金史

志第二十一:楽下(宗廟楽歌、殿庭楽歌、鼓吹導引曲、采茨曲)

宗廟楽歌

禘祫親饗。

皇帝入門。宮懸無射宮『昌寧之曲』:(出、入歩武同じ)時に升平、礼儀肇興す。鳴鑾至止し、穆穆として庭に造る。百辟卿士、恪謹して迎承す。恭しく祖考に款し、神宇攸に寧し。

皇帝升殿、登歌夾鐘宮『昌寧之曲』:(升階及び将に板位に還る、皆登歌と同じ)笙鏞既に陳び、罍樽戸に在り。升降容有り、惟だ規惟だ矩。恭敬明神、上儀交挙す。永く言う之を保ち、天の祜を承く。

皇帝盥洗、宮懸無射宮『昌寧之曲』:惟だ水の功、潔浄精微。爵を洗い斝を奠む、徳に於いて輝有り。皇皇穆穆、宗廟の威。其の感格に宜しく、福祉交帰す。

皇帝降階、宮懸無射宮『昌寧之曲』:皇なる神宮に於いて、天の清明に象る。来たる有りて肅肅、相維る公卿。礼儀卒度し、君子攸に寧し。時に孔だ惠に孔だ、我が思成を綏す。

迎神、宮懸『來寧之曲』:(黄鐘宮三奏、大呂角二奏、大蔟徵二奏、応鐘羽二奏、詞同じ)八音克く諧い、百礼具に挙がる。明徳維れ清く、至誠永く慕う。神の格思う、雲軿風馭。来たり止まり来たり臨み、千祀燕処す。

始祖酌献、宮懸無射宮『大元之曲』:惟だ酒既に清く、惟だ肴既に馨し。苾芬孝祀、廟の庭に在り。皇祖に羞し、来たり燕し来たり寧し。功を象り徳を昭し、先祖是を聴く。

徳皇帝、『大熙之曲』:万方欣戴し、鴻業創基す。瑤源裕を垂れ、綿瓞重熙す。式に毖祀を崇め、爰に成規を考う。籩豆楚有り、益々皇儀に臻る。

安皇帝、『大安之曲』:爰に邦を造るを図り、徳を載せて其れ昌なり。皇儀允に穆く、誕に嘉祥を集む。明誠昭かに格り、積厚く光を流す。祇に清廟を厳にし、鐘石琅琅たり。

献祖、『大昭之曲』:惟だ聖邦を興し、経始の初め。民を鳩し俗を化し、還り定めて攸に居る。徳を迪け純儉、志遠図を規す。時に哉、顕祀、精誠孚有り。

昭祖、『大成之曲』:天璿源を啓き、慶を貽して基を定む。義を率いて勇と為し、徳を施して威と為す。武を耀かし境を拓き、功烈巍巍たり。永く皇祚を昌にし、均く黔黎に福す。

景祖(大昌の曲):大いなる輝かしい功業、基業は降りて昌える。聖なる期は集い誕し、邦国の宇内はここに広がる。尊厳なる廟の祏、明らかに祥瑞に通じる。煌煌たる縟典、億載に弥がりて光る。

世祖(大武の曲):勇ましき征伐の功、天はその明らかさを監みる。威は震え重なり、徳は安んずる。神策は遺すところなく、鴻図は以て興る。会孫の孝なる祭祀、まさにその成ることを明らかにす。

肅宗(大明の曲):ああ皇なる神人、武烈にして文謨。世祖を左右し、懐柔し掃除す。威は遐邇に震い、化は蟲魚に漸く。光を垂れて綿永、帝の信を成す。

穆宗(大章の曲):盛んなるかな文祖、欽聖にして弘淵。慈愛忠信、典策は昭然たり。この明祀を歆け、繁祉は綿綿たり。時に純熙なり、慶を流して萬年。

康宗(大康の曲):明らかにして聡明、曄曄たる神功。世業を儀刑し、上穹に昭格す。持盈の孝孫、芳しきを薦ぐること斯くの如く豊かなり。我に祉福を錫い、皇化は益々隆盛なり。

太祖(大定の曲):功は殷周を超え、徳は唐虞に配す。天人協応し、寰区を平統す。祥を開き裕を垂れ、永図に肇基す。明々たる天子、典謨を敬承す。

太宗(大惠の曲):巍巍たる徳の鴻大、無為にして端扆に臨む。祚は神功を承け、俗美を究めて馴らす。清宮は緝熙、孝に毖みて時に祀る。欽んで羞誠を奠め、犠樽の嘉旨。

熙宗(大同の曲):令徳を昭かに顕し、神基を丕承す。在天に対越し、享用に躋升す。ああ穆なる清廟、来たり燕び来たり寧んず。神その醉止まん、惟れ欽みて克く誠なり。

睿宗(大和の曲):皇祖は基を開き、周武殷湯のごとし。猗歟聖考、徳を嗣いで弥がりて光る。洪緒を啓佑し、その祥を長く発す。廟享を厳恭にし、萬世に烝嘗す。

世宗(大鈞の曲):神の来ます思い、甫かに堂に登る。稞圭に瓚有り、秬鬯は芬芳たり。巍巍たる先功、啓祐して疆無し。萬年肆祀、孝心忘れず。

顯宗(大寧の曲):ああ皇なる神宮、厳にして惟れ清し。吉蠲の孝祀、惟れ神の寧んずる所。在天に対越し、我が思誠を綏す。億年に祐を敷き、邦家の慶。

章宗(大隆の典):両紀践阼し、萬方は甯康たり。文は天地を経め、武は遐荒を服す。礼備わり制定り、徳隆く業昌し。居歆して典祀す、億載に疆無し。

宣宗(大慶の曲):猗歟聖皇、三代の英。功は先後に光り、徳は群生に被る。牲粢は惟れ馨しく、鼓鐘は其れ鏗たり。神よ来ませる思い、克く誠なるに歆けん。

文舞退き、武舞進む、宮縣無射宮(肅甯の曲):明々たる先皇、神武維れ揚がる。基を開き統を垂れ、萬世に疆無し。干戚は功を象り、威儀は光有り。神保は是を饗け、昭かなる哉、康きを降す。

亞終獻、無射宮(肅甯の曲):涓辰の休、昭祀は惟れ恭し。威儀の陟降、惟れ礼是に従う。籩豆は静嘉、鼓鐘を論ずるに於いて。惟れ皇は祉を受け、斯の徳容を監みる。

皇帝が福酒を飲む、登歌夾鐘宮『福甯之曲』:犠牲は清らかに満ち、供物は香り高し。来たりて受け、来たりて享け、精神は用いて顕わる。この純粋なる禧福を飲み、簡簡として穣穣たり。文明の天子、万寿無疆。

供物を撤去する、登歌夾鐘宮『豊寧之曲』:孝なる祭祀は厳かで和らぎ、明徳をもって薦む。楽は九成を奏で、礼は三献を終う。百辟卿士、時に従って進みて撤す。大小ともに稽首し、神保はすなわち帰る。

神を送る、宮懸黄鐘宮『来寧之曲』:この牛羊を清め、この酒醴を澄ます。三献は終わり、神はすでに燕喜す。神の去りませば、繁祉を載せて錫う。万寿無疆、永く禋祀を保たん。

郊祀の前、太廟を朝享する楽歌。

皇帝が門に入る、宮懸無射宮『昌寧之曲』:郊に将に禋祀を挙げんとし、廟に当に虔しさを告ぐべし。錫鑾止まり、孝は実に先を奉ず。祀事はこれ挙げ、序有りて愆無し。祖考を祇見し、神意は歓然たり。

皇帝が殿に昇る、登歌夾鐘宮『昌寧之曲』:皇皇たる天子、阼階より昇る。祖禰に奠見し、肅然として懐う有り。百礼はすでに洽く、八音はよく諧う。既に昌にして且つ寧く、万福遝来す。

神を迎える、宮懸『来寧之曲』:(黄鐘宮三奏、大呂角二奏、太蔟徵二奏、応鐘羽二奏、詞同じ)実を以て天に応じ、本に報いて始めに反る。潔き粢盛は豊かに盛り、礼は先ず肆祀をなす。風馬雲車、神の吊いたまえり。来たりて止まり、来たりて宜しく、而して子を燕かに翼す。

皇帝が盥洗する、宮懸無射宮『昌寧之曲』:罍に水有り、篚に巾有り。手を帨い爵を拭い、圭袞煒煒たり。玄酒大羹、徳は磬きて維れ菲し。万年昌寧、皇皇として負扆す。

皇帝が階を昇る、宮懸無射宮『昌寧之曲』:(階を降りる、同じ)巍巍たる京師、厳かなる神宮有り。聖主止まり、多士雲の如く従う。来たりて享け、来たりて献じ、その容肅肅たり。将に大報を昭かにし、庸もって推崇を示さんとす。

司徒が俎を奉る、宮懸無射宮『豊寧之曲』:その犠牲を陳べ、惟れ純と精と。苾芬たる孝祀、昭かにして克く誠なり。疾瘯蠡せず、或いは剥ぎ或いは亨す。洋洋として上に在り、以て神明に交わる。

始祖に酌献す、宮懸『大元之曲』:猗歟初基、我が王跡を兆す。その命維れ新たに、謀いを貽して丕かに赫たり。綿綿たる瓜瓞、国歩日々に辟く。堂構の成る、焜煌として今昔。

献祖、『大昭之曲』:聖を以て継ぎ興り、成王の孚を成す。民その化に従い、咸く攸居を奠む。清廟に徳を観、猗歟偉なるかな。金石楽を備え、以て神の娯を奉ず。

昭祖、『大成之曲』:東夷庭せず、皇祖震怒す。神武削平し、厥の聖緒を貽す。猶お室に基有るが如く、垣墉乃ち樹つ。億万斯年、天保孔固。

景祖、『大昌之曲』:于皇藝祖、その智神の如し。法を修め令を施し、百度維れ新たなり。疆宇日々に広く、海隅咸く賓す。功高く徳厚く、耀耀震震。

世祖、『大武之曲』:于皇先王、天に昭かに假る。長く駕し遠く馭し、麾斥して前に無し。王業猶お生けり、孫謀伝うる有り。円壇に礼を展べ、敢えて先ず虔しさを告ぐ。

肅宗の『大明之曲』:ああ、先人よ、簡素にして慈恵、明らかに融和す。我が世祖を助け、この征伐の功を成す。来葉を敷き佑け、帝の図はその隆盛なり。将に熙事を修めんとし、先ず神宮に款く。

穆宗の『大章之曲』:仁慈忠信、これ祖の美なり。功は岐下に光り、跡は商丘に掩わる。清廟を瞻み言い、前修を懐想す。神その来たり格り、この庶羞を歆む。

康宗の『大康之曲』:ああ、前王よ、我に無疆の恵みを施す。典法を儀刑し、日に四方を靖む。永く孝思を言い、於乎忘れず。大祀に昭告し、祗ちに旧章に率う。

太祖の『大定之曲』:天、聰明を生み、蒸人を乂わしむ。惟れこの二国、我が民を駆るが為り。彼の威武を撻ち、万邦咸く賓す。大報を明らかに昭し、推して神に配す。

太宗の『大惠之曲』:維れ清く緝熙、明徳を昭かにす。我その之を収め、駿奔す万国。南郊肇めて修まり、大典増して飾る。清廟吉蠲し、純禧申して錫る。

睿宗の『大和之曲』:維れ時に祖功、神基を肇めて開く。昭かなるかな聖考、その徳輝きを増す。上は天監を動かし、明命帰する所とす。謀り翼子に貽り、無疆の辞なり。

文舞退き、武舞進み、宮縣『肅甯之曲』:先皇基を開き、殷湯に跡を比し、功は天下に加わり、武徳弥光る。容舞象成り、干戈戚揚ぐ。於乎報本を昭かにし、懐かなるかな忘れず。

亞終献、宮縣『肅甯之曲』:皇なる宗祊に於いて、朝献は時に維る。芬芬たる酒醴、棣棣たる威儀。誠は則ち余り有り、神の格る思う。神孫千億、神その之を相う。

皇帝福を飲む、登歌夾鐘宮『福甯之曲』:皇皇穆穆、丕に丕基を承く。躬禋に親しみ、載せて肅に載せて祗る。天に在りて対越し、神その誠を歆む。以て酒を飲むに、川の増すが如し。

豆を徹す、登歌夾鐘宮『豐甯之曲』:物はその時に維り、既に豊かにして且つ旨し。苾苾たる徳馨、或いは将け或いは肆す。神の居りて歆む、百礼に洽う。万斯年に於いて、穰穰たる介祉。

神を送る、宮縣黃鐘宮『來甯之曲』:済済たる多儀、皇皇たる雅奏。献終わり爵を反し、余りを薦め豆を徹す。神監昭回し、秩有る斯の祐り。無疆の福、申して厥の後に錫う。

昭徳皇后別廟、郊祀前の薦享、登歌楽曲。

初献盥洗、夷則宮『肅甯之曲』:神は常に享くるともあらず、時に精誠を歆む。惟れ誠惟れ潔、神明に感通す。先ず事に盥滌し、この清冷に注ぐ。巾篚既に奠まり、尊彝馨しきを薦む。

初献升殿・降殿、中呂宮『嘉甯之曲』:来たりて肅肅たり、登降して以て敬す。粲粲たる袨服、鏘鏘たる佩声。金石の節奏、既に協して且つ平なり。その儀忒からず、乃ち終に慶有り。

司徒俎を奉ず、夷則宮『豐甯之曲』を奏す:我が黍稷を馨しくし、我が牲牷を潔くす。降升に節有り、是を薦むるは吉蠲なり。工祝致告し、威儀肅然たり。神の吊うこと有り、元吉その旋る。

酌献の儀、夷則宮『儀坤の曲』を奏す:天の妹のごとき、坤徳は貞を利す。円丘に事あり、先ず誠を以て薦む。我が酒既に旨く、我が肴既に盈つ。神其れ居饗し、福禄来たり成る。

豆を徹す、中呂宮『豊寧の曲』を奏す:祀事を明らかに昭らしむ、旧典に違うこと無し。楽既に雲闋し、神其れ聿に帰す。礼の克く成る、神保斯に饗く。万斯年に於いて、丕貺を迓ぎ続く。

祫禘、有司の摂事。

初献盥洗、宮県無射宮『粛寧の曲』:祀事の大なる、斉栗を先とす。精を潔くして献じ、前に於いて沃盥す。既に灌ぎて升り、乃ち豆籩を薦む。神其れ感格し、吉蠲に歆く。

西階より升る、登歌夾鐘宮『嘉寧の曲』を奏す:(余は並びに親祀に同じ)国に太宮有り、礼を以て合食す。階に躋るは肅肅、陛を降るは濟濟。鏘然たる純音、節は乃ち容止。神の格す思う、永く福履を綏す。

時享、摂事登歌楽章。

初献盥洗、無射宮『粛寧の曲』:彼の行潦を酌む、維れ其の清きを挹む。潔斉して祀り、祀事は昭明なり。顕允なる辟公、沃盥して乃ち升る。神の至り止まる、克誠に於いて歆く。

初献殿に升る、夾鐘宮『嘉寧の曲』:(余は親祀に同じ、惟だ宮県を用いざるのみ)庭に濟濟として在り、祗薦に序有り。雍容たる令儀、規を旋り矩を折る。爰に基に徂き、佩を鳴らし武に接す。神明を敬恭し、来たり寧ぎ来たり処る。

昭徳皇后時享、登歌楽章。

初献盥洗、無射宮『粛寧の曲』:時祀に章有り、礼備わり楽挙がる。爰に其の盥を潔くし、亦其の俎を豊かにす。俯仰升降、規に中り矩に中る。神其れ来たり格し、百神是れ与る。

初献殿に升る、夾鐘宮『嘉寧の曲』:(三献及び司徒の降る、同じ)假哉神宮、神宮に侐有り。惟れ時に吉蠲し、登降翼翼たり。歌鐘鏘煌、笙磬翕繹たり。昭らかに肅恭なるに於いて、霊釐来たり格す。

司徒俎を奉ず、無射宮『豊寧の曲』:宮庭枚枚たり、鐘磬喤喤たり。既に圭鬯を儀し、既に惣薌を奠む。斉荘奉饋し、籩豆大房たり。霊の右饗する、慶を流して疆無し。

酌献、無射宮『儀坤の曲』:皇なる坤徳に於いて、乾儀に作合す。塗山の懿範、京室の芳徽、容声在るが如く、典祀惟れ時にす。神其れ克く享し、祉を薦めて来たり宜し。

亜終献、無射宮『儀坤の曲』:嘉羞俎に実り、高張庭に在り。申献礼に合し(終献は申を三に改む)、坤徳は儀刑す。神其れ是を聴き、清明を用いて鬯す。清明既に鬯し、来たり享し来たり寧ぐ。

豆を徹す、夾鐘宮『豊寧の曲』:礼終に成る、神心禗禗たり。惣蕭馨を発し、楽闋け献已む。徒馭孔多、霊輿載て轙す。青玄悠悠たり、帰り且に億し。

宣孝太子の別廟、登歌の楽章。

初献、殿に升る、夾鐘宮『承安の曲』:ふとれるせい有り、かおれる斯のせい有り。美なる哉洋洋ようようたり、升降礼を以てす。礼容既にそうなり、楽亦またかいしてむ。神のいたおもい、って明祀めいしけよ。

酌献、無射宮『和寧の曲』:ああおもうに光霊こうれい孝徳昭あきらかにぶ。高麗こうれい奕奕えきえきたり、来たりやすんじ来たりやすんず。けんするに惟れこうに於いて、既にときにして既にきよし。我が烈祖れっそに従い、すなわち億年をけん。

亜終献、『和寧の曲』:金石和やわらぎ奏し、豆籩とうへん惟れ豊なり。祠宮しきゅう奉事ほうじし、斉敬精衷せいちゅうたり。しょう伊浦いはに吟じ、つる緱峰こうほうとどまる。やすんじ是れけ、霊徳れいとくきわまり無し。

徹豆、夾鐘宮『和安の曲』:しんりて奕奕たり、今茲いまこの其の時。あきらかにとなえて肇祀ちょうしす、まさに礼の儀をなさんとす。やすくしてってよろこび、すすむるつ時にかなう。楽闋がくけつ献已けんやみ、神其れ饗け思え。

大定三年十月、睿宗の冊宝を追いたてまつる、応鐘宮『顕寧の曲』:天休運きゅううんを開く。仁を積みてしこうしてさかんず。昭考しょうこうに命ず、あえ顕揚けんようを忘れじ。上儀じょうぎはじめてげ、涓日けんじつきをえらぶ。来たり格り来たり享け、我に無疆むきょうめぐみたまえ。

大定十九年、熙宗を升祔しょうふする冊宝の楽曲:大帝業たいていぎょうひろめ、多方たほう敉寧びねいす。懿徳いとく茂烈もれつ金書きんしょ発揚はつようす。上儀を肇めて挙げ、吉日をえらび択ぶ。鴻名こうめい赫赫かくかく、天ときわまり無し。

冊宝を上る、宮県きゅうけん『静寧の曲』:日其きちぼくす、けてはなはしゅくなり。広号こうごう追崇ついすうし、孝心克あつし。於乎ああはるかなる哉、きたりて思えば晬穆すいぼくたり。宝冊既すでつらね、宗祝そうしゅくゆだぬ。

皇帝殿をくだる、宮県『鴻寧の曲』:世を継いで隆昌りゅうしょうし、朝にのぞみて静黙せいもくたり。鴻名を追諡ついしし、潜徳せんとく発輝はっきす。玉質ぎょくしつ金章きんしょう煌煌こうこうたる簡冊かんさつしんを涓び儀をべ、とこしえに伝えて極まり無からしめん。

殿庭の楽歌

大定七年正月、冊宝を上る、皇帝将まさに御座に升らんとする、宮県太蔟宮たいそうきゅう『泰寧の曲』を奏す:(座を降る、同じ)徳帝位にさかん、天を承けて而しておこる。侯邦こうほうにわに来たり、民居みんきょ安寧あんねいなり。美をして以ってむくい、これを伝えて極まり無からしむ。鴻名徽称きしょう寿じゅは時時万億ばんおく

冊宝門に入る、『天保報上の曲』を奏す:四方既すでたいらぎ、功聖明せいめいに帰す。功をさだむること巍巍ぎぎたり、おおいに鴻名を享く。股肱ここう良き哉、元首げんしゅ揄揚ゆようす。せいたくわ優遊ゆうゆうし、南山なんざん寿にひとし。

冊宝を奉ずる官将まさまた班位はんいせんとする、『帰美揚功の曲』を奏す:聖徳高明こうめい万邦ばんぽうみなきゅうす。錙銖ししゅ唐虞とうぐ糠骰こうこう商周しょうしゅうなり。れ時に群臣ぐんしん対揚たいよう稽首けいしゅす。天子明明めいめい令聞れいぶんちず。

冊宝初めて行く、『和寧の曲』を奏す:(冊宝将まさに殿に升らんとする、皇太子侍立位じりゅういより降階こうかいに至るまで、曲並ならびに同じ)四方攸ここおなじ、あきらかなる哉成功せいこう。時にやわら年豊としゆたかに、諸福しょふく来たりあつし。英声えいせい昭騰しょうとうし、和気わき充塞じゅうそくす。於乎皇王こうおう、維れ寿は時時億おく

皇太子殿に升り賀す、『同心戴聖の曲』を奏す:穆清ぼくせい皇風こうふう遐方かほう来たり同じ。於天に昭かなり、物和ぶつわ歳豊さいほうなり。丕いに鴻名を受け、偉跡いせきに対揚す。純厘じゅんり穰穰じょうじょうきて極まり無し。

上寿の儀、皇帝が御座に昇らんとする時、宮懸《和寧の曲》を奏す。前と同じ。

酒を挙ぐる時、《万寿無疆の曲》を奏す:四海太平、これ吾が皇の功なり。群臣対揚し、大いなる名を受け奉る。霞觴瓊腴、君王楽しむこと豈に尽きんや。皇天休を垂れ、万寿極まりなし。

皇太子が階を昇り降り、及び宴に与る官が殿に昇る時、並びに《和寧の曲》を奏す。前と同じ。

第一爵を進むる時、登歌《王道昌明の曲》を奏す:天に対し大いなる休祥を、もって鋪張す。巍巍として煌煌たり、百王を超え冠ぶ。皇図皇綱、時に明昌なるは。祉福疆きわまりなし、民に於いて敷揚す。

群官に酒を行く時、宮懸《和寧の曲》を奏す。

文舞入り、群官の食を設け、《功成治定の舞》を奏す:(三成にして止む)聖徳高明、天のごとく強き名。多方治平し、功大いに成る。音声に流れ、蹈舞に形わる。觴を群臣に頒ち、もって礼遇を昭かにす。

第二爵を進むる時、登歌《天子万年の曲》を奏す:惟れ明後、寰瀛を馭す。升平に躋り、英声を飛ばす。功は三王に、徳は五帝に。岩廊に遊び、億万年。

群官に酒を行く時、宮懸《和寧の曲》を奏す。

武舞入り、群官の食を設け、《四海会同の舞》を奏す:(三成にして止む)地平かに天成り、時和ぎ歳豊なり。衡をむかえて迷わず、おおむ敉功びこうのみ。天のたすけを受け、四方来たりてになう。万斯年、とおからざるに佐け有り。

第三爵を進むる時、登歌《嘉禾の曲》を奏す:景命赫々として吾が皇に帰す、仁風洋洋として遠荒に被わる。琛贄旅庭して明光に趨る、気和薰蒸して嘉祥と為る。殊本合穗真に異常なり、庾は坻京の如く歳且まさゆたかなり。猗歟ああ鴻休前王を超え、声詩と為りて伝わりきわまりなし。

群官に酒を行き、群官の食を設く。

群官階を降る時、宮懸並びに《和寧の曲》を奏す。

皇帝御座を降らんとする時、《泰寧の曲》を奏す、並びに太簇宮を用う。

大定十一年十一月、冊礼を行い、皇帝御座に昇る時、宮懸《泰寧の曲》を奏す:皇皇として穆穆たり、袞服玉趾、日の昇るが如く、山の仰ぐが如し。九賓列に在り、この天子にぶ。願わくは言わん疆り無く、以て繁祉をたすけんと。

冊宝門に入る時、《天保報上の曲》を奏す:穆穆たる元聖、天子をみちびき保んず。たすくるは臣工、もって丕号を奏す。路朝に揚げ、玉牒神宝。万斯年、吾が君寿考。

奉冊寶官が再び班位に戻り、『帰美揚功の曲』を奏する。玉冊玉寶、聖天子を尊び、大いに鴻名を揚げ、帝祉を昭かに受く。閎休天に対し、その隆盛孰れか比すべき。臣下心を同じくし、翼戴して美を帰す。

皇太子殿に昇り賀し、『同心戴聖の曲』を奏する。大いなるかな我が後、徽冊膺け受く。歓びて彤庭に趨り、手を拝し首を稽す。休明辰を禦し、無疆の万寿。霊貺遝来し、天地長久。

酒を挙げ、『万寿無疆の曲』を奏する。聖徳懋かに昭らか、民帰し天祐す。煌煌たる金書、典冊光り受く。備楽庭に在り、八音諧奏す。群公觴を奉じ、天子万寿。

第一爵を進め、登歌『王道昌明の曲』を奏する。明明たる我が皇、道光化溥し。百度惟れ新たに、礼修び楽挙がる。藻飾太平、爛然として睹るべし。三王を超躋し、千古に暉映す。

群官の食を設け、『和寧の曲』、『功成治定の舞』を奏する。穆穆たる我が君、威群醜を折す。輝光日新たに、仁九有に洽う。容典葳蕤、前を超え後を絶つ。端拱深厳、宝冊膺け受く。

第二爵、登歌『天子万年の曲』を奏する。典礼修まる、惟れ明後。鴻名を揚げ、瓊玖の如く燦たり。華紳を羅し、万寿の為す。南山を歌い、堅く且つ久し。

群官の酒を行い、『和寧の曲』、『四海会同の舞』を奏する。道隆く政平らか、天徳有るを開く。万国和寧し、王に来たり極に来たる。鴻名を昭かに受け、俯して列辟に徇う。錫飲觴を行い、歓心各々得る。

第三爵、登歌『嘉禾の曲』を奏する。衆瑞畢く至りて昇平を昭かにし、爰に嘉禾を生じて乃ち穂を合わす。膴膴たる大田南東無く、稼茂ること雲の如く豊歳を成す。既に刈り既に獲ること百室盈ち、撃壤の歌沸き野老の声。陶唐の民茲に其れ比すべく、帝力何ぞ有らん自ずから遂ぐるが若し。

大定十八年十二月、上、命宝を受け、皇帝将に御座に昇らんとす、宮県『泰寧の曲』を奏す。(並びに大呂宮)上帝赫たり、此の明徳を懐く。之を神宝に畀え、以て万国を鎮む。臨軒是れ膺け、登降則を維す。群臣首を拝し、年を卜して万億。

宝門に入り、『天保報上の曲』を奏する。命の大宝を受け、眷佑に昭かに答う。珍符明貺、人の為す天授。文物具に挙がり、韶・濩迭奏す。群臣之を上ぐ、天子万寿。

群臣班を合わし、『帰美揚功の曲』を奏する。徳生民を冒し、明明たる元後。端冕臨軒、神宝是れ受く。群工来たり賀し、咸く稽首を拝す。無疆無期、祚を享け長久。

皇太子殿に昇る、並びに侍立の位より階を降り、宮県『称觴介寿の曲』を奏す。上儀昭かに挙がり、時に瑞玉を膺く。群辟列に在り、蹌蹌として肅肅。袞衣桓圭、美を帰し首を稽す。升降惟れ時に、天子万寿。

酒を挙げ、登歌『万寿無疆の曲』を奏する。上帝眷命し、純休茲に至る。洪宝に誕膺し、大器に光臨す。觴を称えて揚げ、嵩嶽万歳。其の寧り惟れ永く、無疆世を卜す。

天徳二年十月、中宮を冊立し、皇帝将に御座に昇らんとす、宮県『乾寧の曲』を奏す。(座を降りる、同じ)人道の大倫、王化の基く所。明聖古に稽え、陰教施さんと欲す。臨軒冊を発し、彝儀を備挙す。『麟趾』『関睢』、宜しく声詩に播くべし。

冊宝門に入り、『昌寧の曲』を奏す。(門を出づる、同じ)羽衛庭に充ち、淑旗徽章。礼儀具に挙がり、涓辰を以て良とす。我が内訓を相い、来儀椒房。億万斯年、邦家の光。

冊宝を受けんとするに、冊宝が門に入ると、宮懸が『粛寧の曲』を奏す:(命婦の昇降、同じ)塗山は夏を興し、『関雎』は周を美とす。坤儀の尊、母として九州に臨む。瑤冊と褘衣、光は凝旒に配す。地久く天長し。福禄は是れつよし。

后が閣を出づれば、『順寧の曲』を奏す:(座に昇り降りる、同じ)天は其の配を立て、任姒に比して霊なり。母儀四海にあり、化は六宮に行わる。日月並びに明らかに、乾坤徳を合す。万斯年において、宸極につれあいと為す。

冊を受けし時、『坤寧の曲』を奏す:風化の始め、壺闈より由る。礼文斯に備わり、爰に坤儀を正す。順を以て慈しむに維れ、聖に儷いて徳を同じくす。則ち百斯男、統を垂れて極まり無し。

天徳四年二月、皇太子を冊立す。皇帝将に御座に昇らんとするに、宮懸が『乾寧の曲』を奏す:(皆夾鐘宮を用う)大君有為にして、先づ本固きを図る。涓辰の吉、礼は儲副ちょふく成る。文物備わり陳なり、声楽皆具わる。人心載すなわち寧し、克く福祚を昌んず。

冊使の門に入る、『昌寧の曲』:天に象を成し、煥乎として前星たり。惟れ聖時にのりとし、典礼以て行わる。一人慶有り、万邦以てただし。社稷の福、しだいに昌んに浸いに明らかなり。

皇太子の門に入る、『元寧の曲』を奏す:(門を出づる、同じ)おおいなるかな上帝、もはらに明聖をたすく。篤く元良を生み、日に徳性にのぼる。冊命は主器とし、万邦以て正す。龍楼に問寢し、億年の慶たり。

大定八年正月、皇太子を冊立す。皇帝将に御座に昇らんとするに、宮懸『洪寧の曲』:(並びに太簇宮を用う)朝に会して清明、軒に臨みて礼を備う。天威皇皇たり、臣工済済たり。於昭なる元良、茲の典冊をく。閎休こうきゅうに対揚し、年を卜いて万億。

皇太子の門に入る、『粛寧の曲』を奏す:前星に光昭こうしょうし、惟れ天象を垂る。古をかんがえて行い、主器を以て長とす。曲礼告げ成り、邇遐じか望みに属す。国本既に隆く、繁厘はんり永く享く。

群臣の班を合わす、『嘉寧の曲』を奏す:於皇いなるかな軒に臨み、礼は上嗣を崇ぶ。維れけんさいわい、方正の位にく。其の儀を観んと言い、翔翔しょうしょうとして済済たり。美は吾が君に帰し、太平万歳。

皇太子復た冊位を受く、『和寧の曲』を奏す:祖功艱難、経営締構す。基牢く根深く、枝繁く葉茂し。於昭なる貽謀いぼう、休をならべ佑を集む。元良斯に貞し、吾が皇万寿。

大定二十七年三月、皇太孫を冊立す。皇帝将に御座に昇らんとするに、宮懸『泰寧の曲』:(並びに姑洗宮を用う)上天叢休そうきゅうし、かさねて祚胤そいんを錫う。孫謀にのこす有り、軒に臨みて体正し。煌煌たる上儀、欣欣たる衆聴。我が邦本を隆くし、疆り無きは惟れ慶。

皇太孫の門に入る、『慶寧の曲』を奏す:(門を出づる、同じ)宝源流れ光り、流光惟れ遠し。孫謀にのこす有り、慶序昭衍しょうえんす。衆望をよろこび、於皇いなるかな備典。動容周旋し、茲の嘉羨かせんを受く。

群臣の班を合わす、『順寧の曲』を奏す:冕旒べんりゅう寧ずるに当たり、徽章備わり挙がる。彩仗庭に充ち、金石虡きょつらなる。済済たる多士、翼翼として序に就く。海潤き山暉かがやき、楽府に傾聴す。

皇太孫復た冊位を受く、『保寧の曲』を奏す:礼のところ聞く、世嫡を丕いに建つ。衆論協かない従い、天心易え難し。名は震宮を崇め、辞は瑞冊にあらわる。社稷宗廟、疆り無き夷懌いえき

鼓吹導引曲、采茨曲

天眷三年九月、天子が燕京に行幸した際の導引曲:(無射宮)五年に一度の巡狩、仙仗が人間に降り、農耕の艱難を問う。蒼生が秋光の中に目を洗い、今日天顔を拝す。金戈玉斧が香火に臨み、馳道に六龍閑かに遊ぶ。歌謠は到る処皆相似たり、天子の壽は南山の如し。

天德二年三月、祫享より回鑾の導引曲:廟享の禮成り、禦衛飛龍を拱す、諸道祥風起こる。太平の天子多く福を受け、孝德天と通ず。鳳簫龍管『韶』の音を奏し、聲は五雲の中に在り。粲然たる文物治世を昭かにし、萬億祀窮まり無し。

貞元元年三月、中都に行幸した際の導引曲:(並びに姑洗宮)鑾輿順に動き、嘉氣神京に満つ、輦路の宿塵清し。鉤陳の萬旅天仗に隨い、縹緲として霓旌を轉ず。都人の望幸堯の日に傾き、鰲撲歡聲に溢る。八極を臨観し辰居正し、寰宇慶び升平を祝す。

采茨曲:新都の春色満ち、華蓋全燕に定まる。時運千齡に協し、星辰五緯連なる。六龍曉日を承け、丹鳳中天に倚る。王氣は山海に盤り、皇居億萬年。

貞元三年十一月、祫享より回鑾の采茨曲:(並びに用いる)慶成り大駕回り、仙仗紫雲深し。龍袞千騎を輝かし、嵩呼八音に間う。太平縟禮を興し、萬國歡心を得る。孝格遐福を迎え、穰穰として永く降臨す。

正隆六年六月、南京に行幸した際の導引曲:(並びに林鐘宮)神宮壯麗、宮殿蓬萊を壓し、曉に向かって九門開く。聖明天子初めて巡幸し、遙かに六龍を駕して来る。五雲の影裏に仙仗を排し、清蹕纖埃を絶つ。都人齊しく升平の曲を唱え、更に萬年杯を進む。

采茨曲:雙闕層雲の表、澄景清曉を開く。六龍天より来たり、馳道掃くが如く平らかなり。虞の巡り五載に合し、夏の諺に一遊同じ。都人の欣の意、頌聲の中に書き入る。

大定三年十月、祫享より回鑾の采茨、導引曲:(皆應鐘宮。此れより後親祀には、二曲並びに用いる)太宮烈考を崇め、大禮初めて成るを慶ぶ。彩仗雲歩に回り、天階蹕聲を嚴かにす。舜宮至孝に合し、周の『頌』維清を詠ず。介福應に穰簡にして、歡交萬國の情。

導引曲:禮清廟に行われ、華黍年豐を薦む、聖孝天と通ず。六龍回り馭し千官衛い、玉振珮環の風。黃麾金輅天仗を嚴かにし、非霧鬱蔥蔥たり。工歌疊に奏して升平の曲、福祿自ら来たり崇し。

大定二十七年三月、皇太孫冊を受け廟に謝する導引曲:璿源浚かに發し、衍慶靈長より自り、聖運日々に隆昌なり。震闈顯冊彝典に遵い、基緒重光を煥く。練時に廟見し嚴かに昭報し、禮樂章を成して粲たり。精誠潛かに格み神明助け、福祿永く疆無し。