楽服
楽正副四人、舒脚幞頭、紫羅公服、烏角帯、木笏、皂鞾。
照燭二人、服は前と同じ、笏なし。
楽師二人、服は緋色、冠・笏は前と同じ。
運譜二人、服は緑色、冠・笏は前と同じ。
舞師二人、舒脚幞頭、黄羅繡抹額、紫服、金銅荔枝帯、皂鞾、各々仗を執る。仗とは牙仗なり。
纛を執る者二人、青羅巾、その他は旌を執る者と同じ。
楽工、介幘冠、緋羅生色鸞袍、黄綾帯、皁鞾。冠は皮を以てこれを作り、黒油にして熊耳の如く、これも金の制なり。
歌工、服は楽工と同じ。
麾を執る者、服は上と同じ、ただ平巾幘を加う。状は籠金幘の如く、革を以てこれを作る。
舞人、青羅生色義花鸞袍、縁を皂綾にし、平冕冠。冠の前後に旒あり、青白硝石珠相間なり。
器を執る者二十人、服は楽工と同じ、緑油母追冠、革を以てこれを作り、一名を武弁と曰う。紅抹額を加う。
宣聖廟の楽工は、黒漆冠三十五、緑羅の生色胸背花袍三十五、皂靴三十五対、黄絹囊三十五、黄絹夾袱三十五。
大楽職掌
大楽署は、令一人、丞一人を置き、郊社・宗廟の楽を掌る。凡そ楽は、郊社・宗廟では宮縣を用い、工三百六十一人。社稷では登歌を用い、工五十一人。二楽に用工四百十二人、事故に代わる者五十人。祭祀の前月に工を召して楽及び舞を習わせる。祭祀前日に庭中に縣を宿設する。東方・西方に十二の鎛鐘を設け、各々辰位に依る。編鐘はその左に、編磬はその右に置く。黄鐘の鐘は子位に起き、通街の西にある。蕤賓の鐘は午位に居り、通街の東にある。毎辰三簴を一肆と謂い、十二辰で凡そ三十六簴。建鞞應を四隅に樹て、左に柷、右に敔を置き、縣中の北に設ける。歌工はその次で、三十二人、重行で相向いて坐す。次に巢笙、次に簫、次に竽、次に籥、次に篪、次に塤、又次に長笛。街を夾む左右に、瑟は柷敔の東西に翼の如く並び、前行にある。次に路鼓・路鼗。郊祀では雷鼓・雷鼗を用いる。閏餘匏は簫の東に、七星匏は西に、九曜匏はその次に置く。一絃琴は路鼓の東西に列ね、東一、西二。三絃・五絃・七絃・九絃はその次。晉鼓一つは縣中の東南に置き、楽を節する。一絃琴三、三絃以下は皆六。坐する者は皆、高きには杌を、地には氈を用いる。横街の南、やや東に四表を立てる。舞位を縣北に設ける。文郎は左に籥を執り、右に翟を秉る。武郎は左に干を執り、右に戚を執る。皆六十四人。享日に工人と先に入り就位する。舞師二人、纛を執る者二人が文舞を引き、表の南に分立する。武舞及び器を執る者は、宮縣の左右に俟ちて立つ。器は鼗二、双鐸二、単鐸二、鐃二、錞二(二錞に六人を用いる)、鉦二、相鼓二、雅鼓二、凡そ二十人。文舞が退くと、舞師二人・旌を執る者二人が武舞を引き進め、その処に立つ。文舞は還って縣側に立つ。又、登歌楽を殿の前楹、殿陛の傍に設け、楽床二を置き、楽工を其上に列ねる。搏拊二、歌工六、柷一、敔一は門内に、相向いて坐す。鐘一簴は前楹の東に。一絃・三絃・五絃・七絃・九絃琴五はその次。瑟二はその東に、笛一・籥一・篪一は琴の南に、巢笙・和笙各二はその次。塤一は笛の南に。閏餘匏・排簫各一はその次で、皆西を上とする。磬一簴は前楹の西に。一絃・三絃・五絃・七絃・九絃琴五はその次。塤一は笛の南に。七星匏・九曜匏・排簫各一はその次で、皆東を上とする。凡そ宗廟の楽は九成、舞は九変。黄鐘の宮は三成三変。大呂の角は二成二変。太簇の徵は二成二変。応鐘の羽は二成二変。圜丘の楽は六成、舞は六変。夾鐘の宮は三成三変。黄鐘の角は一成一変。太簇の徵は一成一変。姑洗の羽は一成一変。社稷の楽は八成。林鐘の宮二成、太簇の角二成、姑洗の徵二成、南呂の羽二成。凡そ宗廟に事有る時は、大楽令は殿楹の東に位し、西向。丞は縣北、通街の東に位し、西向。以て楽舞を粛する。
協律郎二人、律呂を調和させ、陰陽の声を合わせることを掌る。陽律六つ:黄鐘子、太簇寅、姑洗辰、蕤賓午、夷則申、無射戌。陰呂六つ:大呂丑、夾鐘卯、仲呂巳、林鐘未、南呂酉、應鐘亥。宮・商・角・徴・羽・変宮・変徴をもって文飾し、金・石・絲・竹・匏・土・革・木をもって播く。凡そ律管の数九、九九相乗じ、八十一を以て宮と為す。三分去一、五十四を以て徴と為す。三分益一、七十二を以て商と為す。三分去一、四十八を以て羽と為す。三分益一、六十四を以て角と為す。もし黄鐘を宮と為せば、則ち林鐘を徴と為し、太簇を商と為し、南呂を羽と為し、姑洗を角と為し、應鐘を変宮と為し、蕤賓を変徴と為す。是れ七声十二律、還相して宮と為し、八十四調と為すなり。凡そ大祭祀には皆法服を着し、一人は殿楹の西に立ち、東に向かい、一人は懸北の通街の西に立ち、東に向かい、以て楽を節す。堂上の者は登歌を主とし、堂下の者は宮懸を主とす。凡そ楽作れば則ち跪き、俛伏し、麾を挙げて興こし、工は柷を鼓して奏す。楽止まば則ち麾を偃し、工は敔を戞して楽止む。今は麾を執る者に代わって執らしめ、協律郎は特ちに拝するのみ。
楽正二人、副二人、楽舞を習わせ、楽器を展べ、楽位を正すことを掌る。凡そ祭祀には、二人は殿内に立ち、二人は懸間に立ち、以て楽を節す。殿内の者は献者の奠献に用いる楽の作止の節を見、笏を以て照燭に示し、照燭は挙偃を以て堂下に示す。もし登歌を作せば、則ち笏を以て柷敔に示すのみ。懸間の者は堂上の照燭に示す。及び初献を引くに、照燭動けば、亦た笏を以て柷敔に示す。
楽師一人、運譜一人、楽を以て工人を教えることを掌る。凡そ祭祀には、懸間に立ち、皆北上し、相向かって立つ。
麾を執る者一人、協律郎に従い、麾を挙偃して楽を節す。
照燭二人、籠燭を執りて楽を節することを掌る。凡そ楽の作止には、皆その籠燭を挙偃す。一人は堂上の門の東に立ち、殿内の献官の礼節を見、麾燭を以て懸間に示す。一人は堂下の懸間に立ち、三献の入るを待ち、初献を導きて位に至らしめ、その左に立つ。初献行くときは、皆前に導き、亜献・終献のときは然らず。凡そ殿下の礼節には、則ちその燭を麾して上下に示す。初献が盥洗の位に詣でれば、乃ちその燭を偃し、止むときも亦た之の如し。初献の動くを俟って節と為し、宮懸の楽作し、盥洗の位に詣で、瓚を洗い拭い終わりて、楽止む。階に詣で、登歌の楽作し、東階より升り、殿門に至りて、楽止み、乃ち陛の側に立ちて以て俟つ。晨祼終わりて、初献殿を出で、登歌の楽作し、版位に至りて、楽止む。司徒饌を迎えて横街に至り、身を転じて北向し、宮懸の楽作し、司徒爼を奉じて各室に至り遍く奠し終わりて、楽止む。酌献、初献が盥洗の位に詣で、宮懸の楽作し、爵洗の位に詣で、爵を洗い拭い終わりて、楽止む。笏を出し、登歌の楽作し、東階より升り、殿門に至りて、楽止む。初献が酒尊の所に至り、酌し終わりて、宮懸の楽作し、神位の前に詣で、祭酒終わりて、拝し、興こり、祝を読み、楽止む。読み終わりて、楽作し、再拝し終わりて、楽止む。次いで毎室に詣で、作止は初めの如し。毎室各々本室の楽曲を奏し、俱に献し終わりて、還って殿門に至り、登歌の楽作し、東階より降り、版位に至りて、楽止む。文舞退き、武舞進み、宮懸の楽作し、舞者立ち定まりて、楽止む。亜献礼を行い、節歩の楽無く、酒尊の所に至り、酒を酌し終わりて、笏を出し、宮懸の楽作し、神位の前に詣で、奠献終わりて、楽止む。次いで毎室に詣で、作止は初めの如し。俱に終わりて、還って版位に至り、皆楽無し。終献の楽作は亜献に同じ。助奠以下殿に升り、馬湩を奠し、神位に至り、蒙古の巫祝詞を致し終わりて、宮懸の楽作し、司徒の饌を進むるの曲に同じ。礼畢みて、楽止む。殿を出で、登歌の楽作し、各々復位し、楽止む。太祝籩豆を徹し、登歌の楽作し、徹し終わりて、楽止む。奉礼拝を賛し、衆官皆再拝し終わりて、神を送り、宮懸の楽作し、一成にして止む。
宴楽の器
興隆笙、楠木を以て製す。形は夾屏の如く、上鋭くして面平らか、金を鏤りて枇杷・宝相・孔雀・竹木・雲気を彫鏤す。両旁に花板を側立し、背の三の一を居む。中は虚櫃と為し、笙の匏の如し。上に紫竹の管九十を竪て、管端に木蓮苞を以て実す。櫃外に小橛十五を出だし、上に小管を竪て、管端に銅杏葉を以て実す。下に座有り、獅象之を遶る。座上櫃前に花板一を立て、彫鎪は背の如し。板間より二つの皮風口を出だす。用うる時は則ち朱漆の小架を座前に設け、風囊を風口に繫ぐ。囊面は琵琶の如く、朱漆雑花、柄有り。一人は小管を挼じ、一人は風囊を鼓すれば、則ち簧自ら調に随いて鳴る。中統年間、回回国の進むる所。竹を以て簧と為し、声有りて律無し。玉宸楽院判官鄭秀乃ち音律を考へ、清濁を分定し、増改して今の制の如くす。其の殿上にある者は、盾頭の両旁に刻木の孔雀二を立て、真の孔雀羽を以て飾り、中に機を設く。毎に奏するに、工人三人、一人は風囊を鼓し、一人は律を按じ、一人は其の機を運動すれば、則ち孔雀飛舞して節に応ず。
殿庭笙十、延祐年間に増製し、孔雀を用いず。
琵琶、木を以て製す。首曲がり、頸長く、四軫、頸に品有り、面闊く、四絃、面に雑花を飾る。
箏、瑟の如く、両頭微かに垂れ、柱有り、十三絃。
火不思、琵琶の如く製す。直頸、品無く、小槽有り、円腹は半瓶榼の如く、皮を以て面と為し、四絃、皮絣同一の孤柱。
胡琴、火不思の如く製す。頸巻き、龍首、二絃、弓を以て之を捩る。弓の絃は馬尾を以てす。
方響、鉄を以て製す。十六枚、磬簴に懸く。小角槌二。廷中に設け、下に小交足几を施し、黄羅銷金の衣。
龍笛、笛の如く製す。七孔、横に之を吹く。管首に龍頭を製し、同心結の帯を銜む。
頭管は、竹を管とし、蘆葉を巻いて首とし、七つの穴を穿つ。
笙は、匏を底とし、上に管を列ね、管は十三本、簧もまた同じ数である。
箜篌は、木を以て作り、腹は広く、腹の下に横木を施し、軫を二十四本加え、柱頭及び首に、並びに鳳の嘴を加える。
雲璈は、銅を以て作り、小鑼十三枚とし、同一の木架に載せ、下に長柄があり、左手に持ち、右手にて小槌を以てこれを打つ。
簫は、笛の如く作り、五孔あり。
戲竹は、籈の如く作り、長さ二尺余、上に流蘇香囊を繫ぎ、執ってこれを偃し、以て楽を止む。
鼓は、木を以て匡とし、革を冒き、朱漆に雑花を施し、面に復身龍を描き、長竿二本あり。廷中に設くれば、則ち大木架あり、また撃撾高座あり。
杖鼓は、木を以て匡とし、細腰、皮を以てこれを冒き、上に五綵繡帶を施し、右は杖を以て打ち、左は手を以て拍つ。
札鼓は、杖鼓の如く作りて小さく、左に持ちて右にこれを打つ。
和鼓は、大鼓の如く作りて小さく、左に持ちて右にこれを打つ。
𥱧は、箏の如く作りて七絃あり、柱あり、竹を以てこれを軋る。
羌笛は、笛の如く作りて長く、三孔あり。
拍板は、木を以て板とし、繩を以てこれを聯ねる。
水盞は、銅を以て作り、凡そ十二枚あり、鐵箸を以てこれを打つ。
楽隊
凡そ吉礼は、郊祀・太廟を享け・諡を告ぐるは、祭祀志に見ゆ。軍礼は、兵志に見ゆ。喪礼五服は、刑法志に見ゆ。水旱賑卹は、食貨志に見ゆ。内外導従は、儀衛志に見ゆ。