食貨
諸般茶法、客旅課を納めて茶を買い、随処にて引を験じて発売畢り、三日内に所在官司に赴き引目を批納せざる者は、杖六十。これにより転用し、或いは字号を改抹し、或いは夾帯の斤重を增添し、及び引茶に随わざるは、並びに私茶の法に同じ。但だ私茶を犯すは、杖七十、茶の半分を没官し、半分を告発人に与えて賞とし、応捕人も同じ。もし茶園磨戸の犯す者及び運茶の船主、知情して夾帯するは、同罪。有司禁治厳しからざるにより私茶生発する有らば、罪官吏に及ぶ。茶批験を過ぐる去処にて、批験せざるは、杖七十。その茶引を偽造する者は斬に処し、家産を告発人に与えて賞とする。諸般私茶、私に山に入り採るに非ざれば、断没の法に従わず。
諸般産金の地、有司歳ごとに金課を徴し、正官人戸を監視し、自ら権衡を執り、両平に収受す。その巧みに名色を立て、広く用銭を取り、及び金数を多く秤し、火耗を剋除し、民を害する者有らば、監察御史廉訪司に従いこれを糾す。
諸般銅を出す地、民間敢えて私に鍊するを禁ず。
諸般鉄法、引無く私に販する者は、私塩に比し一等を減じ、杖六十、鉄を没官し、内半分を折価して告発人に与えて賞とする。鉄引を偽造する者は、省部の印信を偽造するに同じく罪を論じ、官賞鈔二錠を与えて告発人に付す。監臨正官私鉄を禁治厳しからざるにより私鉄生発する有らば、初犯は笞三十、再犯は一等を加え、三犯は別に議して黜降す。客旅冶に赴き鉄引を支えたる後、月日を批して出給せず、引鉄相随わず、引外に夾帯するは、鉄を没官す。鉄既に売りて、十日内に有司に赴き引目を批納せざれば、笞四十。これにより転用するは、私鉄の法に同じ。凡そ私鉄の農器鍋釜刀鎌斧杖及び生熟鉄器を破壊するは、禁限に在らず。江南の鉄貨及び生熟鉄器は、淮・漢以北に販売するを得ず、違う者は私鉄を以て論ず。
諸般衞輝等の処にて私竹を販売する者は、竹及び価銭並びに没官し、首告実を得る者は、没官物の中より約量して賞を与う。境界を犯し私売する者は、私竹の罪より一等を減ず。もし民間住宅内外並びに闌檻の竹、畝を成さざるは、本主自用の外貨売するは、例に依り抽分す。有司禁治厳しからざる者はこれを罪し、仍お解由内に開写す。
諸般税を匿する者は、物貨の半分を没官し、没官物の中より半分を告発人に与えて賞とし、但だ犯すは笞五十、門に入り引を弔わざれば、匿税の法に同じ。諸般課を辦する官、物を估り税を収めて輒く本色を抽分するは、これを禁ず。その監臨官吏輒く税課務に於て什物を求索するは、官物を盗むを以て論じ、取る者と与うる者と同坐す。諸般課を辦する官の掌る応税の物は、並びに三十分の中より一を取る。輒く估直を冒し、多く税銭を収め、別に名色を立て、巧みに分例を取り、及び応税せざるに税を収むる者は、各おのその罪を以てこれを罪し、廉訪司常に加うるに體察す。諸般城に在り及び郷村に市集の有る処は、課税常法有り。その城に在る税務の官吏、輒く郷村に於て妄りに經過の商賈の税を匿するを執るは、これを禁ず。諸般課を辦する官、増余の税課を侵用するは、枉法せざる贓を以て罪を論ず。諸般職官、印契に税銭を納めざるは、応に納むべき税銭を計り、枉法せざるを以て論ず。
諸般市舶の金銀銅錢鉄貨、男女人口、絲綿段匹、銷金綾羅、米糧軍器等は、私に販し下海するを得ず、違う者は舶商、船主、綱首、事頭、火長各おの杖一百七、船物を没官し、首告する者有らば、没官物の中より半分を以て賞に充て、廉訪司常に加うるに糾察す。諸般市舶司回帆の物内に於て、三十分抽税一分す。輒く非理に財を受くるは、贓を計り、枉法を以て論ず。諸般舶商、大船には公験を与え、小船には公憑を与え、毎大船一に、柴水船、八櫓船各一を帯び、験憑は船に随いて行く。或いは験有りて憑無く、及び数外に夾帯するは、即ち私販に同じく、犯人杖一百七、船物並びに没官し、内半分を告発人に与えて賞とする。公験内に批写する物貨実ならず、及び転変滲泄して弊を為すは、漏舶の法に同じく、杖一百七、財物を没官す。舶司の官吏容隠するは、断罪して敍せず。諸般番国使いを遣わし奉貢するも、仍お貢物を具し、市舶司に報じて称験す。若し夾帯有り、抽分せざるは、漏舶を以て論ず。諸般海門鎮守の軍官、輒く番邦回舶の頭目等人と通情し舶貨を滲泄するは、杖一百七、名を除き敍せず。諸般中売の宝貨、国財を耗蠹するは、これを禁ず。諸般雲南行使する𧴩法、官司商賈輒く他𧴩を以て境に入るは、これを禁ず。
大悪
社稷を危うくせんと謀る諸大臣は誅する。 故なく謀逆を議論し、首唱する者は処死し、同調する者は流刑に処す。 密かに反乱を謀る者は処死し、主人及び両隣が知りながら首告しない者は同罪とし、内に悔過して自首する者は罪を免じて賞を与え、捕らえるべきでない者が首告した者は官職に就ける。 謀反の状すでにあり、首謀者及び同意者は陵遅処死し、従犯者は処死し、情を知りながら首告しない者は従犯より一等減じて遠方に流し、併せてその家産を没収する。連座すべき者は、各々その罪により処罰する。 父が謀反を謀り、子が別籍している者は連坐しない。 謀反の事覚え、捕らえて治め実を得たるは、行省は擅に誅殺を行ってはならず、結案して上報を待つ。 反叛を匿い首告しない者は処死する。 妖言を以て衆を惑わし、嘯聚して乱を為す者は、首謀者及び同謀者は処死し、家産を没収する。誘惑され連なって起こる者は、杖一百七に処す。 神異を仮託し、狂謀して上を犯す者は処死する。乱言して上を犯す者は処死し、なおその家産を没収する。 乗輿を指斥する者は、特恩にあらざれば必ずこれを坐す。 妄りに詞曲を撰び、人を誣いて上を犯す悪言を言わしむる者は処死する。 職官詔旨を輒ち指斥し乱言する者は、赦に会うも、なお除名して叙用せず。
子孫祖父母・父母を弑する者は、陵遅処死し、風狂による者は処死する。 酔後その父母を毆り、父母に他子なく、死を免じて養老を乞うを告ぐる者は、杖一百七、百日居役に処す。 子その継母を弑する者は、嫡母と同様とする。 部内に悪逆を犯す者ありて、隣佑・社長知りながら首告せず、有司告げを受けながら問わざれば、皆これを罪す。 子その父母を弑し、獄中に瘐死すとも、なおその屍を支解して徇しむ。 祖父母・父母を毆傷する者は処死する。 既に改嫁したる祖母を謀殺する者は、なお悪逆を以て論ず。 仇を挟み義父を毆死し、あるいは殺傷して幸いに生免を得る者は、皆処死する。 財を図り義母を殺傷する者は処死する。 人として子孫たり、或いは貧困により、或いは巫覡の説誘を信じ、祖宗の墳墓を発掘し、その財物を盗み、その塋地を売る者は、軽重を験して罪を断ず。 屍骸を移棄し、祭祀を為さざる者は、悪逆と同様に結案する。 買い手情を知る者は、犯人より二等減罪し、価銭は官に没収す。情を知らざる者は、事に臨み詳しく審らかにし、有司はなお売墳地の公据を出給してはならず。 人として子孫たり、首となり他盗とともに祖宗の墳墓を発掘し、財物を盗取する者は、悪逆を以て論じ、大赦に遇い原免すとも、なお刺字して遠方に徙し屯種せしむ。 婦舅姑を毆る者は処死する。 姦によりその夫及び舅姑を毆死する者は、陵遅処死する。 弟その兄を殺す者は処死する。 父子同謀してその兄を殺し、その財を図りその嫂を収めんと欲する者は、父子並びに陵遅処死する。 兄争いによりその弟を毆り、弟還ってその兄を毆り、邂逅して致死するは、赦に会うも、なお故殺を以て論ず。 嫂叔争い、その嫂を殺死する者は処死する。 争いによりその兄を虐殺する者は、死すともなおその屍を戮す。 争いにより怒りを移し、その兄を戳傷する者は、市曹に於いて杖一百七、遠方に流す。 仇を挟みその伯叔母を毆死する者は処死する。 争いにより、兄弟同謀して諸父を毆死する者は、皆処死する。 仇を挟み、故にその従父を殺し、偶々生免を得る者は、罪已死と同様とする。 妻争いによりその夫を殺す者は処死する。 婦人医人に問い毒薬を買いその夫を殺す者は、医人同様に処死する。 妻その夫を殺傷し、幸いに生免を得る者は、殺死と同様に論ず。 婿酔により、その婦翁を殺し、偶々生免を得る者は、罪已死と同様とする。
仇を挟み人一家を殺傷し、俱に生免を得る者は、已死と同様とする。 その同謀悔過して至らざる者は、減等して論ず。 姦を以てその母党一家を尽く殺す者は、陵遅処死する。 兄仇を挟み、子と同謀してその弟一家を殺す者は、皆処死する。
姦非
諸般の和姦の者は、杖七十七下。夫のある者は、八十七下。婦女を誘い姦淫して逃亡させる者は、一等を加え、男女の罪は同じく、婦女は衣を去って刑を受ける。未だ成らざる者は、四等を減ずる。夫ある婦女を強姦する者は死罪、夫なき者は杖一百七下、未だ成らざる者は一等を減ずる。婦女は坐せず。その媒合及び容止する者は、各々姦罪より三等を減じ、ただ現に発覚したる家のみを理め、私和する者は四等を減ずる。 諸般の指姦は坐せず。 諸般の夫なき婦女に孕あり、某人と姦淫せりと称するは、即ち指姦と同じく、罪は本婦に止まる。 諸般の宿衛士が宮女と姦淫する者は、出軍す。 諸般の翁が男婦を欺き姦淫するは、既に成れば死を処し、未だ成らざれば杖一百七下、男婦は宗に帰す。和姦の者は皆死を処す。男婦が虚しく翁の姦淫既成を執り、有司既に翁に拷掠を加え、男婦が虚を招く者は、死を処す。虚しく翁の姦淫未成を執り、既に翁に拷掠を加え、男婦が虚を招く者は、杖一百七下、夫の家に発付し、その嫁売に従わしむ。婦の告げ、或いは翁の告げるも同じ。若し男婦が翁の強姦既成を告げ、却って翁の欺姦未成を問い得て、男婦が重事を妄りに告ぐれば、笞三十七下、宗に帰す。 諸般の義男婦を欺き姦淫するは、杖一百七下、欺姦成らざれば、杖八十七下、婦は並びに坐せず。婦及びその夫は異居して当差し、赦に会うとも、仍く異居す。 諸般の男婦が姦夫と謀りて翁の欺姦を誣い、買休して出離する者は、杖一百七下、夫に従って嫁売せしめ、姦夫は一等を減ず、買休の銭は官に没す。 諸般の弟の妻と姦淫する者は、各々杖一百七下、姦夫は遠流に処し、姦婦は夫の欲する所に従わしむ。 諸般の嫂が寡にして志を守り、叔が強姦する者は、杖九十七下。 諸般の同居の姪婦と姦淫する者は、各々杖一百七下、官ある者は名を除く。 諸般の姪婦を強姦して未だ成らざる者は、杖一百七下。 諸般の兄弟の女と姦淫する者は、皆死を処す。従兄弟の女と姦淫する者は、一等を減ず。族兄弟の女と姦淫する者は、二等を減ず。 諸般の父母の喪に居りて父の妾を欺き姦淫する者は、各々杖九十七下、婦人は宗に帰す。 諸般の姦私を再犯する者は、罪を二等加え、婦人はその夫の嫁売を聴す。 諸般の姦淫に因りて家財を偷み遞すは、ただ姦を以て論ず。 諸般の人を雇いてその妻を妾と為し、年満ちて帰り、雇主復たこれと通ずれば、即ち姦を以て論ず。 因りて又その夫を殺す者は、皆死を処す。 諸般の子が姦淫を犯し、父が出首するも、仍くこれを坐す。諸般の姦淫は首原を理めず。 諸般の姦生の男女は、男は父に随い、女は母に随う。 諸般の僧尼道士女冠が姦淫を犯すは、断じたる後並びに勒して還俗せしむ。 諸般の人幼女を強姦する者は死を処す。和と雖も強と同じく、女は坐せず。 凡そ幼女と称するは、ただ十歳以下を止む。 諸般の年老いて人幼女を姦淫する者は、杖一百七下、贖うを聴かず。 諸般の十五歳未だ成丁せざる男、十歳以下の女と和姦するは、和と雖も強と同じく、死を減じ、杖一百七下、女は坐せず。 諸般の十歳以上の女を強姦する者は、杖一百七下。 諸般の妻の前夫の男婦を強姦して未だ成らざる、及び妻の前夫の女を強姦して既に成るは、並びに杖一百七下、妻はこれを離す。 諸般の三男一婦を強姦する者は、皆死を処す、婦人は坐せず。
諸般の職官が姦淫を犯す者は、常律の如く、仍く名を除く。但だ祿ある人犯す者は同じ。 諸般の職官が姦淫を求め未だ成らざる者は、笞五十七下、見任を解き、雑職に敍す。 諸般の職官が謔りて部民の妻に因り、その夫の妻を棄つるに致す者は、杖六十七下、職を罷め、二等を降じて雑職に敍し、過を記す。 諸般の職官が部民の妻を強姦して未だ成らざるは、杖一百七下、名を除き敍せず。 諸般の職官が姦淫に因り、部民の妾を買い、姦非姦の所に捕獲せられざれば、ただ部民の妾を買うを以て論じ、笞三十七下、職を解き別に敍す。 諸般の監臨官が監臨する囚人の妻と姦淫する者は、杖九十七下、名を除く。 諸般の職官が倡優の妻と姦淫し、因りて娶りて妾と為す者は、杖七十七下、職を罷め敍せず。 諸般の監臨が人をして所部の寡婦を姦污せしむる者は、杖八十七下、名を除く。 諸般の蛮夷官が、擅りに籍没の婦人を以て妻と為す者は、杖八十七下、職を罷め過を記し、婦人は笞四十七下。
諸般の主が奴の妻を姦淫する者は、坐せず。 諸般の奴に女あり、既に良人の妻に許嫁せられば、即ち良人と為す。その主輒ち欺き姦淫する者は、杖一百七下。その妻これを縦ゆる者は、笞五十七下。その女の夫家仍く婚を願う者は、元議の財銭の半を減じ、願わざる者は、元下の聘財を追還し、父に収め管せしめ、良と為して改嫁せしむ。 諸般の奴が主の女を姦淫する者は、死を処す。 諸般の傔従を以て命婦と姦淫し、命婦を以て姦夫に従い逃ぐる者は、皆死を処す。 諸般の主の妻を強姦する者は、死を処す。 諸般の奴が主の妾と姦淫する者は、各々杖九十七下。 諸般の良民が奴婢を窃みて子を生むは、子は母に随い主に還る。奴が良民を窃みて子を生むは、子は母に随い良と為し、仍く籍を異にして当差す。 諸般の奴婢相姦するは、笞四十七下。
諸般の夫が財を受け、妻を縦して倡と為す者は、夫及び姦婦、姦夫各々杖八十七下、これを離す。 若し夫が財を受け、妻妾を勒して倡と為すは、妻は情を量りて罪を論ず。 諸般の和姦し、同謀して財を以て買休し、却って娶りて妻と為す者は、各々杖九十七下、姦婦はその夫に帰す。 諸般の夫妻睦まず、夫が威虐を以て、その妻を逼りて人と姦淫せりと指す者は、杖七十七下、妻は坐せず、これを離す。 諸般の壻が妻の父と女の姦淫を誣うる者は、杖九十七下、妻はこれを離す。 諸般の夫が指姦してその妻を棄て、指す所の姦夫輒ち妻を停めてこれを娶る者は、両方を離す。
諸般の姦夫姦婦同謀してその夫を殺す者は、皆死を処す。仍く姦夫の家屬に於いて焼埋銀を徴す。 諸般の姦淫に因りてその本夫を殺し、姦婦知情せざるは、死を減じて論ず。 諸般の妻が人と姦淫し、同謀してその夫を薬死せしめ、偶々生を獲て免るる者は、罪は既に死したると同じく、例に依りて案を結ぶ。 諸般の婦人が首と為り、衆の姦夫と同謀し、親しくその夫を殺す者は、陵遲して死を処し、姦夫同謀者は常法の如し。 諸般の夫が妻の姦淫を獲、妻拒み捕らわるるに、これを殺すは罪なし。 諸般の夫なき婦女と姦淫し、約して妻と為し、却って正妻を毆り死なす者は、死を処す。 諸般の姦婦と同謀してその正妻を薬死せしむる者は、皆死を処す。 諸般の妻妾が人と姦淫し、夫が姦の所に於いてその姦夫及びその妻妾を殺し、及び人の妻と為りてその強姦の夫を殺すは、並びに坐せず。 若し姦の所に於いてその姦夫を殺し、而して妻妾免るるを獲、その妻妾を殺し、而して姦夫免るるを獲る者は、杖一百七下。 諸般の姦夫が姦婦を殺死するは、故に常人を殺すと同じ。 諸般の姦淫を求め従わず、その婦を毆り死なすは、強盗杖を持ちて人を殺すを以て論ず。 諸般の両姦夫と一姦婦、皆宿約あり、その先至る者因りて鬭い、その後至る者を殺すは、故殺を以て論ず。
盗賊
諸の盗賊共に盗む者は、併せて贓を論じ、なお造意の人を首と為し、随従する者は各々一等を減ず。或いは二罪以上俱に発するは、其の重き者に従いて之を論ず。
諸々の劇賊が既に帰順して官を得た後、再び賊を捕らえることを理由として、民の財を虐げて取る者は、贓物を計って罪を論じ、遠方に流す。諸々の強盗が再犯した者は、なお刺字する。
諸般の強盗が事主を殺傷するは、首従を分かたず、皆死を処す。諸般の強奪人財は、強盗を以て論ず。諸般の薬を以て人を迷瞀し、其の財を取るは、強盗を以て論ず。諸般の白昼に仗を持ち、剽掠して財を得、事主を毆傷するは、若し財を得て、未だ事主を傷つけざるも、並びに強盗を以て論ず。諸般の官民行船、風に遭い浅に著き、輒ち財物を搶虜する者有らば、強盗に比同して科断す。若し赦に会はば、仍ほ真盗と同論せず、贓を徴して罪を免ず。諸般の強盗外国に出で、其の辺臣執り来たりて献ずる者は、金帛を賜ひ以て之を旌す。諸般の盗みて乗輿服御の器物に及ぶは、首従を分かたず、皆死を処す。情を知りて領売し、価錢を剋除するは、一等を減ず。
諸の官錢を盜み、追徵未だ盡きず、官に到り禁繫既に久しく、實に折償すべき者無きは、之を除く。諸の守庫軍、但だ庫中の財物を盜む者は、死を處し、赦に會ふ者は仍ほ之を刺す。諸の內藏典守、輒ち庫中の財物を盜む者は、死を處す。諸の鈔を造る庫の工匠、私に合毀すべきの鈔を藏して庫を出づる者は、杖一百七。監臨關防を失ふ者は、笞三十七。諸の印鈔庫の鈔を盜む者は、死を處す。諸の昏鈔を檢する行人、昏鈔を盜み取り、監臨の搜獲する所となり、財を得ざる者は、庫藏の錢物を盜みて財を得ざるを以て、等を加へて論じ、杖七十七。諸の燒鈔庫の合干檢鈔行人、輒ち昏鈔を盜みて庫を出で分使する者は、刺斷す。諸の局院の官物を盜む者は、贓貫に滿たずと雖も、仍ほ等を加へ、杖七十七、字を刺す。諸の工匠已に庫の物料を關出し、成造及び額の餘外、曾て官に還さず、因りて局を出でて盜む者は、罪を斷じ、刺を免す。諸の已に倉に到れる官糧を盜み、而して未だ倉を離れざるに事覺むる者は、財を得ざるを以て論じ、刺を免す。諸の官員の符節を盜む者は、常盜に比し一等を加へ、贓を計りて罪に坐す。諸の官府の文卷を盜み、故紙と作して變賣する者は、杖七十七、竊盜に同じく、字を刺す。卷を買ふ人、笞四十七。
諸、財を図り謀りて故に人を多く殺す者は、陵遅に処死し、仍く各賊の殺した人数を験し、家属に均しく焼埋銀を徴す。諸、財を図りて人を陷溺して死に至らしめ、幸いに生免を獲る者は、罪已に死したるに同じ。諸、財を図りて他人の奴婢を殺死するは、即ち財を図りて人を殺すを以て論ず。諸、奴、主の財を盗みて逃ぐるに、其の逃ぐる者を送り、輒ち其の奴を殺し、而して其の財を取るは、即ち強盗人を殺すを以て論ず。
諸々の墳墓発掘において、既に墳墓を開けた者は窃盗と同罪とし、棺槨を開けた者は強盗と同罪とし、屍骸を毀損した者は人を傷つけた者と同罪とし、なお犯人本人の家族に焼埋銀を徴収する。諸々の恨みを抱いて墳墓を発掘し、その屍を盗み棄てた者は、死罪に処する。諸々の墳墓発掘で財物を得て屍を傷つけなかった者は、杖刑一百七を加え、刺配する。諸々の諸王・駙馬の墳墓を盗掘した者は、首謀者も従犯も区別せず、皆死罪に処する。禁地を看守していた者は、杖刑一百七を加え、家産の三分の一を没収し、同様に看守していた者は杖刑六十七を加える。
諸事主が盗人を殺害する者は、罪に問われない。諸寅夜に潜り込んで人家に入り、殴打されて傷つき死した者は、論じない。
諸人、迥野において人の材木を盗伐する者は、刺字を免じ、贓物を計算して断罪する。諸人、脅迫されて盗賊に従い、盗みの場所に至って再び逃げ去った者は、従犯として論じない。諸人、窃盗の贓物が満貫に満たない者は、断罪し、刺字を免ずる。諸人、子が盗みを働き、父がこれを殺した者は、罪に坐さない。諸人、盗みを働き、初めて刺字・断罪を受け、再び姦淫・私通を犯した者は、姦淫のみを以て罪に坐し、盗みの再犯として論じない。諸人、奴婢がたびたび盗みを働き、門に過ちを記すべき場合、その主人が情を知らないときは、主人の門に記してはならない。諸人、誘惑・脅迫されて盗賊に従い、贓物を分け与えられず、またこれを隠匿して自首しない者は、杖六十七、刺字を免ずる。諸人、先に親族の財物を盗み、刺字を免じ、再び他人の財物を盗んだ者は、初犯として論ずる。諸人、先に婦人を誘惑して姦淫し逃亡した罪があり、後に窃盗を犯し、二つの事がともに発覚した場合は、誘姦を重罪とし、杖刑は姦淫に従い、刺字は窃盗に従う。諸人、瘖啞者が盗みを働いても、瘖啞であることを論じない。諸人、税の捜索と詐称し、通行人を遮って行李財物を掠奪した者は、盗みとして論じ、刺字・断罪し、警跡人に充てる。諸人、米糧を盗んだ者で、飢饉によるものでない場合は、なお刺字・断罪する。諸人、塔廟の神像・服飾を盗んだ者で、看守人のいない場合は、断罪し、刺字を免ずる。諸人、事主と盗賊が私的に和解した者は、同罪とする。盗んだ銭物・頭匹・倍贓などは、没官する。諸人、窃盗で徒刑に当たる者で、祖父母・父母が年老いて、他の丁男がおらず侍養する者がいない場合は、刺字・断罪して徒刑を免じる。再犯で親がなお存命の場合は、親の終わる日を待って、発遣して居役に就かせる。諸人、女直人が盗みを働いた者は、刺字・断罪は漢人と同じとする。諸人、凶年に民が窮し、物を見て盗んだ者は、贓物を計算して断罪し、刺配及び倍贓の徴収を免ずる。諸人、窃盗を一年のうちに頻繁に犯した者は、最も重い罪に従い、論じて刺字・断罪する。諸人、盗みで得た贓物を以て人と博奕し、勝てずに得た贓物を失い、事が発覚して正贓を追徴する場合、なお博奕の罪に坐する。諸人、父が子とともに盗みを働き、子が未だ幼年に出ず、贓物を分け与えられなかった場合は、罪を免ずる。諸人、凶年に、子あるいは婿を迫ってともに杖を持ち行劫し、子あるいは婿は死罪一等を減じ、坐して刺字を免じ、警跡人に充てる。諸人、父が人に誘われて盗みを働こうとし、病気で行けず、その子を従わせ、その贓物を分けた場合、父は従犯一等を減じ、刺字を免じ、子は従犯として論ずる。諸人、兄が未成丁の弟を脅迫してともに盗みを働かせた場合は、従犯一等を減じて論じ、なお贖罪を科す。諸人、兄弟がともに盗みを働き、罪が皆死に至り、父母が老いて養う者がいない場合は、内一人で情状・罪状が免れ得る者を、死罪を免じて親を養わせる。諸人、兄弟がともに盗みを働いた者は、皆刺字する。諸人、父子兄弟が頻繁にともに盗みを働いた場合は、凡盗の首従として論ずる。諸人、父子兄弟がともに強盗を働いた者は、皆処死する。諸人、夫が強盗を謀り、妻が諫めず、かえってこれに従って盗んだ者は、従犯一等を減じて論罪する。
諸人、親族が互いに盗みを働く場合、すなわち本服緦麻以上の親、及び大功以上の共に婚姻の家である者、盗みを犯してもその罪に坐するのみで、刺字・倍贓・再犯の制限には含まれない。別居の尊長が卑幼の家で窃盗あるいは強盗を働き、また卑幼が尊長の家で窃盗を働いた場合、緦麻・小功は凡人より一等を減じ、大功は二等を減じ、期親は三等を減ずる。強盗の場合は凡盗に準じて論じ、殺傷した者は各々故殺傷法に依る。同居の卑幼が人を率いて己が家の財物を盗んだ場合、五十貫以下は笞二十七、五十貫ごとに一等を加え、罪は五十七で止める。他人は常盗より一等を減ずる。諸人、姑表の姪が姑夫の財物を盗んだ場合は、親族相盗として論ずる。諸人、女が在室で、その父を喪い、自ら存立できず、祖父母がいるのにこれに恤れみをかけず、祖父母の銭を盗んだ場合は、罪に坐さない。諸人、弟が首となって従兄の財物を強劫した場合は、即ち強盗として論ずる。諸人、嘗て他人の子孫を過房して子孫と為し、輒ち過房の家の財物を盗んだ者は、即ち親族相盗として論ずる。
諸人、奴が主人の財物を盗み、流遠に当たる場合、主人が免罪を求めることを聴す。諸人、奴が主人の財物を盗んだ者は、断罪し、刺字を免ずる。諸人、雇主の財物を盗んだ者は、刺字を免じ、倍贓を追徴しない。先の雇主の財物を盗んだ者は、常盗として論ずる。諸人、佃客が地主の財物を盗んだ者は、常盗として論ずる。諸人、同じ主人の奴が互いに盗んだ者は、断罪し、刺配を免じ、倍贓を追徴しない。諸人、同じ雇い主に雇われた人の財物を盗んだ者は、同居として論じない。諸人、家を借りて房主と同居し、房主の財物を盗んだ者は、常盗として論ずる。諸人、同じ資本の財物を盗んだ者は、笞五十七、真の盗みとして贓物を計算して論じない。
諸人、巡捕の軍兵が自ら盗みを働いた者は、常盗より一等を加えて論罪する。もし自ら互いに覚察し、告発・捕縛して官に至らせ、あるいはかつて共に盗みを働き、首謀者が同伴を捕らえた場合は、罪を免じて賞を与える。諸人、軍人が盗みを働いた者は、刺字・断罪し、警跡人に充てることを免じ、なお賞銭を追徴して告発者に与える。諸人、庫蔵を守る軍人が、輒ち首となって外人を誘引し官物を偷盗し、二度三度と庫に入って盗みを働き、及び提鈴・把門の軍人が贓物を受け取って賊を縱した者は、皆処死する。従犯は杖一百七、刺字して流遠する。諸人、現役の軍人が逃亡し、窃盗を働いて財物を得た者は、杖一百七、なお刺字し、杖刑は逃亡軍に従い、刺字は盗みに従う。諸人、軍人が路上で人の財物を奪い、また人を追い詰めて非命に致死させた場合、首謀者は杖一百七、従犯は七十七、焼埋銀を徴収して苦主に与える。
諸人、婦人が盗みを働いた者は、断罪し、刺配及び警跡人に充てることを免じ、倍贓の徴収を免ずる。再犯はその夫とともに坐する。諸人、婦人が寡居して人と姦通し、舅姑の財物を盗んで姦夫に与え、己を娶らせようとした場合、姦通が姦所で捕獲されなければ、同居の卑幼が尊長の財物を盗んだ罪に坐し、笞五十七、帰宗し、姦夫は杖六十七。
諸人、僧が佛像の腹中の装飾を窃取した者は、盗みとして論ずる。諸人、僧道が盗みを働いた者は、常盗と同じく、刺字・断罪し、倍贓を徴収し、還俗して警跡人に充てる。諸人、僧道がその親師祖・師父及び同師兄弟の財物を盗んだ者は、刺字を免じ、倍贓を追徴せず、断罪して還俗する。
諸人、幼少時に盗みを働き、事が発覚した時には成長していた場合は、幼少として論ずる。未だ老疾でない時に盗みを働き、事が発覚した時には老疾であった場合は、老疾として論ずる。その当たるべき罪は、贖うことを聴し、なお刺配を免ずる。諸犯罪もまたこれに同じ。諸人、年未だ幼年に出ず、再び窃盗を犯した者は、なお刺字を免じて罪を贖い、発して警跡人に充てる。諸人、窃盗で年少者が首謀、年長者が従犯の場合、首謀はなお贖罪・刺配を免ずることを聴し、従犯は常律に依る。諸人、人の身上の銭物を掏摸した者は、初犯・再犯・三犯、刺字・断罪・徒刑・流刑は、皆窃盗法と同じくし、なお赦後に坐する。諸人、七十二局を以て良家の子弟・富商大賈を欺き誘い、博塞で銭物を取った者は、窃盗として論じ、贓物を計算して断配する。諸人、夜に同舟の槖中の装飾を発し、その財物を取った者は、窃盗の真犯と同じく論ずる。
諸の兄、牛を盗み、その弟を脅して同宰殺せしむるは、弟は坐せず。諸の白昼、驛馬を剽奪するは、首たる者を死に処し、従たる者は一等を減じて遠流に処す。諸の親属の馬牛を盗み、事未だ覚えずして自首し、価を償わんことを願い、従わず、既に官に送るも、なお自首を以て論じ、刺字を免ず。諸の強盗、行劫し、主に逐われ、分散奔走するに、首たる者が隣人を殺傷し、従たる者知らざるは、殺傷事主を以て首従を分たずと論ぜず。首たる者を死に処し、従たる者は杖一百七、刺配す。諸の窃盗、財を棄てて拒捕し、事主を毆傷する者は、杖一百七、刺字を免ず。諸の盗に為り、先ず窃し後強となるは、赦に会うも、その下手事主を殺傷したる者は赦さず、余はなお刺してこれを釈す。諸の盗賊、分贓均しからず、従賊首せんと欲し、首賊に殺さるるは、なお謀故殺人を以て論ず。諸の盗賊、赦を聞き、故に捕盗の人を殺す者は赦さず。
諸の強窃盗賊を蔵匿し、主謀糾合し、指引上盗し、贓物を分受する者は、身行わざるも、首と為すに合す。もし未だ盗を行わず、及び盗を行いしのち、情を知りて蔵匿するの家は、各々強窃従賊より一等を減じて科断し、刺字を免ず。その既に断ぜられ、怙終改めざる者は、従賊と同じ。諸の謀りて人の質したる田を図らんと欲し、輒て人を遣わし強劫して贖田の価を取るは、主謀下手一體に刺断す。その卑幼、尊長の為に驅役せらるる者は刺字を免ず。
諸の盗賊、正贓及び焼埋銀を徴すべきに、貧しく以て備うること無く、その折庸を令す。凡そ折庸は、各処の庸価を視てこれを会す。庸満つれば、元籍に発し、警跡人に充つ。婦人は日に男子の工価三分の二を準とす。官銭は旁近の処に役し、私銭は事主の家に役す。諸の盗賊、財を得て、酒肆倡優の家に用い、情を知らざるは、ただ本盗に於いて追徴す。その盗みし即ち官銭なるは、情を知らざるも、用いたる家に於いて追徴す。もし貨物を買うに用いれば、その貨物を還し、元贓を徴す。諸の奴婢、人の牛馬を盗み、既に罪を断ぜらるるも、その贓徴すべき無きは、その人を以て物主に給す。その主贖わんことを願うは聴す。諸の官銭を盗み、追徴未だ尽きず、官に到り禁繫既に久しく、実に折償すべき無きは、これを除く。諸の係官人口、人の牛馬を盗むは、倍贓を徴せず。諸の盗賊、正贓既に徴して主に給し、倍贓追理すべき無きは、徴せず。諸の盗賊の正贓、或いは人に典質し、典主情を知らざるも、その贓を帰し、なお元価を徴還す。諸の遐荒の盗賊、駝馬牛驢羊を盗み、倍贓徴すべき無きは、就いて発配役出軍す。
諸の盗、先に犯し後発するも、後に犯し先発すると罪同じきは、論ぜず。諸の先に強盗を犯し刺断せられ、再び窃盗を犯すは、ただ再犯窃盗を依りて刺配す。諸の出軍賊徒、逃ぐるは、初犯は杖六十七、再犯は二等を加え、罪は一百七に止め、なお元の流所に出軍す。
諸の盗に為り経て刺字し、自らその字を除き、再犯理に非ざる者は、補刺す。五年再び犯さず、既に籍を除かるる者は補刺せず。年未だ満たざる者はなお補刺す。諸の盗賊、赦前に擅て刺したる字を去り、再び犯さざるは、赦後補刺せず。諸の応に左右臂を刺すべきに、臂に雕青あるは、上下空歇の処に随いてこれを刺す。諸の窃盗を犯し既に臂を刺すも、却って身に徧く文し、元の刺字を覆蓋し、再び窃盗を犯すは、手背にこれを刺す。諸の累犯窃盗、左右項臂に刺し徧くし、而して再犯する者は、項上の空処にこれを刺す。
諸の子、父を盗みて首す、弟、兄を盗みて首す、婿、翁を盗みて首すは、並びに自首する者と同じく罪を免ず。諸の奴、主を盗みて首すは、罪を断じて刺字を免じ、倍贓を徴せず、なおその主に付して奴と為す。諸の脅従して上盗すれども贓を受けざるは、ただ不首の罪を以てこれを罪し、杖六十七、刺字せず。諸の盗に為り悔過し、盗みし贓を以て主に還すは罪を免ず。諸の盗に為り財を得、疑わしき根捕有るを聞き、却って贓を主に還すは、二等を減じて罪を論じ、徒刺及び倍贓を免ず。諸の窃盗、事主の盤詰に因りて自首服し、その贓未だ主に還さざるは、贓を計り二等を減じて罪を論じ、刺字す。諸の盗賊、首たる者自首するは罪を免ず、従たる者首せざるはなお全科す。諸の無服の親、相首して盗を為すは、ただその罪を科し、刺配倍贓を免ず。諸の窃盗悔過し、贓を以て主に還すも尽きず、その余贓なお刺罪に及ぶは、なおこれを刺す。