太史公曰く、古より聖王、国を建て命を受け、事業を興動せんとするには、何ぞ嘗て卜筮を宝とし以て善を助けざらんや。唐虞以上は、記すべからず。三代の興りより、各々禎祥に拠る。塗山の兆は従うことによりて夏啓世し、飛燕の卜は順なるが故に殷興り、百穀の筮は吉なるが故に周王たり。王者は諸疑を決定するに、卜筮を参じ、蓍亀を以て断ずるは、易えざるの道なり。
蛮夷氐羌は君臣の序無きといえども、亦決疑の卜有り。或いは金石を以てし、或いは草木を以てす。国は俗を同じくせず。然れども皆以て戦伐攻撃し、兵を推して勝を求め、各々其の神を信じ、以て来事を知る。
略聞く、夏殷、卜せんと欲する者は、乃ち蓍亀を取り、已れば則ちこれを棄て去り、以て亀蔵すれば則ち霊ならず、蓍久しければ則ち神ならずと為す。周室の卜官に至りては、常に蓍亀を宝蔵す。又其の大小先後、各々尚ぶ所有り。其の帰する所を要するに等しきのみ。或いは以て為す、聖王は事に遭いて定まらざる無く、疑を決して見えざる無し。其の稽神求問の道を設くる者は、以て後世衰微し、愚は智に師せず、人は各々自ら安んじ、化は分かれて百室と為り、道は散じて垠無きが故に、帰する所を至微に推し、要は精神に絜るなりと。或いは以て為す、昆虫の長ずる所は、聖人も与に争う能わず。其の吉凶を処し、然否を別つこと、多く人に中る。高祖の時に至り、秦の太卜官に因る。天下始めて定まり、兵革未だ息まず。孝恵に及びては国を享くる日少なく、呂后は女主たり。孝文・孝景は掌故を因襲し、未だ遑て講試せず。父子疇官と雖も、世々相伝え、其の精微深妙なるもの、遺失する所多し。今上即位に至り、博く芸能の路を開き、悉く百端の学を延べ、一伎を通ずるの士咸く自ら効するを得、倫を絶ち奇を超える者は右と為し、阿私する所無し。数年之間に、太卜大いに集まる。会に上、匈奴を撃たんと欲し、西は大宛を攘い、南は百越を収めんとす。卜筮は表象を預見するに至り、先ず其の利を図る。及び猛将鋒を推し節を執り、彼に於いて勝を獲るに、蓍亀時日も亦此に於いて力を有す。上尤も意を加え、賞賜は或は数千万に至る。丘子明の属の如きは、富溢れ貴寵し、朝廷に傾く。至っては卜筮を以て蠱道を射、巫蠱時に或いは頗る中る有り。素に眥睚の不快有る者、公に行うを因りて誅し、意に恣る所の傷、以て族を破り門を滅ぼす者は、勝げて数うべからず。百僚蕩恐し、皆曰く亀策能く言うと。後事姦窮まるを覚り、亦三族を誅す。
策を摓って数を定め、亀を灼いて兆を観ることは、変化窮まりなく、ここに賢を択びて占を用いる、聖人の事を重んずる者と謂うべきか。周公は三たび亀を卜して、武王は瘳え、紂は暴虐たりしも、元亀は占わず。晋の文公は将に襄王の位を定めんとし、卜して黄帝の兆を得、ついに彤弓の命を受く。献公は驪姫の色に貪り、卜して兆に口の象あり、その禍ついに五世に流る。楚の霊王は将に周室に背かんとし、卜して亀逆らう、終に乾谿の敗れを受く。兆の応は内に信誠あり、時に人は外に明察してこれを見る、両合する者と謂わざるべけんや。君子は、夫れ卜筮を軽んじ神明なき者は悖ると謂い、人道に背き禎祥を信ずる者は、鬼神もその正を得ざると謂う。故に書に稽疑を建て、五謀にして卜筮その二に居り、五占にしてその多きに従うは、有りて専らにせざるの道を明らかにするなり。
余、江南に至り、その行事を観、その長老に問うに、云う、亀は千歳にして乃ち蓮葉の上に遊び、蓍は百茎にして一根を共にす。またその生ずる所は、獣に虎狼なく、草に毒螫なし。江の傍の家人は常に亀を畜いて飲食し、以て能く気を導引致し、衰を助け老を養うに益ありと為す、豈に信ぜざらんや。
褚先生曰く、臣は経術を通じ、博士に受業し、春秋を治め、高第を以て郎と為り、幸いに宿衛を得て、宮殿中に出入すること十余年。窃かに太史公の伝を好む。太史公の伝に曰く、「三王は亀を同じうせず、四夷は各卜を異にす、然れども各以て吉凶を決し、略その要を闚う、故に亀策列伝を作す」と。臣、長安中に往来し、亀策列伝を求むるも得ず、故に大卜官に之き、掌故文学の長老にして事に習う者に問い、亀策卜事を写し取り、下方に編す。
古の五帝・三王の挙事を発動するは、必ず先ず蓍亀を決すと聞く。伝に曰く、「下に伏霊有れば、上に兎絲有り;上に擣蓍有れば、下に神亀有り」と。所謂伏霊とは、兎絲の下に在り、状は飛鳥の形に似たり。新雨已り、天清静にして風無く、夜を以て兎絲を捎い去り、既に篝燭を以て此地を燭す、火滅すれば、即ちその処を記し、新布四丈を以て環らしめて置く、明くる即ち掘り取る、四尺より七尺に入りて得、七尺を過ぐれば得べからず。伏霊は、千歳の松根なり、これを食えば死せず。蓍は百茎に満つる者を生ずれば、その下必ず神亀有りてこれを守り、その上常に青雲有りてこれを覆うと聞く。伝に曰く、「天下和平、王道得られば、蓍茎は丈に長じ、その叢は百茎に満つ」と。方今の世、蓍を取る者は、古の法度に中たらず、百茎に満ち丈に長き者を得ず、八十茎以上を取り、蓍長八尺なれば、即ち得難し。人民卦を用いるを好む者は、六十茎以上に満ち、六尺に満ちて長き者を取り、既に用うべし。記に曰く、「能く名亀を得る者は、財物これに帰し、家必ず大富して千万に至る」と。一に曰く「北斗亀」、二に曰く「南辰亀」、三に曰く「五星亀」、四に曰く「八風亀」、五に曰く「二十八宿亀」、六に曰く「日月亀」、七に曰く「九州亀」、八に曰く「玉亀」:凡そ八名の亀。亀の図は各々文その腹下に在り、文云々するは、これ某の亀なり。略その大指を記し、その図を写さず。この亀を取るには必ずしも尺二寸に満たず、民人は長さ七八寸を得れば、宝とすべし。今、珠玉宝器は、深く蔵する所有りと雖も、必ずその光を見、必ずその神明を出す、これこの謂いか。玉は山に処すれば木潤い、淵に珠を生ずれば岸枯れず、潤沢の加わる所なり。明月の珠は江海より出で、蚌中に蔵し、蚗龍これに伏す。王者これを得れば、長く天下を有ち、四夷賓服す。能く百茎の蓍を得、并せてその下の亀を得て以て卜する者は、百言百当たり、以て吉凶を決するに足る。
神亀は江水より出づ。
神龜は江水の中より出づ、廬江郡は常に歳時に長さ尺二寸の龜を生じて二十枚を太卜官に輸す、太卜官は吉日を以て其の腹下の甲を剔取す。龜は千歳にして乃ち尺二寸に満つ。王者軍を発し将を行ふには、必ず廟堂の上に龜を鉆り、以て吉凶を決す。今高廟の中に龜室有り、内に蔵めて以て神寶と為す。
伝に曰く、「前足の臑骨を取りて之を穿ち佩び、龜を取りて室の西北隅に懸け、以て深山大林の中に入れば、惑はず」と。臣が郎たりし時、萬畢石朱方を見るに、伝に曰く、「神龜有り江南の嘉林の中に在り。嘉林とは、獣に虎狼無く、鳥に鴟梟無く、草に毒螫無く、野火及ばず、斧斤至らず、是れを嘉林と為す。龜其の中に在り、常に芳蓮の上に巣く。左脅に書文有りて曰く、『甲子重光、我を得る者は匹夫も人君と為り、土正有り、諸侯我を得れば帝王と為る』と。之を白蛇の蟠杅する林中に求むる者は、斎戒して以て待ち、譺然として、状人來りて之に告ぐるが如く、因りて以て醮酒し佗発し、之を求めて三宿にして得たり」と。是れより之を観れば、豈偉ならずや。故に龜は敬すべからずや。
南方の老人は龜を用いて床足を支ふ、行くこと二十餘歳、老人死に、床を移すも、龜尚ほ生にして死せず。龜は能く気を行ひ導引す。問ふ者曰く、「龜は至神此の若きも、然るに太卜官は生龜を得て、何を為して輒ち殺して其の甲を取るや」と。近世江上の人に名龜を得る者有り、畜ひ置く、家因りて大いに富む。人と議し、遣り去らんと欲す。人教へて之を殺して遣る勿れ、之を遣れば人の家を破ると。龜夢に見えて曰く、「我を水中に送れ、吾を殺す無かれ」と。其の家終に之を殺す。殺したる後、身死に、家利せず。人民と君王者とは道を異にす。人民名龜を得るは、其の状類殺すに宜しからず。往古の故事を以て之を言へば、古の明王聖主は皆殺して之を用ふ。
宋元王
宋元王の時龜を得、亦殺して之を用ふ。謹みて其の事を左方に連ね、好事の者をして観て其の中を択ばしむ。
宋の元王の二年、江の使いの神亀が河に使いして、泉陽に至ったところ、漁師の豫且が網を挙げてこれを捕らえて囚えた。これを籠の中に置いた。夜半、亀が来て宋の元王に夢に見えて言うには、「私は江の使いとして河に行く途中、幕のような網が私の道を遮った。泉陽の豫且が私を捕らえ、私は逃れられない。身は患難の中にあり、告げるべき者もいない。王には徳義があるゆえ、敢えて来て告げ申す」と。元王ははっと目覚めた。そこで博士の衛平を召して問うて言うには、「今、寡人が夢に一人の丈夫を見た。首を延べて頭は長く、玄色の刺繡の衣を着て輜車に乗り、来て寡人に夢に見えて言うには、『私は江の使いとして河に行く途中、幕のような網が私の道を遮った。泉陽の豫且が私を捕らえ、私は逃れられない。身は患難の中にあり、告げるべき者もいない。王には徳義があるゆえ、敢えて来て告げ申す』と。これは何物か」と。衛平はそこで式を引き寄せて起ち上がり、天を仰いで月の光を視、斗の指すところを観、日の位置する方角を定めた。規矩を補助とし、権衡を副えた。四維は既に定まり、八卦は相望んだ。その吉凶を視ると、介虫が先に現れた。そこで元王に対し言うには、「今夜は壬子の日、宿は牽牛にある。河水は大いに会し、鬼神は相謀る。漢は正しく南北にあり、江河は固より期す。南風新たに至り、江の使い先ず来る。白雲漢を壅ぎ、万物尽く留まる。斗柄日を指し、使者囚われるべし。玄服して輜車に乗るもの、その名を亀と為す。王は急ぎ人をして問い求めしめよ」と。王は言う、「善し」と。
そこで王は人を馳せさせて往き、泉陽の令に問うて言うには、「漁師は幾家あるか。名は誰を豫且と為すか。豫且が亀を得て、王に夢に見えたので、王が故に我を使わしてこれを求めしめる」と。泉陽の令はそこで吏をして籍を案じ図を視させたところ、水上の漁師五十五家、上流の廬にいる者、名を豫且と為す。泉陽の令は言う、「諾」と。そこで使者と共に馳せて豫且に問うて言うには、「今夜、汝は漁りして何を得たか」と。豫且は言う、「夜半の時に網を挙げて亀を得た」と。使者は言う、「今、亀は安在か」と。言う、「籠の中にあり」と。使者は言う、「王は汝が亀を得たことを知り、故に我を使わしてこれを求めしめる」と。豫且は言う、「諾」と。即ち亀を繋いでこれを籠の中から出し、使者に献じた。
使者は車に載せて行き、泉陽の門より出づ。真昼なれども見えず、風雨晦冥たり。雲その上を覆い、五采青黄たり。雷雨並び起こり、風将いて行く。端門に入り、東箱に見ゆ。身は流水の如く、潤沢にして光あり。元王を望み見て、頸を延べて前に進み、三歩にして止まり、頸を縮めて退き、復たその故き処に戻る。元王これを見て怪しみ、衛平に問うて曰く、「亀寡人に見え、頸を延べて前に進むは、何を望むや。頸を縮めて復た戻るは、何を当てるや」と。衛平対えて曰く、「亀は患難の中にありて、終日囚われたり。王に徳義ありて、人をしてこれを活かさしむ。今頸を延べて前に進むは、以て謝すべきを当てんとす。頸を縮めて退くは、速やかに去らんと欲するなり」と。元王曰く、「善いかな。神ここに至るか。久しく留むべからず。速やかに駕を趣けて亀を送れ。期を失うなかれ」と。衛平対えて曰く、「亀はこれ天下の宝なり。先ずこの亀を得る者は天子たり。且つ十言十当たり、十戦十勝す。深淵に生まれ、黄土に長ず。天の道を知り、上古に明らかなり。三千歳を遊び、その域を出でず。安平にして静正、動くも力を用いず。寿は天地を蔽い、その極を知る莫し。物と変化し、四時に色を変ず。居て自ら匿れ、伏して食わず。春は倉、夏は黄、秋は白、冬は黒。陰陽に明らかに、刑徳に審らかなり。先ず利害を知り、禍福を察す。以て言えば当たり、以て戦えば勝つ。王能くこれを宝とせば、諸侯尽く服す。王遣わすなかれ。以て社稷を安んぜん」と。元王曰く、「亀は甚だ神霊にして、上天より降り、深淵に陥る。患難の中にありて、我を賢とす。徳厚くして忠信なれば、故に寡人に告げ来る。寡人もし遣わさざれば、これ漁者なり。漁者はその肉を利し、寡人はその力を貪る。下は不仁を為し、上は無徳なり。君臣礼無くば、何を以てか福あらん。寡人は忍びず。如何にしてか遣わさざらんや」と。
元王慨然として嘆きて曰く、「人の使を逆らい、人の謀を絶つは、これ暴ならずや。人の有るを取り、以て自ら宝と為すは、これ強ならずや。寡人の聞くところに、暴に得る者は必ず暴に亡び、強く取る者は必ず後に功無しと。桀紂は暴強にして、身死に国亡ぶ。今我子に聴かば、是れ仁義の名無くして暴強の道有り。江河は湯武たり、我は桀紂たり。その利を見ず、その咎に離るるを恐る。寡人狐疑す。安んぞこの宝に事えん。速やかに駕を趣けて亀を送れ。久しく留むるなかれ」と。
衛平答えて曰く、「然らず、王は其の患ひ無かるべし。天地の間、石を累ねて山と為す。高くして壊れず、地は安きを得る。故に云ふ、物或は危きにして顧みて安く、或は軽くして遷すべからず;人或は忠信にして誕謾に如かず、或は醜悪にして宜しく大官たり、或は美好佳麗にして衆人の患ひと為る。神聖の人に非ざれば、能く言ひ尽くす莫し。春秋冬夏、或は暑く或は寒し。寒暑和せず、賊気相ひ奸む。同じき歳に節を異にす、其の時に然らしむるなり。故に春に生じ夏に長じ、秋に収め冬に蔵するを令す。或は仁義と為り、或は暴彊と為る。暴彊には郷あり、仁義には時あり。万物尽く然り、勝ひて治むる可からず。大王臣に聴かば、臣請ふ悉く之を言はん。天は五色を出だして、以て白黒を辨ぜしむ。地は五穀を生じて、以て善悪を知らしむ。人民は辨ふるを知る莫く、禽獣と相ひ若し。谷に居り穴に処り、田作を知らず。天下禍亂し、陰陽相ひ錯る。悤悤疾疾として、通じて相ひ擇ばず。妖孽數へて見はれ、傳ふるに薄きを為す。聖人は其の生を別ちて、相ひ獲ること無からしむ。禽獣には牝牡あり、之を山原に置く;鳥には雌雄あり、之を林澤に布く;介有るの蟲は、之を谿谷に置く。故に人民を牧するに、之が為に城郭を為し、内には閭術を経め、外には阡陌を為す。夫妻男女には、之に田宅を賦し、其の室屋を列す。之が為に図籍を為し、其の名族を別つ。官を立て吏を置き、爵祿を以て勧む。桑麻を以て衣し、五穀を以て養ふ。之を耕し之を耰し、之を鉏し之を耨す。口は嗜む所を得、目は美しむ所を得、身は其の利を受く。是を以て之を観れば、彊からざれば至らず。故に曰く、田者彊からざれば、囷倉盈たず;商賈彊からざれば、其の贏を得ず;婦女彊からざれば、布帛精ならず;官御彊からざれば、其の勢成らず;大將彊からざれば、卒使令せず;侯王彊からざれば、没世名無し。故に云ふ、彊者は事の始なり、分の理なり、物の紀なり。彊に求むる所は、有らざる無し。王以て然らずと為すか、王獨り玉櫝隻雉、昆山より出づるを聞かずや;明月の珠、四海より出づるを;石を鐫り蚌を拌し、市に傳ひ賣るを;聖人之を得て、以て大寶と為す。大寶の所在する所、乃ち天子と為る。今王自ら暴と為すは、海に於ける蚌を拌するに如かず;自ら彊と為すは、昆山に於ける石を鐫るに過ぎず。取る者は咎無く、寶とする者は患ひ無し。今龜使い來たりて網に抵り、漁者に遭ひて之を得、夢に見えて自ら言ふ、是れ國の寶なり、王何ぞ憂へん。」
元王曰く、「然らず。寡人の聞く所に拠れば、諫める者は福なり、諛う者は賊なり。人主諛うを聴くは、是れ愚惑なり。然りと雖も、禍は妄りに至らず、福は徒らに来らず。天地気を合して、以て百財を生ず。陰陽分有り、四時を離れず、十有二月、日を至して期と為す。聖人徹す、身乃ち災無し。明王之を用うれば、人敢えて欺く莫し。故に云う、福の至るや、人自ら之を生ず;禍の至るや、人自ら之を成す。禍と福とは同じく、刑と徳とは双ぶ。聖人之を察して、以て吉凶を知る。桀紂の時、天と功を争い、鬼神を擁遏して、通ずるを得ざらしむ。是れ固より已に道無きなり、諛臣衆有り。桀に諛臣有り、名を趙梁と曰う。無道を教え、貪狼を以て勧む。湯を夏臺に繫ぎ、関龍逢を殺す。左右死を恐れ、傍に偷かに諛う。国累卵に危うきに、皆曰く傷無しと。楽万歳を称し、或いは未央と曰う。其の耳目を蔽い、之と詐狂を為す。湯遂に桀を伐ち、身死し国亡ぶ。其の諛臣を聴く、身独り殃を受く。春秋之を著し、今に至るも忘れず。紂に諛臣有り、名を左彊と為す。誇りて目巧み、象郎を教え為す。将に天に至らんとし、又玉床有り。犀玉の器、象箸にして羹と為す。聖人其の心を剖き、壮士其の胻を斬る。箕子死を恐れ、髪を被り佯狂す。周の太子歴を殺し、文王昌を囚う。之を石室に投じ、将に昔より明に至らんとす。陰兢之を活かし、之と俱に亡ぶ。周の地に入り、太公望を得る。卒を興し兵を聚め、紂と相攻む。文王病み死し、尸を載せて以て行く。太子発将に代わり、号して武王と為す。牧野に戦い、之を華山の陽に破る。紂勝たず敗れて還り走り、之を象郎に囲む。宣室に自殺し、身死して葬られず。頭車軫に懸り、四馬曳き行く。寡人其の此の如きを念い、腸湯の如し。是の人皆天下に富み有りて貴き天子に至るも、然れども大いに傲る。欲猒む時無く、事を挙げて高きを喜び、貪很にして驕る。忠信を用いず、其の諛臣を聴きて、天下の笑いと為る。今寡人の邦、諸侯の間に居り、曾て秋毫の如くも不如し。事を挙げて当たらず、又安くにか亡逃せんや」と。
衛平答えて曰く、「然らず。河は神賢なりと雖も、崑崙の山に如かず。江の源理は、四海に如かず。而るに人尚ほ其の宝を奪い取り、諸侯之を争い、兵革起こる。小国は亡ぶを見、大国は危殆なり。人の父兄を殺し、人の妻子を虜にし、国を残し廟を滅ぼして、以て此の宝を争う。戦攻分争するは、是れ暴彊なり。故に云う、之を取るには暴彊を以てし、之を治むるには文理を以てす。四時に逆らわず、必ず賢士に親しみ、陰陽と化を同じくし、鬼神を使役し、天地に通じ、之と友たらん。諸侯賓服し、民衆殷喜す。邦家安寧し、世と更始す。湯武之を行い、乃ち天子を取る。春秋之を著し、以て経紀と為す。王自ら湯武を称せずして、自ら桀紂に比す。桀紂は暴彊を為すなり。固より常と為す。桀は瓦室を為し、紂は象郎を為す。絲を徴して之を灼き、務めて以て氓を費やす。賦斂度無く、殺戮方無し。人の六畜を殺し、以て韋を為して囊とす。囊其の血を盛り、人と県して之を射り、天帝と彊を争う。四時に逆らい乱し、百鬼に先だって嘗む。諫る者は輒ち死し、諛う者は傍に在り。聖人伏匿し、百姓行くこと莫し。天數枯旱し、国多く妖祥有り。螟蟲歳に生じ、五穀成らず。民其の処に安んぜず、鬼神享けず。飄風日より起こり、正昼晦冥す。日月并びに蝕み、滅息して光無し。列星奔乱し、皆紀綱を絶つ。是を以て之を観るに、安んぞ久長を得んや。湯武無きと雖も、時固より当に亡ぶべし。故に湯桀を伐ち、武王紂を剋つ。其の時之を然らしむ。乃ち天子と為り、子孫世を継ぐ。終身咎無く、後世之を称え、今に至るまで已まず。是れ皆当時にして行い、事を見て彊くし、乃ち能く其の帝王を成すなり。今、龜は大宝なり。聖人の使として、之を賢王に伝う。手足を用いず、雷電之を将し、風雨之を送り、流水之を行く。侯王徳有らば、乃ち当に之を得べし。今、王徳有りて此の宝に当たる。恐らくは敢えて受けざらん。王若し之を遣わさば、宋必ず咎有らん。後之を悔ゆと雖も、亦及ぶこと已に無からん」。
元王大いに悦びて喜ぶ。ここにおいて元王日に向かいて謝し、再拝して受く。日を択びて斎戒し、甲乙最も良し。乃ち白雉を刑し、及び驪羊と与にす。血を以て龜に灌ぎ、壇の中央に於いてす。刀を以て之を剝き、身全く傷つかず。脯酒之を礼し、其の腹腸を横たう。荊支之を卜し、必ず其の創を制す。理理に達し、文相錯迎す。工をして之を占わしむるに、言う所尽く当たる。邦福重宝、傍郷に聞こゆ。牛を殺して帮を取り、鄭の桐を被る。草木畢分し、化して甲兵と為る。戦に勝ち攻め取り、元王に如くは莫し。元王の時、衛平宋に相たり、宋国最も彊し。龜の力なり。
故に云う、神は至って元王に夢を見せることはできたが、自ら漁師の籠から出ることはできなかった。身は十言を尽くして当たることができたが、河に通使し、江に還報することはできなかった。賢は人をして戦勝攻取せしめることはできたが、自ら刀鋒を解き、剝刺の患いを免れることはできなかった。聖は先んじて知り、亟に見ることはできたが、衛平をして言わしめないようにすることはできなかった。事を言うこと百全であっても、身に至っては攣屈する。時に利あらず、また何ぞ賢を事とせん。賢者には恒常あり、士には適然あり。是の故に明らかにして見ざる所あり、聴いて聞こえざる所あり。人は賢なりといえども、左に方を画き、右に円を画くことはできず、日月の明らかさも、時に浮雲に蔽われる。羿は名を善射とすれども、雄渠・蜂門には及ばず、禹は名を辯智と為すも、鬼神に勝つことはできない。地柱は折れ、天は故に椽なく、また奈何ぞ人を全きことを責めん。孔子これを聞きて曰く、「神龜は吉凶を知るも、骨は直くして空枯す。日は徳を為して天下に君たるも、三足の烏に辱しめられ、月は刑を為して相佐くるも、蝦蟆に見食われる。猬は鵲に辱しめられ、騰蛇の神も即且に殆うし。竹は外に節理あり、中は直くして空虚なり。松柏は百木の長たりといえども、門閭を守る。日辰全からず、故に孤虚あり。黄金には疵あり、白玉には瑕あり。事には疾き所もあり、また徐かなる所もあり。物には拘わる所もあり、また拠る所もあり。網には密なる所もあり、また疎かなる所もあり。人には貴ぶ所もあり、また及ばざる所もあり。何を以てか適と為さん。物安んぞ全きことを得ん。天すら尚全からず、故に世屋を為すに、三瓦を成さずしてこれを陳べ、以て天に応ず。天下には階あり、物全からざるより生ずるなり」と。
褚先生曰く、漁師網を挙げて神龜を得たり。龜自ら夢に見えて宋の元王に告ぐ。元王博士の衛平を召して夢の龜の状を告ぐ。平は式を運らし、日月を定め、衡度を分かち、吉凶を視て、龜を占うに物色同じし。平は王に諫めて神龜を留め、以て国の重寶と為さんことを勧む。美しいかな。古えは筮うに必ず龜を称するは、その令名による、由来久しきなり。余これを述べて傳と為す。
十一月、十二月、正月、二月、三月は、中が関で内高く外低し。四月は、首仰ぎ足開き肣開き首俛みて大。五月は、横吉にして首俛みて大。六月、七月、八月、九月、十月。
卜
卜の禁に曰く、子・亥・戌の日には卜及び龜を殺すべからず。日中食の如き時は既に卜す。暮れ昏れて龜の徼なる時は、卜すべからず。庚・辛の日には殺し、及び以て鉆づべし。常に月旦を以て龜を祓い、先ず清水を以てこれを澡い、卵を以てこれを祓い、乃ち龜を持ちて遂にこれに就く。常に以て祖と為すが如し。人若し已に卜して中らざれば、皆卵を以てこれを祓い、東に向かいて立ち、荊若しくは剛木を以て灼き、土卵を以てこれを指すこと三たびし、龜を持ちて卵を以て周環し、祝して曰く、「今日吉なり、謹みて粱卵焍黄を以て玉靈の不祥を祓い去らん」と。玉靈は必ず信を以て誠にし、万事の情を知り、兆を辯じて皆占うべし。信ぜず誠ならざれば、則ち玉靈を焼き、その灰を揚げ、以て后龜に徴す。その卜は必ず北に向かい、龜甲は必ず尺二寸。
まず卜うに先だちて灼きて鉆を造り、鉆中既に已み、又た龜の首を灼くこと各三たび、又た復た所鉆の中を灼くを正身と曰い、首を灼くを正足と曰い、各三たびす。即ち以て三たび龜を周らし、祝して曰く、「玉靈夫子に假す。夫子玉靈、荊を灼きて心とし、汝をして先知らしむ。而上は天に行き、下は淵に行き、諸の靈數、汝の信なるに如かず。今日良日、一の良貞を行わんとす。某某を卜わんと欲す、即ち得て喜び、得ざれば悔ゆ。即ち得ば、發して我が身に鄕い長大にして、首足收まり人皆上偶す。得ざれば、發して我が身に鄕い挫折し、中外相応ぜず、首足滅去す」と。
靈龜卜の祝いは曰く、「靈龜に假す。五巫五靈、神龜の靈に如かず、人の死を知り、人の生を知る。某身良貞、某某物を求めんと欲す。即ち得ば、頭見れ足發れ、内外相応ず。即ち得ざれば、頭仰ぎ足肣み、内外自ら垂る。以て占うべし」と。
病を卜うに占う者は祝いて曰く、「今某病困す。死すれば、首上開き、内外交駭き、身節折る。死せざれば、首仰ぎ足肣む」と。病者の祟を卜うに曰く、「今病に祟有りて呈れず、祟無くして有りて呈る。兆に中祟有れば内に有り、外祟有れば外に有り」と。
繫がるる者の出でざるを卜う。出でざれば、横吉安。若し出づれば、足開き首仰ぎ外有り。
財物を求むるを卜い、其の当に得べき所を占う。得れば、首仰ぎ足開き、内外相応ず。即ち得ざれば、呈兆首仰ぎ足肣む。
卜して臣妾・馬牛を売買するを得るや否やを占う。得る時は、首仰ぎ足開き、内外相応ず。得ざる時は、首仰ぎ足斂み、兆は横吉安の如し。
卜して盗賊の群れ若干人を撃つことを占う。某所に在り、今某将卒若干人を率いて往きて之を撃たんとす。勝つに当たれば、首仰ぎ足開き身正しく、内自ら橋なり、外は下る。勝たざれば、足斂み首仰ぎ、身首内に下り外に高し。
卜して行くべきか行くべからざるかを求む。行く時は、首足開く。行かざる時は、足斂み首仰ぎ、若しくは横吉安の如く、安んじて行かず。
卜して往きて盗賊を撃つことを占い、見るべきか見ざるべきかを占う。見る時は、首仰ぎ足斂み外有り。見ざる時は、足開き首仰ぐ。
卜して往きて盗賊の様子を窺うことを占い、見るべきか見ざるべきかを占う。見る時は、首仰ぎ足斂み、斂みて勝ち外有り。見ざる時は、足開き首仰ぐ。
盗賊が来るか来ないかを占う。来る場合は、兆の外側が高く内側が低く、足は縮み首は仰ぎ、来ない場合は、足は開き首は仰ぎ、あるいは横吉安のようで、期日は自ら次第である。
転居あるいは官を去るか去らないかを占う。去る場合は、足は開き内側に縮み外側に首が仰ぎ、去らない場合は、自ら去ろうとしても、すなわち足は縮み、兆は横吉安のようである。
官職に在ってなお吉であるか否かを占う。吉の場合は、兆は身が正しく、あるいは横吉安のようであり、不吉の場合は、身は節折れ、首は仰ぎ足は開く。
家屋に居住するのが吉であるか不吉であるかを占う。吉の場合は、兆は身が正しく、あるいは横吉安のようであり、不吉の場合は、身は節折れ、首は仰ぎ足は開く。
一年のうちの禾稼が熟するか熟さないかを占う。熟する場合は、首は仰ぎ足は開き、内外は自ら橋となり外は自ら垂れ、熟さない場合は、足は縮み首は仰ぎ外側がある。
一年の間に民に疫病が流行するか否かを占う。疫病が流行する場合は、兆の首が仰ぎ足が肣し、身の節に外に向かって強く出る部分がある。流行しない場合は、身が正しく首が仰ぎ足が開く。
一年の間に戦乱があるか否かを占う。戦乱がない場合は、兆が横吉安のようである。戦乱がある場合は、首が仰ぎ足が開き、身が外に向かって強く出る情態を示す。
貴人に会うことが吉か否かを占う。吉の場合は、足が開き首が仰ぎ、身が正しく、内側が自ら橋(高く)なる。不吉の場合は、首が仰ぎ、身の節が折れ、足が肣して外に向かう部分があり、あるいは漁の兆がない。
人に請謁(面会を請う)して得られるか否かを占う。得られる場合は、首が仰ぎ足が開き、内側が自ら橋なる。得られない場合は、首が仰ぎ足が肣して外に向かう部分がある。
逃亡者を追って捕らえられるか否かを占う。捕らえられる場合は、首が仰ぎ足が肣し、内と外が相応じる。捕らえられない場合は、首が仰ぎ足が開くか、あるいは横吉安のようである。
漁猟の獲物が得られるか否かを卜う。得られる場合は、兆の首が仰ぎ足が開き、内外が相応じる。得られない場合は、足が引きつれ首が仰ぎ、あるいは横吉安の如し。
行路において盗賊に遭うか否かを卜う。遭う場合は、兆の首が仰ぎ足が開き、身節が折れ、外が高く内が低い。遭わない場合は、呈兆の形となる。
天が雨を降らすか否かを卜う。雨が降る場合は、兆の首が仰ぎ外側があり、外が高く内が低い。雨が降らない場合は、兆の首が仰ぎ足が開き、あるいは横吉安の如し。
天の雨が晴れるか否かを卜う。晴れる場合は、呈兆の形で足が開き首が仰ぐ。晴れない場合は、横吉の形となる。
命じて曰く
これを横吉安と名づく。病を占うに、病甚だしき者は一日にして死せず、甚だしからざる者は卜の日に癒え、死せず。繋がる者は重罪出でず、軽罪は環に出づ。一日を過ぎて出でざれば、久しきも傷つくことなし。財物を求め、臣妾・馬牛を買うに、一日にして環に得、一日を過ぎれば得ず。行く者は行かず。来る者は環に至る。食時を過ぎて至らざれば、来ず。盗を撃つは行かず、行けども遇わず。盗の来ると聞くも来ず。官を徙すは徙さず。官に居り、家室ともに吉。歳の稼は熟さず。民の疾疫に疾なし。歳中に兵なし。人を見るに行くも、行かざるも喜ばず。人に請謁するも行かず得ず。亡人を追い、漁猟するも得ず。行けども盗に遇わず。雨は雨ならず。霽るは霽れず。
これを呈兆と名づく。病者は死せず。繋がる者は出づ。行く者は行く。来る者は来る。市買は得。亡人を追うは得、一日を過ぎれば得ず。行く者を問うは到らず。
これを柱徹と名づく。病を卜うに死せず。繋がる者は出づ。行く者は行く。来る者は来る。市買は得ず。憂うる者は憂いなし。亡人を追うは得ず。
これを首仰足肣有内無外と名づく。病を占うに、病甚だしきも死せず。繋がる者は解かる。財物を求め、臣妾・馬牛を買うは得ず。行く者は言を聞きて行かず。来る者は来ず。盗の来ると聞くも来ず。言を聞くも至らず。官を徙すは言を聞きて徙さず。官に居るは憂いあり。家に居るは災い多し。歳の稼は中熟。民の疾疫に病多し。歳中に兵あり、言を聞くも開かず。貴人を見るは吉。請謁するは行かず、行けども善言を得ず。亡人を追うは得ず。漁猟は得ず。行けども盗に遇わず。雨は雨甚だしからず。霽るは霽れず。故にその莫の字は皆な首備と為す。これを問うに曰く、備は仰なり、故に定めて仰と為す。これは私記なり。
これを首仰足肣有内無外と名づく。病を占うに、病甚だしきも死せず。繋がる者は出でず。財を求め、臣妾を買うは得ず。行く者は行かず。来る者は来ず。盗を撃つは見えず。盗の来ると聞き、内自ら驚くも来ず。官を徙すは徙さず。官に居り、家室ともに吉。歳の稼は熟さず。民の疾疫に病甚だし。歳中に兵なし。貴人を見るは吉。請謁し、亡人を追うは得ず。財物を亡くすも、財物は出でずして得。漁猟は得ず。行けども盗に遇わず。雨は雨ならず。霽るは霽れず。凶。
兆形を呈兆首仰足肣と命ず。これをもって病を占えば、死せず。繋がる者は出でず。財物を求め、臣妾・馬牛を買うも得ず。行くも行かず。来るも来らず。盗を撃つも相見えず。盗来ると聞くも来らず。官を徙すも徙さず。官に居ること久しくして憂い多し。家室に居るは吉ならず。歳の稼は熟さず。民は疫病に病む。歳中に兵なし。貴人を見るは吉ならず。謁を請うも得ず。漁猟は少しく得る。行くも盗に遇わず。雨は降らず。霽るも霽れず。不吉。
兆形を呈兆首仰足開と命ず。これをもって病を占えば、病は甐死す。囚繋がる者は出づ。財物を求め、臣妾・馬牛を買うも得ず。行く者は行く。来る者は来る。盗を撃つも盗を見ず。盗来ると聞くも来らず。官を徙すは徙す。官に居ること久しからず。家室に居るは吉ならず。歳の稼は熟さず。民は疾疫有りて少なし。歳中に兵なし。貴人を見るも吉を見ず。謁を請い、亡人を追い、漁猟するも得ず。行くに盗に遇う。雨は降らず。霽るは小吉。
兆形を首仰足肣と命ず。これをもって病を占えば、死せず。繋がる者は久しく、傷つくことなし。財物を求め、臣妾・馬牛を買うも得ず。行く者は行かず。盗を撃つは行かず。来る者は来る。盗来ると聞く。官を徙すは言を聞くも徙さず。家室に居るは吉ならず。歳の稼は熟さず。民の疾疫は少なし。歳中に兵なし。貴人を見るは見るを得。謁を請い、亡人を追い、漁猟するも得ず。行くに盗に遇う。雨は降らず。霽るも霽れず。吉。
兆形を首仰足開有內と命ず。これをもって病を占えば、死す。繋がる者は出づ。財物を求め、臣妾・馬牛を買うも得ず。行く者は行く。来る者は来る。盗を撃つは行くも盗を見ず。盗来ると聞くも来らず。官を徙すは徙す。官に居ること久しからず。家室に居るは吉ならず。歳は熟す。民の疾疫は有りて少なし。歳中に兵なし。貴人を見るは吉ならず。謁を請い、亡人を追い、漁猟するも得ず。行くも盗に遇わず。雨は霽る。霽るは小吉、霽れざれば吉。
兆形を橫吉內外自橋と命ず。これをもって病を占えば、卜の日に瘳えずして死す。繋がる者は罪なくして出づ。財物を求め、臣妾・馬牛を買うは得。行く者は行く。来る者は来る。盗を撃つは合い交わりて等し。盗来ると聞くは来る。官を徙すは徙す。家室に居るは吉。歳は熟す。民に疫有りて疾無し。歳中に兵無し。貴人を見、謁を請い、亡人を追い、漁猟するは得。行くに盗に遇う。雨は霽る、雨は霽るは大吉。
兆名を横吉内外自吉と命ず。病を占うに、病者は死す。拘禁者は出でず。財物を求め、臣妾・馬牛を買い、逃亡人を追い、漁猟するも得ず。行く者は来たらず。盗賊を撃つも相見えず。盗賊の来るを聞くも来たらず。官を移すは移る。官に居るは憂いあり。家室に居るは貴人を見、請謁するも吉ならず。歳の稼穡は熟さず。民に疾疫あり。歳中に兵なし。行くも盗賊に遇わず。雨は降らず、霽れず。吉ならず。
兆名を漁人と命ず。病者を占うに、病者は甚だしけれども死せず。拘禁者は出づ。財物を求め、臣妾・馬牛を買い、盗賊を撃ち、請謁し、逃亡人を追い、漁猟するも得る。行く者は行き来す。盗賊の来るを聞くも来るか来ざるか。官を移すは移らず。家室に居るは吉。歳の稼穡は熟さず。民に疾疫あり。歳中に兵なし。貴人を見るは吉。行くも盗賊に遇わず。雨は降らず、霽れず。吉。
兆名を首仰足肣内高外下と命ず。病を占うに、病者は甚だしけれども死せず。拘禁者は出でず。財物を求め、臣妾・馬牛を買い、逃亡人を追い、漁猟するも得る。行くは行かず。来る者は来る。盗賊を撃てば勝つ。官を移すは移らず。官に居るは憂いありと雖も、傷つくことなし。家室に居るは憂い病多く。歳は大いに熟す。民に疾疫あり。歳中に兵あるも至らず。貴人を見、請謁するも吉ならず。行くに盗賊に遇う。雨は降らず、霽れず。吉。
兆名を横吉上有仰下有柱と命ず。病は久しくして死せず。拘禁者は出でず。財物を求め、臣妾・馬牛を買い、逃亡人を追い、漁猟するも得ず。行くは行かず。来るは来たらず。盗賊を撃つは行かず、行けども見えず。盗賊の来るを聞くも来るか来ざるか。官を移すは移らず。家室に居り、貴人を見るは吉。歳は大いに熟す。民に疾疫あり。歳中に兵なし。行くも盗賊に遇わず。雨は降らず、霽れず。大吉。
兆名を横吉榆仰と命ず。病を占うに、死せず。拘禁者は出でず。財物を求め、臣妾・馬牛を買うも至って得ず。行くは行かず。来るは来たらず。盗賊を撃つは行かず、行けども見えず。盗賊の来るを聞くも来るか来ざるか。官を移すは移らず。官に居り、家室に居り、貴人を見るは吉。歳は熟す。歳中に疾疫あり、兵なし。請謁し、逃亡人を追うも得ず。漁猟するも至って得ず。行くも得ず。行くも盗賊に遇わず。雨霽れず。小吉。
命じて横吉下有柱と曰う。病を占うに、病甚だしく環らずして瘳えること有り、死せず。繋がるる者は出づ。財物を求め、臣妾・馬牛を買い、請謁し、亡人を追い、漁猟するも得ず。行き来するも来ず。盗を撃つも合わず。盗の来るを聞けば来る。官を徙し、官に居るは吉、久しからず。家室に居るは吉からず。歳は熟らず。民に疾疫無し。歳中に兵無し。貴人を見るは吉。行くも盗に遇わず。雨は降らず。霽る。小吉。
命じて載所と曰う。病を占うに、環りて瘳えること有り、死せず。繋がるる者は出づ。財物を求め、臣妾・馬牛を買い、請謁し、亡人を追い、漁猟するも得。行く者は行き、来る者は来る。盗を撃つは相見るも相合わず。盗の来るを聞けば来る。官を徙すは徙す。家室に居るは憂い有り。貴人を見るは吉。歳は熟る。民に疾疫無し。歳中に兵無し。行くも盗に遇わず。雨は降らず。霽る。吉。
命じて根格と曰う。病者を占うに、死せず。繋がるること久しくして傷い無し。財物を求め、臣妾・馬牛を買い、請謁し、亡人を追い、漁猟するも得ず。行くも行かず、来るも来ず。盗を撃つは盗行くも合わず。盗の来るを聞けば来ず。官を徙さず。家室に居るは吉。歳の稼は中。民に疾疫有りて死無し。貴人を見るも見えず。行くも盗に遇わず。雨は降らず。吉からず。
命じて首仰足肣外高内下と曰う。卜うに憂い有り、傷い無しなり。行く者は来ず。病は久しくして死す。財物を求むるも得ず。貴人を見る者は吉。
命じて外高内下と曰う。病を卜うに死せず、祟有り。市買するも得ず。官に居り家室に居るは吉からず。行く者は行かず、来る者は来ず。繋がるる者は久しくして傷い無し。吉。
兆名を頭見足発有内外相応という。これをもって病者を占えば、病は起きる。囚われた者は出る。行く者は行く。来る者は来る。財物を求むれば得る。吉。
兆名を呈兆首仰足開という。これをもって病を占えば、病は甚だしく死す。囚われた者は出るも、憂い有り。財物を求め臣妾馬牛を買い、請謁し亡人を追い漁猟するも得ず。行くも行かず。来るも来ず。盗を撃つも合わず。盗の来るを聞けば来る。官を徙し官に居り家室するも吉ならず。歳は悪し。民に疾疫有りも死無し。歳中に兵無し。貴人を見るも吉ならず。行くも盗に遇わず。雨は降らず。霽る。不吉。
兆名を呈兆首仰足開外高内下という。これをもって病を占えば、死せず、外祟有り。囚われた者は出るも、憂い有り。財物を求め臣妾馬牛を買うも、相見えて会わず。行く者は行く。来る者は言を聞いて来ず。盗を撃てば勝つ。盗の来るを聞けば来ず。官を徙し官に居り家室し貴人を見るも吉ならず。歳中。民に疾疫有り兵有り。請謁し亡人を追い漁猟するも得ず。盗の来るを聞き盗に遇う。雨は降らず。霽る。凶。
兆名を首仰足肣身折内外相応という。これをもって病を占えば、病は甚だしくも死せず。囚われた者は久しく出でず。財物を求め臣妾馬牛を買い漁猟するも得ず。行くも行かず。来るも来ず。盗を撃つに用有れば勝つ。盗の来るを聞けば来る。官を徙さず。官に居り家室するも吉ならず。歳は熟さず。民に疾疫有り。歳中。兵有るも至らず。貴人を見れば喜ぶ。請謁し亡人を追うも得ず。盗に遇えば凶。
兆名を内格外垂という。行く者は行かず。来る者は来ず。病者は死す。囚われた者は出でず。財物を求めても得ず。人を見ても見えず。大吉。
命を横吉内外相応自橋榆仰上柱足肣と曰う。病を占うに、病甚だしも死せず。繋がること久しく、罪に抵せず。財物を求め臣妾馬牛を買い、謁を請い亡人を追い漁猟するも得ず。行くも行かず。来るも来らず。官に居り家室にあり貴人を見るは吉。官を徙すも徙さず。歳大いに熟せず。民疾疫有り兵有り。兵有るも会せず。行きて盗に遇う。言を聞くも見えず。雨降らず。霽れ霽れる。大吉。
命を頭仰足肣内外自垂と曰う。憂病を卜う者は甚だしも、死せず。官に居るも居るを得ず。行く者は行く。来る者は来らず。財物を求むるも得ず。人を求むるも得ず。吉。
命を横吉下有柱と曰う。来る者を卜えば来る。日に即ち至らずと卜えば、未だ来らず。病者を卜えば一日を過ぎて瘳えざれば死す。行く者は行かず。財物を求むるも得ず。繋がる者は出づ。
命を横吉内外自挙と曰う。病者を占うに、久しく死せず。繋がる者は久しく出でず。財物を求むれば得るも少なし。行く者は行かず。来る者は来らず。貴人を見れば見ゆ。吉。
命を内高外下疾軽足発と曰う。財物を求むるも得ず。行く者は行く。病者有れば瘳ゆ。繋がる者は出でず。来る者は来る。貴人を見れば見えず。吉。
これを命じて外格と曰う。財物を求むるも得ず。行く者は行かず。来る者は来らず。繋がるる者は出でず。吉ならず。病む者は死す。財物を求むるも得ず。貴人に見ゆるは見ゆ。吉なり。
これを命じて内自ら挙げ外より来たり正しく足発すと曰う。行く者は行く。来る者は来る。財物を求むれば得。病む者は久しく死せず。繋がるる者は出でず。貴人に見ゆるは見ゆ。吉なり。
これ
これ横吉上柱外内自ら挙げ足肣す。以て卜うに求めて得ること有り。病みて死せず。繋がるる者は傷つくこと無く、未だ出でず。行くは行かず。来るは来らず。人に見ゆるは見えず。百事尽く吉なり。
これ横吉上柱外内自ら挙げ柱足以て作す。以て卜うに求めて得ること有り。病みて死し環り起つ。繋がれ留まる者は傷つくこと無く、環り出づ。行くは行かず。来るは来らず。人に見ゆるは見えず。百事吉なり。以て兵を挙ぐべし。
これは挺詐に外あり。これをもって卜うに、求むるも得られず。病は死せず、数たび起つ。拘禁は禍罪あり。聞くところの言は傷つけず。行くも行かず。来るも来らず。
これは挺詐に内あり。これをもって卜うに、求むるも得られず。病は死せず、数たび起つ。拘禁留められ禍罪あり、傷つけず出づ。行くも行かず。来る者は来らず。人を見るも見えず。
これは挺詐に内外自ら挙ぐ。これをもって卜うに、求むれば得る。病は死せず。拘禁は罪なし。行けば行く。来れば来る。田猟・商賈・漁猟ことごとく喜ぶ。
これは狐狢なり。これをもって卜うに、求むるも得られず。病は死し、起ち難し。拘禁留められ罪なし、出で難し。居宅すべし。婦を娶り女を嫁すべし。行くも行かず。来るも来らず。人を見るも見えず。憂いありも憂えず。
これは狐徹なり。これをもって卜うに、求むるも得られず。病者は死す。拘禁留められ抵罪あり。行くも行かず。来るも来らず。人を見るも見えず。言語定まる。百事ことごとく吉ならず。
この兆は首を俯け足を引き身の節が折れる。これをもって卜うに求むるもの得ず。病む者は死す。繋留するは罪あり。望む行く者は来ず。行くは行かず。来るは来ず。人を見るは見えず。
この兆は挺(兆の幹)の内外自ら垂れる。これをもって卜うに求むるもの晦まず。病は死せず、起つこと難し。繋留するは罪なく、出づること難し。行くは行かず。来るは来ず。人を見るは見えず。不吉なり。
この兆は横吉(兆名)にして榆に首を仰ぎ俯く。これをもって卜うに求むるもの得難し。病は起つこと難し、死せず。繋留は出づること難し、傷つくことなし。家室に居ることを可とし、以て婦を娶り女を嫁がすべし。
この兆は横吉上柱(兆名)にして正身の節折れ内外自ら挙がる。これをもって病む者を卜うに、卜う日に死せず、その一日にして乃ち死す。
この兆は横吉上柱足肣(兆名)にして内自ら挙がり外自ら垂れる。これをもって病む者を卜うに、卜う日に死せず、その一日にして乃ち死す。
(人を占うに)首は俯き足は詐き、外有りて内無し。病む者、亀を占いて未だ已まず、急ぎて死す。卜すること軽くして大を失う、一日にして死せず。
首は仰ぎ足は肣む。以て卜するに求むる有りて得ず。以て繫ぐに罪有り。人の言語は之を恐るるも傷つけず。行くは行かず。人を見るは見えず。
大論に曰く、外は人なり、内は我なり。外は女なり、内は男なり。首の俛するは憂いなり。大なる者は身なり、小なる者は枝なり。大法として、病む者は、足の肣む者は生く、足の開く者は死す。行く者は、足の開く者は至り、足の肣む者は至らず。行く者は、足の肣む者は行かず、足の開く者は行く。求むる有るは、足の開く者は得、足の肣む者は得ず。繫がるる者は、足の肣む者は出でず、開く者は出づ。其の病を卜するや、足の開きて死する者は、内高くして外下るなり。
索隠述賛
三王は亀を異にし、五帝は卜を殊にす。或いは長く或いは短く、瓦の若く玉の若し。其の記は已に亡び、其の繇は後に続く。江使は網に触れ、見留められて宋国に在り。神は能く夢に讬るも、其の足を衛わず。