宋史

志第三十  律暦十

元祐『観天暦』

演紀の上元甲子より、元祐七年壬申に至るまで、歳積五百九十四万四千八百八算。上は往古を考へて、毎年一を減じ、下は将来を験して、毎年二を加ふ。

歩気朔

統法:一万二千三十。

歳周:四百三十九万三千八百八十。

歳余:六万三千八十。

気策:十五、余二千六百二十八、秒十一。

朔実:三十五万五千二百五十三。

朔策:二十九、余六千三百八十三。

望策:十四、余九千二百六、秒十八。

弦策:七、余四千六百三、秒九。

歳閏:十三万八百四十四。

中盈分:五千二百五十六、秒二十四。

朔虚分:五千六百四十七。

没限分:九千四百二。

閏限:三十四万四千三百四十九、秒一十二。

旬周:七十二万一千八百。

紀法:六十。

以上、秒母は同じく三十六。

天正冬至を推す:求めようとする距年を置き、歳周を以てこれを乗じ、気積分と為す。旬周に満てばこれを去き、尽きざるを統法を以て約し大余と為し、満たざるを小余と為す。その大余に甲子を命じ、算外すれば、即ち求めようとする年の天正冬至の日辰及び余なり。

次気を求む:天正冬至の大余・小余を置き、気策及び余秒を累次加え、秒は秒法に盈てば小余に一を従え、小余は統法に盈てば大余に一を従え、大余は紀法に盈てばこれを去く。

甲子を命じ、算外すれば、即ち各々次気の日辰及び余秒を得。

天正経朔を推す:天正冬至の気積分を置き、朔実を以てこれを去き、尽きざるを閏余と為す。これを以て天正冬至の気積分を減じ、余るを天正十一月経朔加時積分と為す。旬周に満てばこれを去き、尽きざるを統法を以て約し大余と為し、満たざるを小余と為す。その大余に甲子を命じ、算外すれば、即ち求めようとする年の天正十一月経朔の日辰及び余なり。

弦望及び次朔の経日を求む:天正十一月経朔の大余・小余を置き、弦策を累次加え、去き命ずること前に如くすれば、即ち各々弦・望及び次朔の経日及び余秒を得。

没日を求む:没有る気の小余を置き、三百六十を以てこれを乗じ、その秒は一位を進め、これに従う。歳周を以て減じ用い、余り歳余に満てばこれを除して日と為し、満たざるを余と為す。その日に、その気の初日の日辰を命じ、算外すれば、即ちその気の没日の日辰と為る。凡そ気の小余が没限以上にある者は、没有る気と為す。

滅日を求む:滅有る朔の小余を置き、三十を以てこれを乗じ、朔虚分に満てばこれを除して日と為し、満たざるを余と為す。その日に、その月の経朔初日の日辰を命じ、算外すれば、即ちその月の滅日の日辰と為る。凡そ経朔の小余が朔虚分に満たざる者は、滅有る朔と為す。

発斂を歩む

候策:五、余八百七十六、秒四。

卦策:六、余り一千五十一、秒一十二。

土王策:三、余り五百二十五、秒二十四。

月閏:一万九百三、秒二十四。

辰法:二千五。

半辰法:一千二半。

刻法:一千三百三。

秒母:三十六。

七十二候を推す:各々中節の大余・小余に因りて之に命じ、初候と為す。候策を以て之に加へ、次候と為す。又之に加へ、末候と為す。

六十四卦を求む:各々中気の大余・小余に因りて之に命じ、初卦用事の日と為す。卦策を以て之に加へ、中卦用事の日と為す。又之に加へ、終卦用事の日を得。土王策を以て諸侯内卦に加へ、十有二節の初めの外卦用事の日を得。又之に加へ、大夫卦用事の日を得。復た卦策を以て之に加へ、卿卦用事の日を得。

五行用事を推す:各々四立の節の大余・小余に因りて之に命じ、即ち春木・夏火・秋金・冬水の首めて用事する日と為す。土王策を以て四季中気の大余・小余を減じ、甲子に命じ、算外、其の月の土始めて用事する日と為す。

中気の経朔より去るを求む:天正冬至の閏余を置き、月閏を累次に之に加へ、統法に満てば之を約して日と為し、尽きざるを余と為し、即ち各々毎月の中気の経朔より去る日及び余秒を得。其の閏余の閏限に満つるは、月内に閏有るなり。仍て其の朔内に中気無き者を定めて閏月と為す。

卦候の経朔より去るを求む:卦策・候策を以て累次に中気の経朔より去る日及び余を加減し、中気の前は減じ、中気の後は加ふ。

即ち各々卦・候の経朔より去る日及び余秒を得。

発斂の加時を求む:求むる所の小余を倍し、辰法を以て之を除して辰数と為し、満たざれば、五を以て之を因り、刻法に満てば刻と為し、満たざれば余と為す。其の辰数を子正に命じ、算外、即ち各々求むる所の加時の辰・刻及び分を得。

歩日躔

周天分:四百三十九萬四千三十四、秒五十七。

周天度:三百六十五、餘三千八十四、秒五十七。

歳差:一百五十四、秒五十七。

二至限日:一百八十二、餘七千四百八十。

冬至後盈初夏至後縮末限日:八十八、餘一萬九百五十八。

夏至後縮初冬至後盈末限日:九十三、餘八千五百五十二。

毎日の盈縮分を求む:二至後の全日を置き、各々初限以下に在れば初限と為す。已上ならば、以て二至限を減じ、餘を末限と為す。初・末限の日及び分を上に列べ、初・末限の日及び約分を下に倍し、相減じ相乘ず。盈縮分を求むる者は、盈初・縮末に在れば、三千二百九十四を以て之を除く。盈末・縮初に在れば、三千六百五十九を以て之を除く。皆度と為し、満たざれば、退きて分秒に除す。朏朒積を求むる者は、各々二位を退け、盈初縮末に在れば、三百六十六を以て一と為し、盈末縮初に在れば、四百七を以て一と為す。各々求むる所を得。盈縮を以て相減じ、餘を升降分と為す。盈初縮末は升と為し、縮初盈末は降と為す。

朏朒積を以て相減じ、餘を損益率と為す。初に在れば益と為し、末に在れば損と為す。

経朔弦望の盈縮限に入るを求む:天正閏日及び餘を置き、縮末限日及び餘を減じ、天正十一月経朔の縮末限に入る日及び餘と為す。弦策を以て累加し、盈縮限日に満てば之を去く。即ち各々弦望及び次朔の盈縮限に入る日及び餘秒を得。

経朔弦望の朏朒定数を求む:各々入る所の盈縮限日の小餘を置き、其の日の下の損益率を以て之に乗じ、統法の如くして一と為す。所得、其の下の朏朒積を損益して定数と為す。

定気を求む:冬夏の二至は常気を以て定気と為す。自後、其の気の限日の下の盈縮分を以て、盈は加へ縮は減じ常気の約餘に、即ち求めし所の気の定日及び分秒と為す。

赤道宿度

斗:二十六

牛:八

女:十二

虚宿:十度少、秒六十四

危宿:十七度

室宿:十六度

壁宿:九度

北方七宿、九十八度少、秒六十四

奎宿:十六度

婁宿:十二度

胃宿:十四度

昴宿:十一度

畢宿:十七度

觜宿:一度

參宿:十度

西方七宿、八十一度

井宿:三十三度

鬼宿:三度

柳宿:十五度

星宿:七度

張宿:十八度

翼宿:十八度

軫宿:十七度

南方七宿の総計は一百一十一度。

角宿:十二度

亢宿:九度

氐宿:十五度。

房宿:五度

心宿:五度

尾宿:十八度

箕宿:十一度

東方七宿の総計は七十五度。

以上はすべて赤道における宿度であり、古来のものとは異なる。『大衍暦』以来、渾天儀を用いて測定したものを定数とし、天の中央に紘帯を配し、渾天儀の極を基準として、黄道の度数を定めたものである。

天正冬至の加時における赤道日度を推算するには、歳差に求める積年を乗じ、周天分で割って剰余を除き、余りを周天分から減じ、残りを統法で除して度とし、余りを分秒とする。赤道虚宿四度を起点として外へ去り、満たさない宿に至れば、即ち求める年の天正冬至加時赤道日度及び余秒となる。

夏至の赤道日度を求めるには、天正冬至加時赤道日度を置き、二至限及び余を加え、赤道宿次で満たして去れば、即ち夏至加時赤道日度及び余秒を得る。これにより後の昏後夜半の赤道日度を求めるには、二至の小余を統法から減じ、余りを二至の赤道日度の余に加え、即ち二至初日の昏後夜半赤道日度とし、毎日一度ずつ累加し、前述の如く去って起点とすれば、各々求める所を得る。

二十八宿の赤道積度を求めるには、二至加時の日躔赤道全度を置き、二至加時の赤道日度及び約分を減じ、余りを距後度とする。赤道宿次を累加すれば、即ち二十八宿の赤道積度及び分秒を得る。

二十八宿の赤道積度の初限・末限への入りを求めるには、各々赤道積度及び分秒を置き、象限九十一度三十一分・秒九で満たせば去る。もし四十五度六十五分・秒五十四半未満ならば初限とし、以上ならば象限から減じ、余りを末限とする。

二十八宿の黄道度を求めるには、各々赤道宿の初限・末限への入り度及び分を置き、三倍して限分とする。四百から減じ、余りに限分を乗じ、一万二千で除して度とし、黄赤道差と称する。至後は減じ、分後は加えて赤道宿積度とし、黄道積度とする。前宿の黄道積度を減じ、余りを二十八宿の黄道度及び分とする。その分は近くに約して太・半・少とし、もし二至の宿が減じるに足らざれば、即ち二至限を加え、然る後に減じ、余りは術に依り算する。

黄道宿度

斗:二十三半

牛:七半

女:十一半

虚:十少秒六十四。

危:十七太

室:十七少

壁:九太

北方七宿九十七度半・秒六十四。

奎:十七太

婁宿:十二度太

胃宿:十四度半

昴宿:十一度太

畢宿:十六度

觜宿:一度

參宿:九度少

西方七宿八十二度。

井宿:三十度

鬼宿:二度太

柳宿:十四度少

星宿:七度

張宿:十八度太

翼宿:十九度半

軫宿:十八度太

南方七宿一百一十一度。

角宿:十三度

亢宿:九度半

氐宿:十五度半

房宿:五度

心宿:四度太

尾宿:十七度

箕宿:十度

東方七宿の総計は七十四度太。

前掲の黄道宿度は、今の暦法による歳差に基づいて変動を定めたものである。もし上って往古を考証し、下って将来を検証するには、歳差に拠り、一度移動するごとに、暦法に従って推変し、その後初めて七曜を推歩し、その所在を知ることができる。

天正冬至の加時における黄道日度を求めるには、天正冬至の加時における赤道日度及び約分を置き、これを三倍して限分と為す。四百より減じ、余りに限分を乗じ、一万二千で除して一度と為し、これを黄赤道差と称する。天正冬至の加時における赤道日度及び分より減じれば、即ち求めるところの年の天正冬至の加時における黄道日度及び分となる。夏至の日度は、これに準じて求む。

二至(冬至・夏至)の初日、晨前夜半における黄道日度を求めるには、一万分を置き、その日の升降分(昇分は加え、降分は減ず)をもってこれに乗じ、二至の小余を乗じ、統法で除する。得たるものを以て、二至の加時における黄道日度より減じ、余りが二至の初日、晨前夜半における黄道日度及び分となる。

毎日の晨前夜半における黄道日度を求めるには、二至の初日、晨前夜半における黄道日度及び分を置き、毎日一度を加え、その日の下にある升降分を百分の一に約し、昇分は加え、降分は減ず。黄道宿次に満てばこれを去り、即ち各々二至後の毎日の晨前夜半における黄道日度及び分を得る。

太陽が宮を過ぐる日時・刻を求めるには、黄道過宮の宿度を置き、その日の晨前夜半における黄道宿度及び分を以てこれを減じ、余りに統法を乗じ、その太陽の行分で除して加時小余と為す。発斂の法に従って求めれば、即ち太陽が宮を過ぐる日・時・刻及び分を得る。

黄道過宮については、太史局の呉澤らが補治してこの一段を有す。開封の進士呉時挙、国学進士程憙、常州の百姓張文進の本には並びにこれ無し。

危宿十五度少、衛の分に入る、亥。

奎宿三度半、魯の分に入り、戌。

胃宿五度半、趙の分に入り、酉。

畢宿十度半、晉の分に入り、申。

井宿十二度、秦の分に入り、未。

柳宿七度半、周の分に入り、午。

張宿十七度少、楚の分に入り、巳。

軫宿十二度、鄭の分に入り、辰。

氐宿三度少、宋の分に入り、卯。

尾宿八度、燕の分に入り、寅。

鬥宿九度、吳の分に入り、丑。

女宿六度少、齊の分に入り、子。

月離を歩む

轉周分:三十三萬一千四百八十二、秒三百八十九。

轉周日:二十七、餘六千六百七十二、秒三百八十九。

朔差日:一、餘一萬一千七百四十、秒九千六百一十一。

弦策:七日、余四千六百三、秒二千五百。

望策:十四日、余九千二百六、秒五千。

以上秒母同一万。

七日:初数一万六百九十、初約八十九;末数一千三百四十、末約十一。

十四日:初数九千三百五十一、初約七十八;末数二千六百七十九、末約二十二。

二十一日:初数八千十一、初約六十七;末数四千十九、末約三十三。

二十八日:初数六千六百七十二、初約五十五。

上弦:九十一度三十一分、秒四十一。

望:一百八十二度六十二分、秒八十二。

下弦:二百七十三度九十四分、秒二十三。

平行:十三度三十六分、秒八十七半。

以上秒母同一百。

天正十一月経朔加時入転を求む:天正十一月経朔加時積分を置き、転周分秒を以て之を去き、尽きざるを、統法を以て之を約して日と為し、満たざるを余とす。日に命じ、算外、即ち求め得る所の年の天正十一月経朔加時入転日及び余秒。若し朔差日及び余秒を以て之を加へ、転周日及び余秒に満てば之を去き、即ち次朔加時入転日及び余秒。各其の月の経朔小余を以て之を減じ、余其の月の経朔夜半入転と為す。

弦望入転を求む:天正十一月経朔加時入転日及び余秒に因り、弦策を以て累次之を加へ、去き命ずること前に如く、即ち弦・望入転日及び余秒を得。朔弦望入転朏朒定数を求む:入転余を置き、其の日の算外損益率を乗じ、統法の如くして一と為し、得る所を以て其の下の朏朒積を損益して定数と為す。其の四七日下の余初数の如く已下なるは、初率之を乗じ、初数にして一と為し、以て其の下の朏朒積を損益して定数と為す。若し初数已上なるは、初数を以て之を減じ、余に末率を乗じ、末数にして一と為し、用て初率を減じ、余其の日の下の朏朒積に加へて定数と為す。其の十四日下の余若し初数已上にあるは、初数を以て之を減じ、余に末率を乗じ、末数にして一と為し、便ち朏定数と為す。

朔弦望定日を求む、各入限・入転朏朒定数を以て、朏は減じ朒は加ふ経朔・弦・望の小余に、満つる若は足らざれば、大余を進退し、甲子に命じ、算外。各定日及び余を得。若し定朔の幹名後朔の幹名と同じきは月大、同じからざるは月小、其の月内に中気無きを閏月と為す。凡そ暦を注ぐに、定朔小余を観、秋分後統法四分之三已上にあるは、一日を進む;若し春分後定朔晨昏差春分の日の如きは、三を以て之を約し、用て四分之三を減じ;定朔小余此の数已上にあるは、亦一日を進む;或は交虧初の日入已前に在るに当るは、其の朔は進まず。弦・望の定小余日出分に満たざるは、一日を退く;望に若し交有り、虧初日出分已前に在るは、其の定望小余日出分に満つと雖も、亦一日を退く。又月行九道の遅疾有り、暦に三大二小有る者有り;盈縮に依り累次之を増損すれば、則ち四大三小有り、理数然りなり。若し俯して常儀に循はば、当に加時の早晚を察し、随ひ其の近き所に而して之を進退し、三大二小を過ぎざらしむべし。

定朔・弦・望の加時における日度を求む:定朔・弦・望の約分を置き、これを副とし、以て其の日の升降分を乗じ、一万を以て約す。得る所、升は其の副に加へ降は減じ、以て其の日の夜半日度に加ふ。前に命ずるが如く、各々定朔・弦・望の加時に於ける日躔黄道宿度及び分秒を得。

月の九道を行くを求む:凡そ合朔初交に、冬は陰暦に入り、夏は陽暦に入れば、月は青道を行く。冬至・夏至の後、青道半交は春分の宿に在り、黄道の東に出づ。立冬・立夏の後、青道半交は立春の宿に在り、黄道の東南に出づ。至る所の沖の宿も亦之の如し。

冬は陽暦に入り、夏は陰暦に入れば、月は白道を行く。冬至・夏至の後、白道半交は秋分の宿に在り、黄道の西に出づ。立冬・立夏の後、白道半交は立秋の宿に在り、黄道の西北に出づ。至る所の沖の宿も亦之の如し。

春は陽暦に入り、秋は陰暦に入れば、月は朱道を行く。春分・秋分の後、朱道半交は夏至の宿に在り、黄道の南に出づ。立夏・立秋の後、朱道半交は立夏の宿に在り、黄道の西南に出づ。至る所の沖の宿も亦之の如し。

春は陰暦に入り、秋は陽暦に入れば、月は黒道を行く。春分・秋分の後、黒道半交は冬至の宿に在り、黄道の北に出づ。立春・立秋の後、黒道半交は立冬の宿に在り、黄道の東北に出づ。至る所の沖の宿も亦之の如し。

四序離れて八節と為り、陰陽の交はる所に至れば、皆黄道と相会す。故に月行に九道有り。各々月行の入る所の正交積度を視、交象に満てば之を去く。交積度及び交象度に入るは、並びに交会術の中に在り。

若し半交象已下に在れば初限と為す。已上は、覆へて交象を減じ、余を末限と為す。初・末限度及び分を置き、之を三し、限分と為す。用ひて四百を減じ、余を限分に乗じ、二万四千を以て一と為し度と命じ、曰く月道と黄道の差数。正交の後、半交の前に距るは、差数を以て加ふ。半交の後、正交の前に距るは、差数を以て減ず。此の加減は黄道六度に出し入る。単に黄道と相校するの数なり。若し赤道を校ふれば、則ち気に随ひ遷変して常ならず。

仍て去る冬・夏二至已来の度数を計ひ、差数を乗じ、九十を以て一と為し、月道と赤道の差数と為す。凡そ日は赤道内を以て陰と為し、外を以て陽と為す。月は黄道内を以て陰と為し、外を以て陽と為す。故に月行の宿度、春分交後に入り陰暦を行ひ、秋分交後に入り陽暦を行へば、皆同名と為す。春分交後に入り陽暦を行ひ、秋分交後に入り陰暦を行へば、皆異名と為す。

其の同名に在る者は、差数を以て加ふる者は之を加へ、減ずる者は之を減ず。其の異名に在る者は、差数を以て加ふる者は之を減じ、減ずる者は之を加ふ。二差皆黄道宿積度を増益し、九道宿積度と為す。前宿の九道積度を以て之を減じ、其の宿の九道度及び分秒と為す。其の分は就き近く之を約して太・半・少と為す。

月行九道の平交入気を求む:各々其の月の閏日及び余を以て、経朔加時の入交泛日及び余秒に加へ、交終日及び余秒に盈てば之を去き、乃ち交終日及び余秒を減ず。即ち各々平交の其の月中気に入る日及び余秒を得。若し気策に満てば即ち之を去き、余を平交の後月節気に入る日及び余秒と為す。若し朏朒定数を求むれば、朔・望朏朒術を求むるが如く之に入れ、即ち求むる所を得。

平交入転の朏朒定数を求む:入る所の気余を置き、其の日の夜半入転余を加へ、其の日の算外の損益率を乗じ、統法を以て一と為し、得る所を以て其の下の朏朒積を損益し、乃ち交率を以て之を乗じ、交数を以て一と為し、定数と為す。

正交入気を求む:平交入気・入転朏朒定数を以て、朏は平交入気余を減じ朒は加へ、満つる若は足らざれば、其の日を進退し、即ち正交入気の日及び余秒を得。

正交加時の黄道日度を求む:正交入気余を置き、之を副とし、以て其の日の升降分を乗じ、一万を以て約す。升は其の副に加へ降は減じ、乃ち一百を以て之を乗じ、統法を以て一と為し、以て其の日の夜半日度に加ふ。即ち正交加時の黄道日度及び分秒を得。

正交加時の月離九道宿度を求む:正交度加時の黄道日及び分を置き、之を三し、限分と為す。用ひて四百を減じ、余を限分に乗じ、二万四千を以て一と為し、月道と黄道の差数と命ず。以て黄道宿度に加ふ。仍て去る冬・夏二至已来の度数を計ひ、以て差数を乗じ、九十を以て一と為し、月道と赤道の差数と為す。同名は以て加へ、異名は以て減ず。二差皆正交度を増損し、即ち正交加時の月離九道宿度及び分秒を得。

定朔弦望の加時に於ける月離黄道宿度を求む:定朔・弦・望の加時に於ける日躔黄道宿度及び分を置く。凡そ合朔加時に、月行は潜かに日の下に在り、太陽と同度と為し、是れ加時月度なり。各々弦・望の度を以て其の当る所の日度に加へ、黄道宿次に満てば之を去く。即ち各々定朔・弦・望の加時に於ける月離黄道宿度及び分秒を得。

定朔・弦・望の加時における月の離れた九道宿度を求める:定朔・弦・望の加時における月の離れた黄道宿度及び分秒を置き、前宿の正交後の黄道積度を加え、前に九道術を求めた如くに入れ、以前の定宿の正交後の九道積度を以てこれを減じ、余りを定朔・弦・望の加時における月の離れた九道宿度及び分秒と為す。凡そ合朔の加時に、もし正交に非ざれば、即ち日は黄道に在り、月は九道に入る所の宿度なり。多少同じからずと雖も、その去極を考うるに、もし縄準に応ずるが如きは、故に加時九道と曰う。

定朔の午中における入転を求める:各々経朔の夜半における入転日及び余秒を視、半法を以てこれを加え、もし定朔及び余りに進退有る者は、亦た転日を進退し、然らずば経を因りて定と為す。因りて次日を求め、一日を累加し、転周日及び余秒に満てばこれを去き、即ち毎日の午中における入転なり。

晨昏の月度を求める:晨分を以てその日の算外の転定分に乗じ、統法にて除して一と為し、晨転分と為す;転定分より用いてこれを減じ、余りを昏転分と為す;乃ち朔・弦・望の小余を以てその日の算外の転定分に乗じ、統法にて除して一と為し、加時分と為す;晨昏転分より以てこれを減じ、余りを前と為す;減ずるに足らざれば、覆ってこれを減じ、余りを後と為す;前を以て加え後を以て減じ定朔・弦・望の月度に、即ち晨・昏の月の所在する度なり。

朔弦望の晨昏定程を求める:各々その朔の昏定月を以て上弦の昏定月より減じ、余りを朔後の昏定程と為す;上弦の昏定月を以て望の昏定月より減じ、余りを上弦後の昏定程と為す;望の晨定月を以て下弦の晨定月より減じ、余りを望後の晨定程と為す;下弦の晨定月を以て後朔の晨定月より減じ、余りを下弦後の晨定程と為す。

毎日の転定度数を求める:毎程の相距する日の転定分を累計し、定程より以てこれを減じ、余りを盈と為す;減ずるに足らざれば、覆ってこれを減じ、余りを縮と為す;相距する日を以てこれを除し、得る所、盈は加え縮は減じて毎日の転定分に、毎日の転定度及び分秒と為す。

毎日の晨昏月を求める:朔・弦・望の晨昏月を置き、毎日の転定度及び分を以てこれを加え、宿次に満てばこれを去き、毎日の晨昏月と為す。凡そ暦を注ぐに、朔日より昏月を注ぎ、望の後一日より晨月を注ぐ。

已前に月度は並びに九道に依りて推したるに依る、以て算術の精微を究む、もし速やかに要を求むれば、即ち後の術に依りてこれを求む。

天正十一月の経朔加時における平行月を求める:歳周を置き、天正閏余を以てこれを減じ、余りを統法にて約して度と為し、満たざれば、退除して分秒と為し、即ち天正十一月の経朔加時における平行月積度及び分秒なり。

天正十一月の定朔夜半における平行月を求める:天正の経朔小余を置き、平行月度分秒を以てこれを乗じ、統法にて除して一と為し度と為し、満たざれば、退除して分秒と為し、天正十一月の経朔加時における平行月積度より以てこれを減じ、即ち天正十一月の経朔晨前夜半における平行月なり。その定朔の大余に進退有る者は、亦た平行度を進退し、然らずば経を因りて定と為し、即ち天正十一月の定朔晨前夜半における平行月積度及び分秒なり。

次の定朔の夜半における平行月を求める:天正十一月の定朔晨前夜半における平行月積度及び分秒を置き、大月には三十五度八十分、秒六十一を加え、小月には二十二度四十三分、秒七十三半を加え、周天度及び約分・秒に満てばこれを去き、即ち次の定朔晨前夜半における平行月積度及び分秒を得。

弦望の定日の夜半における平行月を求める:各々朔・弦・望の相距する日を計り、平行度及び分秒に乗じ、その月の定朔晨前夜半における平行月積度及び分秒を以てこれを加え、即ちその月の弦望定日晨前夜半における平行月積度及び分秒なり。

定朔の晨前夜半における入転を求める:その月の経朔晨前夜半における入転日及び余秒を置き、もし定朔の大余に進退有る者は、亦た転日を進退し、然らずば経を因りて定と為し、その余りを統法にて退除して分秒と為し、即ちその月の定朔晨前夜半における入転日及び分秒を得。因りて次日を求め、一日を累加し、転週二十七日五十五分、秒四十六に満てばこれを去き、即ち毎日の晨前夜半における入転なり。

定朔弦望の晨前夜半における定月を求める:定朔・弦・望の晨前夜半における入転分を置き、その日の算外の増減差に乗じ、百を以て約して分と為し、分百に満てば度と為し、その下の遅疾度を増減し、遅疾定度と為す;遅は減じ疾は加えて定朔・弦・望の晨前夜半における平行月積度及び分秒に、天正冬至の加時における黄道日度を以て加えてこれを命じ、即ち各々定朔・弦・望の晨前夜半における月の離れた宿度及び分秒を得。もし毎日の晨・昏の月を求むれば、前の術に依りてこれを入れ、即ち求むる所を得。

歩暦の部

二至の限:一百八十二日六十二分。

一象:九十一日三十一分。

消息法:九千七百三。

半法:六千一十五。

辰法:二十五。

半辰法:一十二半。

刻法:一千二百二。

辰刻:八、余四百一。

昏明分:三百太。

昏明刻:二、余六百一半。

冬至嶽台晷影常數:一丈二尺八寸五分。

夏至嶽台晷影常數:一尺五寸七分。

冬至後初限夏至後末限:四十五日、六十二分。

冬至後末限夏至後初限:一百三十七日、空分。

嶽台の晷影に入二至後の日数を求む:二至以来の日数を計へ、以て二至の約分を減じ、乃ち半日の分五十を加ふ、即ち二至後来の午中の日数及び分なり。

嶽台の午中晷影定数を求む:二至後の日及び分を置き、初限已下なる者は初と為し、已上なるは、覆へて二至限を減じ、余は末と為す。其の冬至後の初限、夏至後の末限に在る者は、以て入限日の分を以て一千九百三十七半を減じ、泛差と為す。仍て入限の日及び分を以て其の日の盈縮積を乗ず、其の盈縮積は、以て盈縮限に入る日及び分を以て二百と相減じ相乘じ、盈縮積と為すなり。

五度の因と百の約を用いて泛差を減じ、定差となす。乃ち入限日及び分を以て自ら相乘じ、定差を以て之を乗じ、百万に満てば尺と為し、満たざれば寸・分と為し、以て冬至嶽台晷影常数を減じ、余りを其の日の午中晷影定数と為す。其れ冬至後の末限、夏至後の初限に在る者は、三を以て入限日及び分を約し、四百八十五少を減じ、泛差と為す。仍ち盈縮差度を以て極度を減じ、余り春分後・秋分前は、四を以て約し、以て泛差に加へ、定差と為す。春分前・秋分後は、二分を去る日数を以て之を乗じ、六百を以て一と為し、以て泛差を減じ、定差と為す。乃ち入限日及び分を以て自ら相乘じ、定差を以て之を乗じ、百万に満てば尺と為し、満たざれば寸分と為し、以て夏至嶽台晷影常数に加へ、其の日の午中晷影定数と為す。

毎日の午中定積日を求む。其の日の午中二至後来日数及び分を置き、其の日の盈縮分を以て盈は之を加へ縮は之を減じ、即ち毎日の午中定積日及び分。

毎日の午中消息定数を求む。定積日及び分を置き、一象已下は自ら相乘じ、已上は用て二至限を減じ、余り亦自ら相乘じ、七を因し、二位を進め、消息法を以て之を除し、消息常数と為す。副として之を置き、用て六百一半を減じ、余りを以て其の副を乗じ、二千六百七十を以て之を除し、以て常数に加へ、消息定数と為す。冬至後は息と為し、夏至後は消と為す。

毎日の黄道去極度を求む。其の日の消息定数を置き、十六を以て之を乗じ、四百一を以て之を除して度と為し、満たざれば退除して分と為し、春分後は六十七度三十一分を加へ、秋分後は一百一十五度三十一分を減じ、即ち毎日の午中黄道去極度及び分。

毎日の太陽去赤道内外度を求む。其の日の黄道去極度及び分を置き、一象度と相減じ、余りを太陽去赤道内・外度及び分と為す。去極多きは日赤道外に在り、去極少きは日赤道内に在り。

毎日の晨昏分及び日出分・日入分・半晝分を求む。其の日の消息定数を置き、春分後は二千一百少を加へ、秋分後は三千三百八少を減じ、各其の日の晨分と為す。用て統法を減じ、余りを昏分と為す。昏明分を以て晨分に加へ、日出分と為す。昏分を減じ、日入分と為す。日出分を以て半法を減じ、余りを半晝分と為す。

毎日の距中度を求む。其の日の晨分を置き、進位し、十四を因し、四千六百一十一を以て之を除して度と為し、満たざれば退除して分と為し、即ち距子度。用て半周天を減じ、余りを距中度と為す。五を以て一と為し、毎更差数と為す。

毎日の夜半定漏を求む。晨分を置き、一位を進め、刻法の如くして一と為して刻と為し、満たざれば刻分と為し、即ち毎日の夜半定漏。

毎日の晝夜刻及び日出辰刻・日入辰刻を求む。夜半定漏を置き、之を倍し、五刻を加へ、夜刻と為す。百刻を減じ、晝刻と為す。昏明刻を以て夜半定漏に加へ、子正に命じ、算外し、日出辰刻を得。晝刻を以て之に加へ、前に如く命じ、即ち日入辰刻。其の辰数は発斂術に依りて之を求む。

更点辰刻を求む。其の日の夜半定漏を置き、之を倍し、二十五を以て一と為して籌差と為す。之を半し、進位し、更差と為す。昏明刻を以て日入辰刻に加へ、即ち甲夜辰刻。更籌差を以て累加し、辰刻及び分に満てば之を去り、各毎更籌の所在する辰刻及び分を得。若し司辰漏を用ふる者は、夜半定漏を倍じ、待旦十刻を減去し、余り術に依りて算し、即ち内中の更籌を得。

毎日の昏曉中星及び五更中星を求む。距中度を置き、其の日の昏後夜半赤道日度を以て加へて之に命じ、即ち其の日の昏中星の格むる宿次を得、之に命じて初更中星と曰ふ。毎更差度を以て加へて之に命じ、即ち乙夜中星。更差度を以て累加し、前に如く去命し、即ち五更及び曉中星。若し司辰星漏に依りて距子度を倍じ、待旦三十六度五十二分半を減去し、余り術に依りて更点差度を求め、即ち内中の昏曉五更及び攢点中星なり。

九服の距差日を求む。各所在に於て表を立てて之を候ふ。若し地嶽臺の北に在り、冬至後に於て嶽台の冬至晷影と同じきを測る者は、冬至後より其の日に至るを累ね、距差日と為す。若し地岳台の南に在り、夏至後に於て嶽台の晷影と同じきを測る者は、夏至後より其の日に至るを累ね、距差日と為す。

九服の晷影を求む。若し地嶽臺の北に在り冬至前後なる者は、冬至前後日数を以て距差日を減じ、余日と為す。余日を以て一千九百三十七半を減じ、泛差と為す。前術に依りて之を求め、以て嶽台冬至晷影常数に加へ、其の地其の日の午中晷影定数と為す。冬至前後日数距差日に多き者は、乃ち距差日を減去し、余り法に依りて之を求め、即ち其の地其の日の午中晷影定数を得。若し地岳台の南に在り夏至前後なる者は、夏至前後日数を以て距差日を減じ、余日と為す。乃ち三を以て之を約し、以て四百八十五少を減じ、泛差と為す。前術に依りて之を求め、以て嶽台夏至晷影常数を減じ、即ち其の地其の日の午中晷影定数。如し夏至前後日数距差日に多きは、乃ち距差日を減去し、余り法に依りて之を求め、即ち其の地其の日の午中晷影定数を得、即ち晷表の南に在り。

九服所在の晝夜漏刻を求む。各所在に於て水漏を下し、以て二至の夜刻を定め、乃ち相減じ、余りを二至差刻と為す。乃ち嶽台其の日の消息定数を置き、其の処の二至差刻を以て之を乗じ、嶽台の二至差刻二十の如くして之を除し、所得を其の地其の日の消息定数と為す。乃ち消息定数を倍し、進位し、刻法に満てば之を約して刻と為し、満たざれば分と為し、以て其の処の二至夜刻に加減す。春分後・秋分前は、以て夏至夜刻に加ふ。秋分後・春分前は、以て冬至夜刻を減ず。

其の地其の日の夜刻と為す。百刻を以て減じ、余りを晝刻と為す。日出差刻及び五更中星を求め、並びに嶽台法に依りて之を求む。