るれども、銅楼想ふべし。弦誦音を輟め、笙歌響を罷む。幣帛設くるを言ひ、礼容爽ふ無し。

迎俎酌献 第三 大呂羽:

雍雍たる盛典、肅肅たる霊祠。天に賓する聖有り、日に対する期無し。飄颻たる羽服、掣曳たる雲旗。言を眷みて主鬯、心乎茲に愴し。

送文舞出迎武舞入 第四 蕤賓商:

八音が協奏して金石を陳べ、六佾が分行して礼容を整う。滄溟海に赴くもなお少と称し、素月輪を開く即是れ重なり。

武舞作第五夷則角:

隋季昔雲終わり、唐年初めて聖を啓く。戎を纂へて暴を禁ぜんとし、儒を崇べて更に政を敷く。威略三辺を静め、仁恩万姓に覃う。

送神第六詞同隠廟。

節湣太子廟楽章六首景雲中に作る

迎神第一姑洗宮:

儲後望崇く、元良寄切なり。寝門是れ仰ぐべく、馳道絶えず。仙袂雲会し、霊旗電晣たり。煌煌として来たり、礼物攸に設く。

登歌酌鬯第二南呂均の蕤賓羽:

灼灼たる重明、元首を仰ぎ承く。既に賢にして且つ哲、惟れ孝と友と。惟れ孝は遥かなりと雖も、霊規朽ちず。祀は誠に因りて致し、備え潔く玄酒を奉る。

迎俎及び酌献第三大呂羽:

嘉薦典有り、至誠愆る莫し。画梁雲互し、雕俎星聯なり。楽器周列し、礼容備宣なり。依稀として在すが如く、未だ天に賓せざるが若し。

送文舞出で、迎武舞入る第四蕤賓商:

邕邕として化を闡くは文徳に憑り、赫赫として威を宣ぶるは武功に藉る。既に羽旄を執りて先ず吹を拂ひ、還た玉戚を持して更に空を揮ふ。

武舞作第五夷則角:

武徳諒に雄雄たり、由来寇戎を掃ふ。剣光揮いて電と作り、旗影列なって虹と成る。霧廓めて三辺静まり、波澄みて四海同じ。睿図今已に盛なり、相共に皇風を舞はん。

送神第六の詞は、隠太子廟と同じである。

則天大聖皇后の崇先廟楽章一首、御撰。

先人の徳は謙虚にして昔に冠たり、厳かな規矩と節操は素朴にして今を超ゆ。国に奉ずる忠誠は常に尽くし、家を承くる至孝は純粋にして深し。追崇は尊意に背くを懼れ、顕号は徽音を汚すを恐る。既に王公の屡請に迫られ、乃ち方に群心を俯して遂ぐ。限りありて由り無く敬を展ぶ、奠醑は毎に親しく斟ぐを闕く。大礼は虔かに典冊を申し、蘋藻を敬して翹襟に薦む。

褒徳廟楽章五首、神龍中に皇后韋氏の祖考のために立てしもの、詞並びに内より出づ。

迎神に『昭徳』を用う、姑洗宮二成。

道は梧宮に赫たり、悲しみは蒿裏に盈つ。爰に徽烈を暢げ、載せて嘉祀を敷く。享は四時に洽し、規は二簋を陳ぶ。霊応は昭かに格り、神其れ戾止せん。

登歌に進徳を用う、南呂均の蕤賓羽。

塗山は懿戚、媯汭は崇姻。祠筵は肇めて啓き、祭典は方に申す。礼は以て物を備え、楽は以て神を感ず。用て敦敘を隆くし、載せて彝倫を穆くす。

俎入初献に『褒徳』を用う、大呂角。

家は累仁を著し、門は積善を昭かにす。瑤篚既に列し、金縣式に展ぶ。

武舞作る。

昭昭たる竹殿開き、奕奕たる蘭宮啓く。懿範は丹掖に隆く、殊栄は硃邸に辟く。六佾は微容を薦め、三簋は芳醴を陳ぶ。万古に覃いて貽厥し、分珪は祖禰を崇ぶ。

亜献及び送神に『彰徳』を用う。

名は五嶽に隆く、秩は三台に映ず。厳祠已に備わり、睟影方に回る。