舊唐書

巻030

巻030

舊唐書

原文舊唐書

卷三十

原文卷三十

志第十 音樂三

原文志第十 音樂三

冬至祀昊天于円丘楽章八首

原文冬至祀昊天于圓丘樂章八首

降神に『豫よ和』を用う:

原文降神用《豫和》:

上霊の眷命めぐみは会昌(めでたき時)に応じ、盛徳の殷薦こまやかなるまつりは辰良(よき時)に叶う。景福降りて聖徳遠く、玄化(おおいなる教化)穆やわらぎて天暦長し。

原文上靈眷命兮膺會昌,盛德殷薦葉辰良。景福降兮聖德遠。玄化穆兮天曆長。

皇帝行に『太和』を用う:

原文皇帝行用《太和》:

穆穆(つつしみ深き)我が后きみ、道は千齢に応ず。三(天・地・人)に登り大(帝王の位)に処り、一(道)を得て貞(正)に居る。礼は唯だ徳を崇たっとび、楽は以て声を和す。百神仰止あおぎとどまる、天下文明なり。

原文穆穆我后,道應千齡。登三處大,得一居貞。禮唯崇德,樂以和聲。百神仰止,天下文明。

登歌・奠玉帛に『粛和』を用う:

原文登歌奠玉帛用《肅和》:

闓陽(ひらく太陽)気を播まき、甄耀かがやき明を垂る。赫かがやく円宰(天)有り、深仁曲くまなく成る。日は蒼璧(青い玉)に麗つき、煙は紫営(祭壇)開く。聿ここに虔享つつしみてまつるに遵したがい、式もって鴻禎(大いなるさいわい)を降す。

原文闓陽播氣,甄耀垂明。有赫圓宰,深仁曲成。日麗蒼璧,煙開紫營。聿遵虔享,式降鴻禎。

迎俎入に『雍和』を用う:

原文迎俎入用《雍和》:

欽つつしみて惟おもう大帝(天)、載すなわち皇穹(天)を仰ぐ。始めて田燭(野のたいまつ)を命じ、爰ここに郊宮を啓く。『雲門』の楽は聴くを駭おどろかし、雷鼓は空に鳴る。神其れ介祀(大いなるまつり)を介たすけ、景祚(大いなる福)斯ここに融とけん。

原文欽惟大帝,載仰皇穹。始命田燭,爰啟郊宮。《雲門》駭聽,雷鼓鳴空。神其介祀,景祚斯融。

酌献・飲福に『寿和』を用う:

原文酌獻飲福用《壽和》:

八音斯ここに奏し、三献畢ことごとく陳ぶ。宝祚(天子の位)惟だ永く、暉光かがやき日新たなり。

原文八音斯奏,三獻畢陳。寶祚惟永,暉光日新。

送文舞出・迎武舞入に『舒和』を用う:

原文送文舞出迎武舞入用《舒和》:

迭璧(かさなる玉)は皇壇の路に影を凝らし、編珠(つらなる玉)は帝郊の前に彩を流す。已に黄鐘を奏して大呂を歌い、還また宝暦に符かないて祚さいわい昌年の年を祚く。

原文迭璧凝影皇壇路,編珠流彩帝郊前。已奏黃鐘歌大呂,還符寶曆祚昌年。

武舞作用に『凱安』を用う:

原文武舞作用《凱安》:

昔し炎運終わり、中華乱れて象無し。酆郊に赤烏見え、邙山に黒雲上る。大賚下りて周車を賑わし、禁暴して殷網を開く。幽明同じく葉賛し、鼎祚天壤と斉し。

原文昔在炎運終,中華亂無象。酆郊赤烏見,邙山黑雲上。大賚下周車,禁暴開殷網。幽明同葉贊,鼎祚齊天壤。

送神に『豫和』を用う:

原文送神用《豫和》:

歌奏畢きて礼献終わり、六龍馭して神将に昇らんとす。明徳感ずるは黍稷に非ず、福降るは簡にして祚休征たり。

原文歌奏畢兮禮獻終,六龍馭兮神將升。明德感兮非黍稷,降福簡兮祚休征。

又た郊天楽章一首

原文又郊天樂章一首

太楽旧に此の辞有り、起る所詳らかならず。

原文太樂舊有此辭,不詳所起。

送神に『豫和』を用う:

原文送神用《豫和》:

蘋蘩礼著しく、黍稷誠微なり。音鳳管に盈ち、彩龍旗に駐る。洪歆式に就き、介福攸に帰す。楽を送るに闕有り、霊馭遄かに飛ぶ。

原文蘋蘩禮著,黍稷誠微。音盈鳳管,彩駐龍旗。洪歆式就,介福攸歸。送樂有闋,靈馭遄飛。

則天大聖皇后大享昊天楽章十二首御撰

原文則天大聖皇后大享昊天樂章十二首御撰

第一:

原文第一:

太陰凝りて至化を成し、貞耀軒儀に蘊む。徳邁りて娥臺敞け、仁高くして姒幄披く。天を捫りて遂に極を啓き、日を夢みて乃ち曦を昇す。

原文太陰凝至化,貞耀蘊軒儀。德邁娥臺敞,仁高姒幄披。捫天遂啟極,夢日乃升曦。

第二:

原文第二:

紫極を贍み、玄穹を望む。至懇を翹ぎょうげ、深衷を罄す。聴くこと遠しと雖も、誠必ず通ず。厚沢を垂れ、雲宮に降る。

原文贍紫極,望玄穹。翹至懇,罄深衷。聽雖遠,誠必通。垂厚澤,降雲宮。

第三:

原文第三:

乾儀混成して沖邃、天道下りて高明を済す。闓陽晨に紫闕を披き、太一暁に黄庭に降る。円壇敢えて昭報を申べ、方璧冀くは虔情を展べん。丹襟式に衷懇を敷き、玄鑒庶くは微誠を察せん。

原文乾儀混成沖邃,天道下濟高明。闓陽晨披紫闕,太一曉降黃庭。圓壇敢申昭報,方璧冀展虔情。丹襟式敷衷懇,玄鑒庶察微誠。

第四:

原文第四:

高く聳える叡智の業は広く、赫々たる聖なる基盤は隆盛である。薄徳ながら先帝の顧みを承け、禎符は微躯に集まる。銘は武岩の側に開き、図は洛川の中に薦る。微かな誠いが幽玄を感ぜしめんや、天命は忽ちとして昭かに融ける。紫極を懐いて慚じ、玄穹に謝する所なし。

原文巍巍睿業廣,赫赫聖基隆。菲德承先顧,禎符萃眇躬。銘開武岩側,圖薦洛川中。微誠詎幽感,景命忽昭融。有懷慚紫極,無以謝玄穹。

第五:

原文第五:

朝壇に霧は巻き、曙嶺に煙は沈む。爰に筐幣を設け、以て誠心を表す。筵は麗璧に輝き、楽は和音を暢ぶ。惟れ霊鑒を仰ぎ、翹襟を俯察す。

原文朝壇霧卷,曙嶺煙沉。爰設筐幣,式表誠心。筵輝麗璧,樂暢和音。仰惟靈鑒,俯察翹襟。

第六:

原文第六:

昭昭たる上帝、穆穆として下臨す。礼は物を備えて崇く、楽は金を鏘として奏す。蘭羞は薦に委ね、桂醑は斟に盈つ。敢えて明徳を希い、聿に荘心を罄く。

原文昭昭上帝,穆穆下臨。禮崇備物,樂奏鏘金。蘭羞委薦,桂醑盈斟。敢希明德,聿罄莊心。

第七:

原文第七:

鐏は九醖に浮かび、礼は三周に備わる。誠を陳べて菲奠し、福を契して神猷に合す。

原文鐏浮九醖,禮備三周。陳誠菲奠,契福神猷。

第八:

原文第八:

璧を奠めて郊壇に大礼を昭かにし、金を鏘として拊石に虔誠を表す。始めに『承雲』を奏して帝賞を娯しめ、復た『調露』を歌いて『韶英』を暢ぶ。

原文奠璧郊壇昭大禮,鏘金拊石表虔誠。始奏《承雲》娛帝賞,復歌《調露》暢《韶英》。

第九:

原文第九:

恩を荷いて顧托を承け、契を執りて恭しく臨撫す。廟略は辺荒を静め、天兵は神武を曜す。截有るは先化に資し、為無きは旧矩に遵う。禎符は昊穹より降り、大業は寰宇に光る。

原文荷恩承顧托,執契恭臨撫。廟略靜邊荒,天兵曜神武。有截資先化,無為遵舊矩。禎符降昊穹,大業光寰宇。

第十:

原文第十:

肅肅たる祀典、邕邕たる礼秩。三献已に周り、九成斯に畢る。爰に其の俎を撤し、載せて其の実を遷す。或いは升り或いは降り、唯だ誠のみ、唯だ質のみ。

原文肅肅祀典,邕邕禮秩。三獻已周,九成斯畢。爰撤其俎,載遷其實。或升或降,唯誠唯質。

第十一:

原文第十一:

礼終わりて類に肆し、楽闋けて九成す。惟れ明徳を仰ぎ、敢えて非馨を薦む。顧みて菲奠を慚じ、久しく雲軿に駐る。霊澤を瞻荷し、悚戀兼ねて盈つ。

原文禮終肆類,樂闋九成。仰惟明德,敢薦非馨。顧慚菲奠,久駐雲軿。瞻荷靈澤,悚戀兼盈。

第十二:

原文第十二:

式乾の路を開き、天の扉を開く。日の御車を回らせ、雲の衣を動かす。金闕に登り、紫微に入る。仙駕を望み、恩徽を仰ぐ。

原文式乾路,辟天扉。回日馭,動雲衣。登金闕,入紫微。望仙駕,仰恩徽。

景龍三年、中宗親しく昊天上帝を祀る楽章十首

原文景龍三年中宗親祀昊天上帝樂章十首

降神に『豫和』を用う:

原文降神用《豫和》:

天の歴数は睿唐に帰す、顧みるに惟だ菲徳にして昊蒼を欽す。吉日を選びて殷薦を表し、冀くは神鑒の闓陽を降すを。

原文天之歷數歸睿唐,顧惟菲德欽昊蒼。選吉日兮表殷薦,冀神鑒兮降闓陽。

皇帝行に『太和』を用う(圓鐘宮):

原文皇帝行用《太和》圓鐘宮:

恭しく宝位に臨み、肅しく瑤図を奉ず。常に網を解くを思い、毎に辜の泣くを軫む。徳は巢燧に慚じ、化は唐虞に劣る。我が良弼を期し、式に嘉謨を賛せんことを。

原文恭臨寶位,肅奉瑤圖。恆思解網,每軫泣辜。德慚巢燧,化劣唐虞。期我良弼,式贊嘉謨。

告謝(圓鐘宮):

原文告謝圓鐘宮:

一を得て玄澤を流し、三を通じて紫宸を御す。遠く葉う千齢の運、遐く銷く九域の塵。絶瑞駢闐として集まり、殊祥絡繹として臻る。年登りて西畝を慶し、稔歳盈囷を賀す。

原文得一流玄澤,通三御紫宸。遠葉千齡運,遐銷九域塵。絕瑞駢闐集,殊祥絡繹臻。年登慶西畝,稔歲賀盈囷。

登歌に『肅和』を用う(無射均の林鐘羽):

原文登歌用《肅和》無射均之林鐘羽:

悠なる哉、広く覆うこと、大いなる矣、曲成す。九玄象を著し、七曜明らかに甄む。珪璧是れ奠め、醖酎斯れ盈つ。楽を作して徳を崇め、爰に『咸英』を暢ぶ。

原文悠哉廣覆,大矣曲成。九玄著象,七曜甄明。珪璧是奠,醖酎斯盈。作樂崇德,爰暢《咸英》。

迎俎に『雍和』を用う(圓鐘均の黄鐘羽):

原文迎俎用《雍和》圓鐘均之黃鐘羽:

郊壇敬を展べ、厳配心に因る。孤竹の簫管、空桑の瑟琴。肅穆たる大禮、鏗鏘たる八音。恭しく惟う上帝、希くは霊歆を降さんことを。

原文郊壇展敬,嚴配因心。孤竹簫管,空桑瑟琴。肅穆大禮,鏗鏘八音。恭惟上帝,希降靈歆。

酌献に『福和』を用う(圓鐘宮):

原文酌獻用《福和》圓鐘宮:

九成爰に奏し、三献式に陳ぶ。欽んで景福を承け、恭しく明禋に托す。

原文九成爰奏,三獻式陳。欽承景福,恭托明禋。

中宮が助祭として壇に昇るには函鐘宮を用いる。

原文中宮助祭升壇用函鐘宮:

坤元は至徳を光らせ、柔訓は皇風を闡く。《芣苡》の芳聲遠く、《螽斯》の美化隆し。睿範は千載を超え、嘉猷は六宮に備わる。肅恭として盛典に陪し、欽若して禋宗を薦む。

原文坤元光至德,柔訓闡皇風。《芣苡》芳聲遠,《螽斯》美化隆。睿範超千載,嘉猷備六宮。肅恭陪盛典,欽若薦禋宗。

亞獻には函鐘宮を用いる。

原文亞獻用函鐘宮:

三霊降りて饗い、三后神に配す。虔しく藻奠を敷き、敬しく郊禋を展ぶ。

原文三靈降饗,三后配神。虔敷藻奠,敬展郊禋。

文舞を送り出し武舞を迎え入れるには《舒和》を用いる。圓鐘均の中呂商。

原文送文舞出迎武舞入用《舒和》圓鐘均之中呂商:

既に粢盛を陳べて厳祀を敷き、更に笙鏞を奏して雅聲に協う。璿図宝曆欣びて甯謐、晏俗淳風太平を楽しむ。

原文已陳粢盛敷嚴祀,更奏笙鏞協雅聲。璿圖寶曆欣甯謐,晏俗淳風樂太平。

武舞の作用には《凱安》を用いる。圓鐘均の無射徴。

原文武舞作用《凱安》圓鐘均之無射徵:

堂堂たる聖祖興り、赫赫たる昌基泰し。戎車盟津に偃び、玉帛塗山に会す。舜日祥暉を啓き、堯雲征旆を巻く。風猷有截に被り、声教無外に覃く。

原文堂堂聖祖興,赫赫昌基泰。戎車盟津偃,玉帛塗山會。舜日啟祥暉,堯雲卷征旆。風猷被有截,聲教覃無外。

開元十一年、玄宗、昊天を円丘に祀る楽章十一首

原文開元十一年玄宗祀昊天于圓丘樂章十一首

降神には《豫和》を用いる。圓鐘宮三成、黄鐘角一成、太簇徴一成、姑洗羽一成、已上六変の詞同じ。

原文降神用《豫和》圓鐘宮三成,黃鐘角一成,太簇徵一成,姑洗羽一成,已上六變詞同。

至りたり丕構、蒸なるかな太平。犠を授け籙を膺け、禹を復して明を継ぐ。草木仁化、《鳧鷖》頌聲。宗を祀り徳を陳べ、斯の誠に愧じず。

原文至矣丕構,蒸哉太平。授犧膺籙,復禹繼明。草木仁化,《鳧鷖》頌聲。祀宗陳德,無愧斯誠。

迎神には《歆和》を用いる。

原文迎神用《歆和》:

崇禋已に備わり、粢盛聿に修まる。潔誠斯に展べ、鐘石方に遒し。

原文崇禋已備,粢盛聿修。潔誠斯展,鐘石方遒。

皇祖光皇帝の室、酌献には《長發》を用いる。黄鐘宮。詞は貞観の《長發》と同じ。

原文皇祖光皇帝室酌獻用《長發》黃鐘宮。詞同貞觀《長發》。

太祖景皇帝の室、酌献には《大基》を用いる。太簇宮。詞は貞観の《大基》と同じ。

原文太祖景皇帝室酌獻用《大基》太簇宮。詞同貞觀《大基》。

代祖元皇帝の室に酌献するには『大成』(姑洗宮)を用いる。詞は貞観の『大成』と同じ。

原文代祖元皇帝室酌獻用《大成》姑洗宮。詞同貞觀《大成》。

高祖こうそ神堯皇帝の室に酌献するには『大明』(蕤賓宮)を用いる。詞は貞観の『大明』と同じ。

原文高祖神堯皇帝室酌獻用《大明》蕤賓宮。詞同貞觀《大明》。

太宗文武聖皇帝の室に酌献するには『崇德』(夷則宮)を用いる。詞は貞観の『崇德』と同じ。

原文太宗文武聖皇帝室酌獻用《崇德》夷則宮。詞同貞觀《崇德》。

高宗天皇大帝の室に酌献するには『鈞天』(黄鐘宮)を用いる。詞は光宅の鈞天と同じ。

原文高宗天皇大帝室酌獻用《鈞天》黃鐘宮。詞同光宅鈞天。

義宗孝敬皇帝の室に酌献するには『承光』(黄鐘宮)を用いる。

原文義宗孝敬皇帝室酌獻用《承光》黃鐘宮:

金の相は載せて穆、玉の裕ゆたかさは重ねて輝く。徳を清禁に養い、光を紫微に承うく。乾宮は色を候うかがい、震象は威を増す。国を監みること方に永く、天に賓したがいて帰らず。孝友は衷より出で、温文は性と与ともにす。龍楼正しく啓き、鶴駕斯ここに挙がる。丹扆たんいは念を流し、鴻名は式に序す。中興して室を考つくり、永く彝俎いそを陳ず。

原文金相載穆,玉裕重暉。養德清禁,承光紫微。乾宮候色,震象增威。監國方永,賓天不歸。孝友自衷,溫文性與。龍樓正啟,鶴駕斯舉。丹扆流念,鴻名式序。中興考室,永陳彝俎。

皇帝が福を飲むには『延和』(黄鐘宮)を用いる。

原文皇帝飲福用《延和》黃鐘宮:

巍巍たる累聖、穆穆たる重光。区夏を奄有し、祚い隆唐を啓く。百蛮は沢を飲み、万国は来王す。本枝億載、鼎祚ていそは逾いよいよ長し。

原文巍巍累聖,穆穆重光。奄有區夏,祚啟隆唐。百蠻飲澤,萬國來王。本枝億載,鼎祚逾長。

皇帝が行くには『太和』を用いる。

原文皇帝行用《太和》:

郊壇に帝を斉ととのえ、礼楽をもって天に祠る。丹青は寰宇、宮徴きゅうちは山川。神祇畢ことごとく降り、行止重ねて旋めぐる。融融穆穆、祉さいわいを納れて洪ひろく延ぶ。

原文郊壇齊帝,禮樂祠天。丹青寰宇,宮徵山川。神祇畢降,行止重旋。融融穆穆,納祉洪延。

登歌し玉帛を奠ささぐには『肅和』を用いる。

原文登歌奠玉帛用《肅和》:

奏を止めて潜かに聴き、儀に登りて宿つねに転ず。大玉躬みずから奉じ、参鐘首はじめて奠む。簠簋ふき聿めて升り、犠牲ぎせい遞たがいに薦む。事を昭あきらかにすること顒若ぎょうじゃくとして、存存として伣あらわす。

原文止奏潛聆,登儀宿轉。大玉躬奉,參鐘首奠。簠簋聿升,犧牲遞薦。昭事顒若,存存以伣。

俎を迎え入れるには『雍和』を用いる。

原文迎俎入用《雍和》:

爛雲普く洽あまねく、律風外無し。千品其れ凝り、九賓斯ここに会す。禋樽いんそん燭を晋すすめ、純犠じゅんぎ滌汰じょうたいす。玄覆げんぷく広く攸ところに、鴻休こうきゅう汪濊おうかいたり。

原文爛雲普洽,律風無外。千品其凝,九賓斯會。禋樽晉燭,純犧滌汰。玄覆攸廣,鴻休汪濊。

皇帝が天神に酌献するには『壽和』を用いる。

原文皇帝酌獻天神用《壽和》:

六変が終わり、八階にて謹んで祭る。我が皇祚を祐け、万世に至らん。

原文六變爰闋,八階載虔。祐我皇祚,于萬斯年。

酌献配座に用いる『寿和』:

原文酌獻配座用《壽和》:

ああ赫々たる聖祖、晋陽より龍飛す。万国を底定し、四方を奄有す。功は上下に格り、道は農黄に冠たり。郊天に配享し、徳は無疆に合す。

原文于赫聖祖,龍飛晉陽。底定萬國,奄有四方。功格上下,道冠農黃。郊天配享,德合無疆。

飲福酒に用いる『寿和』:

原文飲福酒用《壽和》:

崇崇たる太畤、粛粛たる厳禋。粢盛既に潔く、金石畢く陳ぶ。上帝来り享し、介福爰に臻る。厘を受け福を合し、宝祚惟れ新たなり。

原文崇崇太畤,肅肅嚴禋。粢盛既潔,金石畢陳。上帝來享,介福爰臻。受厘合福,寶祚惟新。

文舞を送り出で武舞を迎え入るるに用いる『舒和』:

原文送文舞出迎武舞入用《舒和》:

祝史正辞し、人神慶び葉う。福は徳を以て昭らかにし、享は誠を以て接す。六変雲の如く備わり、百礼斯に浹る。祀事孔明にして、祚は万葉に流る。

原文祝史正辭,人神慶葉。福以德昭,享以誠接。六變雲備,百禮斯浹。祀事孔明,祚流萬葉。

武舞に用いる『凱安』:

原文武舞用《凱安》:

馨香は惟れ后の徳、明命は天保を光らす。粛和は聖霊を崇め、陳信は皇道を表す。玉鏚初めて蹈厲し、金匏既に静好なり。

原文馨香惟后德,明命光天保。肅和崇聖靈,陳信表皇道。玉鏚初蹈厲,金匏既靜好。

礼畢し神を送るに用いる『豫和』:

原文禮畢送神用《豫和》:

大号命を成し、『思文』天に配す。神光肸蚃し、龍駕言旋す。眇眇たる閶闔、昭昭たる上玄。昌えて大ならしめ、万世に至らん。

原文大號成命,《思文》配天。神光肸蚃,龍駕言旋。眇眇閶闔,昭昭上玄。俾昌而大,于萬斯年。

皇帝大次に還るに用いる『太和』:

原文皇帝還大次用《太和》:

六成既に闋け、三薦雲の如く終わる。神心具に醉ひ、聖敬愈よ崇し。厘を皇邸に受け、蹕を帷宮に回す。穰穰たる福、永永として窮きこと無し。

原文六成既闋,三薦雲終。神心具醉,聖敬愈崇。受厘皇邸,回蹕帷宮。穰穰之福,永永無窮。

玄宗開元十三年、泰山に封じて天を祀る楽章十四首

原文玄宗開元十三年封泰山祀天樂章十四首

中書令燕国公張説の作、今行用す。

原文中書令燕國公張說作,今行用。

降神に用いる『豫和』六変、夾鐘宮の第一:

原文降神用《豫和》六變夾鐘宮之一:

泰壇に款うやまい、泰清を柴やく。天命を受け、天の成せいを報ず。皇心を竦つつしみ、楽声を薦たてまつる。志は上に達し、歌は下に迎う。

原文款泰壇,柴泰清。受天命,報天成。竦皇心,薦樂聲。志上達,歌下迎。

夾鐘宮の第二:

原文夾鐘宮之二:

上帝を億おもい、下庭に臨む。日月に騎し、列星に陪ともなう。嘉祝は信まことに、大糦たいしは馨かおる。神心を澹やすらげ、皇霊を酔よろこばす。

原文億上帝,臨下庭。騎日月,陪列星。嘉祝信,大糦馨。澹神心,醉皇靈。

夾鐘宮の第三:

原文夾鐘宮之三:

百辟ひゃくへきを相たすけ、八荒に貢ぐ。九歌は敘のべ、万舞は翔かける。振振しんしんとして肅つつしみ、皇皇こうこうとして鏘そうたる。帝は欣欣きんきんとし、福は穰穰じょうじょうたり。

原文相百辟,貢八荒。九歌敘,萬舞翔。肅振振,鏘皇皇。帝欣欣,福穰穰。

黄鐘宮:

原文黃鐘宮:

高く上に在り、道は光明なり。物は始めを資とり、徳は名づけ難し。眷命を承け、蒼生そうせいを牧つかさどる。寰宇かんうは謐しずまり、太階たいかいは平らかなり。

原文高在上,道光明。物資始,德難名。承眷命,牧蒼生。寰宇謐,太階平。

太簇徴:

原文太簇徵:

天道は親無し、至誠と鄰ともにす。山川に禮を偏あまねくし、宮徴は惟れ新たなり。玉帛は盛んなるに非ず、聰明そうめいは貞ただしきに會す。正に斯の一徳、百神に通ず。

原文天道無親,至誠與鄰。山川偏禮,宮徵惟新。玉帛非盛,聰明會貞。正斯一德,通乎百神。

姑洗羽:

原文姑洗羽:

帝を饗きょうし親を饗す、維これ孝維これ聖なり。懿徳いとくを緝熙しゅうきし、成命せいめいを敷揚ふようす。華夷の志は同じ、笙鏞しょうようの禮は盛ん。明霊降り止とどまり、此の誠敬に感ず。

原文饗帝饗親,維孝維聖。緝熙懿德,敷揚成命。華夷志同,笙鏞禮盛。明靈降止,感此誠敬。

皇帝を迎え送るに用いる『太和』:

原文迎送皇帝用《太和》:

孝敬は中より発し、和容は外に彰あきらかなり。華を騰あげて宇うつくしを照らす、太陽の升のぼるが如し。貞璧ていへき就ついて奠し、玄霊げんれい光を垂る。禮楽具そなわって挙がり、濟濟せいせいとして洋洋ようようたり。

原文孝敬中發,和容外彰。騰華照宇,如升太陽。貞璧就奠,玄靈垂光。禮樂具舉,濟濟洋洋。

登歌し玉帛を奠するに用いる『肅和』羽調:

原文登歌奠玉帛用《肅和》羽調:

祖を奠めて天に配し、天を承けて帝を享く。百霊ことごとく秩あり、四海より来たりて祭る。我が蒼璧を植え、我が玄制を布く。華日徘徊し、神霊容裔たり。

原文奠祖配天,承天享帝。百靈咸秩,四海來祭。植我蒼璧,布我玄制。華日徘徊,神靈容裔。

迎俎入に『雍和』を用う:

原文迎俎入用《雍和》:

俎豆に馝あり、潔粢豊盛なり。亦た和羹あり、既に戒め既に平らかなり。鼓鐘管磬、肅として唱え和らぎ鳴る。皇皇后たる祖、我に思成を賚う。

原文俎豆有馝,潔粢豐盛。亦有和羹,既戒既平。鼓鐘管磬,肅唱和鳴。皇皇后祖,賚我思成。

酌献に『壽和』黄鐘宮調を用う:

原文酌獻用《壽和》黃鐘宮調:

蒸蒸たる我が后、享献は惟だ夤なり。躬ら鬱鬯を酌み、跪きて明神に奠む。孝は配上帝を以て親しむに若くは莫く、敬は天下を教えて臣たらしむるに若くは莫し。

原文蒸蒸我后,享獻惟夤。躬酌鬱鬯,跪奠明神。孝莫孝乎配上帝以親,敬莫敬乎教天下為臣。

皇帝飲福に『壽和』を用う:

原文皇帝飲福用《壽和》:

皇祖厳配、皇天に配享す。皇皇として降嘏あり、天子萬年。

原文皇祖嚴配,配享皇天。皇皇降嘏,天子萬年。

文舞を送り出で武舞を迎え入るるに『舒和』商調を用う:

原文送文舞出迎武舞入用《舒和》商調:

六鐘翕協して六変成り、八佾倘佯して八風生ず。楽『九韶』にして人神感ず、美『七德』にして天地清し。

原文六鐘翕協六變成,八佾倘佯八風生。樂《九韶》兮人神感,美《七德》兮天地清。

終献・亜献に『凱安』を用う:

原文終獻亞獻用《凱安》:

列祖三霊に順い、文宗四海を威す。黄鉞群盗を誅し、朱旗多罪を掃う。兵を戢えて天下安んじ、法を約して人心改まる。大なるかな幹羽の意、長く風雲の在るを見ん。

原文列祖順三靈,文宗威四海。黃鉞誅群盜,朱旗掃多罪。戢兵天下安,約法人心改。大哉幹羽意,長見風雲在。

送神に『豫和』夾鐘宮調を用う:

原文送神用《豫和》夾鐘宮調:

礼楽終わり、煙燎上る。霊恵を懐い、皇想を結ぶ。帰風疾く、回風爽やかなり。百福来たり、衆神往く。

原文禮樂終,煙燎上。懷靈惠,結皇想。歸風疾,回風爽。百福來,眾神往。

正月上辛、南郊に於いて穀を祈る楽章八首

原文正月上辛祈穀于南郊樂章八首

貞観中、褚亮の作、今行用う。

原文貞觀中褚亮作,今行用。

降神には『豫和』を用いる。詞は冬至の円丘と同じ。

原文降神用《豫和》詞同冬至圓丘。

皇帝行には『太和』を用いる。詞は冬至の円丘と同じ。

原文皇帝行用《太和》詞同冬至圓丘。

登歌し玉帛を奠めるには『肅和』を用いる。『貞觀禮』では、感帝を祀るにこの詞を用い、顕慶以後は、詞は冬至の円丘と同じ。

原文登歌奠玉帛用《肅和》《貞觀禮》,祀感帝用此詞,顯慶已後,詞同冬至圓丘。

艮(東北)を履むに斯の繩(法)に従い、中に居りて體正し。龍運は祉を垂れ、符を昭かにして聖を啓く。事を式って嚴禋し、聿に嘉慶を懷う。惟れ帝は永く錫たまい、時に皇の休命たれ。

原文履艮斯繩,居中體正。龍運垂祉,昭符啟聖。式事嚴禋,聿懷嘉慶。惟帝永錫,時皇休命。

迎俎には『雍和』を用いる。

原文迎俎用《雍和》:

殷(盛)に薦むるに春に乘じ、太壇は曙に臨む。八簋は和に盈ち、六瑚は御に登る。嘉稷は歆うけず、德馨は斯に飫あく。祝嘏は易かえず、靈心は豫ぶ。

原文殷薦乘春,太壇臨曙。八簋盈和,六瑚登御。嘉稷匪歆,德馨斯飫。祝嘏無易,靈心有豫。

皇帝酌獻し飲福酒には『壽和』を用いる。詞は冬至の円丘と同じ。

原文皇帝酌獻飲福酒用《壽和》詞同冬至圓丘。

文舞を送り出し武舞を迎え入れるには『舒和』を用いる。

原文送文舞出迎武舞入用《舒和》:

玉帛犧牲を申し敬享し、金絲戚羽は音容を盛んにす。庶こいねがわくは億齡をして景福を禔やすんじ、長く萬宇の時邕やわらぐを欣よろこばしめん。

原文玉帛犧牲申敬享,金絲戚羽盛音容。庶俾億齡禔景福,長欣萬宇洽時邕。

武舞には『凱安』を用いる。詞は冬至の円丘と同じ。

原文武舞用《凱安》詞同冬至圓丘。

送神には『豫和』を用いる。詞は冬至の円丘と同じ。

原文送神用《豫和》詞同冬至圓丘。

季秋、上帝を明堂に享する樂章八首

原文季秋享上帝于明堂樂章八首

貞觀年中、褚亮等の作。今、行用す。

原文貞觀中褚亮等作,今行用。

降神には『豫和』を用いる。詞は冬至の円丘と同じ。

原文降神用《豫和》詞同冬至圓丘。

皇帝行には『太和』を用いる。詞は冬至の円丘と同じ。

原文皇帝行用《太和》詞同冬至圓丘。

登歌、玉帛を奠するに『肅和』を用ふ。

原文登歌奠玉帛用《肅和》:

天に象り宇を御し、時に乗じて政を布く。嚴配して虔を申べ、宗禋して敬を展ぶ。樽罍盈ちて列なり、樹羽交はりて映ず。玉幣誠を通じ、祚皇聖に隆し。

原文象天御宇,乘時布政。嚴配申虔,宗禋展敬。樽罍盈列,樹羽交映。玉幣通誠,祚隆皇聖。

俎を迎ふるに『雍和』を用ふ。

原文迎俎用《雍和》:

八牖晨に披き、五精朝に奠す。霧璿篚に凝り、風金縣に清し。神滌備はり全く、明粢豐かに衍る。載せて彝俎を結び、誠を陳べて以て薦む。

原文八牖晨披,五精朝奠。霧凝璿篚,風清金縣。神滌備全,明粢豐衍。載結彝俎,陳誠以薦。

皇帝酌獻・飲福に用ふるに『壽和』を用ふ。詞は冬至圓丘と同じ。

原文皇帝酌獻飲福用《壽和》詞同冬至圓丘。

文舞を送り出で武舞を迎へ入るるに『舒和』を用ふ。

原文送文舞出迎武舞入用《舒和》:

御扆宮に合ひ寶曆を承け、席圖館を重ね明靈に奉ず。武を偃げ文を修めて九圍泰し、烽を沈め柝を靜めて八荒寧し。

原文御扆合宮承寶曆,席圖重館奉明靈。偃武修文九圍泰,沉烽靜柝八荒寧。

武舞に用ふるに『凱安』を用ふ。詞は冬至圓丘と同じ。

原文武舞用《凱安》詞同冬至圓丘。

神を送るに『豫和』を用ふ。詞は冬至圓丘と同じ。

原文送神用《豫和》詞同冬至圓丘。

則天大聖皇后、明堂に享する樂章十二首(御撰)

原文則天大聖皇后享明堂樂章十二首御撰

外辦將に出づ。

原文外辦將出:

總章昔典を陳べ、衢室禮惟神なり。規則を天地に巨集し、神用陶鈞に葉ふ。扆を負ふ三春の旦、庭に充つ萬宇の賓。顧みるに己誠に虛薄にして、空しく兆人を馭ふるを慚づ。

原文總章陳昔典,衢室禮惟神。巨集規則天地,神用葉陶鈞。負扆三春旦,充庭萬宇賓。顧己誠虛薄,空慚馭兆人。

皇帝行に黃鐘宮を用ふ。

原文皇帝行用黃鐘宮:

歷數を仰ぎ膺け、謳歌に俯して順ふ。遠く安んじ邇く肅し、俗阜み時和す。化玉鏡に光り、訟金科に息む。方に典禮を興し、永く干戈を戢む。

原文仰膺歷數,俯順謳歌。遠安邇肅,俗阜時和。化光玉鏡,訟息金科。方興典禮,永戢干戈。

皇嗣出入陞降。

原文皇嗣出入陞降:

至人は俗を光らし、大孝は神に通ず。謙は以て性を表し、恭は惟れ身を立つ。洪規載せて啓き、茂典方に陳ぶ。誉れは三善に隆く、祥は万春を開く。

原文至人光俗,大孝通神。謙以表性,恭惟立身。洪規載啟,茂典方陳。譽隆三善,祥開萬春。

迎送王公:

原文迎送王公:

千官は事を粛め、万国は宗に朝す。百辟を載せて延べ、爰に三宮に集う。君臣得て合し、魚水斯に同じ。睿図方に永く、周歴長く隆し。

原文千官肅事,萬國朝宗。載延百辟,爰集三宮。君臣得合,魚水斯同。睿圖方永,周曆長隆。

登歌大呂均無射羽:

原文登歌大呂均無射羽:

礼は宗祀を崇び、志は厳禋を表す。笙鏞合奏し、文物惟れ新たなり。茂典を敬いて遵い、敢えて良辰を択ぶ。潔誠斯に著り、奠謁方に申ぶ。

原文禮崇宗祀,志表嚴禋。笙鏞合奏,文物惟新。敬遵茂典,敢擇良辰。潔誠斯著,奠謁方申。

配饗:

原文配饗:

笙鏞は玉に間鳴し、文物は清暉に昭らかなり。粹影は芳奠に臨み、休光は太微に下る。孝思は感有るを期し、明潔は庶に違うこと無からん。

原文笙鏞間鳴玉,文物昭清暉。粹影臨芳奠,休光下太微。孝思期有感,明潔庶無違。

宮音:

原文宮音:

艮を履みて群望を苞み、中に居て百霊に冠たる。万方は広運に資り、庶品は裁成に荷う。神功諒に測るべからず、盛徳実に名づけ難し。藻奠は誠敬を申べ、恭祀は惟馨を表す。

原文履艮苞群望,居中冠百靈。萬方資廣運,庶品荷裁成。神功諒匪測,盛德實難名。藻奠申誠敬,恭祀表惟馨。

角音:

原文角音:

震位を出で、平秩を開く。条風を扇ぎ、甲乙に乗ず。龍徳盛んにして、鳥星出づ。珪篚を薦め、誠実を陳ぶ。

原文出震位,開平秩。扇條風,乘甲乙。龍德盛,鳥星出。薦珪篚,陳誠實。

徵音:

原文徵音:

赫赫たる離精は炎陸を禦し、滔滔たる熾景は隆暑を開く。神鑒の蘭樽に俯するを冀い延べ、式に虔襟を表して桂俎を陳ぶ。

原文赫赫離精禦炎陸,滔滔熾景開隆暑。冀延神鑒俯蘭樽,式表虔襟陳桂俎。

商音:

原文商音:

律は夷則に中り、序は収成に応ず。功は建武に宣べ、儀表は惟れ明らかなり。爰に礼奠を申べ、庶に翹誠を展ぶ。九秋是れ式と為し、百穀斯に盈つ。

原文律中夷則,序應收成。功宣建武,儀錶惟明。爰申禮奠,庶展翹誠。九秋是式,百穀斯盈。

羽音:

原文羽音:

葭律は肇めて隆冬を啓き、蘋藻は攸として陳ねて饗祭す。黄鐘既に玉燭を陳ね、紅粒方に殷にして稔歳なり。

原文葭律肇啟隆冬,蘋藻攸陳饗祭。黃鐘既陳玉燭,紅粒方殷稔歲。

孟夏雩祀上帝于南郊楽章八首

原文孟夏雩祀上帝于南郊樂章八首

貞観中、褚亮等作る。今行用す。

原文貞觀中褚亮等作,今行用。

降神に『豫和』を用う。詞は冬至円丘に同じ。

原文降神用《豫和》詞同冬至圓丘。

皇帝行に『太和』を用う。詞は冬至円丘に同じ。

原文皇帝行用《太和》詞同冬至圓丘。

登歌・奠玉帛に『肅和』を用う:

原文登歌奠玉帛用《肅和》:

朱鳥辰を開き、蒼龍映を啓く。大帝昭かに饗し、群生敬を展ぶ。礼備りて柔を懐し、功宣べて舞詠す。旬液序に応じ、年祥慶に葉う。

原文朱鳥開辰,蒼龍啟映。大帝昭饗,群生展敬。禮備懷柔,功宣舞詠。旬液應序,年祥葉慶。

迎俎に『雍和』を用う:

原文迎俎用《雍和》:

紺筵彩を分かち、瑤図絢に葉う。風管晨に凝り、雲歌曉に囀る。蘋藻を事として肅し、桂奠を申して虔し。百谷斯に登り、萬箱攸として薦む。

原文紺筵分彩,瑤圖葉絢。風管晨凝,雲歌曉囀。肅事蘋藻,虔申桂奠。百谷斯登,萬箱攸薦。

皇帝酌献・飲福酒に『寿和』を用う。詞は冬至円丘に同じ。

原文皇帝酌獻飲福酒用《壽和》詞同冬至圓丘。

文舞を送り出で武舞を迎え入るるに『舒和』を用う:

原文送文舞出迎武舞入用《舒和》:

鳳曲登歌令序を調し、龍雩集舞祥風に泛ぶ。彩旞雲回りて睿徳を昭かにし、朱幹電発して神功を表す。

原文鳳曲登歌調令序,龍雩集舞泛祥風。彩旞雲回昭睿德,朱幹電發表神功。

武舞に『凱安』を用う。詞は冬至円丘に同じ。

原文武舞用《凱安》詞同冬至圓丘。

送神に『豫和』を用う。詞は冬至円丘に同じ。

原文送神用《豫和》詞同冬至圓丘。

また雩祀の楽章二首

原文又雩祀樂章二首

太楽には旧来この詞あり、その起こり詳らかならず、或いは開元の初めに造ると云ふ。

原文太樂舊有此詞,不詳所起,或云開元初造。

降神に『豫和』を用ふ:

原文降神用《豫和》:

鳥緯は序を遷し、龍星は辰に見ゆ。純陽は律に在り、明徳は禋を崇ぶ。五方は帝を降し、万宇は人を安んず。恭しくして以て享を致し、粛として以て神を迎ふ。

原文鳥緯遷序,龍星見辰。純陽在律,明德崇禋。五方降帝,萬宇安人。恭以致享,肅以迎神。

送神に『豫和』を用ふ:

原文送神用《豫和》:

祀は経に遵ひて設け、享は誠に縁りて挙ぐ。献は樽に於いて畢り、撤は俎に臨む。舞は干戚に止み、楽は柷敔に停まる。歌を以て神を送り、神は其の所に還る。

原文祀遵經設,享緣誠舉。獻畢於樽,撤臨於俎。舞止干戚,樂停柷敔。歌以送神,神還其所。

五方上帝を五郊に祀る楽章四十首

原文祀五方上帝于五郊樂章四十首

貞観中、魏徴等の作、今行用ふ。

原文貞觀中魏徵等作,今行用。

黄帝を祀り降神に宮音を奏す:

原文祀黃帝降神奏宮音:

黄中正位し、章を含み貞に居る。既に六律を彰かにし、兼ねて五声を和す。万舞を畢く陳ね、乃ち斯の牲を薦む。神其れ下降し、永く休平を祚せよ。

原文黃中正位,含章居貞。既彰六律,兼和五聲。畢陳萬舞,乃薦斯牲。神其下降,永祚休平。

皇帝行に『太和』を用ふ、詞は冬至円丘と同じ。

原文皇帝行用《太和》詞同冬至圓丘。

登歌し玉帛を奠むるに『肅和』を用ふ:

原文登歌奠玉帛用《肅和》:

渺渺たる方輿、蒼蒼たる円蓋。至れるかな樞紐、中に宅して大を図る。気は四序を調へ、風は万籟を和す。我が明徳を祚し、時に雍ぎ道泰かな。

原文渺渺方輿,蒼蒼圓蓋。至哉樞紐,宅中圖大。氣調四序,風和萬籟。祚我明德,時雍道泰。

俎を迎ふるに『雍和』を用ふ:

原文迎俎用《雍和》:

金縣は夕に肆し、玉俎は朝に陳ぶ。饗は黄道に薦め、芬は紫辰に流る。乃ち誠なり乃ち敬し、載せて享し載せて禋す。崇薦は斯に在り、惟皇是れ賓たる。

原文金縣夕肆,玉俎朝陳。饗薦黃道,芬流紫辰。乃誠乃敬,載享載禋。崇薦斯在,惟皇是賓。

皇帝が酌を献じ福酒を飲むには『寿和』を用いる。詞は冬至の円丘と同じ。

原文皇帝酌獻飲福用《壽和》詞同冬至圓丘。

文舞を送り出し武舞を迎え入れるには『舒和』を用いる。

原文送文舞出迎武舞入用《舒和》:

御征の乗輿は宮を出で郊甸に至り、安歌と率舞は次第に将迎す。自ら『雲門』有りて帝の賞に符し、猶雷鼓を把りて天成に答う。

原文御征乘宮出郊甸,安歌率舞遞將迎。自有《雲門》符帝賞,猶持雷鼓答天成。

武舞には『凱安』を用いる。詞は冬至の円丘と同じ。

原文武舞用《凱安》詞同冬至圓丘。

神を送るには『豫和』を用いる。詞は冬至の円丘と同じ。

原文送神用《豫和》詞同冬至圓丘。

青帝を祀り神を降すには角音を用いる。

原文祀青帝降神用角音:

鶴雲は旦に起こり、鳥星は昏に集まる。律候は新風、陽は初蟄を開く。至徳は饗すべく、行潦を斯に挹ぐ。無疆を錫い、蒸人は乃ち粒す。

原文鶴雲旦起,鳥星昏集。律候新風,陽開初蟄。至德可饗,行潦斯挹。錫以無疆,蒸人乃粒。

皇帝の行進には『太和』を用いる。詞は冬至の円丘と同じ。

原文皇帝行用《太和》詞同冬至圓丘。

登歌し玉帛を奠めるには『肅和』を用いる。

原文登歌奠玉帛用《肅和》:

玄鳥は春を司り、蒼龍は歳に登る。節物は柳を変じ、光風は蕙を転ず。瑤席は神を降し、朱弦は帝を饗す。誠は祝嘏に備わり、礼は珪幣に殫る。

原文玄鳥司春,蒼龍登歲。節物變柳,光風轉蕙。瑤席降神,朱弦饗帝。誠備祝嘏,禮殫珪幣。

俎を迎えるには『雍和』を用いる。

原文迎俎用《雍和》:

大楽は音稀く、至誠は礼簡なり。文物は斯に建ち、声名は済々たり。六変にして成ること有り、三登にして体無し。乃ち豊潔を眷み、恩は愷悌に覃る。

原文大樂稀音,至誠簡禮。文物斯建,聲名濟濟。六變有成,三登無體。乃眷豐潔,恩覃愷悌。

皇帝が酌を献じ福酒を飲むには『寿和』を用いる。詞は冬至の円丘と同じ。

原文皇帝酌獻飲福用《壽和》詞同冬至圓丘。

文舞を送り出し武舞を迎え入れるには『舒和』を用いる。

原文送文舞出迎武舞入用《舒和》:

笙歌龠舞は年韶に属し、鷺鼓鳧鐘は時豫を展ぶ。調露は初めて綺春節を迎え、承雲は遽かに蒼霄の馭を践む。

原文笙歌龠舞屬年韶,鷺鼓鳧鐘展時豫。調露初迎綺春節,承雲遽踐蒼霄馭。

武舞には『凱安』を用い、詞は冬至の円丘と同じ。

原文武舞用《凱安》詞同冬至圓丘。

送神には『豫和』を用い、詞は冬至の円丘と同じ。

原文送神用《豫和》詞同冬至圓丘。

赤帝を祀り、降神には徴音を用いる:

原文祀赤帝降神用徵音:

青陽は告謝し、朱明は序を戒む。延長を是に祈り、敬って椒醑を陳ぶ。博碩を斯に薦め、笙鏞備挙ぐ。庶幾くは肅恭を尽くさん、馨しきは稷黍に非ず。

原文青陽告謝,朱明戒序。延長是祈,敬陳椒醑。博碩斯薦,笙鏞備舉。庶盡肅恭,非馨稷黍。

皇帝行には『太和』を用い、詞は冬至の円丘と同じ。

原文皇帝行用《太和》詞同冬至圓丘。

登歌し玉帛を奠むるには『肅和』を用いる:

原文登歌奠玉帛用《肅和》:

離位克く明らかに、火中宵に見ゆ。峰雲暮に起り、景風晨に扇ぐ。木槿初めて栄え、含桃薦むべし。芬馥たる百品、鏗鏘たる三変。

原文離位克明,火中宵見。峰雲暮起,景風晨扇。木槿初榮,含桃可薦。芬馥百品,鏗鏘三變。

俎を迎えるには『雍和』を用いる:

原文迎俎用《雍和》:

昭昭たる丹陸、奕奕たる炎方。礼は牲幣を陳べ、楽は篪簧を備う。瓊羞俎に溢れ、玉醑觴に浮ぶ。恭しく惟れ正直、此の馨香を歆け。

原文昭昭丹陸,奕奕炎方。禮陳牲幣,樂備篪簧。瓊羞溢俎,玉醑浮觴。恭惟正直,歆此馨香。

皇帝酌献し飲福するには『壽和』を用い、詞は冬至の円丘と同じ。

原文皇帝酌獻飲福用《壽和》詞同冬至圓丘。

文舞を送り出で武舞を迎え入れるには『舒和』を用いる:

原文送文舞出迎武舞入用《舒和》:

千里の温風絳羽を飄かし、十枚の炎景朱幹に勝る。觴を陳べ俎を薦めて三献を歌い、石を拊ち金を摐ちて七盤に会す。

原文千里溫風飄絳羽,十枚炎景勝朱幹。陳觴薦俎歌三獻,拊石摐金會七盤。

武舞には『凱安』を用い、詞は冬至の円丘と同じ。

原文武舞用《凱安》詞同冬至圓丘。

送神には『豫和』を用い、詞は冬至の円丘と同じ。

原文送神用《豫和》詞同冬至圓丘。

白帝を祀り、降神には商音を用いる:

原文祀白帝降神用商音:

白蔵の節に応じ、天は高く気は清し。歳功既に阜く、庶類収成す。万方静謐、九土平和なり。馨香是を薦め、祚を受くるは聡明なり。

原文白藏應節,天高氣清。歲功既阜,庶類收成。萬方靜謐,九土和平。馨香是薦,受祚聰明。

皇帝行に『太和』を用う。詞は冬至円丘に同じ。

原文皇帝行用《太和》詞同冬至圓丘。

登歌奠玉帛に『肅和』を用う:

原文登歌奠玉帛用《肅和》:

金行節に在り、素霊正に居る。気は肅として霜厳しく、林は凋み草は勁し。豺祭り隼撃ち、潦収まり川鏡の如し。九穀既に登り、万箱詠を流す。

原文金行在節,素靈居正。氣肅霜嚴,林凋草勁。豺祭隼擊,潦收川鏡。九谷已登,萬箱流詠。

迎俎に『雍和』を用う:

原文迎俎用《雍和》:

律は西成に応じ、気は南呂に躔す。珪幣咸しく列し、笙竽備わって挙がる。苾苾たる蘭羞、芬芬たる桂醑。式に宴貺を資け、以て霜序を調う。

原文律應西成,氣躔南呂。珪幣咸列,笙竽備舉。苾苾蘭羞,芬芬桂醑。式資宴貺,用調霜序。

皇帝酌献飲福に『壽和』を用う。詞は冬至円丘に同じ。

原文皇帝酌獻飲福用《壽和》詞同冬至圓丘。

文舞を送り出で武舞を迎え入るるに『舒和』を用う:

原文送文舞出迎武舞入用《舒和》:

璿儀気爽やかにして緹龠を驚かし、玉呂灰飛びて素商を含む。鳴鞞管を奏し芳羞を薦め、舞を会し歌を安んじて葆眊揚がる。

原文璿儀氣爽驚緹龠,玉呂灰飛含素商。鳴鞞奏管芳羞薦,會舞安歌葆眊揚。

武舞に『凱安』を用う。詞は冬至円丘に同じ。

原文武舞用《凱安》詞同冬至圓丘。

送神に『豫和』を用う。詞は冬至円丘に同じ。

原文送神用《豫和》詞同冬至圓丘。

黒帝を祀り降神に羽音を用う:

原文祀黑帝降神用羽音:

厳冬の季月、星回り風厲し。享祀功に報い、方に来歳を祈る。

原文嚴冬季月,星回風厲。享祀報功,方祈來歲。

皇帝行に『太和』を用う。詞は冬至円丘に同じ。

原文皇帝行用《太和》詞同冬至圓丘。

登歌奠玉帛に『肅和』を用う:

原文登歌奠玉帛用《肅和》:

律管は周代の玉琯に倣い、星は金度を巡る。陽烏の極に次ぎ、陰兔の紀に窮まる。火林に雪を溯り、湯泉に冱えを凝らす。八蠟は既に登り、三農は務めを息む。

原文律周玉琯,星回金度。次極陽烏,紀窮陰兔。火林溯雪,湯泉凝冱。八蠟已登,三農息務。

迎俎に『雍和』を用う:

原文迎俎用《雍和》:

陽月はこの紀を為し、応鐘は候に在り。牲牷を載せて潔くし、爰に俎豆に登る。既に高く既に遠く、声無く臭無し。静かに言い格み思えば、惟れ神の保佑を頼む。

原文陽月斯紀,應鐘在候。載潔牲牷,爰登俎豆。既高既遠,無聲無臭。靜言格思,惟神保佑。

皇帝の酌献・飲福に『壽和』を用う。詞は冬至の円丘と同じ。

原文皇帝酌獻飲福用《壽和》詞同冬至圓丘。

文舞を送り出で武舞を迎え入るるに『舒和』を用う:

原文送文舞出迎武舞入用《舒和》:

龠を執り羽を持ちて初め終わり曲し、朱幹玉鏚始めて分行す。『七徳』『九功』皆既に暢び、明霊の降福具に穰穰たり。

原文執龠持羽初終曲,朱幹玉鏚始分行。《七德》、《九功》咸已暢,明靈降福具穰穰。

武舞に『凱安』を用う。詞は冬至の円丘と同じ。

原文武舞用《凱安》詞同冬至圓丘。

送神に『豫和』を用う。詞は冬至の円丘と同じ。

原文送神用《豫和》詞同冬至圓丘。

また五郊楽章十首

原文又五郊樂章十首

太楽は旧に此の詞有り、起る所詳らかならず。

原文太樂舊有此詞,不詳所起。

黄郊の迎神:

原文黃郊迎神:

朱明の季序、黄郊の王辰。厚き以て物を載せ、甘き以て人を養う。金を毓して体と為し、火を稟きて身を成す。宮音式に奏し、奏して以て神を迎う。

原文朱明季序,黃郊王辰。厚以載物,甘以養人。毓金為體,稟火成身。宮音式奏,奏以迎神。

送神:

原文送神:

春末冬暮、夏に徂ち秋の杪。土王四月、時季一周。黍稷は既に享け、籩豆は宜しく収むべし。神を送るに楽有り、神其れ休を賜わん。

原文春末冬暮,徂夏杪秋。土王四月,時季一周。黍稷已享,籩豆宜收。送神有樂,神其賜休。

青郊の迎神:

原文青郊迎神:

緋色の幕を移して時節を待ち、青き郊野に蟄虫啓く。麗しき日差しはゆるやかに、和やかな風はそよそよと吹く。璧玉は宵に備え、旌旄は曙に立つ。楽を張りて迎え奉れば、帝神まさに入りたまわん。

原文緹幕移候,青郊啟蟄。淑景遲遲,和風習習。璧玉宵備,旌旄曙立。張樂以迎,帝神其入。

送神:

原文送神:

文物は彩りを流し、声明は色を動かす。人はその恭しさを尽くし、霊はその整えを明らかにする。薦めを饗きて已むことなく、禎祥を垂れて極まりなし。礼を送るに章あり、惟れ神は還りて軾に乗らん。

原文文物流彩,聲明動色。人竭其恭,靈昭其飭。歆薦無巳,垂禎不極。送禮有章,惟神還軾。

赤郊迎神:

原文赤郊迎神:

青陽の節謝け、朱明の候改まる。靡草は華を凋み、含桃は彩を流す。虡に鐘磬を列ね、筵に脯醢を陳ぶ。楽を以て神を迎え奉れば、神その如く在らん。

原文青陽節謝,朱明候改。靡草雕華,含桃流彩。虡列鐘磬,筵陳脯醢。樂以迎神,神其如在。

送神:

原文送神:

炎精式に降り、蒼生これに仰ぐ。羞を豆籩に列ね、酒を牲象に陳ぶ。祀りを昭かにして応あり、宜しくその爽わざるべし。楽を送り音を張り、惟れ霊の往くところ。

原文炎精式降,蒼生攸仰。羞列豆籩,酒陳牲象。昭祀有應,宜其不爽。送樂張音,惟靈之往。

白郊迎神:

原文白郊迎神:

序は玉律を移し、節は金商に応ず。天は殺気を厳しくし、秋方を吹き警ます。槱燎既に積もり、稷奠並びに芳し。楽を以て迎え奏すれば、庶幾くは神光降らん。

原文序移玉律,節應金商。天嚴殺氣,吹警秋方。槱燎既積,稷奠並芳。樂以迎奏,庶降神光。

送神:

原文送神:

祀りは五礼に遵い、時は三秋に属す。人は肅敬を懐き、霊は禎休を降す。奠に旨酒を饗き、薦に珍羞を享く。送楽を張り載せて、神その上游せん。

原文祀遵五禮,時屬三秋。人懷肅敬,靈降禎休。奠歆旨酒,薦享珍羞。載張送樂,神其上游。

黒郊迎神:

原文黑郊迎神:

玄英序を戒め、黒郊候に臨む。礼を掌る者は彝を陳べ、筵を司る者は豆を執る。寒雰は色を斂め、冱泉は凝りて漏る。楽を以て神を迎え奉れば、八音ここに奏す。

原文玄英戒序,黑郊臨候。掌禮陳彝,司筵執豆。寒雰斂色,冱泉凝漏。樂以迎神,八音斯奏。

送神:

原文送神:

北郊時に冽しく、南陸輝く処。奠は本より虔誠、献は弥に恭慮す。上は祉福を延べ、下は歓豫を受く。広楽を以て神を送れば、神その整え馭せん。

原文北郊時冽,南陸輝處。奠本虔誠,獻彌恭慮。上延祉福,下承歡豫。廣樂送神,神其整馭。

朝日を祀る楽章八首

原文祀朝日樂章八首

貞観年間に作られ、今も用いられる。

原文貞觀中作,今行用。

降神には『豫和』を用いる。詞は冬至の円丘と同じ。

原文降神用《豫和》詞同冬至圓丘。

皇帝の行進には『太和』を用いる。詞は冬至の円丘と同じ。

原文皇帝行用《太和》詞同冬至圓丘。

登歌し玉帛を奠めるには『肅和』を用いる:

原文登歌奠玉帛用《肅和》:

聖のみ天に格り、明のみ日に饗く。帝は郊に類を肆し、王は宮に吉を戒む。珪は春舒に奠まり、鐘歌は曉に溢る。礼雲克く備わり、斯の文秩有り。

原文惟聖格天,惟明饗日。帝郊肆類,王宮戒吉。珪奠春舒,鐘歌曉溢。禮雲克備,斯文有秩。

俎を迎えるには『雍和』を用いる:

原文迎俎用《雍和》:

晨儀式に薦め、明祀惟光なり。神物爰に止まり、靈暉載揚がる。玄端肅事し、紫幄祥を興す。福履攸に假り、昭なる令王に于る。

原文晨儀式薦,明祀惟光。神物爰止,靈暉載揚。玄端肅事,紫幄興祥。福履攸假,于昭令王。

皇帝が酌献し飲福するには『壽和』を用いる。詞は冬至の円丘と同じ。

原文皇帝酌獻飲福用《壽和》詞同冬至圓丘。

文舞を送り出し武舞を迎え入れるには『舒和』を用いる:

原文送文舞出迎武舞入用《舒和》:

崇牙樹羽『調露』を延べ、旋宮律を扣いて『承雲』を掩う。懿德を誕敷し神武を昭かにし、豐功を載集して睿文を表す。

原文崇牙樹羽延《調露》,旋宮扣律掩《承雲》。誕敷懿德昭神武,載集豐功表睿文。

武舞には『凱安』を用いる。詞は冬至の円丘と同じ。

原文武舞用《凱安》詞同冬至圓丘。

送神には『豫和』を用いる。詞は冬至の円丘と同じ。

原文送神用《豫和》詞同冬至圓丘。

また、朝日を祀る楽章二首

原文又祀朝日樂章二首

太楽に旧く此の辞有り、起る所詳らかならず。

原文太樂舊有此辭,不詳所起。

迎神の楽章:

原文迎神:

太陽は朝の序列を整え、王宮には儀礼がある。蟠桃の彩駕、細柳の光が馳せる。軒祥が表裏に合し、漢の暦は奇を顕わす。礼は和し楽は備わり、神よここに降り給え。

原文太陽朝序,王宮有儀。蟠桃彩駕,細柳光馳。軒祥表合,漢曆彰奇。禮和樂備,神其降斯。

送神の楽章:

原文送神:

五斉を兼ねて整え、百羞を具えて陳べる。楽は終わり広く奏で、礼は畢りて崇く禋る。明らかに万宇を鑒み、昭かに兆人に臨む。永く洪慶を流し、式として曦輪を動かす。

原文五齊兼飭,百羞具陳。樂終廣奏,禮畢崇禋。明鑒萬宇,昭臨兆人。永流洪慶,式動曦輪。

夕月を祀る楽章八首

原文祀夕月樂章八首

貞観年中に作られ、今行用する。

原文貞觀中作,今行用。

降神に『豫和』を用う。詞は冬至の円丘と同じ。

原文降神用《豫和》詞同冬至圓丘。

皇帝行に『太和』を用う。詞は冬至の円丘と同じ。

原文皇帝行用《太和》詞同冬至圓丘。

登歌し玉帛を奠むるに『肅和』を用う:

原文登歌奠玉帛用《肅和》:

妙を測るを神と為し、微に通ずるを聖と曰う。坎祀は則を貽し、郊禋は敬を展ぶ。璧薦は光を登し、金歌は映を動かす。以て嘉徳を載せ、以て曾慶を流す。

原文測妙為神,通微曰聖。坎祀貽則,郊禋展敬。璧薦登光,金歌動映。以載嘉德,以流曾慶。

俎を迎えるに『雍和』を用う:

原文迎俎用《雍和》:

朏晨挙ぐるを争い、天宗礼を辟く。夜典涼秋、陰明夕に湛う。{{!|𨣧}}斯くの旨有り、牲斯くの碩有り。穆穆たる其の暉、穰穰たる是れ積む。

原文朏晨爭舉,天宗禮辟。夜典涼秋,陰明湛夕。有{{!|𨣧}}斯旨,有牲斯碩。穆穆其暉,穰穰是積。

皇帝酌献し飲福するに『壽和』を用う。詞は冬至の円丘と同じ。

原文皇帝酌獻飲福用《壽和》詞同冬至圓丘。

文舞を送り出で武舞を迎え入るるに『舒和』を用う:

原文送文舞出迎武舞入用《舒和》:

八風を合吹して金奏動き、万舞を分容して玉鞘驚く。詞は茂典に昭かにして前烈を光らし、夕曜は功に乗りて盛明を表す。

原文合吹八風金奏動,分容萬舞玉鞘驚。詞昭茂典光前烈,夕曜乘功表盛明。

武舞には『凱安』を用い、詞は冬至の円丘と同じ。

原文武舞用《凱安》詞同冬至圓丘。

送神には『豫和』を用い、詞は冬至の円丘と同じ。

原文送神用《豫和》詞同冬至圓丘。

蠟祭百神の楽章八首

原文蠟百神樂章八首

貞観年間に作られ、今も行われ用いられる。

原文貞觀中作,今行用。

降神には『豫和』を用い、詞は冬至の円丘と同じ。

原文降神用《豫和》詞同冬至圓丘。

皇帝行進には『太和』を用い、詞は冬至の円丘と同じ。

原文皇帝行用《太和》詞同冬至圓丘。

登歌し玉帛を奠めるには『肅和』を用いる:

原文登歌奠玉帛用《肅和》:

時節は歳末に迫り、日は星紀の宮を巡る。ここに盛んな典を考へ、清き祀りを尊ぶ。綺麗なる幣は霞の如く広がり、瑞ある珪は虹の如く立ち昇る。百の禮は餘裕を垂れ、萬の靈は福を薦む。

原文序迫歲陰,日躔星紀。爰稽茂典,聿崇清祀。綺幣霞舒,瑞珪虹起。百禮垂裕,萬靈薦祉。

俎を迎へるには『雍和』を用いる:

原文迎俎用《雍和》:

緹龠の勁き序(冬)、玄英(冬)の晚き候。姬蠟(周の蠟祭)儀を開き、豳歌(『詩経』豳風)奏に入る。蕙の香り雕俎に馥く、蘭の芳しき玉酎。大饗して明らかな神に獻じ、永く多く祐らんことを綏(安)んず。

原文緹龠勁序,玄英晚候。姬蠟開儀,豳歌入奏。蕙馥雕俎,蘭芬玉酎。大饗明祇,永綏多祐。

皇帝の酌獻・飲福には『壽和』を用い、詞は冬至の円丘と同じ。

原文皇帝酌獻飲福用《壽和》詞同冬至圓丘。

文舞を送り出し武舞を迎へ入れるには『舒和』を用いる:

原文送文舞出迎武舞入用《舒和》:

經緯(天地)兩儀、文化洽く、萬域を削平し、武功成る。瑤弦自ら樂しむ乾坤泰平、玉鏚長く歡ぶ區縣安寧。

原文經緯兩儀文化洽,削平萬域武功成。瑤弦自樂乾坤泰,玉鏚長歡區縣寧。

武舞には『凱安』を用い、詞は冬至の円丘と同じ。

原文武舞用《凱安》詞同冬至圓丘。

送神には『豫和』を用い、詞は冬至の円丘と同じ。

原文送神用《豫和》詞同冬至圓丘。

また蠟祭の百神の楽章二首あり。

原文又蠟百神樂章二首

太楽には旧来この詞あり、その起こりを詳らかにせず。

原文太樂舊有此詞,不詳所起。

迎神。今は行用せず。

原文迎神。今不行用:

八蠟祭を開き、万物ことごとく祀る。上は天維に極まり、下は坤紀を窮む。鼎俎に馥流れ、樽彝に美を薦む。霊あり祇あり、ことごとく来止するを希う。

原文八蠟開祭,萬物咸祀。上極天維,下窮坤紀。鼎俎流馥,樽彝薦美。有靈有祇,咸希來止。

送神。今は行用せず。

原文送神。今不行用:

十旬歓洽し、一日祠終わる。彝を澄し俎を拂い、徳に報い功に酬う。慮虔しく容肅しく、礼縟く儀豊なり。神その祉を降し、馭を整えて風に随う。

原文十旬歡洽,一日祠終。澄彝拂俎,報德酬功。慮虔容肅,禮縟儀豐。神其降祉,整馭隨風。

夏至に方丘にて皇地祇を祭る楽章八首

原文夏至祭皇地祇于方丘樂章八首

貞観年中、褚亮等の作。

原文貞觀中褚亮等作。

迎神に《順和》を用う。

原文迎神用《順和》:

万物化を以て資り、交泰は升平に属す。易に従うは業惟だ簡、一を得れば道斯に寧し。儀を具えて玉帛に光り、舞を送りて《咸英》に変ず。黍稷は良に貴しと非ず、明徳信に惟だ馨し。

原文萬物資以化,交泰屬升平。易從業惟簡,得一道斯寧。具儀光玉帛,送舞變《咸英》。黍稷良非貴,明德信惟馨。

皇帝行に《太和》を用う。詞は冬至の円丘と同じ。

原文皇帝行用《太和》詞同冬至圓丘。

登歌し玉帛を奠むるに《肅和》を用う。

原文登歌奠玉帛用《肅和》:

至れるかな坤の徳、皇なるかな地祇。開元統紐し、大を合して規を承く。九宮肅然として列し、六典相い儀す。永く言いて命に配し、長く保ちて虧無からん。

原文至矣坤德,皇哉地祇。開元統紐,合大承規。九宮肅列,六典相儀。永言配命,長保無虧。

俎を迎えるに《雍和》を用う。

原文迎俎用《雍和》:

柔にして能く方く、直にして能く敬す。厚く載するは徳を以てし、大いに亨るは正を以てす。滌うこと有れば斯に牷、馨ること有れば斯に盛ん。茲の景福を介し、我が休慶を祚す。

原文柔而能方,直而能敬。厚載以德,大亨以正。有滌斯牷,有馨斯盛。介茲景福,祚我休慶。

皇帝が酌献し飲福するには『寿和』を用いる。詞は冬至円丘と同じ。

原文皇帝酌獻飲福用《壽和》詞同冬至圓丘。

文舞を送り出し武舞を迎え入れるには『舒和』を用いる:

原文送文舞出迎武舞入用《舒和》:

玉幣と牲牷を分けて薦享し、羽旄と干鏚が次いで容を成す。一徳のみ寧らぎて両儀泰平、三才保合して四時和らぐ。

原文玉幣牲牷分薦享,羽旄干鏚遞成容。一德惟寧兩儀泰,三才保合四時邕。

武舞には『凱安』を用いる。詞は冬至円丘と同じ。

原文武舞用《凱安》詞同冬至圓丘。

神を送るには『順和』を用いる:

原文送神用《順和》:

陰祇は賛に叶い、厚載は方に貞し。牲幣具に挙げ、簫管備わり成る。その礼は惟れ粛、その徳は惟れ明。神の之を聴く、式に虔誠を鑒みたまえ。

原文陰祇葉贊,厚載方貞。牲幣具舉,簫管備成。其禮惟肅,其德惟明。神之聽矣,式鑒虔誠。

則天皇后永昌元年、大享して洛を拝する楽章十五首(御撰)

原文則天皇后永昌元年大享拜洛樂章十五首御撰

礼を設けるには『昭和』を用いる:

原文設禮用《昭和》:

九玄眷命し、三聖基隆し。先旨を奉じて成し、明台功を畢うす。宗祀敬を展べ、深衷を表さんことを冀う。帝業永昌し、式に淳風を播かん。

原文九玄眷命,三聖基隆。奉成先旨,明臺畢功。宗祀展敬,冀表深衷。永昌帝業,式播淳風。

『致和』:

原文《致和》:

神功測るべからず兮陰陽を運ぶ。万宇を包蔵し兮八荒を孕む。天符既に出で兮帝業昌む。願わくは明祀に臨み兮禎祥を降したまえ。

原文神功不測兮運陰陽。包藏萬宇兮孕八荒。天符既出兮帝業昌。願臨明祀兮降禎祥。

『咸和』:

原文《咸和》:

坎沢の祠容備わり挙げ、坤壇の祭典爰に伸ぶ。霊眷遥かに秘躅を行き、嘉貺薦めて殊珍を委ぬ。粛礼恭禋載せて展べ、翹襟懇志愈よ殷し。方に交際懸応せんことを期す。(末一句逸す)

原文坎澤祠容備舉,坤壇祭典爰伸。靈眷遙行秘躅,嘉貺薦委殊珍。肅禮恭禋載展,翹襟懇志逾殷。方期交際懸應,末一句逸。

乗輿初めて行くには『九和』を用いる:

原文乘輿初行用《九和》:

祇に坤徳を荷い、欽に乾霊に若く。慚惕罔く置く所なく、興居寧からず。礼則を恭崇し、儀形を粛奉す。惟れ敬を展ぶるに憑り、敢えて馨ならざるを薦む。

原文祇荷坤德,欽若乾靈。慚惕罔置,興居匪寧。恭崇禮則,肅奉儀形。惟憑展敬,敢薦非馨。

洛を拝するに『顕和』を用ふ:

原文拜洛用《顯和》:

薄き身は睿顧を承け、薄き徳は坤儀を忝くす。乾乾として后命に遵ひ、翼翼として先規を奉ず。俗を撫づるに勤めて切なれども、淳に還る化は尚ほ虧けたり。未だ能く至道を弘むること有らず、何を以てか明祇に契はん。

原文菲躬承睿顧,薄德忝坤儀。乾乾遵后命,翼翼奉先規。撫俗勤雖切,還淳化尚虧。未能弘至道,何以契明祇?

図を受くるに『顕和』を用ふ:

原文受圖用《顯和》:

顧みるに徳は虚菲を慚づること有り、明祇は屢たび禎符を降す。汜水は初めて秘象を呈し、温洛は薦めて昌図を表す。玄沢は恩を流して載せ洽く、丹襟は渥を荷ひて愉しみを増す。

原文顧德有慚虛菲,明祇屢降禎符。汜水初呈秘象,溫洛薦表昌圖。玄澤流恩載洽,丹襟荷渥增愉。

登歌に『昭和』を用ふ:

原文登歌用《昭和》:

陰を舒べて至養とし、大に合して資生とす。徳は恒固を以てし、功は永貞に由る。升歌は序を薦め、垂幣は誠を翹ぐ。虹は玉照を開き、鳳は金声を引く。

原文舒陰至養,合大資生。德以恆固,功由永貞。升歌薦序,垂幣翹誠。虹開玉照,鳳引金聲。

俎を迎ふるに『敬和』を用ふ:

原文迎俎用《敬和》:

蘭の俎既に升り、蘋の羞薦ぶ可し。金石載せ設け、『咸英』已に変ず。林沢は此れ総べ、山川は是れ遍し。敢へて誠を敷くを用ひ、実に倦を忘るるを惟ふ。

原文蘭俎既升,蘋羞可薦。金石載設,《咸英》已變。林澤斯總,山川是遍。敢用敷誠,實惟忘倦。

酌献に『欽和』を用ふ:

原文酌獻用《欽和》:

文舞を送り出で武舞を迎へ入るるに『斉和』を用ふ:

原文送文舞出迎武舞入用《齊和》:

沈潜演貺は三極に分かれ、広大凝禎は万方を総ぶ。既に羽旌を薦めて文化啓け、還た干戚を呈して武威揚がる。

原文沉潛演貺分三極,廣大凝禎總萬方。既薦羽旌文化啟,還呈干戚武威揚。

武舞に『徳和』を用ふ:

原文武舞用《德和》:

夕に惕みて龍契を司り、晨に兢みて鳳扆に當る。儒を崇めて旧規を習ひ、覇を偃せて先旨に循ふ。絶壤には冠蓋飛び、遐区には山水麗し。幸ひに三聖の餘を承け、忻びて千年の始に属す。

原文夕惕司龍契,晨兢當鳳扆。崇儒習舊規,偃霸循先旨。絕壤飛冠蓋,遐區麗山水。幸承三聖餘,忻屬千年始。

俎を撤するに『禋和』を用ふ:

原文撤俎用《禋和》:

百礼は容を崇め、千官は事を粛す。霊は舞兆に降り、神は有粹に凝る。奠享咸く周し、威儀畢く備はる。『夏』を奏して列に登り、『雍』を歌ひて肆を撤す。

原文百禮崇容,千官肅事。靈降舞兆,神凝有粹。奠享咸周,威儀畢備。奏《夏》登列,歌《雍》撤肆。

神を辞するに『通和』を用いる:

原文辭神用《通和》:

皇皇たる霊の眷顧、穆穆たる神の心。暫く凝質を動かし、還りて積陰に帰す。功は玄枢にあり、理は高深に寂たり。恩を銜み徳を佩び、志を聳やかせ襟を翹げん。

原文皇皇靈眷,穆穆神心。暫動凝質,還歸積陰。功玄樞紐,理寂高深。銜恩佩德,聳志翹襟。

神を送るに『帰和』を用いる:

原文送神用《歸和》:

言わく、雲洞に旋りて煙途を躡む。永く中宇に寧んじ下都に安んず。動植を苞涵して栄枯に順い、長く宝貺を貽りて璿図を賛す。

原文言旋雲洞兮躡煙途。永甯中宇兮安下都。苞涵動植兮順榮枯,長貽寶貺兮贊璿圖。

また『帰和』:

原文又《歸和》:

雲闋を調えて神座興り、雲駕を驂えて儼として将に昇らんとす。絳霄に騰りて景祐を垂れ、丹懇を翹げて休徴を荷う。

原文調雲闋兮神座興,驂雲駕兮儼將升。騰絳霄兮垂景祐,翹丹懇兮荷休徵。

睿宗太極元年、方丘にて皇地祇を祭る楽章八首(撰者詳らかならず)

原文睿宗太極元年祭皇地祇于方丘樂章八首不詳撰者

神を迎えるに『順和』を用いる。黄鐘宮三変、太簇角一変、姑洗徴一変、南呂羽一変。:

原文迎神用《順和》黃鐘宮三變,太簇角一變,姑洗徵一變,南呂羽一變。:

坤は厚く物を載せ、徳は柔かに祉を垂る。九域ことごとく雍く、四溟は紀と為る。良節に因りて敬しみ、陰祀を虔しく修む。広楽式に張り、霊其れ降り止まん。

原文坤厚載物,德柔垂祉。九域咸雍,四溟為紀。敬因良節,虔修陰祀。廣樂式張,靈其降止。

金奏、新たに太簇宮を加う:

原文金奏新加太簇宮:

坤元の至徳、品物資りて生ず。神は博厚に凝り、道は高明に葉う。五嶽を列鎮し、四瀛を環流す。何にか載せざらん、万宝斯に成る。

原文坤元至德,品物資生。神凝博厚,道葉高明。列鎮五嶽,環流四瀛。于何不載,萬寶斯成。

皇帝行進に『太和』を用いる。詞は貞観の冬至円丘と同じ。黄鐘宮。

原文皇帝行用《太和》詞同貞觀冬至圓丘,黃鐘宮。

登歌し玉帛を奠むるに『粛和』を用いる。詞は貞観太廟の『粛和』と同じ。応鐘均の夷則。

原文登歌奠玉帛用《肅和》詞同貞觀太廟《肅和》,應鐘均之夷則。

俎を迎え及び酌献するに『雍和』を用いる。詞は貞観太廟の『雍和』と同じ。

原文迎俎及酌獻用《雍和》詞同貞觀太廟《雍和》。

文舞を送り出で武舞を迎え入るるに『舒和』を用いる。詞は皇帝の群臣に朝する『舒和』と同じ。

原文送文舞出迎武舞入用《舒和》詞同皇帝朝群臣《舒和》。

武舞には『凱安』を用い、詞は貞観の冬至円丘と同じ。

原文武舞用《凱安》詞同貞觀冬至圓丘。

送神には『順和』林鐘宮を用いる:

原文送神用《順和》林鐘宮:

楽は金石を備え、礼は樽俎に光る。大享はここに終わり、洪休はこれ挙げらる。雨零れて節を感じ、雲飛びて序に応ず。纓紱載せて辞し、皇霊具に挙がる。

原文樂備金石,禮光樽俎。大享爰終,洪休是舉。雨零感節,雲飛應序。纓紱載辭,皇靈具舉。

玄宗開元十一年、汾陰にて皇地祇を祭る楽章十一首

原文玄宗開元十一年祭皇地祇于汾陰樂章十一首

迎神には『順和』林鐘以下各再変林鐘宮を用いる(黄門侍郎韓思復作):

原文迎神用《順和》林鐘以下各再變林鐘宮黃門侍郎韓思復作:

大楽和暢し、殷く明神に薦む。一たび降りて通感し、八変必ず臻る。求め有れば斯に応じ、徳無きは親しまず。霊降りて酔止み、休徴万人に及ぶ。

原文大樂和暢,殷薦明神。一降通感,八變必臻。有求斯應,無德不親。降靈醉止,休征萬人。

太簇角(中書侍郎廬従願作):

原文太簇角中書侍郎廬從願作:

坤元物を載せ、陽楽発生す。播殖資始し、品匯咸亨す。俎を列ねて棋布し、方壇砥平なり。神歆みて禋祀し、后の徳惟れ明らかなり。

原文坤元載物,陽樂發生。播殖資始,品匯咸亨。列俎棋布,方壇砥平。神歆禋祀,后德惟明。

姑洗徴(司勲郎中劉晃作):

原文姑洗徵司勳郎中劉晃作:

大君震より出で、事有りて郊禋す。斎戒既に粛しく、馨香畢く陳ぶ。楽和し礼備わり、候暖かく風春なり。恭惟みて降福す、実に明神に頼る。

原文大君出震,有事郊禋。齋戒既肅,馨香畢陳。樂和禮備,候暖風春。恭惟降福,實賴明神。

南呂羽(礼部侍郎韓休作):

原文南呂羽禮部侍郎韓休作:

于穆浚哲、維れ清く緝熙す。事を粛くして昭かに配し、永く孝思を言う。滌濯し静嘉、馨香茲に在り。神之を聴き之を用い、福釐を受く。

原文于穆浚哲,維清緝熙。肅事昭配,永言孝思。滌濯靜嘉,馨香在茲。神之聽之,用受福釐。

皇帝行には『太和』黄鐘宮を用いる(吏部尚書王晙作):

原文皇帝行用《太和》黃鐘宮吏部尚書王晙作:

于穆聖皇、六葉重光す。太原に頌を刻み、后土場を疏く。宝鼎符を呈し、歊雲祥を降す。礼楽備わりて、降福穰穰たり。

原文于穆聖皇,六葉重光。太原刻頌,后土疏場。寶鼎呈符,歊雲降祥。禮樂備矣,降福穰穰。

登歌玉帛を奠むるには『粛和』蕤賓均の夾鐘羽を用いる(刑部侍郎崔玄暐作):

原文登歌奠玉帛用《肅和》蕤賓均之夾鐘羽刑部侍郎崔玄暐作:

聿修は厳かに配し、事を展べて禋宗に事う。祥符の宝鼎、礼は黄琮に備わる。祝詞は信を以てし、明徳は惟れ聡し。介する茲の景福、永永として窮まり無し。

原文聿修嚴配,展事禋宗。祥符寶鼎,禮備黃琮。祝詞以信,明德惟聰。介茲景福,永永無窮。

迎俎に『雍和』を用う(黄鐘均の南呂羽。徐州刺史賈曾作)。

原文迎俎用《雍和》黃鐘均之南呂羽徐州刺史賈曾作:

蠲う我が餴饎、潔し我が膋薌。豆有りて孔碩、羞と為りて既に臧し。至誠は昧むこと無く、精意は惟れ芳し。神其れ醉止し、欣欣として楽康ならん。

原文蠲我餴饎,潔我膋薌。有豆孔碩,為羞既臧。至誠無昧,精意惟芳。神其醉止,欣欣樂康。

酌献・飲福に『寿和』を用う(黄鐘宮。礼部尚書蘇頲作)。

原文酌獻飲福用《壽和》黃鐘宮禮部尚書蘇頲作:

礼物斯に備わり、楽章乃ち陳ぶ。誰か其れ主と作す、皇考聖真。天に在りて対越し、聖明神を佐く。窅然たり汾上、厚沢春の如し。

原文禮物斯備,樂章乃陳。誰其作主,皇考聖真。對越在天,聖明佐神。窅然汾上,厚澤如春。

文舞を送り出で武舞を迎え入るるに『舒和』を用う(太簇宮。太常少卿何鸞作)。

原文送文舞出迎武舞入用《舒和》太簇宮太常少卿何鸞作:

楽は雲闋に奏し、礼章は載せて虔し。宗を地に禋し、天に昭假す。惟れ馨は薦えたり、既に醉ひて歆む。神の福を降す、永永として万年。

原文樂奏雲闋,禮章載虔。禋宗於地,昭假於天。惟馨薦矣,既醉歆焉。神之降福,永永萬年。

武舞に『凱安』を用う(黄鐘均の林鐘徴。主爵郎中蔣挺作)。

原文武舞用《凱安》黃鐘均之林鐘徵主爵郎中蔣挺作:

歳の吉、辰の良きに維り。聖君紱冕し、肅として事う壇場。大礼已に備わり、大楽斯に張る。神其れ醉止し、福を降して疆無からん。

原文維歲之吉,維辰之良。聖君紱冕,肅事壇場。大禮已備,大樂斯張。神其醉止,降福無疆。

送神に『順和』を用う(尚書右丞源光裕作)。

原文送神用《順和》尚書右丞源光裕作:

方丘既に膳し、嘉饗載せて謐し。斉敬誠を畢くし、陶匏は質を貴ぶ。秀簠は薦に豊かに、芳俎は実に盈つ。永永として福流れ、其の升ること日の如し。

原文方丘既膳,嘉饗載謐。齊敬畢誠,陶匏貴質。秀簠豐薦,芳俎盈實。永永福流,其升如日。

玄宗開元十三年、社首山に禅して地祇を祭る楽章八首

原文玄宗開元十三年禪社首山祭地祇樂章八首

迎神に『順和』を用う(太常少卿賀知章作)。

原文迎神用《順和》太常少卿賀知章作:

至哉、柔徳を含み、万物資りて以て生ず。常に順して厚載と称し、謙を流して変盈に通ず。聖心は事を能く察し、層廟は厥の誠を陳ぶ。黄祇儼として在すが如く、泰折は咸亨を俟つ。

原文至哉含柔德,萬物資以生。常順稱厚載,流謙通變盈。聖心事能察,層廟陳厥誠。黃祇儼如在,泰折俟咸亨。

皇帝行に『太和』を用う。

原文皇帝行用《太和》:

我が成命を粛つつしみ、昭らかに黄祇こうぎに告ぐ。裘冕きゅうべんを着て祀り、陟降ちっこうは此ここに在り。五音ごいん克よく備わり、八変はちへん聿めて施す。緝熙して肆靖しせいし、其の心離れず。

原文肅我成命,于昭黃祇。裘冕而祀,陟降在斯。五音克備,八變聿施。緝熙肆靖,厥心匪離。

登歌とうかし、玉帛ぎょくはくを奠ぐに『肅和しゅくわ』を用ふ。

原文登歌奠玉帛用《肅和》:

黄祇を是ここに祗つつしみ、我其それ夙夜しゅくやす。夤畏いんいして誠潔せいけつにし、遑いとまあらざるを寧やすんず。礼は琮玉そうぎょくを以てし、厥その茅藉ぼうしゃを薦む。茲ここに降康こうこうするを念ひ、胡なんぞ寧んじて克く暇いとまあらんや。

原文黃祇是祗,我其夙夜。夤畏誠潔,匪遑寧舍。禮以琮玉,薦厥茅藉。念茲降康,胡寧克暇。

迎俎げいそして入るに『雍和ようわ』を用ふ。

原文迎俎入用《雍和》:

夙夜宥密ゆうみつにして、敢へて寧宴ねいえんせず。五齊ごせい既に陳つらなり、八音はちいん縣かけに在り。粢盛しせいは潔きよきを以てし、房俎ぼうそ斯に薦む。惟德とく惟馨り、尚なお茲に克く遍あまねからんことを。

原文夙夜宥密,不敢寧宴。五齊既陳,八音在縣。粢盛以潔,房俎斯薦。惟德惟馨,尚茲克遍。

皇帝、酌獻しゃくけんするに『壽和じゅわ』を用ふ。

原文皇帝酌獻用《壽和》:

惟明發めいはつを以てし、懷おもひ有りて載ち殷さかんなり。樂盈がくえいにして反かへり、禮順れいじゅんにして其の禋いんに従ふ。清せいを立たてて獻けんし、薦むるは是を親しんとす。穆として已やまず、裒對ほうたい斯に臻いたる。

原文惟以明發,有懷載殷。樂盈而反,禮順其禋。立清以獻,薦欲是親。于穆不已,裒對斯臻。

皇帝、福ふくを飲むに『福和ふくわ』を用ふ。

原文皇帝飲福用《福和》:

穆穆ぼくぼくたる天子、告成こくせいす岱宗たいそうに。大裘たいきゅう濡うるほふが如く、珽ていを執ること顒顒ぎょうぎょうたり。樂は以て志こころざしを平たいらかにし、禮は以て容ようを和やはらぐ。上帝じょうてい我に臨のぞみ、云いふ胡ぞ肅邕しゅくようならざらん。

原文穆穆天子,告成岱宗。大裘如濡,執珽有顒。樂以平志,禮以和容。上帝臨我,雲胡肅邕。

皇帝、宮きゅうに還るに『太和たいわ』を用ふ。

原文皇帝還宮用《太和》:

昭昭しょうしょうたる有唐ゆうとう、天萬國ばんこくを俾しむ。列祖れっそ命めいに應おうじ、四宗しそう則のりに順したがふ。申錫しんしゃく疆かぎり無く、宗たっとぶ我が同德どうとく。曾孫そうそん緒しょを繼ぎ、神しんを享うけて極きょくに配はいす。

原文昭昭有唐,天俾萬國。列祖應命,四宗順則。申錫無疆,宗我同德。曾孫繼緒,享神配極。

神を迎ふるに『靈具醉れいぐすい』を用ふ。順和じゅんわに代ふ。侍中じちゅう源乾曜みなもとのけんよう作

原文迎神用《靈具醉》代順和,侍中源乾曜作:

靈れい具つく醉よひ、杳ようとして熙熙ききたり。靈將まさに往ゆかんとし、眇びょうとして禗禗ししたり。明德めいとくを顧かへりみ、正詞せいしを吐はく。爛らんとして光ひかりを遺のこし、禎祺ていきを流ながす。

原文靈具醉,杳熙熙。靈將往,眇禗禗。顧明德,吐正詞。爛遺光,流禎祺。

神州しんしゅうを北郊ほっこうに祭る樂章がくしょう八首はっしゅ

原文祭神州于北郊樂章八首

貞觀じょうがん中ちゅう褚亮ちょりょう作さくす。

原文貞觀中褚亮作。

送神に用いる『順和』の詞は夏至の方丘と同じ。

原文送神用《順和》詞同夏至方丘:

皇帝行進に用いる『太和』の詞は冬至の円丘と同じ。

原文皇帝行用《太和》詞同冬至圓丘。

登歌し玉帛を奠めるに『肅和』を用いる。

原文登歌奠玉帛用《肅和》:

大いなるかな坤の儀、至れるかな神の縣。日域を含み、月竁を牢籠す。露は三清を潔くし、風は六變を調う。皇祇、止に屆き、式に歆みて恭しく薦む。

原文大矣坤儀,至哉神縣。包含日域,牢籠月竁。露潔三清,風調六變。皇祇屆止,式歆恭薦。

俎を迎えるに『雍和』を用いる。

原文迎俎用《雍和》:

泰折を嚴かに享け、陰郊に敬を展ぶ。禮は以て神を導き、樂は以て性を和す。黝牲は列に在り、黄琮は俯して映ず。九土既に平らぎ、萬邦慶を貽す。

原文泰折嚴享,陰郊展敬。禮以導神,樂以和性。黝牲在列,黃琮俯映。九土既平,萬邦貽慶。

皇帝の酌獻・飲福に用いる『壽和』の詞は冬至の円丘と同じ。

原文皇帝酌獻飲福用《壽和》詞同冬至圓丘。

文舞を送り出し武舞を迎え入れるに『舒和』を用いる。

原文送文舞出迎武舞入用《舒和》:

坤道は祥を降し庶品を和し、霊心は徳を載せ群生を厚くす。水土既に調い三極泰く、文武畢く備わり九區平らかなり。

原文坤道降祥和庶品,靈心載德厚群生。水土既調三極泰,文武畢備九區平。

武舞に用いる『凱安』の詞は冬至の円丘と同じ。

原文武舞用《凱安》詞同冬至圓丘。

送神に用いる『順和』の詞は冬至の円丘と同じ。

原文送神用《順和》詞同冬至圓丘。

また神州を祭る楽章二首

原文又祭神州樂章二首

太楽に旧く此の詞有り、起る所詳らかならず。

原文太樂舊有此詞,不詳所起。

迎神

原文迎神:

黄輿は厚く載せ、赤寰は徳に帰す。九區を含み育み、萬國を保ち安んず。誠敬怠ること無く、禋祀則ち有り。樂を以て神を迎え、其の儀忒ること無し。

原文黃輿厚載,赤寰歸德。含育九區,保安萬國。誠敬無怠,禋祀有則。樂以迎神,其儀不忒。

神を送る:

原文送神:

神州の陰祀、洪恩広く済う。草樹和に沾い、飛沈恵を沐う。礼は鼎俎を修め、奠は瑤幣を歆む。楽を送るに章有り、霊軒其れ逝く。

原文神州陰祀,洪恩廣濟。草樹沾和,飛沉沐惠。禮修鼎俎,奠歆瑤幣。送樂有章,靈軒其逝。

太社楽章八首を祭る

原文祭太社樂章八首

貞観中、褚亮等作る。

原文貞觀中褚亮等作。

神を迎えるに『順和』を用いる。詞は夏至の方丘と同じ。

原文迎神用《順和》詞同夏至方丘。

皇帝行に『太和』を用いる。詞は冬至の円丘と同じ。

原文皇帝行用《太和》詞同冬至圓丘。

登歌し玉帛を奠むるに『粛和』を用いる:

原文登歌奠玉帛用《肅和》:

后土は徳を凝らし、神功は契に葉う。九域平に底し、両儀交際す。戊期は序に応じ、陰墉は幣を展ぶ。霊車少しく留まり、俯して樽桂を歆む。

原文后土凝德,神功葉契。九域底平,兩儀交際。戊期應序,陰墉展幣。靈車少留,俯歆樽桂。

俎を迎えるに『雍和』を用いる:

原文迎俎用《雍和》:

美報は本を崇くし、厳恭は事を展ぶ。露を受けて壇を疏にし、風を承けて地を啓く。潔粢は俎に登り、醇犧は饋に入る。介福遠く流れ、群生畢く遂ぐ。

原文美報崇本,嚴恭展事。受露疏壇,承風啟地。潔粢登俎,醇犧入饋。介福遠流,群生畢遂。

皇帝酌献し福を飲むに『寿和』を用いる。詞は冬至の円丘と同じ。

原文皇帝酌獻飲福用《壽和》詞同冬至圓丘。

文舞を送り出し武舞を迎え入れるに『舒和』を用いる:

原文送文舞出迎武舞入用《舒和》:

神道は発生して九稼を敷き、陰陽は仁を乗じて八埏を暢う。武を緯ぎ文を経て景化を陶し、祥に登り祉を薦めて豊年を啓く。

原文神道發生敷九稼,陰陽乘仁暢八埏。緯武經文陶景化,登祥薦祉啟豐年。

武舞に『凱安』を用いる。詞は冬至の円丘と同じ。

原文武舞用《凱安》詞同冬至圓丘。

神を送るに『順和』を用いる。詞は冬至の円丘と同じ。

原文送神用《順和》詞同冬至圓丘。

また太社の楽章二首

原文又太社樂章二首

太楽には旧来この詞があり、その起こりは詳らかでない。

原文太樂舊有此詞,不詳所起。

迎神:

原文迎神:

烈山に子あり、后土に臣あり。百穀を播種し、兆人を済育す。春官は礼を緝め、宗伯は禋を司る。戊を吉日と為し、迎えて茲の辰を享く。

原文烈山有子,后土有臣。播種百穀,濟育兆人。春官緝禮,宗伯司禋。戊為吉日,迎享茲辰。

送神:

原文送神:

祥を告ぐる式就り、功に酬いること載せて畢る。地に親しみ天を尊び、礼文経術。貺は令序に徴し、福は初日に流る。神の馭は爰に帰し、祠官は其れ出ず。

原文告祥式就,酬功載畢。親地尊天,禮文經術。貺徵令序,福流初日。神馭爰歸,祠官其出。

先農を享く楽章

原文享先農樂章

貞観年中、褚亮等の作。

原文貞觀中褚亮等作。

迎神に『咸和』を用う:

原文迎神用《咸和》:

粒食の伊始、農の先とする所。古今の攸に頼る、是れ人天と曰う。斯く帝藉を耕し、厥の公田を播く。明祀を式に崇め、神其れ福せん。

原文粒食伊始,農之所先。古今攸賴,是曰人天。耕斯帝藉,播厥公田。式崇明祀,神其福焉。

皇帝行に『太和』を用う、詞は冬至の円丘と同じ。

原文皇帝行用《太和》詞同冬至圓丘。

登歌し玉帛を奠むるに『肅和』を用う:

原文登歌奠玉帛用《肅和》:

尊彝既に列し、瑚簋薦ぶること有り。歌工載せて登り、幣礼斯く奠む。肅肅として享祀し、顒顒として纓弁す。神之を聴き之を、福は寰県に流る。

原文尊彝既列,瑚簋有薦。歌工載登,幣禮斯奠。肅肅享祀,顒顒纓弁。神之聽之,福流寰縣。

俎を迎えるに『雍和』を用う:

原文迎俎用《雍和》:

前夕に親しく牲し、質明に俎を奉ず。芳を沐ひ弁を整へ、其の儀式序たり。盛礼畢く陳べ、嘉楽備はり挙ぐ。我が懿德を歆み、馨は稷黍に非ず。

原文前夕親牲,質明奉俎。沐芳整弁,其儀式序。盛禮畢陳,嘉樂備舉。歆我懿德,非馨稷黍。

皇帝が酌を献じて福を飲むには『壽和』を用いる、詞は冬至の圓丘と同じ。

原文皇帝酌獻飲福用《壽和》詞同冬至圓丘。

文舞を送り出し武舞を迎え入れるには『舒和』を用いる:

原文送文舞出迎武舞入用《舒和》:

羽龠は低昂し文綴は已に、干戚は蹈厲して武行初まる。歳を望み農を祈るは神の聴く所、祥を延べ福を介するは豈に虚ならんや。

原文羽龠低昂文綴已,干戚蹈厲武行初。望歲祈農神所聽,延祥介福豈雲虛。

武舞には『凱安』を用いる、詞は冬至の圓丘と同じ。

原文武舞用《凱安》詞同冬至圓丘。

神を送るには『承和』を用いる:

原文送神用《承和》:

また先農を享く楽章一首

原文又享先農樂章一首

太楽に旧く此の詞有り、起る所詳らかならず。

原文太樂舊有此詞,不詳所起。

神を送るには『承和』を用いる:

原文送神用《承和》:

三推の礼成り、萬庾の祈り凝る。夤賓の志遠く、藨濆惟れ興る。歆に降りて肅に薦め、祐を垂れて祗に膺く。神を送るに楽有り、神其れ上昇せん。

原文三推禮就,萬庾祈凝。夤賓志遠,藨濆惟興。降歆肅薦,垂祐祗膺。送神有樂,神其上升。

先蠶を享く楽章五首

原文享先蠶樂章五首

顯慶中、皇后親しく蠶し、勅を奉じて内より此の詞を出す。

原文顯慶中,皇后親蠶,奉敕內出此詞。

神を迎えるには『永和』を用いる、亦た『順德』と曰う:

原文迎神用《永和》亦曰《順德》:

芳春令序を開き、韶苑和風に暢う。惟れ霊広祐を申べ、物を利して神功を表す。綺会は天宇に周し、黼黻は寰中を藻す。庶幾くは慶節を承け、歆奠帷宮の下に下らん。

原文芳春開令序,韶苑暢和風。惟靈申廣祐,利物表神功。綺會周天宇,黼黻藻寰中。庶幾承慶節,歆奠下帷宮。

皇后壇に升るには『肅和』を用いる:

原文皇后升壇用《肅和》:

明霊は至徳に光り、深功は百神を掩う。祥源は節に応じて啓き、福緒は年を逐いて新たなり。萬宇恩覆を承け、七廟恭禋に佇つ。茲に至懇を申べ、方に遠慶の臻るを期す。

原文明靈光至德,深功掩百神。祥源應節啟,福緒逐年新。萬宇承恩覆,七廟佇恭禋。于茲申至懇,方期遠慶臻。

登歌奠幣に『展敬』を用う。

原文登歌奠幣用《展敬》:

霞莊に寶衛を列ね、雲集して和聲を動かす。金卮綺席に薦め、玉幣芳庭に委す。心に因りて丹款を罄くし、先づ己を勵まして蒼生を励ます。冀う所は明福を延ばし、ここに至誠を享けんと。

原文霞莊列寶衛,雲集動和聲。金卮薦綺席,玉幣委芳庭。因心罄丹款,先己勵蒼生。所冀延明福,于茲享至誠。

迎俎に『潔誠』を用う。

原文迎俎用《潔誠》:

桂筵玉俎を開き、蘭圃瓊芳を薦む。八音鳳律を調べ、三獻鸞觴を奉ず。潔粢大享を申べ、庭宇祥の降るを冀う。神其れ慶を覃う有らば、福を錫いて永く疆無からんことを。

原文桂筵開玉俎,蘭圃薦瓊芳。八音調鳳律,三獻奉鸞觴。潔粢申大享,庭宇冀降祥。神其覃有慶,錫福永無疆。

飲福送神に『昭慶』を用う。

原文飲福送神用《昭慶》:

仙壇の禮既に畢り、神駕儼として將に升らんとす。佇みて深祥の啓くに屬し、方に期す庶績の凝らんことを。虔誠宇内に資り、務本黎蒸を勖む。靈心備享に昭らかに、率土休征に洽う。

原文仙壇禮既畢,神駕儼將升。佇屬深祥啟,方期庶績凝。虔誠資宇內,務本勖黎蒸。靈心昭備享,率土洽休征。

皇太子親釋奠樂章五首

原文皇太子親釋奠樂章五首

迎神に承和を用う、亦た『宣和』と曰う。

原文迎神用承和亦曰《宣和》:

聖道日用にあり、神機測るべからず。金石以て陳べ、弦歌載せて陟る。爰に其の菜を釋く、稷に馨しきに匪ず。來たり顧み來たり享け、是れ宗と是れ極なり。

原文聖道日用,神機不測。金石以陳,弦歌載陟。爰釋其菜,匪馨於稷。來顧來享,是宗是極。

皇太子行に『承和』を用う。

原文皇太子行用《承和》:

萬國貞を以て上嗣を光し、三善茂德重輪を表す。視膳寢門要道に遵い、高辟崇賢正人を引く。

原文萬國以貞光上嗣,三善茂德表重輪。視膳寢門遵要道,高辟崇賢引正人。

登歌奠幣に『肅和』を用う。

原文登歌奠幣用《肅和》:

粤に上聖有り、縱有ること天よりす。旁らに萬物を周し、俯して千年に應ず。舊章允に著わり、嘉贄孔虔し。王化茲に首とし、儒風是れ宣ぶ。

原文粵惟上聖,有縱自天。旁周萬物,俯應千年。舊章允著,嘉贄孔虔。王化茲首,儒風是宣。

迎俎に『雍和』を用う。

原文迎俎用《雍和》:

堂に瑤篚を獻じ、庭に璆縣を敷く。禮其の容を備え、樂其の變に和す。肅肅として親享し、雍雍として執奠す。明禮惟馨しく、蘋蘩薦む可し。

原文堂獻瑤篚,庭敷璆縣。禮備其容,樂和其變。肅肅親享,雍雍執奠。明禮惟馨,蘋蘩可薦。

文舞を送り出し武舞を迎え入れるには『舒和』を用いる。

原文送文舞出迎武舞入用《舒和》:

隼は集まり亀は開き聖列を昭かにし、龍は蹲り鳳は歭ちて神儀を肅す。儒を尊び業を敬ひ宏圖を闡き、武を緯し文を經て盛德を施す。

原文隼集龜開昭聖列,龍蹲鳳歭肅神儀。尊儒敬業宏圖闡,緯武經文盛德施。

武舞には『凱安』を用いる。詞は冬至圓丘と同じ。

原文武舞用《凱安》詞同冬至圓丘。

神を送るには『承和』を用いる。詞は迎神と同じ。

原文送神用《承和》詞同迎神。

また孔廟を享く樂章二首

原文又享孔廟樂章二首

太樂に舊く此の詞有り、起る所詳ならず。

原文太樂舊有此詞,不詳所起。

迎神:

原文迎神:

吳に通じて聖を表し、老を問ひ貞を探る。三千の弟子、五百の賢人。億齡の規法、萬載の祠禋。誠を潔くして以て祭り、樂を奏して神を迎ふ。

原文通吳表聖,問老探貞。三千弟子,五百賢人。億齡規法,萬載祠禋。潔誠以祭,奏樂迎神。

送神:

原文送神:

醴は犧象に溢れ、羞は俎豆に陳ぶ。魯壁類く聞くが如く、泗川覯ふに似たり。里校福を覃べ、胄筵祐を承く。雅樂清音、神を送る其の奏。

原文醴溢犧象,羞陳俎豆。魯壁類聞,泗川如覯。里校覃福,胄筵承祐。雅樂清音,送神其奏。

龍池を享く樂章十首

原文享龍池樂章十首

第一章(紫微令姚崇の作なり)

原文第一章紫微令姚崇作也

恭しく聞く帝里に靈沼生ずと、應に明君の鼎業新たなるを報ずべしと。既に翠泉に葉ひて寶命を光らし、還た白水の真人出づるに符す。此時舜海に龍躍を潛め、北地堯河に馬巡を帶ぶ。獨り前池の一小雁有り、舊惠を叨承して天津に入る。

原文恭聞帝里生靈沼,應報明君鼎業新。既葉翠泉光寶命,還符白水出真人。此時舜海潛龍躍,北地堯河帶馬巡。獨有前池一小雁,叨承舊惠入天津。

第二章(左拾遺蔡孚の作)

原文第二章左拾遺蔡孚作

帝宅王家の大道の邊、神馬龍龜聖泉を湧かす。昔日昔時に此の地を經、看來看去漸く川と成る。歌臺舞榭正月に宜しく、柳岸梅洲往年に勝る。波上の春雲少なしと莫言へ、只龍に從ひて直に天に上るが爲のみ。

原文帝宅王家大道邊,神馬龍龜湧聖泉。昔日昔時經此地,看來看去漸成川。歌臺舞榭宜正月,柳岸梅洲勝往年。莫言波上春雲少,只為從龍直上天。

第三章(太府少卿沈佺期作)

原文第三章太府少卿沈佺期作

龍池に龍躍り龍已に飛び、龍德天に先んじて天違はず。池開きて天漢黄道を分ち、龍天門に向かひ紫微に入る。邸第楼臺多く氣色有り、君王鳧雁光輝有り。報ぜんとす寰中の百川水に、来朝して上地に東帰する莫れ。

原文龍池躍龍龍已飛,龍德先天天不違。池開天漢分黃道,龍向天門入紫微。邸第樓臺多氣色,君王鳧雁有光輝。為報寰中百川水,來朝上地莫東歸。

第四章(黄門侍郎盧懷慎作)

原文第四章黃門侍郎盧懷慎作

代邸の東南龍躍の泉、清漪碧浪遠く天に浮ぶ。楼臺の影波中より出づるに就き、日月の光鏡裏に懸かるを疑ふ。雁沼回流して舜海と成り、龜書祉を薦めて堯年に應ず。大川既に濟ひて楫と爲るを慙じ、德に報ゆるに空しく細涓を奉ぜんと思ふ。

原文代邸東南龍躍泉,清漪碧浪遠浮天。樓臺影就波中出,日月光疑鏡裏懸。雁沼回流成舜海,龜書薦祉應堯年。大川既濟慚為楫,報德空思奉細涓。

第五章(殿中監姜皎作)

原文第五章殿中監姜皎作

龍池初めて此の龍山に出づ、常に此地を經て龍顏を謁す。日々芙蓉夏水に生じ、年年楊柳春灣に變ず。堯壇の寶匣餘煙霧、舜海の漁舟尚往還す。願はくは飄颻たる五雲の影を以て、從來從去九天の間にせん。

原文龍池初出此龍山,常經此地謁龍顏。日日芙蓉生夏水,年年楊柳變春灣。堯壇寶匣餘煙霧,舜海漁舟尚往還。願以飄颻五雲影,從來從去九天間。

第六章(吏部尚書崔日用作)

原文第六章吏部尚書崔日用作

龍は白水に興り漢は符に興る、聖主時に乘じて運斗樞を運ぶ。岸上裛茸たる五花の樹、波中の皪たる千金の珠。環を操る昔聞く夏啓を迎へしを、匣を發すること先づ來たりて瑞有虞に有り。風色雲光隱見に隨ひ、亦た神化の江湖に象る。

原文龍興白水漢興符,聖主時乘運斗樞。岸上裛茸五花樹,波中的皪千金珠。操環昔聞迎夏啟,發匣先來瑞有虞。風色雲光隨隱見,亦雲神化象江湖。

第七章(紫微侍郎蘇頲作)

原文第七章紫微侍郎蘇頲作

西京鳳邸龍泉躍り、佳氣休光天に鐘す。軒后の霧圖今已に得、秦王の水劍昔常に傳ふ。恩魚昆明の釣に似ず、瑞鶴長く太液の仙の如し。願はくは巡遊に侍して舊里と同じくし、更に簫鼓の樓船を濟ふを聞かん。

原文西京鳳邸躍龍泉,佳氣休光鐘在天。軒后霧圖今已得,秦王水劍昔常傳。恩魚不似昆明釣,瑞鶴長如太液仙。願侍巡遊同舊里,更聞簫鼓濟樓船。

第八章(黄門侍郎李乂作)

原文第八章黃門侍郎李乂作

星分ちて邑里四人居り、水洊くして源流萬頃餘り。魏國君王象を稱する處、晉家籓邸龍に化する初め。青蒲暫く梁馬に游ぶに似、綠藻還た鎬魚を宴するを疑ふ。自ら神靈液を滋す地有り、年年雲物史官書す。

原文星分邑里四人居,水洊源流萬頃餘。魏國君王稱象處,晉家籓邸化龍初。青蒲暫似游梁馬,綠藻還疑宴鎬魚。自有神靈滋液地,年年雲物史官書。

第九章(工部侍郎姜晞作)

原文第九章工部侍郎姜晞作

靈沼縈回す邸第の前、日を浴び春を涵み曙天を寫す。始めて龍臺の鳳闕に昇るを見、應に霄漢の神泉を起すが如く有らん。石匱渚の傍に還た聖を啓き、桃李初めて開き更に仙有り。化せんと欲す帝圖此より受け、正に河變の一千年に同じ。

原文靈沼縈回邸第前,浴日涵春寫曙天。始見龍臺升鳳闕,應如霄漢起神泉。石匱渚傍還啟聖,桃李初開更有仙。欲化帝圖從此受,正同河變一千年。

第十章(兵部郎中裴璀作)

原文第十章兵部郎中裴璀作

乾坤聖を啓き龍泉を吐き、泉水年々一年に勝る。始めて魚躍するを見て方に海を成し、即ち龍飛するを睹て天に利あり。洲渚遥かに銀漢に将に接し、楼台直に紫微に連なる。休気栄光常に散ぜず、懸けて此地神仙なることを知る。

原文乾坤啟聖吐龍泉,泉水年年勝一年。始看魚躍方成海,即睹龍飛利在天。洲渚遙將銀漢接,樓臺直與紫微連。休氣榮光常不散,懸知此地是神仙。